絵本+北欧+猫+谷中=ひるねこBOOKS♪

お店の人と仲良しになれるタイプではありません・・・。
「あ、どうも」などとモゴモゴいって立ち去るタイプです。お店の人と楽しくおしゃべりしている人を尻目に・・・。
そんなシャイな私ですが、ようやく店主さんと仲良しになれた(と自分は思っている)お店が谷中にあります。

今年の早い段階から「この店気になる~」と思っていたんですよ。
絵本や北欧、猫の本などを扱う谷中の書店。谷中は徒歩圏内だし、気になるラインアップなのでTwitterやFacebookなどでフォローしていました。
ようやくお店に足を運べたのは、3月に入ってからです。

・・・ということで「ひるねこBOOKS」さんの地図を握りしめ、方向オンチな私が根津・谷中の本当に境にあるお店を見つけた時の感動は忘れられませーん!

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店主の小張さんは、なんと「北欧ぷちとりに行ったことありますよ」ということで、ヒー!びっくりしました。世間は狭いですね~。
お店の中には絵本、北欧、猫の本以外にも金井美恵子、森茉莉や町田康の本なども置いてあり、小さな店内ですが「飽きな~い」とこれまた感動。

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普段、お店の人とは話せないのに図々しく営業しちゃいましたね。「ここでイベントできたら楽しいかも?」と。
温厚で優しい小張さんは「いいですね~!」と乗って下さり、トントン拍子にイベント開催が決定しました~。「まずはノルウェーワッフルで集客を狙いましょう!」と提案したのが正解だったのか、すぐに満席になりほっとしています~。

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その後も何度か立ち寄っていますが「こんな本探してます」「今はこんな気分なんですけど、どんな本がいいですか?」と「他力本願」=「投げやり」な問いに「こんなのはいかがでしょう?」と本をチョイスしてくれるのも助かってます~。他にも「この辺でおいしいランチは?」「あのお店は何ですか?」などいろいろ聞いても答えてくれて、もう依存度MAXです!

サイン入り本!

サイン入り本!

ワッフルの実験会の時も忘れられないですね~。
偶然、生徒さんが入店し、その後もTwitterのフォロワーさんも入店されて、ノルウェーワッフルを食べたのですが「世間は狭い!」を実感しました。
他にも、私と小張さんが話している時に、他のお客さんがごく自然に会話の輪に入られたり、「○○さん知ってますか?青木さんと会ったことあるそうですよ」と教えて下さったり、行くたびに楽しんでいま~す。

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本だけではなく北欧雑貨も販売されていますが、ノルウェー語レッスンに通っている佐々木あいさんの作品もこちらで扱いが決まった時も嬉しかったです♪

佐々木あいさんの作品

佐々木あいさんの作品

「せっかく北欧もテーマだから国旗飾るといいですよ!」とお節介おばさんそのもので提案したら、律儀にノルウェー・スウェーデン・フィンランドの国旗がはためくようになりました~。

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新たな提案は・・・「人生相談」!

小張さんはソフトな物腰で、人の話を丁寧に聞いてくれます。
なので仕事帰りに疲れて立ち寄った人や、昼間、ふらっとやってきた方に「2000円以上買ったら10分無料で人生相談に乗るのはどうですか?」とバカ丸出しで提案したんですけど・・・我ながらいいと思うんですよね~。

「しのばず君」を抱いている小張店主

「しのばず君」を抱いている小張店主

すごーく疲れている時とか本屋さんへ彷徨うように入ることってありませんか?
そんな時、書棚を見ながら、店主さんの優しい人柄に触れれば、癒し効果はあると思うんですけどね~。どうでしょ?

