仙台へ行ってきました!~後篇~

翌朝。理事長の木須八重子さん、木村さち子さんと車で被災地見学を果たすことができました。
これはとても「贅沢な」経験です。というのも、木須さんは、震災当時、仙台市で一番被害がひどかった宮城野区の区長だったので、運転しながら貴重なお話しをたくさん教えて下さいました。

まず、仮設住宅の建設について。
阪神淡路大震災の教訓を生かして、なるべくコミュニティー同士の人たちが一緒に住めるように配慮したこと。
場所は、仙台駅前の一等地の公園をつぶして、「ここへ引っ越しませんか?」と提案したそうですが、沿岸部の住民たちは足が便利な街の一等地よりも、被災した場所を希望されたそうです。
「完全に”街の人間”の発想でした。」と木須さん。
ということで、実際の仮設住宅はどんなところに建てられたのか?・・・興味は増します。

中心地から車でどんどん沿岸部へ。たくさんのトラックが走っています。
荒浜小学校の前に到着しました。もう人気(ひとけ)はありません。その場所に立って、「こんな場所まで津波が来たの??」とありきたりですが驚きました。

荒浜小学校

荒浜小学校

津波の映像はたくさん見ましたが、やはりその場に立つとその威力に圧倒されます。
荒浜は海が近く、とても強い風が吹いていました。防風林がほぼ流されてしまったから。
「ここは、本当にいいところだったのよ」と木村さんが教えてくれました。海の近く、大きな家がたくさん建っていて・・・。「仙台の湘南みたいなところ」という表現を使っていました。
残念ながら、今ではほんの少し残っている木、そして更地化された「荒涼とした」一角になっていました。
強い風を受けて、ひときわ寒さが身に染みます・・・。
荒浜地区

それから、木須さんが懇意にされている佐藤政信さんが自治会長をつとめている「高砂一丁目公園仮設住宅」へ向かいました。
仮設住宅
佐藤さんは、とても暖かく迎えてくれました。みんなの寄り合い部屋には、たくさんの寄せ書きや千羽鶴などが飾られています。
震災時と震災後の記録写真などが丁寧にファイルされていて、拝見します。震災当時の被害のすざましさを見ると、よくここまで復興したものだ、とも思えたのですが・・・。

佐藤さんは、わざわざ仮設のご自宅の中まで入れて下さり、「これは何と言う体験!」と感激しました。
お二人住まいの住宅は2部屋ですが、収納スペースは十分ではなく、そして台所も狭くて「ここにまだ暮らしていらっしゃるのか」と言葉を失いました。
ここに住んでいらっしゃる方たちは震災前、大きな住宅に住んでいたので、このような狭い空間で暮らすのは不慣れで大変なことと想像します。
仮設住宅に暮らしてから、実際に12か所の修繕(二重窓の設置など)を依頼されたそうです。
こうした経験は、来るべく震災で大いに「学習」すべし!と素人なりに感じました。
またまたありきたりの感想ですが、「皆さんが一刻も早く普通の生活に戻れるように」と願います。

クリスマスツリーや皆さんが育てている植物なども目につきました。
佐藤さんに感謝しつつ、仮設住宅を後にします。
クリスマスツリー
お昼は、キリンビール仙台工場内にある明るいレストランに連れて行ってもらいました。
工場は被災がひどくても本社が「地元でやっていくこと、雇用もそのまま継続すること」を早く決断し、復旧に向けて工場の人たちや近隣の人たちが一丸となって、今では「え?ここも被災したの?」と思えるほどの光景に戻っています。
おいしい牛タンシチューを頬張りながら、木須さんや木村さんの当時の体験を伺います。
木須さんの区長としてのリーダーシップ、そして区職員の皆さんの奮闘ぶりが想像できました。

ノルウェーの前大使は、20回ほど仙台に足を運ばれたそうです。震災を経験し、被災地の惨状を目の当たりにして、熱意をもって震災復興に力を注いでこられたのだなぁと感嘆しました。
現大使も、すでに仙台に訪問されたそうですが、これからもノルウェーの息の長い支援に期待したいですね。

・・・こんなに書いても、ホントはもっともっとたくさん書きたいのですが、ブログという媒体では不向きでしょう。
被災地見学に連れて行って下さった木須さん、木村さん、そして案内して下さった佐藤さん。皆さんには言葉にならないほど感謝しています。
ワタシにできることは何?
せめて、あの日に見て聞いた体験や光景を「忘れないこと」。
そして何らかの手段でも「伝えること」。

ノルウェーの連続テロにここまでこだわっていますが、同じことが言えます。
「忘れないこと」。そしてノルウェー語の文献から日本ではなかなか得られない情報を「伝えること」。

仙台への訪問は短かったですが、関係者の皆さま、サポートして下さった皆さまに感謝感謝です!!

皆さん

木村さん、佐藤さん、木須さん

2014/12/19 | Category : イベント | Author : norway-yumenet