ノルウェー映画『バレエボーイズ』!

ノルウェー映画『バレエボーイズ』のことを聞いた際、元生徒さんのことを思い出しました。
中学卒業後、ノルウェー国立芸術アカデミー(KHiO)のバレエスクールに入学が決まり、3か月間だけノルウェー語を習いに来てくれたのです。2013年にオスロを訪れた際、偶然、彼女と会う機会があり、すっかり大人になった姿に感動したのです(その際のエピソードはここから読めます。)
そういった個人的な思い入れがあり、『バレエボーイズ』の試写会はとても楽しみでした!

・・・映画鑑賞後、いただいた資料を読んでいると「Director’s note」のある箇所に目が留まりました。引用しますね。
「バレエに打ち込む少年たちは偏見にさらされている。ビールが大好きなサッカーのサポーターたちは、バレエを女性的だと考え、女性やゲイがやるものだと思っているが真実は違う。」(ケネス・ネルヴェバック監督)

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確かに映画の最初の方でも、「バレエは女の子がやるというイメージがあるけど・・・」というセリフはありました。
でも本作を観てしまったら、そんな「偏見」は全く消えます!映画の中の男子ダンサーたちは、ただひたむきにバレエと向き合っています。そこには男性も女性も関係ありません。

さて『バレエボーイズ』の主な舞台は、オスロのオペラ座です!(パチパチ)
オペラ座の正式名称は、Den Norske Opera & Ballett。つまり「オペラとバレエ」の両方が上演されます。オペラ座でバレエの練習ができるなんて贅沢!と思ってしまうほど。

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主人公のルーカスを中心に同じくダンサーを目指すシーヴェルト、トルゲールたちは映画冒頭では14歳。
まだまだ遊びたい年頃ですが、友達づきあいやパーティなどは全て犠牲にして、バレエ三昧の日々を送っています。

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と同時に「プロのダンサーになれなかったら?」という葛藤や不安とも闘っています。
ルーカスたちが通っている中学の先生との進路相談で、「ダンサーで成功できる人はほんの一握り。もしなれなかったらどうする?ケガだってあり得る。他の選択肢も考えておくべきでは?」と先生は諭します。このシーンはすごーくノルウェーらしいな、と思いました。先生と生徒が対等に率直に、かつ現実的な話し合いをしています。
先生は老婆心(?)なのか、「NAVという相談機関もある」と紹介していて、苦笑・・・。NAVは、日本で言うところのハローワークです。先生、現実的すぎます!
他にも、バレエスクールの入団試験の身体検査のシーンで、「ノルウェーらしいな」と感じることができました(あまり書くとネタバレになるのでやめます)。
こうして、プロのダンサーになるリスクを周囲の大人たちが支えている姿を映している点が、映画に厚みをもたらします。

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さて普通に『バレエボーイズ』がどんなに素晴らしい映画は、他の専門家の方々が書いていると思うので、私はもっと「ノルウェー」に特化した映画の楽しみ方をつづりたいと思います。まずは・・・ルーカスのノルウェー語!
彼が14歳の時に話すノルウェー語は典型的な「若い子のノルウェー語」で、ちょいモニョモニョしています。徐々に彼の顔つき、肉体ともに大人になっていきますが、話し方も聞き取りやすいノルウェー語になっていくのが聞きどころでーす。もちろん、彼の美しすぎるルックスも見ごたえあります♪(ノルウェー映画には珍しい!)。

他には・・・・「歯の矯正」!
「歯が命」のノルウェー人。登場人物の中には、矯正ブリッジをつけていますが、「ノルウェーらしい」と思っちゃいました。

優雅でハードなバレエの練習シーン、舞台でのパフォーマンス、更衣室での3人のリラックスした姿、友や家族との別れ、そして彼らの決断は?
青春&成長の詰まった成長物語です。別にノルウェーや北欧に思い入れがない方でも、楽しめる作品であることは間違えありません。

そうそう。NHK-BSでテレビ用に編集された『バレエボーイズ』をご覧になっている方も多いかと思います。私もそうです。
「だから映画は別にいいや~」とは思わないでください!テレビ版ではカットされた部分がたくさんあり、またそれらが面白いのです!

映画の公式ホームページはこちらです!
8/29(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリング他全国順次公開。ぜひ映画館のスクリーンで堪能してください♪