社内研修でノルウェーの講演をしました!

日頃、ノルウェーや北欧に関心がある人に囲まれていますが、全く別分野で仕事をされている人たち向けに講演をしました。
いや~、新鮮でした!
きっかけは4月に放送されたテレビ番組「報道ライブInsideOut」。ノルウェーが幸福度世界一に選ばれたことで、番組に出演することができました(過去ブログはこちらから)。
その番組をご覧になっていた方から「うちの会社の社内研修で講演をしませんか?」とお問合せをいただきました。え??びっくりです~。
しかも、北欧業界とは無縁の調剤薬局事業を行っているフォーラル社さんです。

番組中の発言「すみませんよりありがとうを使うノルウェー人」のくだりに興味を持って下さったとのこと。
薬剤師や介護士さんなど医療従事者は、真面目で高い理想を持って働き始めますが、日々の業務で疲弊し、幸福感が感じられないようになってしまう・・・とお聞きしました。
社内研修での講演依頼は初めてです~。

そして講演当日の7月8日。タイトルは「幸福度世界一~ノルウェーに学ぶ幸せの循環とは?~」です。
社内研修に集まったのは40人ほどの薬剤師の方々。冒頭「ノルウェーや北欧に行ったことがある人はいらっしゃいますか?」の問いに、スウェーデンに行ったことがある人が一人(後ろで手を挙げた人がいたのですが見落としてました・・・・しかもノルウェーに行かれた貴重なお一人でした~。)。
ノルウェー?いきなり言われても、ピンとこないですよね。それを意識しながら講演を始めます。

講演中です

ノルウェーの基本データ、様々なランキングが示すノルウェー(世界一暮らしやすい国、お母さん・子どもに優しい国、男女平等、報道の自由度、そして幸福度世界一)、主な福祉施策(大学まで学費無料、医療制度、年金や育休など)。
ぷちとりっぷ気分を味わえるように、写真を多く見せしながら、話を進めます。
また本職がノルウェー語講師なので「ノルウェー語から読み解く国民性」コーナーを設けました。
ノルウェー人を理解するキーワードの最初は・・・

Takk!

ノルウェー人がこよなく愛する「ありがとう」という単語です。私が発音した後、皆さんが復唱します。
「すみません」より「ありがとう」が好まれる背景を軽く解説しました。

Takkを使った会話例(
テキストより)

トータルで9つの単語(+ことわざ)を選んだのですが、初めてとは思えないほど上手に発音されて感激です!

これらの単語をイメージできる写真をお見せしながら、さらに解説を加えます。ノルウェー人の「Takk愛」「残業しない精神」「オンオフの切り替え」「自立へのこだわり」が印象に残ったようで、納得でした~。

友だちが働く会社。金曜午後のコーヒータイム。

私自身のお話もしました。
オーロラツアーがきっかけでノルウェーが好きになり、会社勤めをしながらノルウェー語の勉強を開始。憧れが募り、会社を辞めてノルウェー留学。
4回の長期短期留学を経て、2000年に「ノルウェー夢ネット」をYoko管理人と立ち上げ・・・・はご存知の方もいらっしゃると思います。そこから現在のフリーランスでノルウェー語の仕事に携わるようになった紆余曲折の道を振り返ります。思えばノルウェー色に染まったほぼ半生!我ながらびっくりです~。

最後に、少しでも「幸せなノルウェー人に近づくには?」と実行できそうな大小の行動を提案しました。
ノルウェーや北欧の福祉とか視察した人たちは「ノルウェーや北欧は素晴らしい。でも日本では無理」と諦めてしまうことが多いのが、残念!と思っていました。「では明日からノルウェー方式で16時には、速やかに帰宅しましょう」は無理ですよね。でも、何かできることから始めていただきたいなぁっと。

薬剤師の皆さんは、真剣に耳を傾けて下さり嬉しかったです。
講演後はグループごとにディスカッションをされ、講演のコメントと私との質疑応答がありました~。まさに社内研修です!

質疑応答!

質疑応答!!