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ノルウェーの刑務所~ネットショップ有り〼~

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』という邦題がトレビアンな映画を観ました~。
マイケル・ムーアの肥満率が気になる映画でしたが、テーマはマイケル・ムーアがいろいろな国の優れたアィデアや制度をアメリカに持ち帰ろう、というもの。
イタリア、フランス、ドイツ、スロヴェニア、ポルトガル、チュニジア・・・
そして北欧からはノルウェー、フィンランド、アイスランドにマイケル・ムーアが訪れます。

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ノルウェーで彼が選んだもの。それは「刑務所」でした。
「ここはリゾート地か??」と見まがう美しい景観のコテージ作りの刑務所はなんと「バストイ刑務所」。
この名前でピンと来た方はかなりのノルウェー通ですね~。
ノルウェー映画『孤島の王』では、20世紀初頭のバストイ刑務所の過酷さ・残酷さを描いた秀作で、なぜか私はトークショーに登壇した思い出深い映画です。

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あのバストイが今はこんな牧歌的な刑務所になって信じられませーん!!
ちなみに現在の刑務所の様子はこちらの公式サイトから覗けます⇒http://www.bastoyfengsel.no/

マイケル・ムーアは「ただここは模範囚の刑務所。それだけ見るのはフェアじゃないので、もっと重罪の囚人がいる刑務所に向かおう」と「ハルデン刑務所」を訪れます。
確かにバストイよりは「刑務所っぽい」と思うかもしれませんが、それでもシャワー・トイレ付の個室、ゆったりとしたソファーのある面会スペース。
自分たちで音楽を録音できるスタジオも映っていました。暴力的なラップを録音中で笑ってしまいました。殺人罪の囚人の背後にキッチンのナイフが無造作に置かれているのもすごい!看守たちは拳銃などを付けていません。

帰宅後、ハルデン刑務所の公式サイトを覗いたら、さらに「ひ~」と驚いてしましました!
まずはこれがトップページです~。

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にこにこ笑っている男女の警官の写真。つい「入っちゃおうかな~」と誘惑されそうです。
Youtubeの画像が貼ってあって、中で働く警察官のミュージックビデオがUPされてます・・・。

上のメニュー画面を見て???となったのはnettbutikkの文字。「ネットショップ」の意味です。
「刑務所でネットブショップとはこれいかに?」とクリックしてみました~。
例えばこのページをご覧ください⇒http://nettbutikk.haldenfengsel.no/main.aspx?page=articlelist&gid=501&gidlevel=1
囚人たちが作った製品をネット販売している!と気づいた時には「ノルウェー人、やっぱり侮れないわ」と思いましたね。効率的です。

ノルウェーが囚人たちに快適な刑務所を提供しているのは、別にお金が有り余っているからではありません。
以前、NHKでノルウェーの刑務所を特集した番組があったのですが「何よりも再犯防止に力を入れている」と当局側がコメントしていました。
収監中に家族の元へ一時帰宅を許可したりすることは「社会とのつながりを遮断すると、再犯率が高まる」との分析で「ふ~む」と感心した覚えがあります。
現にバストイ刑務所では、NAV(ハローワーク)と連携し、労働マーケットに応じた職業訓練を行っているようです。刑期を終えた囚人たちの再就職ができるか・できないかで再犯率は変わってきますよね。

映画では、2011年7月22日の大量テロ犠牲者の父親がマイケル・ムーアのインタビューに答えていました。そう、ブレイヴィークが実行犯のあの連続テロです。
「あんなクソに復讐したくはないのか?」
「いや、彼のレベルに下がって”俺にはお前たちを殺す権利がある”なんて言いたくない」と断言していた姿が印象的です。

ノルウェーの刑務所を観たり、サイトを覗いたりして「あ、そういうことか」と納得したことがあります。
それはブレイヴィークが「自分の独房拘留状態がEU人権憲章に違反し、非人道的である」と昨年7月、国を相手に裁判を起こした一件。
確かに彼はノルウェーの刑務所で言えば「最高レベルの独房」状態です。
とはいえ、使える部屋はトレーニングルームを含む3部屋。さらに外気に触れる専用のエアー空間(55平方メートル)があります。
こちらの記事に彼の独房とエアー空間の写真が載っていますので、ご参照ください。

