楽しかった夜が・・・~オスロ旅行記3 2016~

オスロ滞在中の土曜の夜。
ノルウェー人の友達の家でホームパーティがあり、誘ってもらいました。年代はほぼ私くらいまたはちょい上だったのですが、「病気」ネタで盛り上がるのは万国共通??と心の「ノルウェーメモ帳」に刻みます。

帰りはトラムに乗りました。土曜の夜は、お酒が入った若い男女が多く、かなり賑やかでした。窓の外の景色を見ながらぼーっとしていると。。。。

Billettkontroll!!

という叫び声が車内に響き渡ります。
Billett=チケット、Kontroll=検査ということで「チケット検査、キセル乗車チェック」といった意味になりますね。

オスロの交通局の職員たちが3,4人同時に乗り込んできました。私はukeskort=1週間有効券を持っていましたが、ドキドキしちゃいます。
女性職員が私のところに来たので、カードを差し出します。小さな機械でチェックすると、「このチケットは昨日で有効期限が切れている」と恐怖の言葉。

ひ~~~~!!!

いや、もう心臓バクバクです。というのもキセル乗車に関してはいかなる言い訳も通じず、高額な罰金が課せられると知っていたので。
もう1枚のSuicaに相当するReisekortを差し出しました。ただこのカードは乗車する際に、下の写真のところにパネルタッチをしていないとダメなんですよね。ちなみに写真は地下鉄の駅の物。トラムは車内に同じ機械があります。

ここにタッチ!

ここにタッチ!

「ukeskortがあるから余裕~」と思っていた自分を呪いたくなりました・・・。

女性職員は「これじゃダメ。身分証は?」と聞いてきます。パスポートは盗まれるのが怖かったので携帯していません。
「写真付きのクレジットカードは?銀行の口座番号は?」とたたみかけられます。私のカードはどれも写真がついてません。
女性職員は移民で、ノルウェー語も英語もイマイチでした。
私は「日本から来た観光客で、パスポートは家に置いてきてあり、写真付きの身分証はない。ノルウェーに口座がない」と説明したのですが、観光客がノルウェー語話すのはヘンだよね、と途中から私も低レベルの英語で返します。

ああ。ここでいくらか分からないけど罰金を受けるんだ・・・もう心は鉛のように重く、楽しかったパーティは遠い過去です。
ただ女性職員は、もう1回、私が持っていたreisekortを取り上げました。
そして機械にカードをタッチします。「これからは乗車する際は、毎回、タッチしないとダメ」という訓告を受けて、罰金刑は免れたのです。

Reisekort(左) Ukeskort(右)

Reisekort(左)
Ukeskort(右)

キツネにつままれた気分でした。だってだって、観光客とか知らなかったという言い訳は一切、通じないと聞いていたので。
後で聞いたら、900クローネの罰金だそうです。13円で掛けると11700円!!!!

平和なトラムが悪夢に・・・

平和なトラムが悪夢に・・・

今までBillettkontrollは、地下鉄でしか体験したことなかったのですが、トラムでもやるということが新たな発見です。
さらに誤解だったのですが、ukeskortはただ保持していればいいのではなく、乗車の度にパネルタッチが必要と教わりました。

降りるまでドキドキは続き、ようやく目的地に着いた時は「は~」とため息をついちゃいました。
ドジがドジを重ねて、でもなぜか罰金は免れました。でもこれは例外です~。良い子の皆さんは、ちゃんとチケットを管理しましょうね♪

つづく(ええ~~!!)

オスロの語学学校訪問~オスロ旅行記2 2016~

前から「他の人はどんな風に外国人にノルウェー語を教えているのだろう?」と興味はありました。
7月のセレクトレッスン「ワーキングホリデー体験談」を聞いた際に、講師のMさんがオスロでAlfa Skolenという語学学校へ通っていたと聞きました。
ここに行ってみようか? オスロ旅行前に見学を申込み、快く受けれてもらえました。


学校のサイトを見ると、たくさんのコースがあり、それだけノルウェー語を学びたいという人がいるのだな~と羨ましいやら、まぁでもノルウェーだから当然?という気もします。

訪問したのは平日の昼間です。
Alfa skoleはオスロの中心地にあり、さすがの私も道に迷わないほど・・・入口はこんな感じです!

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ちなみに入口でまごまごしていると、いかにも「生徒」という人が入っていくので、私も階段を上がっていきます。
受付で来訪をつげると、案内してくれる先生が授業中ということで、しばらく待っていました。さすが語学学校。壁には、名詞や形容詞の活用表などが掲げてあります!

