宮藤官九郎さんと「北欧」

私は、宮藤官九郎さんの作品が好きになったきっかけは、ドラマ「木更津キャッツアイ」からなので、それほど「マニア」ではありません。
「大人計画」の舞台も実は1回しか見に行ったことがないので(元生徒さんのコネで取ってもらった)、はい、ほどほどのファンです。

このドラマの中で、森下愛子演じるストリップ小屋の支配人が、岡田准一演じる「ぶっさん」に、「今夜はノルウェーからのダンサーが来るのよ」みたいなセリフがありました。
「え?なんでノルウェーなの?」と、びっくりした私。

そして「ぼくの魔法使い」というドラマの中で、大倉孝二が「ロシアパブ」の支配人を演じていたのですが、やはり「今度、北欧パブに変えようかと思って」みたいなセリフがありました。
再び、「え?なんで北欧?」と、2度目のびっくり。

確か、当時の「夢ネット」掲示板に「どうして宮藤さんは、北欧やノルウェーネタを盛り込むのでしょうか?」と書き込んだ記憶があります。
ちゃんとレスもいただきました(もちろんご本人からではありません・・・)。

・・・・と「なぜクドカンとノルウェー・北欧?」と関係性がつかめないまま悶々と過ごした毎日(←すみません、誇張です)。
とあるインタビューだったか、本人のエッセイに答えが書いてありました。はやる心を押さえて文を読み進めると、衝撃的な事実が・・・!
「北欧みたいな共産圏だった地域の人が風俗と関わるのが面白いかな、と思って」(←すみません、うろ覚えの引用です)

ええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!
クドカン、「北欧=共産圏」だと思ってたの~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!
(確かにスウェーデン人はノルウェーのことを「最後のソビエト連邦」と皮肉ったけど)

宮藤さん

本文とは無関係です

脱力した記憶があります。
ただ、冷静に考えてみれば、当時の自分はノルウェー・北欧にどっぷりはまる生活だったけれども、一般的な日本人の認識はこのくらいなのかなぁ、と。
「木更津キャッツアイ」も「ぼくの魔法使い」も10年以上前の作品で、今の北欧ブームなんて夢のまた夢だった時代です。

実は、宮藤さんと「北欧」のつながりは他にもあります。
彼は、フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキの大ファンで、監督が来日した際に会った時の様子をエッセイに記しています。
面白いので引用してみましょう~。ちゃんと現物あるので、正確な「引用」です。

「え、なんでまた?」 (宮藤官九郎著、文芸春秋、2013年)
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部屋に入ってまず目に入ったのはテーブルの上に置かれた吉四六のボトルでした。それを監督は水すら入れず飲んでいる。もちろん無表情で。
怖っ!そして酒臭っ!
それがアキ・カウリスマキ監督の第一印象でした。朝から焼酎ストレートか。ガチガチに緊張した僕は通訳を通して自己紹介をした。
監督のファンであること。作品はほぼ全て見ていること。それから「日本の”レニングラード・カウボーイズ”です」と僕が監督した「木更津キャッツアイ」の氣志團が出てくる回のDVDを差し上げました。
監督は無言&無表情で、やや酩酊しつつ話を聞いていたのですが、突然僕の被っていたニット帽を摑んで脱がし、ボイッと放り投げたのです。
「部屋に入ったら帽子を取れ」
やっぱ怖っ!あと酒臭っ!僕が縮み上がってしまったので不憫に思ったのでしょう、通訳の方が小声で「ジョークですよ」とつけ加えた。(一部略)

最終的には打ち解けて、というかすっかりデキあがり、「フィンランドに来ることがあったら必ず連絡をくれ」と名刺をくれました。もちろん額に入れて今も大切に飾っています。
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・・・ということで、宮藤官九郎さんの作風に少なからず「北欧」が影響しているのかも・・・しれません・・・・ね?