上野で体感!『キュッパのびじゅつかん』@東京都美術館~中篇~

引っ張りまーす!

さて内覧会は終わり、レセプションは17時からでした。会場は同じ東京都美術館内です。
少し早目に会場へ行くと、すでに何人か招待客がいて、お料理や飲み物が用意されています。たくさんの招待席が用意されていて、改めて今回の展示会には多くの関係者がいたのだな~と感心。

さてお料理。楽しみなお料理。どんな感じかな~とカメラ片手に近づくと、ユニークなお料理が並んでいます!

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キュッパの世界観を再現したようなお料理に感動~。
近くの親子連れの会話で、「ねえ、これ食べられるの?」という子どもの質問に、「大人も同じことを聞きたい!」と思いました。

開始時間が迫り、どんどん人が集まってきます。オーシルさんのご両親と妹さんも来日中と聞いていたので、お会いできるのを楽しみにしていました。
な~んとなく、「あの人たちはパパとママ?」と感じたカップルがいらっしゃったので、ノルウェー語で話しかけてみたら、やはりオーシルさんのご両親です。
オーシルさん同様、とてもフレンドリーなパパとママ。「こんな展示会を開催できるなんて・・・」と感無量の様子です。

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「妹さんは?」と尋ねると、「彼女はストックホルムに留学したことがあってその時に日本人の友達ができたのよ。今日は、友達と一緒に後から来るの」と教えてもらいました。
オーシルさん同様、妹さんも日本とつながりがあったんだ・・・!とちょっと驚きます。
ようやく妹さんとご挨拶できました。とても可愛らしい妹さんで、ベルゲンではなくオスロ在住とのこと。オーシルさんの壁画を手伝ったんですよね?と聞いたら、笑ってました。

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ノルウェー大使を始め、続々と招待客が集まってきます。すごい人・・・と思っていると、ようやく東京都美術館館長⇒ノルウェー大使からご挨拶となり、オーシルさんもやや緊張した面持ちで英語で挨拶をしました。「この気持ちをどう表現すればいいのか・・・」という言葉を聞いていると、彼女が初来日した2012年を思い出しました。1冊目の『キュッパのはくぶつかん』が出版され、ノルウェー大使館でレセプションが開催。その時、オーシルさんが「どのようにキュッパは生まれたのか?」を講演してくれて、私が通訳をしました(その時のことはこちらに書いてあります。下にスクロールしてください!)。あの時、誰が、あの本をきっかけに大規模な企画展が開催されると想像したでしょう? 感無量・・・あの場にいた人の多くが感じたと思います。

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その後、乾杯から一気にお料理タイムになったのですが、あのユニークなお料理はたくさんの人が撮影していました!

つづく(と思います)

上野で体感!『キュッパのびじゅつかん』@東京都美術館~前篇~

1冊の絵本がここまでの世界に広がるなんて・・・・という感慨にひたれる企画展『キュッパのびじゅつかん』@東京都美術館の魅力を、お得意の引っ張るブログでご紹介します♪

私はYoko管理人とともに、開催日前日の7/18の内覧会にお邪魔しました。
上野の森の中には大きなキュッパの看板が・・・これだけでテンションが上がります!

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1冊の絵本を素晴らしい企画展に完成させたのは、同美術館学芸員の稲庭彩和子さんのご尽力が大きいと知っていましたが、カタログには稲庭さんの熱い思いが原稿のすみずみから伝わってきます。内覧会も稲庭さんがガイダンスをしたのですが、カタログには企画展をより理解できる文章がたくさん載っているので、幾つかご紹介しましょう(このカタログは絶対に買うべきです!!)。

稲庭さんは、『キュッパのはくぶつかん』を読んで感じたのは、欧米圏でよく販売されているミュージアム絵本との違い。「ひたすらキュッパ自身の好奇心と行動力で博物館が出来ていく話である。この物語設定の突き抜け感はここにある。」とのこと。確かに絵本を読み直すと、まさにそうなんですよね。

作者オーシルさんの上野滞在(2015年2月)にも触れられ、上野の公園と博物館の中などをゆっくりと観察して歩き、木の葉や小枝、石を集め、机にならべていくオーシルさんの行動がつづられています。稲庭さんは「物を並べて眺め見る行為は、自分と自分を取りまく世界とのコミュニケーション方法のひとつ」と書かれていますが、この「コミュニケーション」は今回の企画展のキーワードでもあります。

