どうしてもノルウェー語を話そうとしなかったフィンランド人のお話

むかし、むかし・・・もう13年ちかく前のお話しです。
複数の国にまたがる研究調査プロジェクトで、ノルウェー在住のフィランド人と接する機会がありました。
その時点では、フィランドに行ったことはなく、かの国についてあまり知識はありませんでした。

ありふれたヘルシンキの写真

ありふれたヘルシンキの写真

そのフィンランド人研究者は、真面目で優秀な人でした。
ただ、不思議だったのは「ノルウェー語ができるのに、どうしても話そうとしなかった」ことです。
私は英語よりノルウェー語で話しかけても、あくまでも英語でコミュニケーションをはかろうとします。
ノルウェー語ができない人が混じっていれば普通の行動ですが、ノルウェー人・私・彼女の3人の時でも英語を使っていました。
「じゃあ本当は、そのフィンランド人はノルウェー語ができなかったのでは?」と思っちゃいますよね。
でも、私とノルウェー人がノルウェー語で会話していると理解していましたし、さらに私が英語に詰まってノルウェー語で話しかけると内容は分かってました。
あとごくわずかですが、ノルウェー語を話してくれた時もあったのです。
そのノルウェー語は十分に上手なレベルでした。

やはりありふれたヘルシンキの写真

やはりありふれたヘルシンキの写真

当時、彼女の「かたくななまでのノルウェー語拒否」が??状態。あまり理解できなかったんですよね~。
それほどノルウェーが気に入っている様子に見えない。オーストラリアに移住する、といったことは嬉しそうに話していたので「もしかしてノルウェーアレルギー?」と推測しました。

それならば、わかります。
ノルウェーにいる間は「ノルウェー語を話さないと損!」とがっついている私ですが、それでも「ノルウェー語、お腹いっぱい」状態になったことは数知れず・・・。
せっかくノルウェーにいるのに、ノルウェー語に疲れちゃった~、もういいよ~と耳も口も頭も心も拒絶しちゃうんですよね。
特に留学中は、時と場合に応じて観光客に思われた方が楽かな~という状況では「英語で話した方がいいかも」と判断した時がありました。

フィンランド人は、ルックスでノルウェー人と思われるだろうし、当然みんながノルウェー語で話しかけてきたでしょう。
それが平気だった時期を超えて「ノルウェー語、Nei Takk!」になっちゃったのかな・・・?と仮説の仮説です。

今でも、オーストラリアに住んでいるのか?
それとも「やっぱり北欧がいい」と戻っているかも?
ノルウェーに一定期間、滞在している時は、日本を美化してしまう。日本にいる時は、ノルウェーのいいところも悪いところもよく思えてしまう。
私だけでしょうか、そんな心理になるのは。

・・・昨夜、このノルウェーの絵本に描かれた「フィンランド人」を見て彼女のことを思い出した次第です。

ノルウェー人が描くフィンランド人

ノルウェー人が描くフィンランド人

おしまい

ライブイラストショー!~オスロ絵本を訪ねる旅 8~

2015年9月19日(土)。この日は快晴で暑いくらいでした。
「子どもの本フェスティバル」を覗いてみようと、街中へ行くと、人がたーくさんいます。
ん??? おお、なんと「オスロマラソン」開催日だったんですね。
それはそれで面白いので、見ていたかったのですが、「フェスを覗かないと~」と会場の一つを訪ねてみると・・・
会場の外には、出張ブックショップとワッフルが楽しめるようになっていました。親子連れが目立ちます。

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さて今日のお目当ては「ライブイラストショー」でした。3人のイラストレーターが登場する程度しか分かってなかったのですが、会場の出版社ホールへ向かいます。
中は、やはり親子連れがほとんど(私だけですかね、写真撮りまくっていた怪しい入場者は・・・)。
イベント司会者は若い女性で、3人のイラストレーターが控えています。

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赤いスカートの女性は、ノルウェーで近年、ベストセラーになっている絵本”Bukkene Bruse på Badeland“のイラストを手がけているGry Moursund(グリー・モールスン)さんです。日本では『3匹のやぎのがらがらどん』で知られているトロールとヤギの民話をモチーフにした絵本なんですよね。

どんなことが始まるのだろう?ワクワクします。
3人の紹介から始まり、まずは子どもたちが「描いてほしいもの」をリクエストします。挙手率はここでもハンパない!
最初のリクエストが、Jens Stoltenberg(イェンス・ストルテンバルグ)で苦笑しました。ノルウェーの元首相です。子どものリクエストとは思えない・・・

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さすがプロ。三者三様のイラストを描いていきます。リクエストタイムが続き、今度は3人が「合作」にトライすることに・・・
描いている間、子どもと同じように身を乗り出し、どんなイラストが完成するか楽しみです!

