各回のまとめ
ノルウェーについて学ぶサロン・講座レポート


第50回「ノルウェーで働き、学べること」
〜スタヴァンゲル大学・小野坂優子先生の提言〜

開講日時: 2011年7月2日(土) 13:00〜15:00
参加者数: 19名

●テーマ紹介文
「ノルウェー」と聞いてどんな社会を思い浮かべますか?
福祉国家、女性の社会進出が進んでいる、ゆとり社会、などのイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
今回、ゲスト講師にお迎えするのは、西ノルウェーの街、スタヴァンゲル(Stavanger)の大学で教鞭をとっていらっしゃる小野坂優子先生です。
ノルウェーの社会は、実際に働き、生活してみるとどうなのか、お話を伺います。
また、日本人がノルウェーに住むときに突き当たる問題には、どんなことがあるのでしょうか?
ワーキングマザーとして、ノルウェーに暮らす外国人として、そしてノルウェーの大学で働く准教授として、小野坂先生ご自身の実体験をもとに、ノルウェーから何を学び参考にしたら、私たち日本人の生活をより豊かにすることができるのか、考えてみたいと思います。
予定されている講演内容は下記の通りです。
1. 簡単なプロフィール紹介〜どのようにノルウェーに落ち着いたのか?
2. 私の一日(典型的なスケジュール)
3. 夫の一日
4. ゆとり社会の表と裏
5. ノルウェーと女性の社会進出
6. ノルウェーの職場・大学
7. 外国人がノルウェーに住むときの苦労
8. 私たちがノルウェーから学べることは?

サロンの講師に、ノルウェーで働く日本人の方をお招きするのは珍しく、大変貴重な機会です。
決して教科書には書かれていない、小野坂先生の本音トークにご期待ください♪
ノルウェー語ワンポイントレッスンは「日本について聞かれる」です。

●ゲスト講師プロフィール
小野坂 優子 先生
新潟県小千谷市出身。
1994年にアメリカのワシントン大学に留学、1999年に経済学と統計学の学士を取得。その後カリフォルニア大学デイビス校で農業資源経済学修士(2001年)及び博士(2007年)取得。コロラド州立大学で2年間の准教授を経て、現在スタヴァンゲル大学UiSビシネススクール准教授。専門はフードマーケティング、消費者選好、計量経済学。主にサステイナブルフードのマーケットを研究。ノルウェー人の夫と二人の娘(5歳・2歳)とともにスタヴァンゲル在住。


●講演内容
講師紹介/はじめに/簡単なプロフィール紹介/ゆとり社会の表と裏/ノルウェーと女性の社会進出/ノルウェーの職場・大学/ノルウェーに住む外国人の苦労/私たちがノルウェーから学べることは?

●ノルウェー語レッスン
日本について聞かれる Å bli spørt om Japan
●付録
新規参加の方には・・・語学資料「ノルウェー語とは」
       その他 ノルウェー大使館、フィンツアー、スカンジナビア政府観光局
            提供の資料多数

●主催者後記

なんとサロンは50回を迎えました!2006年にスタートした時は全くの手さぐり状態でしたが、こんなにも回を重ねることができました。
本当に皆さまのおかげです。ありがとうございました。
そして記念すべき回にふさわしいゲスト講師を、ノルウェーからお招きしました。ノルウェー・スタヴァンゲル大学の小野坂優子先生です。
在ノルウェーの日本人で、ノルウェー人を相手にお仕事をされている方をゲストにお迎えするのは初めてで、とても貴重なお話を伺うことができました。 参加者の方も大満足の熱弁でした!
小野坂先生の講演を聞きながら、うん、うん、とうなずくことしきり。
時に小野坂先生はノルウェーの「負」の面を語ってくれました。 至らない医療や学校制度、競争が少ないゆえのマイナス面など。
また逆にノルウェーの素晴らしいところ、例えば、平等意識の強さ、女性への優遇政策、労働者の権利意識の強さなどのお話もありました。いずれも実際に生活をしている方ならではの、決して上っ面ではない説得力のあるご見解でした。
最後に、「私たちがノルウェーから学べることは?」という問いに対し小野坂先生は「家庭の大切さ」を挙げられました。そして「家族で過ごす時間が構造的に長い」と指摘されたのですが、本当にこのポイントは納得でした。そうなんです、仕事から帰って来る時間も早いし、週末は休むし、休暇は長いし、家族でもいないと「やってられないよ」的なのがノルウェーなんですよね。「おひとりさま」には住みやすい国ではありません!
また、比較的長時間、質疑応答の時間を設け、参加者の方々から熱心なご質問をたくさん頂きまして、それも興味深いものでした。
小野坂先生、遠路はるばるご出講をありがとうございました。
そして参加者の皆さまにも心から感謝申し上げます。いつまで続けられるか全く分からないサロンですが、今後ともサポートをお願いいたします♪
(Aoki)

皆さんとても真剣に聞いて下さって、私の学生もこれくらい真剣に授業を聴いてほしいものだ、と思いながら発表していました。質問も積極的にして下さって、皆さんのノルウェーに対する興味の深さを感じました。
皆さんに、ノルウェーに住む者として「生の声」を、良いところ、悪いところ交えてお伝えしたいと思った講演で、皆さんのノルウェー好感度を下げてしまったかもしれない、と少し心配ですが、良い所、悪い所、両方知ってこそ本当の「愛」ですよね(笑)。
日本とはかなり違うプライオリティーで動いているノルウェーの社会ですが、「こういう社会もあるのか」というひとつの例としてノルウェーを知ってもらい、なにかの参考にしていただければ、私も嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。
(Onozaka)

小野坂先生は経済がご専門だけあって、アメリカからノルウェーへの移住を決断するに当たり、相当な下調べをなさって悩まれたそうです。その際、私どもの「ノルウェー夢ネット」まで参考にしてくださったとは、驚き(とともに責任重大!)でしたが、結果、最終的にノルウェーをご選択されたと伺って、私は無性に嬉しくなりました。
私が特に印象的だったのは、小野坂先生は教科書的な数字や制度だけでノルウェーのことを伝えるのではなく、「市民の意識」にまで考察を広げてご提言くださったことです。
社会的弱者を守るが当然という意識、男女平等が当然という意識、政治は自分たちのためにあるのだという意識、そんな意識の確立を助ける社会制度があるというお話は、とかく制度ありきで北欧諸国に習おうとする日本人が多い中で、本当に参考にすべきことは何かを改めて実感させられました。
必要なものと必要でないもの、プライオリティーをしっかり見分けること!私自身も短いノルウェー生活の中で、これだけは身に着けて帰ってきたような・・・。(もう少し日本人らしく真面目に働きなさい!と言われそうです)
小野坂先生には今後とも、ご家族との暮らしを大切にしつつ、日本とノルウェーをつなぐことができる希少な存在として、益々のご活躍を期待したいと思います。
(Yoko)

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