ノルウェー語会話レッスン~聞き上手と質問上手とは?~

「もっとノルウェー語のコミュニケーションに力を入れたクラスが欲しい」というリクエストが、生徒さんから寄せられました。
テキストを読んで新しい単語やイディオムを覚え、文法をマスターすることも大事ですが、ほとんどの方は「話せるようになりたい」と思っています。

Språkkafé“をやってみようかな?と漠然と考えました。
Språk=言葉、kafé=カフェという意味です。英会話カフェが日本ではメジャーですよね。
それのノルウェー語版です。
現在、受講している生徒さんたちを対象にやってみよう! というわけで、レッスン中にいろいろとリクエストを聞き、構想を練ります。

少人数がいい、テーマを各回決めて欲しい(旅の会話、ノルウェー人との挨拶、自己紹介など)、テーマ別に募集をかけて欲しい、月1、2回ペースで平日夜と週末の日も設けるetc.
まだ計画中の段階です。

普段のレッスンでは、”Hvordan har du hatt i de siste?”「最近、どうですか?」と質問し、生徒さんたちは答えます。
その内容について、私がいろいろと質問をして会話の練習をしていました。
でも「他の生徒さんにも質問してもらおう!」と気づき、実践しています(←遅いですよね~)。
さてやってみると・・・「質問するって難しい!」と皆さん、おっしゃります。

確かに。まず相手の話した内容が理解する必要があります。
もちろん分からなければ、“Hva sa du?”(なんて言ったの?)と尋ねるのも練習になりますね。
ようやく相手の言ったことがわかり、質問を考える・・・大変です!

憧れの会話~

話せるようになる=会話ができるようになる・・・本当に難しいです。
自分がただうなずいているだけだと、話す力はつきません。
こちらからも質問やコメントなどをしないと「この人、本当に私の話していることわかっている?」と疑われてしまうことに・・・。

・・・って脅かすようなことを書いちゃいましたが、聞くポイントと質問するコツはあります。私も質問に加わり、会話のバリエーションを増やすようにしています。

ノルウェー人と会話すると「なんでノルウェー語を話すの?」のような”Hvorfor?”「どうして?」を使った質問が続きます。
あまりに聞かれると「尋問されている」気分になるほどです・・・。気づけば自分の話ばかりさせられている。ノルウェー人にも質問したい!
そういう時には、”Hva med deg?”「あなたはどうなの?」と返すのも手ですね。

まだ構想=妄想中の”Språkkafé“は、どうなるか?うまく成立させたいです~。
質問や答えを絞り出すように考えて、奮闘している生徒さんたちを見ると、こちらも文字通り踏ん張っちゃいます・・・。
ちょっとのコツを効果的に伝授できますように~。

ちょっとのひと手間ノルウェー語

ノルウェー語レッスンでは、毎回、いろいろなことに気が付きます。
例えば「ちょっとしたノルウェー語を加えると、ぐっと自然に聞こえる」ということ。

“Vil du ha kaffe?” 「コーヒー飲みたい?」
“Ja”.「はい。」

ちょっとこの一言を加えてみましょうかね~。

“Ja, takk!”「はい、ありがとう」

ノルウェー語を勉強したことがない人でも何となく知っているTakk(ありがとう)。
ノルウェー人偏愛ワードです。Ja,takk. Nei,takk「いいえ、結構です」まで、使いこなせるといいですね!

次の例にいきます。

”Jeg vil ha kaffe.”「私はコーヒーが欲しいです」

はい、これで意味は通じますよ。でも、この一言を添えてみましょうか。

“Jeg vil gjerne ha kaffe.” 「私はぜひコーヒーが欲しいです」

gjerneは便宜的に「ぜひ」と書きましたが、この単語は「丁寧さ」を表現してくれます。
なのでお願いする時、自分の希望を言いたい時に、プラスしたい単語ですね~。

次、行きます!

“Har du tid?” 「時間ある?」
”Nei.”「いいえ」

これで会話は成立しますが、ちょっと単語を足してみましょう。

“Nei, dessverre“. 「いいえ、残念ですが」

「残念ですが」=dessverreは、よく使いますね。この一言を付け加えると、ぶっきらぼうな感じが消えます。
会話はもちろん、メールで使う回数が多いかもしれません。

今までの例をみて「こんなの簡単じゃない?」と思われるかもしれません。
でも実際の会話、メールなどで使うとなると結構、抜けちゃうんです。
ノルウェー語レッスンで、生徒さんたちは頑張ってノルウェー語を話そうとしますが、意志・動作を伝えることに必死で「ちょっとのひと手間」は忘れがち・・・。
これは、もう訓練ですね。
何度も繰り返せば「反射神経」となり、自然と使えるようになります。

なに話してるの?