おお、プロとはこうなんだな~と感心。 子どもたちも大喜び!
今度は、子どもたちが前に出て、それぞれ少しイラストを描きます。その時も「わたし/ボク 描きたい!」の挙手率はハンパなかったですね~。

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ここから後は、プロの出番です。子どもたちが描いた気まぐれなイラストを、それぞれ描き足してイラストに仕上げます。
とにかく感心したのは、3人のオリジナルティ。それぞれのテイストで予想できないようなイラストを描き上げていく過程を目の当たりにでき、感激しました!

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子どもたちの挙手や、コメントは活発でしたが、それは司会が上手だったことも関係があったかな、と思いました。
ちょっと的外れだったり、言葉につまる子どもをうまくフォローし、発言することを自然に促す手腕に感心しきり。
このフェスは出版社の共同主催なので、本職の司会ではなく、出版社のスタッフだと思いますが、印象に残りました。

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大いに盛り上がったライブイラストショー。最終的にはかなりの枚数のイラストが描かれていました。
「絵が欲しい人!」と呼びかけ、たくさんの子どもたちが嬉しそうにもらっています。いい大人の私も欲しかったのですが、パッキングのことを考えて断念。

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前述のGryさんは人気イラストレーターなので、サインをもらいにいく子どもたちがいました。

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会場の外に出ると、やはり出張ブックショップがありました。親子連れで熱心に絵本を見ていますね。
あんなすごいライブイラストショーを体験したら、「もっと絵本を読んでみたい」「自分もイラストを描いてみたい」という気持ちになる子どもが多いのではないでしょうか?

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だいぶ、引っ張りましたが(放置ともいう)、これで「オスロ絵本を訪ねる旅」(2015年)は終わります。
訪れた場所は、全て印象深く、点と線がつながった爽快感がありました。なんちゃって取材に応じて下さった皆さまには心から感謝申し上げます~♪

ノルウェーワッフル&絵本のイベント@ひるねこBOOKS♪

以前のブログでもご紹介した谷中の癒し系書店「ひるねこBOOKS」にて、6/19(日)にこじんまりとしたイベントを開始しました~。

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店主の小張さんと「ノルウェーワッフルでお客さんを呼びましょう」とたくらみましたが、その作戦は成功!応募開始と同じ日に満席になるというキセキが起きたのです!
ただお店に厨房施設がないので、自宅でノルウェーワッフルの下地、ワッフルマシーン、ノルウェーやスウェーデンに関連したマグカップ、タブレットPC、絵本をパキングしていくとかなりの重さになりましたが、伝道師は「背負う」のが基本なので頑張りました~。

小張ご夫妻がドジでのろまな私を尻目に、準備を進めて下さり、パラパラとお客さんがいらっしゃいました~!
中には40年前にオスロで暮らした経験のある方、ベルゲンに留学経験がある方もいて、私の方がいろいろお話を聞きたいくらいです。
みなさん、11時スタート前に揃ったので、スタートしました!

最初はタブレットPCで、オスロで取材した書店のご紹介をしました~。ブログよりも多めの写真を用意したのですが、「可愛い~」という声が上がります。
他には、ノルウェーの景色や人、食べ物の写真もお見せします。「この食べ物、何だかわかりますか?」という問いに、皆さんが???となったのは「アザラシ」でした~。

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タブレットPCのプレゼンが終わってから、ノルウェーワッフルを焼いていきます。
焼き慣れているのですが、人前で焼くのは緊張します!生地が垂れて慌てたら、すかさず横のお客さんがアシストして下さいました~。
そしてワッフルの1枚目が焼き終わり、ほとんどの方が使ったことがない「チーズスライサー」でbrunost=ゴートチーズ(2種類用意しました)をスライスします。

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Brunostは初めて・・・・という方が多かったので、説明をしました。一口にbrunostといってもたくさんの種類があるんですよね。

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焼きたてのワッフルの上にbrunostといちごジャムを載せて、皆さんは食べ始めましたが・・・
「ヤギなのにくさみがない」「美味しい!」と好評でホッとしました~♪

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何枚か焼いてから、少しずつ絵本の紹介に移ります。

『3匹のやぎのがらがらどん
』のオリジナルであるノルウェー民話”De tre bukkene bruse“をまずは紹介します。
これは普遍的に面白いお話しですよね~。
さらに最近のノルウェー発の絵本と言えば・・・・『キュッパのはくぶつかん』があります!ご存知なかった方もいたので、私が内容を紹介してから順番に回すと、丁寧にご覧になる方が多かったですね~。

再び焼いて、みなさんワッフルタイム。ワッフルマシーンが熱くなるので、どんどん焼ける時間が短く済んでいきます。
11時スタートだったので「いっぱい召し上がるかな~?」と思ったのですが、皆さん、ほどよく食べているので、絵本の紹介を続けます。

