「世界一快適な刑務所」の図書館

日本のバラエティー番組でも、シリアスな報道番組でも「ノルウェーの刑務所がいかに受刑者に快適な空間であるか」を伝えたことが度々ありました。
私はノルウェー留学中も日本でも、ノルウェーの刑務所をテレビで観たことがありましたが、「刑務所に入るんだったら、ノルウェー!」と思ったほどです。正直、オスロの学生寮より快適そうに映りました。
最近届いた新聞に、「刑務所図書館」について取り上げた記事があったのですが、とても興味深かったので、ご紹介しましょう(Aftenposten,2014年3月29日)。

まず、ノルウェーの「刑務所図書館」の利用率は非常に高いそうです。
図書館には専門の司書もいますが、記事ではハンガリー人の受刑者も紹介されていて、彼はパートタイムで図書館で働いているそうです。
「ある受刑者が”Prison Break”のDVDを借りたいと言ってきたけど、もっと最新の面白いシリーズがあると言って、”Breaking Bad”を勧めたんだ。」

海外ドラマに疎い私は、「Breaking Bad」をGoogle先生に尋ねたところ、Wikiで紹介されていました。
あらすじ読むと、これは犯罪ものではないですか!こういうジャンルって受刑者たちが観ていいのかしらん?と思ったのですが・・・

記事を読み進めていくと、「人気貸出本リスト」が載っています。
人気ジャンルは圧倒的に「ミステリ小説」です。
日本でも翻訳され、世界でも売れっ子ミステリ作家になったJo Nesbø(日本語表記:ジョー・ネスボ)は、複数の刑務所でランクイン!
さらに、「ノルウェーミステリの女王」ことKarin Fossum(カーリン・フォッスム)やスウェーデンのHenning Mankell(ヘニング・マンケル)なども人気があります。
他には、最新のノルウェー純文学もランクインしていますが、トロンハイム刑務所では「ノルウェー語・ロシア語辞書」と「コーラン」がランクインしているので、外国人の受刑者が多いことが推測されます。

専門司書のダーレンさんは、コメントします。
「彼らがミステリに興味を持つのは自然なことですよ。たとえ私は、他の本を勧めてもね。」
また元ジャーナリストで、「いかに人が犯罪に手を染めるか」を描いた本の著者ウストリさん(彼自身の本も刑務所で人気)もこう分析します。
「受刑者たちがミステリや類似のジャンルに興味を持つのは、理にかなっています。私の本は特に犯罪者側の視点で描いているので、より真剣に読まれるのではないでしょうか。」

図書館

町の図書館です

図書館には、本だけではなくDVDやCDも借りることができます。
DVDは前述の「Breaking Bad」が複数の刑務所で人気です。他にも、「Killing me softly」というDVDが人気なのですが、やはり分からなかったのでwikiで調べたら・・・
おお、あの「覇王別姫」の監督の作品だったんですね~。でも詳しく読むと・・・激しい性描写??でもあの監督ですから芸術作品なんですよね、きっと。

音楽について。
オスロ刑務所の一番人気は、「レ・ミゼラブル」でした。なんかいろいろな意味で深読みしちゃうんですけど・・・。
トロンハイム刑務所はメタル好きの受刑者が多いのでしょうか、「メタリカ」のCDが複数ランクインしています。
あと、「Swedish House Mafia」というバンドも人気がありますね~。「マフィア?」と反応しちゃいましたが、やはりWikiで調べると世界的に人気とのことで、深読みしすぎました・・・。
ドコモのCMにまで出ている「One Direction」とかは、ランクに入っていないので納得です。

このブログを書くにあたり、日本の刑務所図書館についてネットで調べてみたのですが、イマイチ現状が分からず・・・。個別の差し入れが多いということは分かりました。
いずれにしても、刑務所のあり方から、その国の一端が覗けるかも、と思える記事でした。