レッスンにノルウェー人ゲストが遊びに来てくれました!

2007年からノルウェー夢ネット主催のノルウェー語レッスンを開講していますが、今まで生徒さん自身のノルウェー人家族や友達、恋人を連れてきてくれました。
来てくれるノルウェー人も「日本でノルウェー語レッスン?」と興味がある様子。
こちらももちろん「Velkommen!」の姿勢です。

先日も、生徒さんのノルウェー人の恋人が遊びに来てくれました~。
現在、トロンハイムにあるNTNU(ノルウェー科学技術大学)の学生Torkel(トルケル)さん。日本の大学に交換留学経験があり、同じキャンパスで生徒さんと仲良しになった次第だそうです。

NTNU

NTNU

午前の早い時間で、ほぼ寝起き状態だったようですが、せっかく来て下さったのでこちらもどんどんレッスンに参加していただきます!(ギャラなし~)

毎回、レッスンの始めはテーマを決めて、ノルウェー語で意見を言い合うのですが、その日のテーマは”engelsk“(英語)。
来日したノルウェー人は「どうして日本人は、英語があんなに苦手なの?」と驚き、質問されることが多いので、聞かれた場合を想定して答えを考えます。
Torkelさんにも「どうして日本人は英語が苦手だと思う?」と振ってみたら、「日本語と英語の違いは大きいからね。ノルウェー語と英語の差はそれに比べれば少ないし。」と的確な答え。やはり留学経験がある人は違います!
さらに「ノルウェーはテレビも吹き替えじゃないし、音楽でもたくさん英語に触れている」と伝えてくれます。

テキストの音読をしていただいた後は、私を筆頭にみなさんでTorkelさんに質問コーナーが開始しました!
「名詞の性や形容詞の変化を教えると、よく”ノルウェー人はどうやって覚えるんですか?間違えないんですか?”って質問されるんですけど・・」
「名詞の性は間違えると、ヘンな風に聞こえるよね。もちろん文法の規則はあると思うけど知らないし、自然と覚えていったよ。形容詞の変化は、小さかった頃、間違えたりすると、親にその場で直してもらって覚えていったかな。」
そうなんですね~、羨ましい!

「ノルウェー語は前置詞の使い方で間違えることが多いのですけど、ノルウェー人は間違えないの?」
「間違えることはあるけど、でもこれも自然に覚えていくことだね。よく外国人は間違えるから、”外国人ノルウェー語”をマネする時に、わざと間違った前置詞を使うんだよ。」
はは、日本人も「外国人風の日本語のマネ」ってやってますけど、いずこも一緒ですね~。

生徒さんからも質問が出ます。
「rとl、bとvの発音は日本人は区別が苦手だけど、間違えると変だと思いますか?」
「欧米圏の人たちは、rとlの区別ができるから問題は少ないよね。だけど、日本人とか他のアジア圏でもrとlの区別が苦手な人たちが話すノルウェー語で意味がわからなくなることはあるかな~。bとvはそんなに気にしたことないけど。」

他にも「iとy、oとu」など区別が難しい音、さらに恐怖のøの発音についても、にぎやかに話が進んでいきました~。

・・・ここまではノルウェー語に関連した話ですが、どんどん「ノルウェー事情」おもに「恋愛事情」にまで発展させたのは、芸能レポーターのアオキです!

「ノルウェーに住んでいる友達から聞きましたが、学生時代にパートナーを見つけないと、その後で見つけるのは難しいってホントですか??」
「確かに。働き始めるとなかなか恋人を見つける機会がないかも。大学ではたくさんイベントやパーティがあるから、そこで恋人を見つけてそのまま・・・ということが多いね。」
「日本だと、職場結婚みたいなパターンがありますけど。会社だと飲み会もあるし・・・」
「ノルウェーだと職場で見つけるということは、殆どないかな?飲み会もないし。だから社会人になってパートナーがいないと、結構、積極的にパーティやイベントに顔を出している人もいるよ。」とのこと。
はい、ノルウェーの会社の様子が目に浮かびます。就業時間になったらさ~っと帰っていきますもんね。

13410489_731729860302075_820741242_o

他にも、Torkelさんの出身であるBærum(バールム)についても質問してみました。
「Bærumは、ノルウェーでも有数のリッチなエリアだけど、男の子はやたらと体を鍛えるのが好きだって本当?」
「そうそう。男子だけじゃなくて女子も”kroppspresset“(身体に対するプレッシャー)があるエリアなんだ。男子は鍛えた体、女子はスリムであることが大事。」
「他にもBærumは、中高生でもブランド品のバッグとか持っているみたいだね。」
「”正しい”洋服や持ち物があるんだ。他にも、Bærumは”全てが完璧”を求めるエリア。学校の成績やスポーツ、ルックスや恋愛に関してもね。」
成功した親が多い地区なので、子どももそれに倣わなくてはならない・・・。「失敗が許されない土地柄」と言えるでしょうね。
その割に、全然、スノッブな感じがしないTorkelさん!やっぱりそこはノルウェー人と納得です~。

NRK(ノルウェー国営放送)で評判のドラマ”SKAM“では、オスロの高校生のパーティシーンが描写されてますが、「メイクも服も気合入りすぎ!」とおばさん、腰を抜かしそうです。厳しい「生存競争」が実はノルウェーにもあったということでしょうか??

