ノルウェー人が日本にやって来る!~その5(何を食べさせる?)~

さて連載もダラダラ引っ張って、5回目です。
日本人の大きな心配事・・・それは「何を食べさせればいいか?」です。
日本人は食に寄せる関心が高い。それにせっかく日本に来てくれたんだから、「美味しいものを食べさせてあげないと!」と半ば、強迫観念に駆られます。

普段は、毎日、変わり映えのしないような食事をしているノルウェー人。
薄ぼんやりしているノルウェー人でも、さすがに「日本は食事がおいしいらしい」と知識と期待は抱いてきます。

ここで問題なのは、やはり予算と相談になります。
1)公費・会社もちのノルウェー人
2)大人の観光グループ
3)学生グループ

あと皆さんに知っていただきたいのは、ノルウェーでは外食がとんでもなく高いということ。
なので、3)を除くグループはある程度の出費は、耐えられるということです。

まず1)のグループは予算が潤沢である場合が多いです。寿司
なので、リクエストの多い「お寿司」は回らないお寿司屋さんに連れて行ってあげましょう。
寿司の注意は、箸に慣れていないので、寿司を醤油皿に入れるとシャリが崩壊・・・がありますが、全ては「異文化体験」。
また以前と比べれば、箸がちゃんと使えるノルウェー人の割合は増えていますね~。

他に人気があるのは、「高級鉄板焼」でしょうか。
目の前で繰り広げられる華麗な手さばき。新鮮な魚介類や高級肉が焼けるのを見るだけでも楽しめますし、味も万人受けします。まさに「鉄板」メニューですね。

お肉つながりで、「すき焼き」も人気のあるメニューです。すき焼き
特に、仲居さんが作ってくれるお店の「すき焼き」は、こちらも手間が省けるから、会話に集中できますし、味もやはり万人受けするのでオススメです。

ノルウェー人は、日本に来たら「Kobe beef」を食べるんだ!と鼻息荒いですね~。
なので、お店でも「これ神戸牛?」と聞かれる場合が、よくあります。
違う場合でも「Ja,Kobe, Kobe」と愛想笑いとともに答えてあげるのも、「おもてなし」です。
というのも、ノルウェー人は国に帰ってから、「日本でKobe beef食べたよ」と自慢できますし、いい思い出になります。本当は名の知れない牛肉だったとしても・・・。

牛肉にまつわるエピソードも、よくノルウェー人は「日本にはビールで育てた牛がいるんだよね?」と嬉しそうに聞いてきます。
「ほ?」
「テレビでみたよ。ビールを飲ませて、肉を柔らかくするなんて、すごいなぁ~」
ビールも高いノルウェー。
そんなビールで育った牛肉への憧憬も・・・はい、果てしないです!

他には「懐石料理」を日本人は思いつきます。
確かに、ノルウェー人は、見た目も美しい次々と運ばれる料理に「おお!」と感動します。
・・・しかし・・・
ノルウェーでは、前菜・メイン・デザートという料理コースが一般的です。
なので、ノルウェー人は懐石料理のあまりに多い品数に、最初は喜ぶのですが、段々、「え?まだ料理あるの??」と驚きます。そして軽く「恐怖」を覚えるようです。
でかい図体にも関わらず、「もう食べられない」というケースは何度か目にしました。
一番極端な場合は、懐石の途中で、「もう要らないから、デザートにして」と頼まれたこともありましたね。
ともかく、懐石料理を完食したノルウェー人は・・・見た記憶がありません。

あと2)のグループは、前述したように、「外食の高さ」に慣れている、ということ。
なので、1)のグループより少しグレードを下げたお店でも、文句を言わずにお金を払いますし、「おいしい」を連発してくれるので、アテンドする方としては楽ですね。
ちょっと高めで個室仕様の「大人系居酒屋」でも、十分、喜んでくれます。
「キュッパのはくぶつかん」の作者、オーシルさんが来日した時に、やはりそういった系統のお店に行ったのですが、サントリーモルツがいたくお気に召して、「これ持って帰りたい!」と言ってましたね。
サントリー以外でも、日本のビールはおおむね好評です。