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夢ネットのノルウェー語教室でもこうした表をたくさん掲げた方がいいのか・・・プチ悩みます。
ロビーや学習室にいる生徒はアジア系が多い印象でしたね。
ようやくとても感じのいいSiri先生がやってきました。ありがちなのですが、どうして私がいるのか説明を受けたなかったようなので、簡単に自己紹介し、外国人向けの語学学校を見学し、どんな授業を行っているのかを見学し、いいと思ったらこれから移住や赴任する私の生徒さんたちに勧めたい、と付け足しました。

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こちらの学校は22人も先生がいるそうです!!!ひ~、日本中のノルウェー語の先生トータル数を余裕で上回っています(比較も虚しいですね)。
生徒は約250人もいるそうです!!!ひ~(以下省略)。
受講資格は高校教育を修了している人で、例えばabcから学ばないといけない人は入れないそうです。

念願の授業を見たい!ということで、一番初心者クラスの教室にこーっそり入らせてもらいました。教室にいる生徒は10人~15人くらいでしょうか。

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先生は大きくはっきりした声で、「今日は何日?」と序数の練習をします。
første, andre, tredje…
あ~~、ここから日常会話を普通に話せるレベルまでは道が遠いけど、でも始めないと一歩も進めないんだよね、と目頭が熱くなります(大げさ?)。
先生が質問すると、みなさんは積極的に発言しています。
ノルウェー語を学ぼうとするモチベーションが違いますよね・・・。

他にとても印象に残ったのは、こちらのホワイトボードです!
PCとネットともつながっていて、例えば先生が”Sykepleie“という単語を言えば、Google画像がぱっとひらきます。なので一目でsykepleie=看護師ということが分かる仕組みです。

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あと先生が書いた文字は、なんか自動的に消えていくしくみだったような・・・この辺は写真撮ってないし記憶もあいまいなのですが、でもでも「びっくりした~!」と感心しきりです。

あまり長居するのもアレなので退室し、Siri先生と合流してさらに質問に答えていただきました。
生徒のほとんどは仕事をしている移民、またはノルウェー人と結婚している配偶者だそうです。
国籍別だと、ポーランドが多かったそうですが最近はスペインフィリピンが増えているとか。サマーコースもあるのですが、そこにはイギリスアメリカからやってくる人が多いそうです。

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学校には昼間、夜間コースもあります。「週末は開講している?」と聞いたら「土曜日はやってます。日曜日も開講したことがあったけど人気がなくてやめました」とのこと。
おお、夢ネットのノルウェー語教室は土日が人気です。早く仕事が終わる国の人は週末をレッスンに費やす必要がないんですね~。

さらに驚いたのは「ノルウェー人以外の先生がいること」でした!
まぁ日本の英会話学校にも、英語圏以外にそれこそ北欧人が先生をやっていることがありますけどね。
ノルウェー人の先生は、オスロ大学で「Norsk som andrespråk」(外国語としてのノルウェー語)を修了した人が多く、外国人の先生は母国で修士などを取った人が多いそうです。
図々しく私も働けないかしらん??なんて皮算用をしてしちゃいましたね~。

働いたり、暮らす上で欠かせないノルウェー語。
勉強する場所や方法はいろいろですが、私自身もノルウェー語を教える者、また学習途中の者として、学校の訪問は興味深かったです!
生徒が250人・・・(夢のまた夢ですね~)。

つづく(やれやれ)

ライブイラストショー!~オスロ絵本を訪ねる旅 8~

2015年9月19日(土)。この日は快晴で暑いくらいでした。
「子どもの本フェスティバル」を覗いてみようと、街中へ行くと、人がたーくさんいます。
ん??? おお、なんと「オスロマラソン」開催日だったんですね。
それはそれで面白いので、見ていたかったのですが、「フェスを覗かないと~」と会場の一つを訪ねてみると・・・
会場の外には、出張ブックショップとワッフルが楽しめるようになっていました。親子連れが目立ちます。

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さて今日のお目当ては「ライブイラストショー」でした。3人のイラストレーターが登場する程度しか分かってなかったのですが、会場の出版社ホールへ向かいます。
中は、やはり親子連れがほとんど(私だけですかね、写真撮りまくっていた怪しい入場者は・・・)。
イベント司会者は若い女性で、3人のイラストレーターが控えています。

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赤いスカートの女性は、ノルウェーで近年、ベストセラーになっている絵本”Bukkene Bruse på Badeland“のイラストを手がけているGry Moursund(グリー・モールスン)さんです。日本では『3匹のやぎのがらがらどん』で知られているトロールとヤギの民話をモチーフにした絵本なんですよね。

どんなことが始まるのだろう?ワクワクします。
3人の紹介から始まり、まずは子どもたちが「描いてほしいもの」をリクエストします。挙手率はここでもハンパない!
最初のリクエストが、Jens Stoltenberg(イェンス・ストルテンバルグ)で苦笑しました。ノルウェーの元首相です。子どものリクエストとは思えない・・・

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さすがプロ。三者三様のイラストを描いていきます。リクエストタイムが続き、今度は3人が「合作」にトライすることに・・・
描いている間、子どもと同じように身を乗り出し、どんなイラストが完成するか楽しみです!