企画展の作品の共通点は、「物をあつめ、並べ、見つめることが含まれている」と紹介され、最後に「“キュッパのびじゅつかん”は生まれた日から変化していく、参加型の展覧会。参加した人が何を見つめ、何を体験したのか、それらが積み重なって展覧会が出来上がっていく」という企画展のあり方がまるで「宣言」のように響きました。

この企画展のサブタイトルは「みつめて、あつめて、しらべて、ならべて」。とてもそのタイトルに忠実な展示です。

さて、文章を内覧会当日に戻すと・・・。ところどころに可愛い、そしてこだわりの仕掛けが目を引きます。

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まずは「キュッパ」の生みの親であるオーシル・カンスタ・ヨンセンさんの展示「キュッパの部屋へようこそ」。内覧会当日、オーシルさんはフォーマルなショートワンピースを着用されていましたが、実はとある秘密が・・・(自主規制)。いつもと同じ笑顔で迎えてくれました。「東京の暑さは大丈夫?」と聞いたら「初日は“ワオーっ”て感じだったけどもう平気」と元気です。

説明する稲庭さんとオーシルさん

説明する稲庭さんとオーシルさん

キュッパの部屋には、様々なモチーフの緻密なスケッチ、オーシルさんの私物である家族の写真、妹さん作の絵本などに交じって、「UENO OBJECTS」という摩訶不思議な細密画があり、目が釘付けになりました・・・!オーシルさんの目を通したUENOは必見ですよ~。キュッパが描かれた壁画も要注目~。最初は鉛筆で描かれたそうですが薄い、と判断されてペンで描き直し・・・。一緒に来日された妹さんが作業を手伝ったそうで、ぜひ壁画を凝視してくださいね~。

UENO OBJECTS

UENO OBJECTS

今回の企画展では、日比野克彦さん作の「bigdatana―たなはもののすみか」が観る人すべてを驚かす巨大インスタレーションが「体験」できます。岐阜のヒノキを使った木の巨大な棚と階段・・・階段に上がるときは、まるで子どもの時に感じたようなワクワク感が体感できます!またたくさんの木箱に「HIBINOからの5つの指令」と書かれた紙が置いてあり、まさに「体験型」のアート体験を満喫できる仕掛けになっています。
なお前述のカタログには、日比野さんがキュッパのどこに魅力を感じるかが書かれていて、これも必読ですよ!

bigdatana-たなはもののすみか

bigdatana-たなはもののすみか

さらにさらに・・・
栗田宏一さんの「SOLI LIBRARY JAPAN」の美しさは感動もの。これは一体、何でしょう?(ぜひ企画展で確認してくださいね~)

SOIL LIBRARY/JAPAN

SOIL LIBRARY/JAPAN

小山田徹さんの「浮遊博物館2015」も、ぜひ案内の人に解説してもらうかカタログを読んでからの鑑賞をおススメします♪とてもツボにはまる展示でした。他にも国内外の作家や博物館・コレクションの展示があり、どれも見ごたえがあります。
稲庭さんや作家自身による説明を聞きながら、贅沢な内覧会体験となりました。

つづく(はず)

追伸:「北欧区」さんが内覧会&レセプションの様子をパーフェクトに綴ったブログをUPしています。そちらもご参照ください♪

学生アルバム

実家に帰った際に、ごそごそと昔のノルウェー留学時代の「遺物」を探していました。
おお、こんなものがあった~というのがこちらの一品です!!

