若者たちと選挙 in ノルウェー

在日ノルウェー人が驚くことの一つに「選挙カー」があります。お約束のように「あのうるさい車は何なの?」と聞かれますが、日本人としても答えに窮しますね。
しかし、あれだけ違和感を覚える理由が分かりました!

9月の渡ノル時。オスロ随一のメインストリート、カールヨハンをぶらぶら歩いていると、若い子たちがたくさんいるのが目につきました。そして通りには、小屋?オープンスペース?みたいなものが置かれています。そこにはノルウェーの政党名が書かれて、若者たちは立っている人と会話をしていました。

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ちょうどノルウェーの地方選挙投票日を数日に控えた日だったので、「ああ、これか~」とピンときました。
ノルウェーでは18歳から選挙権があるのですが、若いうちから政治意識を持たせようと、学内・学外で活動を行っています(20の自治体では、16歳から選挙権あり)。
学校選挙」はその代表的なものですね。高校で、本番の選挙(国政、地方、国民投票)前に選挙を行うのですが、結果は大体的に報道され、実際の選挙に影響を与える力があります。政治家たちは学校を訪れ、生徒たちとディベートを行うのも「普通のこと」。

そして、私が実際に目にした光景は「Skoletur」=学校のツアーと呼ばれる活動です。
・・・って知ったかぶりで書いちゃいましたが、実は私も若い子たちに紛れて、各政党の小屋を周って「あの子たちは?」と質問して教えてもらったのです。
てっきり高校生かと思いきや中学生!!ほ~、エリート教育にあまり縁がないノルウェーですが、政治参加に関しては「早期エリート教育」を行っているのですね!

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中学生たちはノートを持ち、いろいろと質問をしていました。その姿を見ていると、質問する側も答える側もいろいろな肌の人が、改めてノルウェーとって移民系の存在は、ごく日常に溶け込んでいるのだな~と実感します。
置いてある政党のパンフレットは、ノルウェー語・英語以外の言語にも対応していました。お金はかかるけど、必要なことですよね。

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私も若い子たちに交じって、政党の人たちにHei!と近寄ります。すると「どこの地区で投票するの?」と聞かれるのですが、「実は観光客で、投票はできない」と説明しました。それでも「質問したいことがあるんだけど・・・」と続けると、快く応じてくれるノルウェー人たち!
例えば移民に厳しい進歩党(Frp)では「シリア難民について」、緑の党では「同じく環境政策を訴える自由党との違い」などもっともらしく質問をしましたが、投票権もない私に熱く政策を語る、語る!!

移民に厳しい進歩党のキャンディー。EU圏外国籍なので怖くて手が出せません

移民に厳しい進歩党のキャンディー。アジア人は遠慮しました・・・

説明する側は、大人も若い人もいます。特に印象的だったのが、労働党(Ap)のスペース。質問に答えてくれた女の子で、労働党青年部(AUF)のメンバーとのこと。
2011年の大量テロでAUFのメンバーは多数、犠牲となりましたが、どんどん新しい人が活躍しているのだな~と感慨深かったです。
説明する側も若い人だと、中学生や高校生の質問や問題意識を理解し、共感できるのではないでしょうか。

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投票日前の土曜日に、やはりカールヨハン通りを歩いていたら、テレビ局の仮設スタジオが出没し、ソールバルグ首相とストーレ労働党党首がいてびっくりしました!あまりに、距離が近くて写真をパチリ!

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政党のスペースも、首相もストーレ党首も、私が歩いている道と同じ高さ、同じ目線に存在していました。
このスタイルの政治活動だと、気軽に質問を投げかけたり、意見を求めることができますね。ノルウェー人の「民主主義」という言葉への強いこだわりが「バリアフリー」の政治活動スタイルとして実践されている、と感じました。

来夏から日本でも18歳から選挙権を持つようになりますが、主権者教育の在り方などどうなっていくのでしょうか?
カールヨハンを歩きながら、たくさんの刺激をもらいながら考えちゃいました。