ノルウェー流新生活スタート

ノルウェーへの長期留学は2回していますが、両方とも学生寮に住みました。
遠く日本からたくさんの段ボールを船便や飛行機便で運んで、引っ越しをしてきた際に、無性にノルウェー人学生たちが羨ましかった記憶があります。
大体、家族が車で必要なものを運び、引っ越しの手伝いをしてくれていて、「ああ、ここでは私は1人からスタートするんだな」と心細さを感じました。

でも、不安を抱いているのはノルウェー人の学生も同じだということが、「新大学生たちの引っ越し」を特集した記事で分かりました。早速、記事をご紹介しましょう。(NRK、2014年8月17日)

北ノルウェーのロフォーテン。わずか300人の住民の村に住むMalinさんは、8月から看護師になる勉強をするため、はるかオスロへ引っ越します。「看護師になるために、オスロまで行かなくちゃいけないの?」とよく聞かれますが、オスロには素晴らしい学校があると分かっているので納得の上での引っ越しです。
お父さんはちょっと寂しそうですが、「Malinはタフだし、何もおそれない強い子だ」と娘を信頼するコメントを寄せています。

Malinのように、若いうちから家を離れるのはノルウェーでは決して珍しいことではありません。
中央統計局の統計によると、ノルウェーは親元を離れる年齢が、国際的にも欧州内でも早い方とか。
失業が主な原因で、親元で暮らす年齢が少しずつ高くなる傾向が、ハンガリー、スロヴェニア、また北欧のデンマークやスウェーデン、フィンランドにもみられるそうです。

以下に、男女別、「親元離れる年齢」が載っていますが、なるほどノルウェーは早いですね。

グラフ

中央統計局の研究者は、「なぜノルウェーの若者は早くに親元を離れるか?」について、大きな要因が2つあると説明します。
1つ目は、「教育を受けるため」。ノルウェーにはとんでもない田舎があるので、すでに高校から親元を離れるケースがありますし、その上の大学やカレッジ進学を期に・・・というケースも多いです。
2つ目は、「ノルウェーの支援制度の充実」。大学の学費は無料、生活費は国の学生ローンで借りれますし、また返済不要な奨学金もいろいろあります。
「他の国では、子どもの経済的支援は親の責任であり、またその親自身の経済状況も不透明なのです。」

NOVA(ノルウェー福祉・社会センター)の研究者は国際会議で「ノルウェーの若者たちの自立」を話し、ほとんどの若いノルウェー人はうまくやっているという話をしたところ、イタリアの参加者から、「でも一人暮らしなんて寂しくない?」と問われたそうです。これはやはり文化観・家族観の違いでしょうね。

ではノルウェーの価値観について、NOVAの研究者に語ってもらいましょう。
「ノルウェー社会は、若者が早いうちに親元を離れること、自立することが大人になる大事な部分と考える傾向があります。例えば30歳の男性がまだ親元で暮らしていれば、あまりいい兆候とは思いません。」

とはいえ、「自立」は大変です。
中央統計局の2012年の統計によると、6割の生徒が学業の傍らにアルバイトをしていて、1/3の学生が1週間に10時間以上働いているそうです。
(田舎だとバイトもないだろうな・・・・)
こうしたアルバイトは、オスロや他の都市圏での住居費高騰と関係あるでしょう。しかし、ここ数年の高騰傾向にも関わらず、若者たちの「引っ越し」は同じ水準を保っています。

同じヨーロッパでも、北や東、また南では、「親元からの自立」というテーマをとっても、様々ですね。みなさんはどんな国のタイプが理想ですか?