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これをぱっと見て当てられた人、すごいです!
1995年に留学したヴォルダカレッジの学生アルバムなんです。学科別に全学生の顔写真が載っています。後ろには住所と電話番号も載っていて、「個人情報」満載な1冊です。

覚えているのは、留学中の一時帰国でこのアルバムを友達に見せたら「みんな顔つきが違う!」って・・・そりゃそうでしょう。向こうはほぼほぼ北欧人。
そして私の写真を見て「顔が薄い」と言われました。何となく「幸せも薄い」気がする今日この頃。

この時にイケメン・美人だった人たちは今頃、30代後半~40代初めくらい。
髪が薄くなってすっかり「おっさん」になっている事例を知っていますが、それも含めて懐かしいですね~。

棚からぼたもち本

ノルウェーの本は、残念ながら日本の書店ではほぼ買うことができません。うう・・・。
なので、私は現地のNorliという書店から、本を買っています。
こちらの本は、注文していないのに届いた「棚からぼたもち本」です。

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この表紙のモチーフに見覚えがある人はいますか?
こちらはノルウェーの国民的画家Thedor Kittelsen(テオドール・キッテルセン)の画集です。
Kittelsenは、ノルウェーの歴史や民話をモチーフにした絵をたくさん描いています。

表紙もまたノルウェーの民話と関係があります。タイトルは「Kvitebjørn Kong Valdemon」です。「白くま王ヴァルデモン」です。魔女に呪いをかけられた王子は白くまとなり・・・という民話ですね。

で、「注文したのにこの画集が届いたんだけど。返送した方がいい?」とバカ正直にメールした私に、Norliの担当者は「あなたにあげる」とのことで、ゲットした画集です♪

きゅうりの時間

「今年はそれほど“agurktid”が目立たないな~」とノルウェーの新聞をネットで覗くと思います。
Agurktid=agurk(アグルク)「きゅうり」+tid(ティードゥ)「時間」は、直訳すると「きゅうりの時間」。
ノルウェー語の意味は「夏枯れ」。つまりニュースのネタがない夏の時期を指します。

"agurktid”を絵にしたもの("Perler for svin"より)

“agurktid”を絵にしたもの(”Perler for svin”より)

そうなんです、今年はギリシャ危機のお蔭(!)で、紙面はそれなりににぎわっているように見える・・・。こんなのagurktidじゃない!と拗ねてしまいます。

日本のニュースや新聞でも「夏ならではの定番記事」があるかと思います。帰省ラッシュ、お盆、高校野球など。
ノルウェーの新聞やニュースでも、agurktidにふさわしい定番ネタがあります。

例えば、夏休みの天気。これがノルウェー人の複雑な心理を表していて面白いんですよね。暑くていい天気が続けばもちろん紙面は「夏が来た!」と喜ぶのですが、でも「こんな好天気は長く続くわけはない・・・」と言う諦念が、垣間見られる北欧心(←「乙女心」とひっかけてみました)。

今年はまだ読んでないのですが、人気の旅行先グラン・カナリア諸島などのバカンス地で、いかに「ノルウェー人の若者が酔っぱらってバカ騒ぎをやっているか」もありがちなネタです。これを真面目に受け取ると、夏のグラン・カナリアは北欧人たちのせいで風紀乱れまくり、という印象ですね。

「マナーのなっていない若者」シリーズは他にもあります。ノルウェーや北欧で人気の「使い捨てバーベキューセット」(Engangsgill)を使って公園や森、湖でBBQを楽しんだのはいいけど、後に大量のごみが残って全くけしからん、と、何だか日本と変わらないじゃないか~というネタも既視感がありますね。

使い捨てバーベキューセット

使い捨てバーベキューセット

・・・以前、どこかで書いたか話した記憶があるのですが、今まで読んだ中で一番、「agurktidなネタ」と思った記事は、オスロ大学留学時に読んだ全国紙の記事。「お金を拾った人が警察に届けた」というニュースが大きく取り上げられていました。「それで??」とつっこむ気力も起きない脱力感。「良かったね~」としかいいようのない記事でした。

ところでなんで、agurktid「きゅうりの時間」が「夏枯れ」の意味になるかは、サイトでも以前、書いたので重複は避けたいのですが、でも書きますね~。
夏。何もニュースのない夏。ネタに困った記者たちが、「今年のきゅうりの長さは何センチか」と書いたことに由来します(”Perler for svin” Helene Uri著より)。
言葉って面白い!

というわけで、「今年の新聞やニュースはagurktidじゃない!」と不満を感じる理由は理解していただけましたでしょうか?
まったりして、どーでもよい平和なニュースこそagurktidの醍醐味。まったく、ギリシャのせいで・・・(ぶつぶつ)。

正しいagurktid

正しいagurktid