増加するノルウェー人留学生たち

一時に比べて、日本で勉強するノルウェー人留学生は増えている、と感じます。
これは別に日本だけに限った傾向ではなく、「世界のいろいろなところへ」飛び出すノルウェー人学生が増えているそうです。
なんとその数、10人に1人のノルウェー人学生が留学しているとか。
そうして留学したノルウェー人の「その後」の傾向について、取り上げた記事がありました。
すごく納得できる内容なので、ご紹介したいと思います(Aftenposten、2014年4月13日)。

ANSAとは、「Association of Norwegian Students abroad」の略です。そこの代表、Vibeke(ヴィーベーケ)さんは、今はオスロにいますが、オーストラリアに留学経験があります。
「ノルウェーに一時帰国もしないで、オーストラリアで1年勉強した後、母に”私はここに残る”って断言したんです。」
温暖な気候やたくさんの魅力的な自然のあるシドニーは、Vibekeのように交換留学で1年過ごした後でも、十分に滞在したいと思える場所でした。

Vibekeは小さな時から、「ノルウェー以外の国で暮らしてみたい」と夢を持っていました。旅行だけでは物足りなかったのです。
「最初の年は、いろいろなものがバラ色に写るのでしょうね。海外に住むということは、一種の”恋愛”みたいなものなんです。」

その「恋愛期」を過ぎて、人は現実と向き合います。たとえオーストラリアは素晴らしい場所でも、仕事は?ビザは?
「私はオーストラリアで仕事を見つけようと真剣に考えました。しかし、オーストラリアではノルウェーより倍以上働かなくてはならず、しかも賃金は半分です。ビザの問題も容易ではありません。」

結局、Vibekeはノルウェーに戻る方へ気持ちが動きました。こうした決断は、他のノルウェー人留学生でも多くみられる傾向です。
留学先で試験が終了する3年後を過ぎても、その国に残るノルウェー人は20%以下という調査結果が証明しています。
同じ北欧のフィランド人留学生は、43%も留学先に残るのと対照的ですね。

しかし同時に面白い事実も分かっています。
ノルウェー人留学生は、留学中はその国に残り、仕事も見つけるつもりと答える方が多数派です。
ではなぜ、ノルウェー人留学生の多くは母国へ戻る選択をするのでしょうか?
NIFUという北欧のイノベーション、研究、教育に関する調査機関のWiers-Jensen(ヴィーエシュ・イェンセン)は、こう解説します。

「まず第一に、ノルウェーは他の欧州諸国と比べ、労働環境がとてもいいです。また家族を築くにあたり、十分な福祉制度が整っているのも魅力でしょう。」
保育園の充実、短い労働時間、仕事とプライベートライフの程よいバランスが、若い人をノルウェーへ再び引き寄せるのでしょうね。

他にも、ノルウェー学生たちの留学のハードルの低さ、も指摘されています。
返済不要な奨学金、また学生ローンを借りても、「奨学金」に換算される部分が多く、他国の留学生に比べ、「大枚はたいて留学する」必要はありません。
なので、「ノルウェー人留学生はどこにでもいる」という現象が起きているそうですよ!

Fuglen

ノルウェー人のたまり場

ちなみに私の知っている在日ノルウェー人留学生たちと話していると、その将来に対する「柔軟な考え方」に驚くことしばしばです。
「今は日本にいるけど、そのあとはロンドンに行くかもしれないし、働くのはどこかまだ決められないね」
「日本で仕事見つけたから働くけど、起業もしたいし、子どもが生まれたら、やっぱりノルウェーの方が子育てしやすいから帰りたいな」

こんな風に「やり直しがいくらでもきいて、選択肢の多い」ノルウェー人がうらやましいですね~。