『ノルウェー絵本を訪ねる旅』をサロンでお話しします♪

悪い癖はたくさんありますが・・・書きかけの連載が幾つかありますね。
ノルウェー旅行記まだ終わってないし(スウェーデンに行ったことを書きたーい!)、そして「ノルウェー絵本を訪ねる旅」も途中です(え?もしかして連載の存在自体、忘れてました??)

「ノルウェー絵本を訪ねる旅」の方は次回の「ノルウェーについて学ぶサロン」でお話しいたします!
タイトルは「ノルウェー絵本を訪ねる旅~みんなが幸せになれる絵本づくりのしくみ~」です。開催は5/15(日)!
こちらが告知・お申込みページですので、どうぞご覧ください!⇒http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/kouzaannai2016/kouzaannai2016.htm
サロンでは、今までの連載で書いたことよりもっとたくさんのことをお話しする予定です。
今までブログでつづった内容の中でも、ノルウェーの絵本作家・イラストレーターとして大活躍されているオイヴィン・トールセーテルさんに取材できたのは、素晴らしい体験でした。ブログでは書けなかったことをお話し&写真もお見せしたいです!

オイヴィンさんのアトリエ

オイヴィンさんのアトリエ

他にも、「オスロ中央図書館」の様子や「オスロ子どもの本フェスティバル」については書いてなかったので、その部分は特にお楽しみに!
ブログでもったいぶって解説していなかった「本の買い取り制度」、さらに絵本作家やイラストレーターが、学校の子どもだちと身近な存在になれる「ある制度」についても、お話ししたいと思います。

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おさらいのため、今までの連載↓からお読みになれますのでご覧くださいね♪

1. そもそものきっかけ
2. ユニークな書店
3 出版社訪問
4. 絵本作家アトリエ訪問

昨年9月に、絵本にまつわる人や場所に足を運び、お話を聞き、様々な光景を目撃して「なんでこう全てがうまく循環してるんだろう~」って感心したんですよね。
こんなこと書くのはマジメに恥ずかしいのですが、読み聞かせやイラストショーに参加しているノルウェーの子どもたちの表情を見ながら「私も子どもが欲しかった!」って思っちゃいました(あらゆる面でもうムリなんですけど~)。

子どもたちも印象的でしたが、絵本の作り手側、図書館や書店の人たちと会ってお話しを聞けた時も「う~ん、羨ましいぞ!」を何度、連発したことか。
ノルウェーの絵本は、イラストの「可愛さ」が日本人のセンスと異なるため、なかなか邦訳される機会がありません。

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でもジャンルとして元気がないワケではなく、テーマはもちろん、イラストの方も「チャレンジング!」な作品が多いので、そちらも紹介したいな~と思っています。何冊か実物を持参しますので、ぜひお手にとってご覧ください♪

・・・ということで、ブログでの「絵本を訪ねる旅」はネタばれになるので、一時休載しまーす(実は5月に別の場所でも絵本に関する講演をするので、連載再開は6月以降でしょうか??あ、でも6月も絵本のささやかなイベントをやるのだった・・・)。

他にも・・・ノルウェーは「福祉国家」として知られてますが、実は「文化政策」にも予算を使っている「文化国家」としての側面があることをアピールしたいですね。
子どもが早い段階から、本物の芸術に触れている瞬間に「民主主義」の生育と結びついている、と腑に落ちた瞬間も語りたいです~。

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あ、ブログでは書けない取材裏話&ドジ話もする予定です~(←こちらがメインになりませんように・・・)。
欲張りですけど、ノルウェー語の韻が面白い「言葉遊び」を満喫できる作品のオーディオブックも少しお聞かせする予定ですので、耳でも楽しんでくださいね!

・・・とここまで書いて、人数が集まらないと開講できないのでよろしくお願いいたします!!(最低5名??)

絵本作家アトリエ訪問! ~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 4~

オスロの絵本を取り巻く環境の旅・・・外せないのは「絵本作家のアトリエ訪問」! パチパチ~。
訪ねてみたい人はたーくさんいます。でも日程的にオスロ在住の作家で絞りました。
ということで、「1」で挙げたHullet“『の作者Øyvind Torseter(オイヴィン・トールセーテル)さん。

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さらに昨年夏、東京都美術館の企画展「キュッパのびじゅつかん」で来日した作者のオーシル・カンスタ・ヨンセンさんの妹さんのMari Kanstad Johnsen(マーリ・カンスタ・ヨンセン)さんが浮かびました。2人とも訪問したいメールを送ると、ご快諾の返事。。ノルウェー人、優しいわ~とアトリエ訪問は決まりました。

まずはオイヴィン・トールセーテルさんのアトリエから。オスロ郊外の集合住宅を、アーティストたちで共同で借りているそうです。
かなり図々しい私ですが、訪問前は緊張しました。というのもオイヴィンさんは人気、輝かしい受賞歴、多くの作品が翻訳とまさに現代ノルウェーを代表する絵本作家兼イラストレーターです。そんな人をド素人が訪問していいのか・・・と。しかーし、オイヴィンさんは場所が分かりにくいから、とわざわざ建物の入り口で待って下さっていて感動~。中は無味乾燥な建物ですが、アーティスト集団が借りているフロアでオイヴィンさんのアトリエに入ると・・・。広い、日当たりいい、雑然としてません。

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イラスト同様、きっちりした人柄がしのばれました。
オイヴィンさんとのやりとりを抜粋します。

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-まず絵本作家・イラストレーターになるまでのバックグラウンドを教えてください。

「小さい頃からマンガが大好きでした。最初はみんなと同じ”ドナルド・ダック”だったけれども徐々にフランスの”タンタン”シリーズに触れて惹かれました。絵を描くのが大好きで、ともかくひたすら描きつづけてました。僕は田舎の美しい自然と農園に囲まれ育ちましたね。大きくなるにつれ、もっと広い世界に憧れ、オスロとロンドンで絵の勉強をしました。」

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-とても売れっ子ですが、どんなスケジュールでお仕事をされているのですか?

