なぜナショナルデーはこんなに盛り上がるの?

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5/17=憲法記念日=ナショナルデーということで、何回かに分けてご紹介しました~(相当、偏った紹介でしたが・・・)。

ここで原点に戻りたいと思います。
「なぜ、ノルウェーのナショナルデーはここまで盛り上がるのか?」

「スウェーデンのナショナルデーは、ノルウェーより地味なんですよ~」と在スウェーデンの翻訳家、ヘレンハルメ美穂さんから伺いました。
ノルウェーのナショナルデーの盛り上がり方は、スウェーデン人から見ても「やりすぎ」感があるようですね。

5/17

ノルウェーのナショナルデーへの愛着、ひいては憲法への愛着の原因は、いろいろな解釈があると思います。
異論はあるかもしれませんが、今回、200周年の「憲法記念日」に立ち会うことができた経験で、印象的だったエピソードを交えながら、答えを探っていきたいと思います。

まず、「ノルウェー憲法の精神」についての徹底的な啓蒙活動です。
5/17日前後、テレビではたくさんの「憲法」をテーマにした番組が流されました。
1814年、アイツヴォルでの「憲法合宿」の感動秘話や憲法制定後のスウェーデンとの連合とその解消、そしてドイツ軍の侵攻とレジスタンス運動の映像をわずかの滞在中いくつ見たでしょうか。
(ちなみに憲法制定秘話については、以前のブログで取り上げているので、ご興味のある方はこちらからどうぞ)
繰り返し、ノルウェーの憲法について基本情報からマニアックな知識を流し、「憲法の完成経緯とその精神の素晴らしさ」にノルウェー人自身も誇りにしているのだなぁと感じました。
またこれは想像の域ですが、現代のノルウェーにはたくさんの移民や難民=外国人がいます。
そうした人たちにも、「自分たちの憲法の精神を分かって欲しい」という気持ちがもしかしたら、番組製作サイドにあったかもしれません。

オスロのナショナルギャラリーに立ち寄った時にも、印象的な光景に立ち会うことができました。
ノルウェーの学校は、日本の学校に比べて明らかに「課外授業」が多いなぁと思いますが、その日もいくつかの学校の生徒たちが、ギャラリーを訪れていました。
ノルウェー憲法ができた時期は、「独立機運」とともに「ナショナルロマン主義」が台頭した時代です。
画家たちは、壮大なノルウェーの景色を描こうと、フィヨルドや険しい山などを絵のモチーフに選びました。
そうした典型的な「ナショナルロマン主義」の絵の前で、先生は熱心に「憲法とナショナルロマン主義との関係について」を説明しています。

絵

子どもたちは、もしかしたら「退屈な話」と感じるかもしれません。ただ、憲法は遠い存在ではなく身近なもの、ということは幼いころからの教育で形成されていくのでは?と感じました。

ところで、ナショナルギャラリーの「ムンクの部屋」は撮影禁止です。
でも、スクールツアーの生徒たちは、「叫び」のレクチャーが終わるやいなや撮影大会になだれこんでいました~(警備員のおばさんはニコニコ笑ってました!)

叫び

・・・と経験した話を書き連ねましたが・・・
強く感じたのは、自国の憲法に意識を持たせる、ということは一朝一夕ではできない、ということです。
幼いころからの教育を通じて、また毎年のナショナルデーの「子どもの行進」を通じて段々と意識が高まるのでは?と想像しました。
たとえ、ノルウェー憲法の精神「自由・平等・博愛」なんて反対!という国民がいても、それは「民主主義」を重んじるノルウェーでは、許される行為ですよね(もちろんテロとかはダメですが)。
というのも、様々な意見があってこその「民主主義」だから。
大事なのは、憲法の中身を知っていないと賛成か反対か意見が言えない。
それを防ぐために「まずは憲法を知ろう」という行為が、自然な形で実践されている姿は、率直に素晴らしいと思います。

・・・ってノルウェー人を誉めるのが恥ずかしいワタシって、相当、歪んでますね~。