ノルウェー産イチゴ~誰が摘む?~

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夏がく~れば思い出すのは、日本では「尾瀬」。ノルウェーでは「イチゴ」と「学生寮不足」のネタです!(ってこの出だしは初期にサイトで書いた記事丸パクリで~す)。

なぜ「イチゴ」と「学生寮不足」なのか。。。。
これは日本のテレビ局が「お盆の帰省客」を何の芸もなく東京駅新幹線ホームで、「帰省したら何をしたい?」「おじいちゃんとおばあちゃんと会いたい」と孫からのコメント映像を流すことと同じ、と思ってください。
夏にニュースが不足するニュースは、ほぼ「イチゴ」と「学生寮不足」の話題をニュースにしているので、それを読むと「ああ、ノルウェーも夏だな」というほっとした気分になれます。

先日の「北欧ぷちとりっぷ」で、私は「ノルウェー人度チェック」というプレゼンを行いましたが、その中に「ノルウェー産イチゴへの執念ハンパない」という項目を入れました。
ノルウェー産の農作物が少ない中、「ノルウェーのイチゴは世界一!」と無邪気に言っちゃうノルウェー人が愛おしいのですが・・・。
しか~し、何事もネガティブなニュースが大好きなノルウェーメディアは、「イチゴ」の「ダークサイド」を毎年、執念のように報道します。
まるで「夏の怪談」のよう・・・。では典型的な記事をご紹介しましょう(NRK、2014年7月5日)。

ノルウェーのイチゴはハウス栽培ではなく、露地栽培です。つまり収穫するためには腰をかがめて、よっこいしょ、という作業が必要です。ま、きつい仕事ですよね。
そしてイチゴ農家は西ノルウェーに多いのですが、ノルウェー農民協会の事務総長Per Skorgeさんは以下のようにコメントしています、

「ノルウェー中のいちご摘みの作業は、移民たちが行っています。ノルウェー人はもはやこうした仕事をやりたがりません。箱詰めや販売はやりますが、イチゴ摘みはやりませんね。だから移民たちにいちご摘みをやってもらうのです」

移民たちの国籍はポーランド人が9割、フィリピン人が残りだそうです。

何年か前はずっと「ポーランド人に頼り切っているはイチゴ摘み。彼らは最低賃金以下で、長時間労働を押しつけられている」といったセンセーショナル(←ノルウェー人の目からすると)が、
しつこいくらい載っていました。手厚い労働権利に守られたノルウェー人からすれば、信じがたい低賃金、そして長時間労働・・・。
そうした報道キャンペーンのおかげでしょうか、今は少なくとも最低賃金は守られているようですね。

「ポーランド人がイチゴ摘みやる前は誰がやっていたんだろう?」と不思議だったのですが、今年5月に参加した「翻訳者セミナー」で答えが見つかりました。
日本に滞在も長いとあるノルウェー人女性は、かなり田舎出身ですが、「小さな頃は、イチゴ摘みをやっていた」と言ってました(30代の女性です)。
ということは、ノルウェー人→ポーランド人と流れができ、ついには、リトアニアやラトビアのイチゴ摘み労働者が増えている、と聞いたことがあります。

いずれにしても、「世界で一番おいしいノルウェーイチゴ」と嬉しそうに出してくれるノルウェー人。食卓に上がるまでには、いろいろなヒストリーがありそうです。