『北欧レトロをめぐる21のストーリー』♪

森百合子さんの新刊北欧レトロをめぐる21のストーリーは手に取ってページをめくると、きれいな写真の数々に圧倒されます♪
21のストーリーはどれも印象深いのですが、なぜスウェーデンにレトロなものが豊富に残っているか・・・それは文中から引用してみましょう。

「スウェーデンには状態の良いビンテージが今もたくさん残っているよ。ひとつの理由は戦争で爆撃を受けなかったこと。例えばドイツなんかと比べるとスウェーデンは30年代や40年代のコンディションの良いスーツが多くて値段もリーズナブルだね」(48ページより)

スウェーデンが第一次・第二次世界大戦で被害を受けなかった恩恵は、たくさんあると思うのですが、ああ、こうしたビンテージにも影響があるのね、と納得!した次第です。
他に感慨深かったのは、よくノルウェー人に北欧各国の違いを聞くと、「スウェーデンは貴族/上流階級があった国で歴史が違う」という回答が多いのです。ノルウェーは「みんなが農民だった!」に誇りを覚えている国民性なのと対照的ですね。

階級の違いはもちろん弊害はあったでしょうが、文化的な遺産で言えば、豊かなものが育つ土壌につながったのだと想像します。そう、「おしゃれDNA」が脈々とスウェーデン人に流れていて、だから今でもレトロファッションやビンテージを生活に取り入れている人が多いのでは?とこれも想像です。

森さんの『3日でまわるコペンハーゲン』でも感心したのですが、本書でも「構成の妙」が際立っています。
21のストーリーは、ヴィンテージやレトロ、という共通項はあるけれども、扱っているのは多岐な分野にわたり、読む人がそれぞれにお気に入りのページが見つけられると思います。
私が気に入った写真は、「ホーン通りの理髪店」。創業100年の老舗理髪店で、往年の女優ヘアスタイルにも挑戦できるお店。内装もステキ。

さらにとても貴重、と感じたのは森さん自身が愛好者であるスウィングダンスのダンスパーティ。
そこにはレトロファッションでキメた男女がたくさん集まっていますが、主催者のコメントによると、「(イベントは)好評で年々拡大している」とのこと。
まさに大人の粋、そして遊び心が随所に垣間見られるパーティですが、これらの写真も貴重ですね~。

北欧ヴィンテージマニアのバイブルとも言える雑誌『RETRO』の編集部訪問のストーリーも楽しめました。何でも同誌は北欧だけではなく、アメリカや日本にも読者がいて、年齢も幅広いとのこと。
若い人は「レトロデザインの良さに気付き」、親世代は「懐かしいと思っている」。なるほど~、それはいい流れですね。
その他、「読者との距離の近さ」を特徴に挙げられていて、「彼らから教わることも多い」。確かにコレクターの人は、それこそたくさんいらっしゃるでしょうから、ついつい「私のコレクションも見て!」という気分にさせてくれる雑誌なのかもしれませんね。

上映が待ち遠しいスウェーデン映画『ストックホルムでワルツ』を観たいと思っている方も、まずはこの本を読んで「下地」を作ってから映画館へ行くと、きっと何倍も楽しめるのでは?と思った次第です。

『北欧レトロをめぐる21のストーリー』の編集は、ジュウ・ドゥ・ポゥムさんですが、森さんが前から仕事をしたかったと言っていたのがわかる美しく丁寧なつくり。「眼福」状態間違いなし!

森百合子さんの大好きな世界が詰まっているこの一冊は、「かわいい北欧」からもう一歩、さらに進んで知りたい方にピッタリの本でしょう~。

本

ステキなお土産♪

は~い。HPに特設アーカイブも作ってもらって、「ビジュアル強化ブログ」もランクUP! 人気もUP!と行きたいのですが・・・。

さて。今日の1枚はこちらです!

シール

「いやげ物」という言葉は、みうらじゅん先生が名づけて初めて「可視化」された問題ですね。そう、「セクハラ」とか「ストーカー」と同じくらいの発見です。
この何とも形容しがたいワッペン?シール?は、おそらくノルウェー人からもらったのだと思いますが・・・。このデザインのユルユル加減がたまりませ~ん。
よくノルウェーの土産物は、「ヘラジカ」があしらわれること多いですけど、これはなぜか「ちょい笑っている太陽」を背中にしょっている・・・。う~ん。

いずれにしても、「いやげ物」に国境はないですね~。