ここまででお腹いっぱい、という方も最後の例にお付き合いください。

Vil du ha kaffe?” 「コーヒー欲しい?」

冒頭と同じ例文です。一語を足してみましょう。

”Vil du ha kaffe, kanskje?”
「コーヒーが多分、欲しい?」

Kanskjeは「多分」という意味ですが、断定的な表現を和らげたい時に使える単語です。
このkanskjeを、ノルウェー語の歌うようなイントネーションでしり上がりに発音すると、自然なノルウェー語になりますね~。

いかがでしょう?
ほんの一言添えるだけで、よりニュアンスのある文章に変わっていきます。
上はごく一例です。
場面に応じて、単語をちょっと添えてみる。ノルウェー語レッスンでは、なるべく自然な会話に近づくお手伝いをしています♪

「超!ノルウェー語入門」はどんな感じ?

1/15に、今年初のセレクトレッスン超!ノルウェー語入門」が無事に終了しました~。
というころで、昨日のレッスンの様子を振り返りたいと思いま~す。

セレクトレッスンの定員は原則5名です。
5名でも多いと感じるくらい、ノルウェー夢ネットのノルウェー語レッスンは「少人数」にこだわってます。受講者アンケートを見ても「少人数で良かった」と評価して下さる方が、多いですね(こちらのリンク先の下に「受講者の声」が載っています)。
昨日のレッスンは定員の5名の方が参加して下さいました。

まず軽く私の自己紹介をしました。「ノルウェー語を教え始めて今年で20年です」と言ったら反応がありました~(どんな?)。
そうなんです。1997年くらいからレッスンを始めたので・・・我ながら驚きです!
さらに、「これだけ長く関わっていると、ネットワークが財産です」と言いました。
留学やノルウェーに移住された元生徒さんたちやノルウェー人とつながっていると、これからノルウェーへ留学や移住される方を紹介したり、または私から問いあわせて、質問したり・・・とできる範囲でお手伝いできるかな、と。
これだけネットが当たり前になっても、ノルウェーの情報は少ないです。なので、些細なことでも「リアルな」話はそれなりに価値があるかな?と日々、実感していますね。

そして、皆さんの受講動機を聞いているうちに、早くも情報共有がされていくのを感じます。
受講者の中に、おととい、ノルウェーから帰国したばかりの方がいました。
しかもかなりレアな場所に行かれたようで、受講者だけでなく私も「え?そうなんですか~」と笑って驚いて数々のエピソードを拝聴しちゃいましたね。

セレクトレッスンのテキストは、私が作っています。

下手な写真ですみません・・・

90分で、ノルウェー語でまずは知ってほしい単語やフレーズを集中的に学びます。
アルファベットの発音を最初にやってしまうと、それでイヤになっちゃう場合が多々あるので、初対面の「あいさつ」から読んでいきます。

ノルウェーのことをほぼ知らない、行ったことがない受講者の方々と接すると、私の方が「あ、そういうものなのね」と気づくことがあります。
ノルウェー歴はムダに長いので「当たり前のことが新鮮」に受け止めて下さるので、勉強になりますね~。
ノルウェー人は会話中にうなずきません。こんな些細なことでもお伝えすると、「そうなんですか?」と驚かれるので「ノルウェー伝道師」冥利に尽きます!
また、「この言葉を使えば好感度UP」な単語/フレーズは、必ず強調します。
ちょっとしたことを知っているか・知らないかで印象は変わりますから、大事ですよ~。
他にも、旅行や滞在にはマストな数字も少し読みました。

昨日のレッスンは、無事、アルファベットの発音で仮死状態になる方がいなくてほっとしま~す。
レッスン終了後はクリスマスにノルウェーへ行かれた方から、差し入れでいただいたKVIKK LUNSJのチョコレートをつまみながら、おしゃべりを楽しみました。

ノルウェーのチョコレートを食べるのは初めてという方が多かったので、これも「体験」ですよね。

帰国したばかりの方は「すごく寒かった!!看板が全く読めなくて、ノルウェー語の文字を見るだけで吐き気がするほどイヤだった!!」と自己紹介でおっしゃられていたので、内心「マズイ・・・」と焦ったのですが・・・ただ、受講後には「しくみがわかってきて、良かったです」とおっしゃって下さったので、安心しました!
(ハングルのような文字ならば最初から読もうと思わないけど、アルファベットなのに読めないのが余計にストレスだったとお聞きし、一つ学びました~。)

なんのお店?

ノルウェー語を学びたいという方は、まだまだ少ないです。なので、お申込みして集まった方たちはそれだけで「同士」という感がありますね。
90分のレッスンを通じて「ノルウェー語ってどんな感じ?ノルウェーはどんな国?」を知っていただくことが目的です。
このレッスンの時も「旅行でオススメの時期は?」などいろいろと質問が出たので、わかる限りでお答えしました~。

各回参加と気軽に参加できるセレクトレッスン。
2007年の開講時にはなかったのですが、やってみて良かった~と毎回、思います。
ご参加下さった皆さま、ありがとうございました!