おお、プロとはこうなんだな~と感心。 子どもたちも大喜び!
今度は、子どもたちが前に出て、それぞれ少しイラストを描きます。その時も「わたし/ボク 描きたい!」の挙手率はハンパなかったですね~。

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ここから後は、プロの出番です。子どもたちが描いた気まぐれなイラストを、それぞれ描き足してイラストに仕上げます。
とにかく感心したのは、3人のオリジナルティ。それぞれのテイストで予想できないようなイラストを描き上げていく過程を目の当たりにでき、感激しました!

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子どもたちの挙手や、コメントは活発でしたが、それは司会が上手だったことも関係があったかな、と思いました。
ちょっと的外れだったり、言葉につまる子どもをうまくフォローし、発言することを自然に促す手腕に感心しきり。
このフェスは出版社の共同主催なので、本職の司会ではなく、出版社のスタッフだと思いますが、印象に残りました。

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大いに盛り上がったライブイラストショー。最終的にはかなりの枚数のイラストが描かれていました。
「絵が欲しい人!」と呼びかけ、たくさんの子どもたちが嬉しそうにもらっています。いい大人の私も欲しかったのですが、パッキングのことを考えて断念。

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前述のGryさんは人気イラストレーターなので、サインをもらいにいく子どもたちがいました。

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会場の外に出ると、やはり出張ブックショップがありました。親子連れで熱心に絵本を見ていますね。
あんなすごいライブイラストショーを体験したら、「もっと絵本を読んでみたい」「自分もイラストを描いてみたい」という気持ちになる子どもが多いのではないでしょうか?

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だいぶ、引っ張りましたが(放置ともいう)、これで「オスロ絵本を訪ねる旅」(2015年)は終わります。
訪れた場所は、全て印象深く、点と線がつながった爽快感がありました。なんちゃって取材に応じて下さった皆さまには心から感謝申し上げます~♪

オスロのグラフィティ!

憧れのヨーロッパ。
歴史ある街並みを歩くと、「ん???」と目がそこに集中する先は。。。タギングです。
ノルウェー語でもtaggingというのですが、スプレーで本人のサインやメッセージが描かれているものですね。
そんなに歴史ある街並みではないオスロにも、タギングはちょこちょこあります。

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せっかくの美しい建物が台無し~というタギングですが、昨年、オスロのグルーネルロッカ地区でたくさんの「グラフィティ」を見かけました。
タギングよりは、「アート」を感じる気がするのですけど。まずは、トラムの停車場近くにあったのは・・・

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このモチーフが何であるか分かった方は、ノルウェー通!!そうです、ノルウェーを代表するチョコレート会社FreiaMelkesjolaladeを表現したものですね。
こんな大作をよく描いたな~と感心したのですが、どうも違法だそうです・・・。ということは夜中にこっそり描いたのですか?すごいなぁ。

他にもグルーネルロッカを歩いていると、たくさんのグラフィティに遭遇できます。心霊スポットならぬグラフィティスポットですね~。

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軒並み「大作」のオンパレードです。
ほぼ違法行為だと思うので、描いた人は夜中にこっそり行為に及んだと思うのですが、グラフィティにしてもタギングにしても、自分のサインを残すなど、鹿島茂さんの言葉を借りれば「ドーダ!!」の境地なのかな・・・と想像します。アートスクールの近くにグラフィティが多いことから、美大生が描いたのか?想像はふくらみます。

室内にたくさんの市場が並んでいるMathallen(マートハーレン)近くにも、グラフィティを発見!

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グラフィティは、そもそもヒップホップカルチャーとともに人気となったもので「エッジが利いている」というイメージですが、このグラフィティはちょっと流派が違うような・・・?「抒情」を感じまーす。
他にも異なる作風として・・・

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「描き込み感」があまり感じられません・・・「素朴派」?

