祝!ノルウェー憲法200周年 深イイ話

ノルウェーファンのみなさ~ん、今年は何の年ですか~?
「は~い、ノルウェー憲法制定200周年記念です!」
憲法記念日の5/17はいよいよ今週です。盛り上がりますね~♪

Grunnloven(基本的な法律=憲法)は、ノルウェーの歴史に翻弄された中で成立しました。
まず、ノルウェーは14世紀~19世紀まで、デンマークの支配下に置かれます。しかし、欧州を二分する戦争が、その支配にピリオドを打ちます。
「ナポレオン戦争」で、デンマーク=ノルウェーはフランス側につきますが、フランスは敗戦。結果、デンマークはノルウェーを失います。
勝利国のイギリスには、スウェーデンがついていました。

デンマークからの支配を離れたことで、ノルウェー国内では一気に「独立機運」が高まり、「自分たちの憲法を作ろう!」と盛り上がりました。
ノルウェーはデンマークのChristian Frederik王子に「ぜひ、ノルウェーの国王になってください!」と頼り、王子もその気になります。
そして、伝説的な憲法起草作業は、Eivsvoll(アイツヴォル)という土地で行われることになり、国内から112名の男性たちが「憲法作成メンバー」として召集されました。

112名のうち、官僚は57名で残りは農民や商人たち。平均年齢は42歳だったそうです。
(メンバーに”農民”が含まれているのが、ノルウェー人の自慢でもあります)
1814年の4月10日から約6週間の「集団合宿生活」の中で、「ヨーロッパで最古」の憲法が誕生します。

ノルウェー憲法は、1776年の「アメリカ独立宣言」や1789年の「フランス革命」に影響を受けました。
「ヨーロッパでもっともラジカル、民主的、リベラル」と評される憲法は、確かに当時としては革新的でした。
三権分立や市民の権利保護、議会制度導入など、欧州の北の果ての小国ノルウェーの憲法に盛り込まれたのって、すごい!と思うのは私だけでしょうか?

在日ノルウェー大使館のHPによると、憲法の前文は以下の通りです。
「人は生まれながらにして自由であり平等である。人には、一定の重要かつ普遍の権利が備わっている。その権利とは自由、安全、財産に関する権利である」

ノルウェー人って、この時から「自由と平等、そして権利保護」が何よりも大切だったんだなぁとしみじみ。
こんなに素晴らしい憲法だからこそ、憲法にメンバーが署名した1814年5月17日から派生した「17.mai」(スットゥンネ・マイ)=「5月17日」=「憲法記念日」が盛り上がるのも納得ですね。

歴史的には、憲法は出来上がったけれども、「独立」は先延ばしになってしまいました.
勝利国の一つスウェーデンが、「戦利品」としてノルウェーを支配することになったからです。ノルウェーの独立は1905年に実現しました。

・・・と憲法制定までの感動的な話は、いくら、スレた心の私でも「いい話だなぁ」と思っていました。

あれは5年くらい前でしょうか。
「Norge」という5キロくらいの百科事典を知人からもらって、「Eivsvollストーリー」が載っていたので、「ふむふむ」と読み始めると・・・そこには「憲法作成合宿」のサイドストーリーが書かれていました。
まず、112名の男性たちはほとんどが初対面。
しかも、メンバーの中には、朝からビールやアルコールを飲む者たちがいたそうです!
そして多くの者たちを襲ったのは・・・「ホームシック」。
ある者は「私の人生で最も不幸な6週間だった」と回想し、
ある者は「この地獄から一刻も早く立ち去りたい」と妻に手紙を送りました。

ええ~?感動したエピソードの実態がこれ?と、呆れつつ笑っちゃいました。

ただ、「やっぱりノルウェー人だなぁ」と再確認しましたね。
「最後にはちゃんとしたものを仕上げてしまうパワー」。これは、彼らのDNAに脈々と受け継がれているようです。

ノルウェー人に仕事を、そうですね、「金曜締切」でお願いしたとしましょう。
すぐに取り掛かるケースは、相当、レアです。
木曜の午後あたりに「そういえば・・・」と思い出せばまだいい方。最後の最後、すごい集中力のラストスパートで「できたよ!」と仕上げてしまうのがノルウェー人。

17,mai

憲法記念日の行進

その「終わりよければ全て良し」的な成功体験だけが残り、常にこうしたペースで仕事をこなしていくノルウェー人は、とても前向きでいい人たち。
(待たされる方は、ハラハラしちゃいますが・・・)

いろいろな意味で今年の「ノルウェー憲法200周年」は感慨深いです。Hurra!

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明日からノルウェーに行きますので、ブログの更新はほぼできないと思いますが(あっぷあっぷな旅なので)、帰国後、また再開しますのでご愛顧のほどお願いします♪