3/2「ネイティブによる発音練習」と3/18「トロールの絵付け教室」は、それぞれ残2です。
ぜひお申し込みをお待ちしていま~す♪ こちらをご参照くださいね。

温かいランチ~それはスウェーデンへの憧れから始まった?~

2017年のブログ始めが遅れました。
Twitterでうざったいくらいアピールしているのですが、左手首を骨折してしまい、かなーり、生活に支障をきたしています~。
気を取り直して、積読状態だった本を少しずつ読み始めていますが・・・(合間に「骨折」キーワードでネットサーフィン)。
昨年、ノルウェーの書店から買った”Den Norske Folkesjela“(「ノルウェー国民の魂」)は、その1冊です。著者のPer Egil Heggeは、Aftenposten紙で「ノルウェー語コーナー」をずっと担当しているノルウェー語エキスパート。記事などで見つけたノルウェー語のミスなどをユーモラスに指摘する「ノルウェー語ご意見番」的存在です。

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17.mai, brunost, lutefisk, grilldress, vinmonopolet….などなど、ノルウェーやノルウェー人を理解する上で大切なキーワードが、2-3ページのコラムで、Perさんならではの解説がされています。
Brødskiveの項目を読んでいた時、新たな発見があったので、取り上げますね。

このBrødskiveって単語は、ノルウェー語レッスンのテキストに出てくる際に、ちょっと説明に時間がかかります。Brød=パン、skive=スライスという意味ですが、「スライスパン」よりも、smørbrød=オープンサンドの方をイメージして下さい。パンの上にpålegg=トッピングを載せるものですね。

Brødskiveと並んで、説明に苦労するのがmatpakkeという単語。mat=食べ物、pakke=包み、からなる合成語です。
smørbrødを紙にくるんだり、ランチボックスに入れるのがmatpakkeです。写真をご参照ください。昨年9月、オスロの小学校を訪問した際に、子どもが持っていたmatpakkeを撮らせてもらいました。このmatpakkeは、ノルウェー人のランチ定番なのですが。

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と、ここまでの前知識を入れてから、Brødskiveの項目で「お?」となった箇所を書きますね。
1990年代、ノルウェーのスウェーデン大使を務めたKjellさんは退任する際「解決できなかった残念な問題はありますか?」というインタビューに対し、このように答えたそうです。
私は、ノルウェーに住むスウェーデン人たちに、温かいランチが食べられるよう助けられなかった。

varm lunsj=温かいランチ。
何かと似ている北欧諸国ですが、スウェーデンにあってノルウェーにないもの。それが「温かいランチ」だったんですね。
前述のスウェーデン大使在任中は、スウェーデンからノルウェーへ労働移民が増えていた時期。スウェーデン同志たちが、ノルウェーへやっていてmatpakkeに代表されるkald lunsj=冷たいランチに耐えていたのが、大使にとっては無念だったのでしょう。くくく・・・・

ノルウェー人は常にスウェーデンに憧れています。90年代~2000年代にかけて、「ノルウェーにもvarm lunsjを!」運動が盛り上がったんですよね。
私は留学中、やはりmatpakkeを持参していましたが、「これじゃお腹いっぱいにならなーい」といつも思ってました。
ましてや、ノルウェーの中学生や高校生たち。彼らはmatpakkeだけでは足らん!と、休み時間に近くでポテトチップスやピザなど「ジャンクフード」を買い食いしていたのです。
「子どもたちがジャンクフードばかり食べているのはマズイ!」と大人は焦り、今では学校のkantine=食堂で、温かいランチが提供されるところが増えています。

社会人はどうでしょう?特に大きな企業やそこそこの規模の会社では、やはり自前のkantineが備わっている場合が増えていますね。

昨年9月にオスロ大学のkantine=食堂に行った際、「昔とえらい違い~」と感心したのは「電子レンジの存在」です。
日本はオーブンよりも電子レンジの国、ノルウェーは電子レンジよりもオーブンの国ですが、どんどんかの国における電子レンジ所有率は高まっていますね。
電子レンジがあるということは「ノルウェー人は食べ物を温めることを知った」証です!

・・・・という状況で、みなが温かいランチへ流れるかと思いきや、matpakkeにはこんな効用もあったんです。再び本から引用してみましょう。
「matpakkeのおかげで、ノルウェーは他のヨーロッパ諸国に比べて、短いランチ休憩で間に合った。約20分もあれば十分。その結果、より早く帰宅することができ、余暇を得ることができたのである。」

確かに!! ランチに時間をかけるよりも、とっとと済ませて、とっとと帰る。その方がノルウェー人のメンタリティーに合っている気がします。
昨年、オスロを訪れた際、NORLA(ノルウェー文学普及協会)のオフィスを訪ねました。ちょうどお昼時になったのですが、みなさん、matpakkeを片手に集まってきます。

私もその時、matpakkeを持参していたので、一緒にランチを楽しみました。おいしいフルーツが置かれていて、出張に行っていたスタッフがお土産を配ったりと短いながらも楽しいランチでしたね。この時は私がいたので、少し長めのランチ休憩だったかと。30分でしょうか?

3年ほど前に、温かいランチを効率的に消化しているノルウェー人を見かけました。

トラムにて

アジア系の食べ物をトラムで食べていたこの人。周りは全然、無関心で「車内マナーのありかた」など些末なことにはとらわれないノルウェー人魂を見た、と感慨深かったです。

varm lunsjかkald lunsjか。スウェーデンに憧れながら、ライフスタイルが変化する好例でしょう。