はん亭

根津のはん亭

1)と2)に共通して、「日本家屋」のお店ならさらにテンションUPでしょうか。
日本橋の「今半」や、根津の「はん亭」(串焼き)など、趣があって味もおいしいですので、オススメです。
外国人御用達の西麻布「権八」も、喜ばれますね~。

3)のグループは、予算がタイトです。
コンビニでおにぎり買って済ませる場合も多いですが、でもそんな学生でも「寿司」は食べてみたい・・・。
そこで燦然と輝くのが「回転寿司」です!
学生たちもガイドブックで、「築地」が水産物の聖地で、寿司屋も多いと知っているケースがあります。
ここでオススメなのが、「どこにでもあるような回転寿司チェーン店に築地で入る」ことです。
「築地でスシを食べた」という事実には変わりませんし、若い子たちは何事も喜んで「おいしい!」と感激します。

あとは、「安い居酒屋チェーン」も、大いに活躍してくれます。ます酒
「飲み放題」などというシステムは、ノルウェーにはありません(導入したら店はつぶれるでしょう・・・)。
なので、「2時間で、お酒飲み放題だから」と説明すると、学生たちは「おお!」と目の色を変えてオーダーします(ノルウェーでは18歳からビール、ワイン、20歳からそれ以上強いアルコールの飲酒が認められていますので、日本では注意が必要です)。
このレベルのお店の料理でも、「おいしい」と言ってくれるので、ほ~んと日本の飲食店には感謝感激です。

私より学生のアテンドに慣れているテンギョウさんのオススメは、「てんや」でした。
安い値段で食べられる天丼は、学生たちには好評とのこと。すき焼きとか天丼とかうなぎのかば焼きとか、味がはっきりしている方がいいのかもしれませんね。

1)2)3)のグループで共通しているのですが、日本の飲食店はサービスが良い場合がほとんどなので、それも「カンゲキ」につながります。

そろそろ、「食」にまつわる注意事項をまとめましょう。

ポイント1★ベジタリアンやアレルギー持ちの人
意外と多いです!
ノルウェーの飲食店では、ベジタリアンメニューが割とあることが多いのですが、日本はまだまだ少ないですよね。なので、お店に入ってからあわてないように、あらかじめ確認が大切です。
食物アレルギーの人もいます。
1月にアテンドしたノルウェー人女性は、誰か日本人に書いてもらった「私は牛乳アレルギーです」という紙を持っていました。
また昨年来日されたノルウェー人作家のお嬢さんたちも、「NGフード」があまりに多くて、事前に教わっていてよかったです。

ポイント2★生の魚はダメという人
いくらスシがノルウェーで人気といっても、やはり「生の魚はダメ」という人はいます。
なので「寿司屋に連れて行けばいいかな」と安易に決めつけず、これも要確認ですね。

ポイント3★激辛は苦手の場合が多い
ノルウェー人は、激辛料理が苦手な人が多いです(慣れている人は好きな場合もありますが)。
なので汗が出るような激辛店は、本人のリクエストがない限り避けるのが無難でしょう。

ポイント4★夕食の時間
ノルウェー人は、平均的日本人よりも早い時間に夕食を食べています。
よくあるのは、講演会などが21時頃に終わって日本人が、高いお店で宴席を設けるのですが、本人的には「こんな遅い時間に、こんなに料理は食べられない」というケースがありました。
なので、夜の講演会の場合は、事前に食事を済ませておく方が無難でしょう(同じ会場でレセプション付きの場合は大丈夫です)。

・・・と今回もいろいろと書き連ねましたが、日本の飲食店レベルの高さと、ほぼ何でも「おいしい!」と食べてくれるノルウェー人。
食に関するアテンドは、楽ですよ~。

次回は・・・「うきうきショッピング編」です!

(つづく)