ニュースで知った時は「また変なことしている~」と呆れました。
ですが、ノルウェーの刑務所基準でいえば「これでも不満なんだ」と映画を観て、やや納得しました。

裁判は、4月に結審しました。
オスロ裁判所は彼の主張を一部認め「5年にわたる独房状態は非人道的であり、拘留環境を変えるべし」と判決を下したのです。
この判決は私だけではなくノルウェーの専門家、国際メディア、そして国民も驚きました~!
ニュースを伝える新聞のFacebookのコメント欄には「信じられない」「税金の無駄遣い」「なんてナイーヴな国なんだ」など判決を不服とする内容が殆どでした。

そんな中、印象的な記事をAftenposten紙で見つけました(Aftensposten,2016年4月21日)
ウトヤ島の大量テロの生存者による寄稿です。ちょっと長くなるのですが引用してみましょう。
「非人道的な事件を起こしたからといって、非人道的な扱いをすべきではない。テロリストや過激思想家たちは他者を“虫けら”扱いする。
ノルウェーは民主主義のもと、ブレイヴィークを“人間”として向き合うことにより、テロリストや過激思想家たちに暴力に依らない対抗方法を示すことができるだろう。」

「目には目を、歯には歯を」ではなく、独自の刑務所環境運営を取り入れているノルウェー。
まさにノルウェーらしいさの一端を感じた映画でした!

『ノルウェー語のしくみ《新版》』4/6発売です!

ノルウェー語レッスンの生徒さんに言われたことがあるんです。
「ノルウェー語の本は、普通の書店にはないから、中身を見てから買えないんですよね~」。
なるほど! かなり大型書店じゃないとない・・・そういう宿命(サダメ)なんです。
意外と思われるかもしれませんが、私はレッスン中に自分の本の紹介とかしないんですよ。恥ずかしいんですよね~。でも冒頭のお言葉を聞いて「これは考えを変えないと~」と思った次第です。

・・・と前置きが長くなりましたが、『ノルウェー語のしくみ《新版》』が4/6に発売となります! すでに見本は手元にあります!

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こちらは2007年に出版された『ノルウェー語のしくみ』をベースに、何頁かの書下ろしや一部刷新、さらに情報をアップデートしています。
加筆した部分は「街歩きのしくみ」「映画エンドロールのしくみ」「キーボードのしくみ」があります。
「映画エンドロールのしくむ」はノルウェー映画のエンドロールで、「この単語はこんな意味ですよ」と解説しています!

この「しくみ」シリーズは、特にその対象言語に思い入れがなくても「新書みたいにスラスラ読める」をキャッチコピーにしています。
語学書にありがちな堅苦しさはなるべく排し、見るとめまいがしそうな文法表もありません~。なので、私のおしゃべりに付き合っていただく感じですかね。

そうそう。この新版を出すに当たり、当然、旧版の原稿を何度も読み直し、アマゾンのページなども見たのですが、レビューにウケまくりました!
「ノリがよい」「男気(著者は女性だが・・・)が感じられたりした」「自虐的な文」・・・皆さん、よく私のことをわかっていらっしゃる。
あと「この、青木順子さんに、ノルウェー語の本を全部作って頂いたら・・・・非常に嬉しいですね。」と書いて下さった方がいたのですが、ここまで誉めて頂けると「自作?」と思われそうですが違いますよ~!

・・・とレビューも読めるamazonのページはこちらから。ついでにぽちっと買っていただけると幸いです!

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4月期ノルウェー語レッスン「初心者コース」は、日曜変則(15時半と17時半スタートの回がMIX)で待機者がいらっしゃいます!(←土曜16時から変更になりました)
まだ間に合いますので、ぜひ春から新しくて楽しいことを始めませんか?
詳細&お申し込みは↓をご参照ください♪ (4/17開始予定)

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm

ノルウェー映画『ハロルドが笑う その日まで』もうすぐ公開!

