東北の大学生たちが体験したノルウェー~その2~

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さて視察団はオスロからノルウェー第3の都市トロンハイムへ移動します。

NTNU

NTNU

トロンハイムのNTNU・男女平等研究所で、学生たちはジェンダー教育の教授や准教授から包括的な「ノルウェーの歩み」を学びます。
経験則で申し上げると、こうしたジェンダー研究に取り組んでいる方ほど「危機感」が強いのがノルウェーです。「あのノルウェーで?」はい、あのノルウェーでです。
例えば、学生たちとの対話の中で「ノルウェーが抱える課題」として、「ある程度お金のある夫婦共働きの家庭では、ベビーシッター(移民たちがほとんど)を雇って子育てや家事をさせ、自分たちは仕事と家庭を両立させている現状があります」との指摘がありました。
どんぴしゃり当てはまるノルウェー人夫妻+フィリピン人メイドのご家庭を知っているので、「なるほど」と納得した次第です。

現在の日本は、こうした移民による家事サポートはいいじゃないか、という方向に向かっているようですね。もちろん、家事のアウトソーシングは利点があると思いますが、
「男女平等を推し進めるために移民が犠牲になっている」という観点はほぼ議論されていない感があります。いろいろな意見があって欲しいですよね。

さらに同研究所での意見交換で、日本の学生たちの「モテにまつわる質問」が、日ノルの違いを鮮明に打ち出しています。
-「日本では男性が”放っておけないな、俺が守ってあげたいな”と思うような女性がモテるのですが、ノルウェーではどのような女性がモテるのでしょうか?」
「好みは人それぞれでしょう。レズビアンの人だっていますからね。ただノルウェー人は小さい頃から自分で物事を決めるのに慣れているので、自立していない女性を探す方が難しいと思います。」
言い切りましたね。さすがです。

女性

視察自体がとても「充実して濃い」と感じるのは、現地通訳が守口恵子さんだった点が大きな要因と思いました。
守口さんは、「ノルウェーについて学ぶサロン」にも参加して下さったり(こちらからレポートが読めます)、また2回のノルウェーツアーでは、オスロの高齢者施設訪問のコーディネーターと通訳をお願いしました。

ツアー

報告書には、守口さんの「優しいサポート」や「印象深い言葉」が散見されます。
守口さんは日本の大学で勉強したいと考えているノルウェー人学生と視察団を自宅に招いて、カジュアルな懇談の機会を設けたそうです。
お料理はノルウェーの名物料理、フォリコール(ラムとキャベツの煮込み料理)をご用意されたとか。う~ん、素晴らしい!

フォリコール

フォリコール

私も知らなかったことですが、コーヒーカップなどを積み重ねて、ケーキやお菓子も「どうぞ好きなだけお取りください」というノルウェー式は「自分でできることを他人がやってあげるのは失礼なこと」という考え方があると守口さんが教えてくれたそうです。
私はいつも取り皿も回さないノルウェー人を「気が利かないな~」と見ていましたが(←心が狭い)、そういうことだったんですね!!!
お酒も手酌が当たり前だし、納得しました。

報告書には「守口さんからのメッセージ」が掲載されています。印象的な部分を引用しましょう。
「常日頃、日本の男女平等は100年費やしてもノルウェーに近づくのは難しいのではないだろうかと感じましたが、日本の若い世代の女子学生たちと交流し、そのエネルギーに触れて”希望がもてる”気がしてきました。(略)誰もが自分の意見を主張するノルウェーの社会には、様々な考えを持った人がいますが、同時に社会が”寛容”であるとつくづく感じます。」
私も「寛容」という言葉にうなずきます。

視察団の当事者たちの学生たちの新鮮な「驚き、戸惑い、疑問、共感、そして理解しようと試みる姿勢」は報告書に貫かれていました。
「参加学生の感想」というページもあったのですが、みなさんの真摯な姿勢に「どーせ、日本は無理でしょ」と諦めがちな大人は、もう一度、覚醒させられた感があります。

中でも「ノルウェーは”男女平等”というよりも”一人一人が平等な国”という印象に変わった」という一文が、心に残りました。そうです、そうなんです。

子ども

先日の「北欧ぷちとりっぷ」でデンマーク人のイェンスさんがノルウェー人を「真面目」と表現しましたが、ノルウェー流の復興支援方法も「真面目」の一言に尽きます。
視察団派遣は計3回行われるそうですが、若い学生たちにノルウェーを体験してもらう、という息の長い「支援」ですよね。
震災復興と日本の男女平等に、微かな、でも明るい希望を感じるノルウェーからの支援を微力ながら「フレーフレー!」と応援したい気持ちになりました♪

~拙ブログを読んで、「報告書を読んでみたい!」と思われた方へ~
報告書は無料配付しているそうですので、「せんだい男女共同参画財団」にお問い合わせいただければお送りすることが可能だそうです。
ですが在庫が50部しかないとのこと。急いでくださ~い!!
また、送付ご希望の方には送料を実費負担(クロネコヤマトのメール便で82円)をしていただくことになります。
【財団の連絡先】
公益財団法人せんだい男女共同参画財団 総務企画課
TEL 022-212-1627 FAX 022-212-1628
メール sola3@sendai-l.jp
ホームページ http://www.sendai-l.jp/