ちょっとネットでグラフィティのことを調べてみたら「みんなが合法的に描ける壁」が存在するようです。日本もそうしたところがありますよね~。
冒頭のタギングに話を戻すと、ノルウェーで最初のタギングは第2次世界大戦中、抵抗運動の一環として描かれたようです。
爆発的に人気が高まったのは、80年代のヒップホップカルチャーの波がノルウェーにも上陸してからだそうです。アーカイブオスロのサイトの記事に載っていました

この記事にはオスロ美術館がグラフィティとタギングについて、町歩きをしながら、専門家の解説をしてもらうツアーを主催した様子がレポートされていますが、私もそういうツアーがあればぜひ参加したい!と思っちゃいました~。

これらに触発されて、私も「夜露死苦!」とかタギングしてみるか・・・なんて絶対しません!
捕まって高い罰金払わさるのがオチです。鑑賞に専念しましょうね~。

オスロの団地

先日、日本の新聞で「今、団地に注目」という記事を読みました。
団地を舞台にした映画や文学、マンガが増えている、と。また昔の団地をリノベーションする例もあるようですね。
ノルウェーの「団地」は?と考えてみたところ、まず思い浮かんだのが、drabantby(ドラバントビー)という単語です。
日本語にすると「ベッドタウン」「郊外の町」といった意味でしょうか。

第二次世界大戦後、オスロへたくさんの人々が引っ越してきました。地方では仕事が見つからないからです。
結果、住宅不足が深刻となり、今までなかったタイプの町づくりが進められます。
1950年代からオスロ東南部に、集合住宅=団地が次々と建設され、それらはdrabantbyと呼ばれるようになりました。

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ノルウェー語の語学書やネットで調べるとLambertseter(ランベルトセーテル)がオスロで最初のdrabantbyと定義されているようです。
”Stein på stein”という語学書には、一人の老人が昔を振り返るという体裁で、Lambertseterについて語っています。
「戦後、オスロへ移住し、同じ工場で働く女性と結婚したがひどい住宅不足だった。中心地の一部屋しかないアパートに住んでいたが、Lambertseterに引っ越すことができ、感動した。広く明るい部屋、キッチンとバスルームは専用、セントラルヒーティングまであったんだ!」

テキストからの写真。洗濯機を嬉しそうに見る家族。

テキストからの写真。洗濯機を嬉しそうに見る家族。

当時のLambertseterの様子は、Youtubeになぜかありました。インタビュー中のノルウェー語だと「若い家族が住めるような3部屋、4部屋の住宅と手ごろな価格帯を設定。住宅銀行と協力。当初、お店は一つしかなくて、みんなボランティアで周囲を整備していった。交通の便もほぼなかった」とありますね。面白いのでリンクを貼ります。https://www.youtube.com/watch?v=FfFXGxMb1NM

ちなみに最新のLambertseterの集合住宅広告を見たら、すごーくモダンになっていてびっくりです!
https://www.obos.no/symraterrasse#project

もうちょっとdrabantbyの歴史をネットで探すと1つの興味深い記事がありました(Dagsavisen、2015年11月25日)。
多くのdrabantbyの設計を手がけたのは、Frode Rinnan(フローデ・リナン)という建築家だったそうですが、彼はdrabantbyだけではなく、1952年オスロ五輪の設計にも数多く関わっています。ホルメンコーレンのジャンプ台やビスレットの競技場など・・・。
そしてRinnanは、drabantbyの集合住宅を「3階建までにする」という信念があったそうです。
理由は「妊婦にとって階段をたくさん上るのは大変だから」というもので、その時代にすでにそうした配慮があったのだな~と感心。
ただ朝鮮戦争の勃発後、資材が高騰してしまい、OBOS(オスロ住宅供給センター)が「4階建ての方が安く済む」とRinnanの反対を押し切って4階建住宅を建設したそうです。
他にもRinnanは、drabantbyは「緑豊かで、遊べる場所があること」を重視したとのこと。何よりも住民たちが快適に暮らせることを目指したようです。

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今でもLambertseterはありますし、他にもいろいろなdrabantbyが残っています。
あまり観光客は行かないエリアですよね。
私自身、中に入ったことは一度しかありません。元生徒さんが住んでいる団地は、築50年近くかと思いますが、予想以上に中がきれいで間取りも広かったです!(リフォームはされたようです)
場所にもよりますが、バスや地下鉄は通り、スーパーや医療センター、銀行や子どもたちの公園が揃っていて、そのdrabantby内だけで生活できるエリアも存在します。

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私が「ノルウェーらしい」と感じたのは、ちゃんとテーブルや椅子が置けるバルコニーがあることでしょうか。これは「マストアイテム」なのかもしれませんね。

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観光だけだと行かないエリアかと思いますが、オスロの町の発展を語る上で欠かせないのがdrabantbyだと思います!
日本の団地との比較も面白そうですね~。

補足:ヘルシンキとエストニアのタリンに旅行した際、いかにも「無機質な感じの団地群」を見て驚きました。ロシアに近い方がそういう建物になるのでしょうか??