まずは映画配給会社ミッドシップさんにお礼を言いたいです!『ハロルドが笑う その日まで』(原題:Her er Harold”)を買うなんて、すごい英断!感謝です~!!
・・・と試写会後、まずはその感慨に浸ってしまいました。
実在する会社IKEAやIKEAの創業者をブラックユーモアまじりに描くのは、「あの人たちならアリかな~」と思いましたが。

(C)2014 MER FILM AS ALL rights reserved

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さて、本映画の素晴らしさはたくさんの映画ライターの人が書いて下さっていると思うので、私は「ノルウェー(+スウェーデン)」に絞って『ハロルドが笑うその日まで』について書いてみたいと思います。

ブログを書く前にノルウェーのウェブサイトに目を通したのですが、原案はノルウェーの作家Frode Grytten(フローデ・グリッテン)だったんですね!!!
これはもう偶然としか思えない、いろいろな圧力が「Frode Gryttenを読め!」と言っている感があります。
・・・と一人で興奮している理由なのですが。
3月にノルウェー大使館で開催された「ノルウェー文学セミナー」の「翻訳ワークショップ」の課題が、Frode Gryttenの短編小説だったのです。
今まで読んだことがなかった作家でしたが、このワークショップのお蔭でどっぷり彼の作品を読み込みました!(1作だけですけど・・・)
北欧で最高の栄誉である「北欧文学賞」を受賞している実力派なんですけど、この映画を観ると微塵も「権威」を感じないところがスバラシイ!

試写会で頂いた資料に、森百合子さんがあますことなく映画の見どころを綴った解説が掲載されていました。
森さんは「ノルウェーとスウェーデンの関係」に言及し、互いの言葉でコミュニケーションできることにも触れています。
そうなんです、本作ではノルウェー人はノルウェー語、スウェーデン人はスウェーデン語で話しているのですが、特に意思疎通に問題ナシ。
そもそも似ている言語ですし、ノルウェー人はスウェーデンのテレビをたくさん観て育っているから、よく理解できるのです。

あとノルウェー語とスウェーデン語を勉強している人は、『ハロルドが笑う その日まで』ではたーくさんの罵詈雑言が聞けますよ!
特にハロルドの奥さんが入院中に発する「下品な言葉」の数々は、残念ながら私には分かりませんでした・・・。もっと「下品」分野の語彙を増やせねば!
あ、ハロルドがIKEAの家具を罵りながらどつきまわすシーンの「ちょっと汚いつぶやき」は分かりました。ふ~。

(C)2014 MER FILM AS All rights reserved

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そしてIKEAの存在。
日本に本格出店する以前、先にノルウェーのIKEAに何度も行ってました。
物価の高いノルウェーでIKEAはまさに救世主。ともかく安いし、リフォームが大好きなノルウェー人は「聖書よりIKEAカタログを精読する」と揶揄されるほど「上客」なのです。ここでもスウェーデン人にカモられているのです。たとえ持って帰った来たIKEAの家具が組み立てられなかったとしても・・・。
留学中は学生寮に住んでいたのですが、コインランドリーに洗濯物を入れる袋はみんなIKEAの大きなバッグを使っていたのが印象的でした。
「協定結んでいるの~?」というくらいノルウェー人は、IKEAに依存しています。

対して本作の主人公ハロルドは、昔ながらの上質な家具を扱っていて、IKEA製品は「安かろう、悪かろう」とバカにしています。
しかし、いろいろあってIKEA創業者に復讐を誓い、スウェーデンへ誘拐するために向かいます。
IKEA創業者カンプラードのドケチ伝説は、ノルウェーの新聞で読んだことがありました。映画でのカンプラードは、残念ながらご本人ではなくスウェーデン俳優が演じていますが、「誘拐しちゃってかえって扱いに困る」強烈キャラクター。さすが世界的企業の創業者は違います!

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ハロルドの失業中の息子も「うわ~、ありがちなキャラクター」と思いました。
ダメ男なんだけど、どこか憎めない。うん、この映画には「憎めない」人しか出てきません。
ちなみに音楽は、日本にもファンがいるKaizers OrchestraのフロントマンJanove Ottesenが担当しています!