「月曜から金曜まで9時から15時まで働き、週末は休みます。」

-え?そんな会社員的なスタイルで・・・??(衝撃)

「小さい子どもが3人いますから、家族との時間は大事ですね。その決められた時間の中で、集中して仕事します。」

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グロー・ダーレさんがオイヴィンさんのことを誉めていたのですが・・・。

「ああ、彼女は本当に素晴らしい絵本作家ですね。尊敬しています。」

-そのグローさんはよく学校で読み聞かせなどを行っているそうですが、オイヴィンさんも子ども向けのワークショップはやりますか?

「やはり小学校や他の場所でワークショップや読み聞かせをやりますよ。絵をいきなり描いて、というのは難しいのでスタンプを用意してそれを押してもらってイラストに発展させたり、まずはペンのしみを作ってから絵を描いていく方法を見せると、子どもたちは夢中になりますね。」

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オイヴィンさんは私にその方法を披露してくれたのですが、瞬く前におしゃれなイラストになっていきます!
大人でも感動。子どもだったら、目の色変わってしまうでしょう。
それにしても、こんな素晴らしい絵本作家が小学校に来てくれるなんて、ノルウェーの子どもたち、恵まれ過ぎです!

ボクはカエル

ボクはカエル

他にも”Hullet”の真ん中に穴を入れたアイディアや好みのイラスト、大事にしているスタイルなど伺ったり、たくさんのスケッチブックやコラージュ集を見せてもらいました。温和なオイヴィンさんと接していると緊張が解けました。

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さて別の日。その日は雨でした。グルーネルロッカ地区に、やはりアーティスト共同のアトリエで仕事をしているマーリ・カンスタ・ヨンセンさんを訪ねます。
マーリさんがフェミニンなワンピースを着ていたことにまず驚きました。普通、ノルウェーの女性はカジュアルなパンツスタイルが多いので・・・。

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共同アトリエのキッチンに腰掛け、早速、お話しを伺います。やりとりを抜粋しますね。

-マーリさんの姉オーシルさんは「ベルゲンへの愛着」をおっしゃっていましたが、これまでのバックグラウンドを教えてください。

「私もオーシルと同じ、ベルゲンで生まれました。父がグラフィックデザイナーで幼い頃から、絵を描くのが好きでした。大きくなってまずは服飾デザインの勉強から始め、オスロの国立芸術大学でビジュアルデザイン学科へ進学します。それから2年間、ストックホルムの芸術大学の修士課程でイラストレーションの勉強を続けました。」

共同アトリエ

共同アトリエ

-オーシルさんはベルゲンで制作活動をしていますが、マーリさんはオスロで活動していますね。

「はい。ストックホルムから2011年にノルウェーへ戻り、最初はベルゲンに住んでいましたが、オスロへ引っ越してきました。でも将来的にはベルゲンで仕事をしたいです。」

-今までの作品について教えてもらえますか?

「出版した絵本は10冊です。2冊はテキストとイラストの両方、2冊はテキストのないイラスト本、残りの本はテキストは別の作家でイラストのみ担当しました。もうすぐMagikonから新作”Tunellen”が出版されるので楽しみです。他には、雑誌、新聞、他の媒体でイラストを描いてきました。」

絵本の数々

絵本の数々

-オイヴィン・トールセーテルさんは、月金9-15時、週末休みというスケジュールで仕事をしているそうです。マーリさんはどうですか?

「そこまでかっちりとは決めていないですが、大体、同じ感じですね。たまに遅くまで仕事をすることはありますが、週末は休みます。」

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-今までテキストも手がけた作品は2冊ですが、もっとテキストを書きたいという希望はありますか?

「はい、ありますね。もちろん絵を描くのは大好きでいつもスケッチブックを持ち歩いていますが、テキストを書くことも同じように好きで挑戦したいです。」

-私の印象なのですが、ノルウェーの絵本作家やイラストレーターの人たちは仲がいいですよね。

「その通りです。イラストレーターの協会があり、お互いの交流が活発で仲良し。励まし合ったり、刺激しあえる仲ですね。」(注:実はマーリさんは私がオイヴィンさんを訪問したことを知ってました!)

それから今までの絵本を並べて頂いたり、スケッチを見せて頂いたり、他のアトリエ仲間を紹介していただきました。不審な侵入者を「いい意味でほっといてくれる」ので気楽です。

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他にも制作の際に大事にしていること、インスピレーションの源など興味深いお話しを伺います。そして気になる発言が・・・

ノルウェーでは”本の買い取り制度”があるからフリーランスでも安心して仕事ができる。」

Magikon社Sveinさんも口にされていた「本の買い取り制度」が、マーリさんの口からも出てきます。

鍵をかける順番が描かれたドア

鍵をかける順番が描かれたドア

ホントはこの回で解説をしたかったのですが、もう書きすぎたのでまた別の機会にしまーす。

帰国後に、マーリさんの最新作”Tunellen”(トンネル)をいただいたのですが、前作とイラストのテイストが異なっていて驚きました。
マーリさんのイラストは作品によって、かなりテイストが変わるので、それはそれで楽しいです。

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NB!マーリさんは、3月の「ノルウェー文学セミナー」の「児童文学セミナー」にスヴェインさんとともに登壇されます!もう申し込まれましたよね??詳細とお申し込みはこちらから

つづく(と願いたい)