ここからは未訳かつ私が大好きな絵本ばかりを紹介しました。
皆さん、熱心に話を聞いて下さるので、お話しする方もやりがいを感じます!
「ただ普通に書店に並んでいるだけだったらば、手を取らないかもしれないけど、紹介を聞いて興味が沸いた」というコメントもいただき、「伝道師」冥利に尽きます~。

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あと残り10分くらいになって「ワッフルをもう1枚焼くのと、絵本の紹介だったらばどちらがいいですか?」と尋ねると「絵本がいいです」という答えでカンゲキしました~。
多分、日本で持っているのは私だけ(?)なユニークな絵本を紹介します。

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・・・とあっという間に1時間半は過ぎ、最後に冗談ぽく「ひるねこさんに『ノルウェー語のしくみ《新版》』をサイン入りで3冊置いていただいているのに、売れないんですよね~」と言ったら、お二人も買ってくださる方がいて感謝感激です!(あと在庫は1冊!)

ひるねこBOOKSさんの店内の雰囲気のせいでしょうか、私も参加者の皆さんもリラックスした日曜の時間を過ごすことができました~♪
また店主の小張さんに営業をして、イベントを開催したいと企んでいるので、よろしくお願いいたしまーす!!

『ノルウェー絵本を訪ねる旅』をサロンでお話しします♪

悪い癖はたくさんありますが・・・書きかけの連載が幾つかありますね。
ノルウェー旅行記まだ終わってないし(スウェーデンに行ったことを書きたーい!)、そして「ノルウェー絵本を訪ねる旅」も途中です(え?もしかして連載の存在自体、忘れてました??)

「ノルウェー絵本を訪ねる旅」の方は次回の「ノルウェーについて学ぶサロン」でお話しいたします!
タイトルは「ノルウェー絵本を訪ねる旅~みんなが幸せになれる絵本づくりのしくみ~」です。開催は5/15(日)!
こちらが告知・お申込みページですので、どうぞご覧ください!⇒http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/kouzaannai2016/kouzaannai2016.htm
サロンでは、今までの連載で書いたことよりもっとたくさんのことをお話しする予定です。
今までブログでつづった内容の中でも、ノルウェーの絵本作家・イラストレーターとして大活躍されているオイヴィン・トールセーテルさんに取材できたのは、素晴らしい体験でした。ブログでは書けなかったことをお話し&写真もお見せしたいです!

オイヴィンさんのアトリエ

オイヴィンさんのアトリエ

他にも、「オスロ中央図書館」の様子や「オスロ子どもの本フェスティバル」については書いてなかったので、その部分は特にお楽しみに!
ブログでもったいぶって解説していなかった「本の買い取り制度」、さらに絵本作家やイラストレーターが、学校の子どもだちと身近な存在になれる「ある制度」についても、お話ししたいと思います。

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おさらいのため、今までの連載↓からお読みになれますのでご覧くださいね♪

1. そもそものきっかけ
2. ユニークな書店
3 出版社訪問
4. 絵本作家アトリエ訪問

昨年9月に、絵本にまつわる人や場所に足を運び、お話を聞き、様々な光景を目撃して「なんでこう全てがうまく循環してるんだろう~」って感心したんですよね。
こんなこと書くのはマジメに恥ずかしいのですが、読み聞かせやイラストショーに参加しているノルウェーの子どもたちの表情を見ながら「私も子どもが欲しかった!」って思っちゃいました(あらゆる面でもうムリなんですけど~)。

子どもたちも印象的でしたが、絵本の作り手側、図書館や書店の人たちと会ってお話しを聞けた時も「う~ん、羨ましいぞ!」を何度、連発したことか。
ノルウェーの絵本は、イラストの「可愛さ」が日本人のセンスと異なるため、なかなか邦訳される機会がありません。

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でもジャンルとして元気がないワケではなく、テーマはもちろん、イラストの方も「チャレンジング!」な作品が多いので、そちらも紹介したいな~と思っています。何冊か実物を持参しますので、ぜひお手にとってご覧ください♪

・・・ということで、ブログでの「絵本を訪ねる旅」はネタばれになるので、一時休載しまーす(実は5月に別の場所でも絵本に関する講演をするので、連載再開は6月以降でしょうか??あ、でも6月も絵本のささやかなイベントをやるのだった・・・)。

他にも・・・ノルウェーは「福祉国家」として知られてますが、実は「文化政策」にも予算を使っている「文化国家」としての側面があることをアピールしたいですね。
子どもが早い段階から、本物の芸術に触れている瞬間に「民主主義」の生育と結びついている、と腑に落ちた瞬間も語りたいです~。

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あ、ブログでは書けない取材裏話&ドジ話もする予定です~(←こちらがメインになりませんように・・・)。
欲張りですけど、ノルウェー語の韻が面白い「言葉遊び」を満喫できる作品のオーディオブックも少しお聞かせする予定ですので、耳でも楽しんでくださいね!

・・・とここまで書いて、人数が集まらないと開講できないのでよろしくお願いいたします!!(最低5名??)