いずれにしても、いつものノルウェー語レッスンとはまた違って、みなさん興味深そうにされていたのが良かったです!
Torkelさん、また遊びに来て下さいね~♪

ノルウェーの大学生を支えるお金のサポート

今まで会ったノルウェー人に、「ノルウェーではみんなが教育を受けるために”平等な権利”があるんだよね~」と聞くと、「もちろん」と判を押したように答えるのがもはや「様式美」。さて、「平等」が大好きな国民性。どこまで平等を徹底させるのか、主に「経済的サポート」から迫ってみたいと思います。

ご存知の方は多いかと思いますが、ノルウェーは小学校から大学とカレッジ(国立)の学費は無料です。私立カレッジは数が少ないので、国立に進学する学生の方が一般的です。
学費を無料にしているのは、「勉強を受ける権利を平等にするため」という背景がありますが、それだけでは十分ではないようです。
ノルウェーでユニークなのは「学生ローン」制度でしょう。

ノルウェー語では、Lånekasse(ローネカッセ)と呼ばれる国の「学生ローン」。
知っているようで知らない存在だったので、ノルウェー科学技術大学(NTNU)から東京大学に交換留学中のMarino君にいろいろ聞いてみました!(Marinoはノルウェーではレアな名前ですが、ノルウェー人です。ちなみに数学専攻のバリ理系です。)

5/29の「ネイティブによる発音練習」の先生です!

5/29の「ネイティブによる発音練習」の先生です!

-学生ローンを利用している学生は多いですか?

「ほとんどみんな利用している、と言えますね。ものすごく収入がある、とてつもない財産がある学生は申請資格がありませんが、ごく例外的です。」

-申請手続きは難しいのですか?

「とてもシンプルです。サイトから必要事項を入力し、結果は2~3日後にもらえます。」

-毎月、どれくらい借りることができるのですか?

「8月と1月は新学期がスタートする月なので、約2万クローネ(約27万円)を借りれます。他の月は約7500クローネ(約10万円)です。」
(注:正確な数字はこちらのページをご参照ください。

-学生ローンは「ローンなのに返済不要の奨学金になる」と聞いたことがありますが・・・

「はい。試験に及第したら、4割が奨学金、6割はローンになります。試験結果の良し悪しに関係なく、及第させすれば大丈夫です。ただし、留年してしまったらばもう学生ローンからお金は借りることはできません。」

-あと「学生ローン」のHPに、両親との同居か否かも関係あると書いてありました。

「両親の家に同居していると、100%ローンのままですね。」

-HPで驚いたのは出産した学生には49週の「出産奨学金」、子どもがいる学生には「扶養奨学金」が支給されると書いてあり驚きました。(扶養奨学金は収入に応じて条件が異なります)

「大体、大人の学生が対象ですね。ノルウェーでは就職してから、再び自分の資質を高めるために大学に戻ってくることはそんなに珍しくありませんから。」

-この学生ローンは学士、修士課程で受けられるのですか?

「そうです。ノルウェーでは修士課程まで進むのがどんどん一般的になっています。ただ博士課程は、もうお給料がもらえるので対象外ですね。大体、40万クローネくらいだったかな・・・(約540万円)。」

ゲレンデで楽しむ学生生活

ゲレンデで楽しむ学生生活

-留学する学生もどんどん増えているようですね。

「そうですね。特に学生ローンから、旅費補助が出ます。僕のようにアジアに留学した場合は大きなサポートですね。」
HPによるとアジアまでの旅費補助は、奨学金が13272クローネ(約18万)、ローンが5688クローネ(約7.6万円)、計18960クローネ(約25.5万円)です。

-ちなみに日本の大学の学費は払っていますか?

-「僕の場合は、協定校への留学なので学費は無料です。日本は物価が安いし、とても助かっています!

-ノルウェーに話を戻しますね。こんなに補助があっても、それでも生活費は足りませんか?

「正直、学生ローンだけでは難しいです。特に家賃が高いですね。僕はトロンハイムの学生寮に住んでいますが月4500クローネです(約6万円)。オスロはもっと高いから、アルバイトをしている学生が多いです。特に夏のアルバイトは人気ですよ。」

-もう1月に夏休みのアルバイト広告が出ていて笑ってしまいました。

「どんどん募集が早くなりますね。高校生や大学1年生くらいは、バイト先はどこでもいいという感覚です。でも学年が上がると、将来、就職したい会社や組織での夏のアルバイトを狙う学生が多いですよ。そうやって、一種のコネを作るんです。」

-学生ローンがいろいろ充実しているのは分かりました。でも将来、返済しないといけませんよね。それは大変ではないですか?日本では社会問題化しています。

「学生ローンは国のローンで”安心感”が強いです。普通に就職すれば、大体10年くらいで返済できるので、借りることにあまり不安はありません。」

ノルウェーの大学です!

ノルウェーの大学です!

-ノルウェーでは「教育を受ける平等な権利」が尊重されていますが、「学費無料」と「学生ローン」が支えているのですね~。

「そう思います。学生ローンはとてもいい制度ですね。日本に留学していろいろな国の学生と話していると、自分がノルウェーに生まれて、とても恵まれていると感じました。」

・・・マリノ君のように留学するとノルウェーのいい面、そして良くない面がより分かってくるのでしょうね。こと教育サポートシステムに関しては、ノルウェーの方に軍配が上がりそうです。