60代後半になっても凍った湖に落ちて喧嘩できる体力がないと北欧には住めないことが実感できる『ハロルドが笑う その日まで』。
日本で上映される幸せをかみしめて、ぜひ劇場で、おじさん愛に満ち溢れた映画をご覧ください!

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映画公式サイト:http://harold.jp/index.php

2016年4/16(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショーです!

絵本作家アトリエ訪問! ~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 4~

オスロの絵本を取り巻く環境の旅・・・外せないのは「絵本作家のアトリエ訪問」! パチパチ~。
訪ねてみたい人はたーくさんいます。でも日程的にオスロ在住の作家で絞りました。
ということで、「1」で挙げたHullet“『の作者Øyvind Torseter(オイヴィン・トールセーテル)さん。

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さらに昨年夏、東京都美術館の企画展「キュッパのびじゅつかん」で来日した作者のオーシル・カンスタ・ヨンセンさんの妹さんのMari Kanstad Johnsen(マーリ・カンスタ・ヨンセン)さんが浮かびました。2人とも訪問したいメールを送ると、ご快諾の返事。。ノルウェー人、優しいわ~とアトリエ訪問は決まりました。

まずはオイヴィン・トールセーテルさんのアトリエから。オスロ郊外の集合住宅を、アーティストたちで共同で借りているそうです。
かなり図々しい私ですが、訪問前は緊張しました。というのもオイヴィンさんは人気、輝かしい受賞歴、多くの作品が翻訳とまさに現代ノルウェーを代表する絵本作家兼イラストレーターです。そんな人をド素人が訪問していいのか・・・と。しかーし、オイヴィンさんは場所が分かりにくいから、とわざわざ建物の入り口で待って下さっていて感動~。中は無味乾燥な建物ですが、アーティスト集団が借りているフロアでオイヴィンさんのアトリエに入ると・・・。広い、日当たりいい、雑然としてません。

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イラスト同様、きっちりした人柄がしのばれました。
オイヴィンさんとのやりとりを抜粋します。

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-まず絵本作家・イラストレーターになるまでのバックグラウンドを教えてください。

「小さい頃からマンガが大好きでした。最初はみんなと同じ”ドナルド・ダック”だったけれども徐々にフランスの”タンタン”シリーズに触れて惹かれました。絵を描くのが大好きで、ともかくひたすら描きつづけてました。僕は田舎の美しい自然と農園に囲まれ育ちましたね。大きくなるにつれ、もっと広い世界に憧れ、オスロとロンドンで絵の勉強をしました。」

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-とても売れっ子ですが、どんなスケジュールでお仕事をされているのですか?

「月曜から金曜まで9時から15時まで働き、週末は休みます。」

-え?そんな会社員的なスタイルで・・・??(衝撃)

「小さい子どもが3人いますから、家族との時間は大事ですね。その決められた時間の中で、集中して仕事します。」

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グロー・ダーレさんがオイヴィンさんのことを誉めていたのですが・・・。

「ああ、彼女は本当に素晴らしい絵本作家ですね。尊敬しています。」

-そのグローさんはよく学校で読み聞かせなどを行っているそうですが、オイヴィンさんも子ども向けのワークショップはやりますか?

「やはり小学校や他の場所でワークショップや読み聞かせをやりますよ。絵をいきなり描いて、というのは難しいのでスタンプを用意してそれを押してもらってイラストに発展させたり、まずはペンのしみを作ってから絵を描いていく方法を見せると、子どもたちは夢中になりますね。」

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オイヴィンさんは私にその方法を披露してくれたのですが、瞬く前におしゃれなイラストになっていきます!
大人でも感動。子どもだったら、目の色変わってしまうでしょう。
それにしても、こんな素晴らしい絵本作家が小学校に来てくれるなんて、ノルウェーの子どもたち、恵まれ過ぎです!

ボクはカエル

ボクはカエル

他にも”Hullet”の真ん中に穴を入れたアイディアや好みのイラスト、大事にしているスタイルなど伺ったり、たくさんのスケッチブックやコラージュ集を見せてもらいました。温和なオイヴィンさんと接していると緊張が解けました。

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さて別の日。その日は雨でした。グルーネルロッカ地区に、やはりアーティスト共同のアトリエで仕事をしているマーリ・カンスタ・ヨンセンさんを訪ねます。
マーリさんがフェミニンなワンピースを着ていたことにまず驚きました。普通、ノルウェーの女性はカジュアルなパンツスタイルが多いので・・・。

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共同アトリエのキッチンに腰掛け、早速、お話しを伺います。やりとりを抜粋しますね。

-マーリさんの姉オーシルさんは「ベルゲンへの愛着」をおっしゃっていましたが、これまでのバックグラウンドを教えてください。

「私もオーシルと同じ、ベルゲンで生まれました。父がグラフィックデザイナーで幼い頃から、絵を描くのが好きでした。大きくなってまずは服飾デザインの勉強から始め、オスロの国立芸術大学でビジュアルデザイン学科へ進学します。それから2年間、ストックホルムの芸術大学の修士課程でイラストレーションの勉強を続けました。」

共同アトリエ

共同アトリエ

-オーシルさんはベルゲンで制作活動をしていますが、マーリさんはオスロで活動していますね。

「はい。ストックホルムから2011年にノルウェーへ戻り、最初はベルゲンに住んでいましたが、オスロへ引っ越してきました。でも将来的にはベルゲンで仕事をしたいです。」

-今までの作品について教えてもらえますか?

「出版した絵本は10冊です。2冊はテキストとイラストの両方、2冊はテキストのないイラスト本、残りの本はテキストは別の作家でイラストのみ担当しました。もうすぐMagikonから新作”Tunellen”が出版されるので楽しみです。他には、雑誌、新聞、他の媒体でイラストを描いてきました。」

絵本の数々

絵本の数々

-オイヴィン・トールセーテルさんは、月金9-15時、週末休みというスケジュールで仕事をしているそうです。マーリさんはどうですか?

「そこまでかっちりとは決めていないですが、大体、同じ感じですね。たまに遅くまで仕事をすることはありますが、週末は休みます。」

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-今までテキストも手がけた作品は2冊ですが、もっとテキストを書きたいという希望はありますか?

「はい、ありますね。もちろん絵を描くのは大好きでいつもスケッチブックを持ち歩いていますが、テキストを書くことも同じように好きで挑戦したいです。」

-私の印象なのですが、ノルウェーの絵本作家やイラストレーターの人たちは仲がいいですよね。

「その通りです。イラストレーターの協会があり、お互いの交流が活発で仲良し。励まし合ったり、刺激しあえる仲ですね。」(注:実はマーリさんは私がオイヴィンさんを訪問したことを知ってました!)

それから今までの絵本を並べて頂いたり、スケッチを見せて頂いたり、他のアトリエ仲間を紹介していただきました。不審な侵入者を「いい意味でほっといてくれる」ので気楽です。

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他にも制作の際に大事にしていること、インスピレーションの源など興味深いお話しを伺います。そして気になる発言が・・・

ノルウェーでは”本の買い取り制度”があるからフリーランスでも安心して仕事ができる。」

Magikon社Sveinさんも口にされていた「本の買い取り制度」が、マーリさんの口からも出てきます。

鍵をかける順番が描かれたドア

鍵をかける順番が描かれたドア

ホントはこの回で解説をしたかったのですが、もう書きすぎたのでまた別の機会にしまーす。

帰国後に、マーリさんの最新作”Tunellen”(トンネル)をいただいたのですが、前作とイラストのテイストが異なっていて驚きました。
マーリさんのイラストは作品によって、かなりテイストが変わるので、それはそれで楽しいです。

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NB!マーリさんは、3月の「ノルウェー文学セミナー」の「児童文学セミナー」にスヴェインさんとともに登壇されます!もう申し込まれましたよね??詳細とお申し込みはこちらから

つづく(と願いたい)