熱心な質問ばかりだったので、1を聞かれて100でお答えした気がします・・・(話が止まらない・・・)。
研修は終わり、レストランで催された懇親会にも参加しました。

講演会だけだと一方的な発信で終わりますが、たくさんの方と言葉を交わすことができて、本当に有意義でしたね~。
調剤薬局で働く薬剤師というと「優雅」なイメージなのですが、それは素人想像にすぎなかったようで、私の方からもいろいろ質問しました。

懇親会のビュッフェ

同社の調剤薬局では、地域向けの健康セミナーなども積極的に行っているとお聞きし、ひたすら感心です。

皆さんの言葉で、印象深かったものは・・・
日本語の”ありがとう”や”ありがとうございます”より”Takk!”は簡単かつ気軽に言える
鋭い指摘です!シャイで人情に薄いノルウェー人。Takk!という簡単な言葉だからこそ、感謝を頻繁に伝えることができると思いますね。
他にも
ダラダラと残業ありきで仕事をする癖がついてしまったから、もっと時間を意識して仕事をしたい
オンオフの切り替えで、もっと自分の時間を楽しみたい
ノルウェーに行きたくなりました!
ノルウェー好きなのがよく伝わってきた
会社辞めてノルウェー留学なんて大胆!青木さんの性格に興味がある」などなど・・・。
締めの挨拶でも「今までノルウェーについて考えたことがなかったですけど、今日はいいきっかけになりました」というお言葉。もう納得すぎて納得です!

お気に入りの1枚

幸福度世界一に選ばれたことをきっかけに薄日が当たった(かもしれない)ノルウェー。
でも世間的には、まだまだ知られていない国です。
でもでも、ノルウェーの紹介や発信を続けていけば、日本人の生き方・働き方に何らかのヒントをくれるのでは?と願いつつ、皆さんとお別れしました。
貴重な機会を下さったフォーラル社さんにTakk!です♪

ノルウェーの方が進んでいる??

ノルウェー語やノルウェーを生業にしてるのに「ホント、ノルウェーって○○ですよね」とおちょくることが多いです。
しかーし、ここ数年「日本の方がいろいろガラパゴス化してないかい?」とノルウェーに行ったり、ノルウェー人と話す度に感じることが増えました。

以前、ブログで登場してくれた留学生のMarino君も「日本はテクノロジーが進んでいるイメージなのに、いろいろ古臭かったり不便が多くて驚いた」と話してましたね。
現在、オスロ大学に留学中のYさんも「こちらでは、講義に使ったパワーポイントや講義の予定がポータルサイトから確認できるので、予習や復習に便利です」と教えてくれました。

ほぼ現金を使わないカード社会ネットバンキングの普及、フリーWifi環境の充実などは、その筆頭でしょうか。
「日本では、ネットバンキングでハッキングや詐欺事件があって、私は怖くて使っていない」と言ったら、スマホすら持っていない80歳のアウドさんに「こんな便利なものを使わないの?」と化石を見るかのような反応でした・・・。カードしか使えない自動販売機を見たのも、ノルウェーの方が早かったです(日本にあります?)。
現金を持ち運ぶのは不便とばかり、スマホケースにカードを何枚か入れて行動するノルウェー人。お金を呼び込む長財布信仰は当然ながらありません・・・!

あと空港の自動チェックインは、ノルウェーの方で先に使いました。最初は「こんなのできな~い」と抵抗感ありましたが、慣れれば簡単ですね。長蛇の列に並ぶこともなくなりました。9月にオスロ空港を使った際、LCCのNorwegianは荷物のドロップインもセルフサービスになっていてびっくり!もうどんどん「効率化」していくな~と感慨深いです。日本のLCCもそうなんでしょうか??

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ノルウェーの郵便局は、ポストに届かないものは配達してくれないので自分で取りに行かないといけません。
留学中はずーーーーーーっと不便!と思ってましたが、スーパーに郵便局が入ったり、または地下鉄の駅に荷物を受け取るロッカーを発見し、昔よりは利便性は改善しているようです。

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日本では、宅急便や郵便局の再配がドライバーにとってかなりの負担で問題になっていますよね。
当初のサービスが低かったノルウェーなので、今では便利に感じてしまいます。

あとはよくお世話になっているノルウェー中央統計局(SSB)のサイトでも思うところはあります。トップページはこんな感じです。

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よりじっくり眺めたい方のために、こちらからトップへリンクを貼ります。
まず上に、人口、国民一人あたりのGDP、失業率、消費指数、移出民・移民の差異数というキーとなる数字がイラストとともに目立っています。
あとは検索キーワードA-Åがやはり上段に配置され、こちらもわかりやすいです。
すっきりしていて、目的にたどり着きやすくできている~と感心。
翻って日本の統計局のサイトのトップページは・・・まずはごっちゃり感にびっくり!
こちらからトップページをご覧ください。

う~ん、人口など基本的データはトップからわかりますが、あまりに情報量が多くて、わかりにくいです(夢ネットHPのトップもごっちゃりしてますけどね~)。
でも、かなりの時間をかけた労作には違いないので、問題は「アウトプットの方法」でしょうか(それともセンス?)

さらにさらに・・・ノルウェー語を教えたり、または勉強途中の身としては、ノルウェーのテレビが全部ではないですが、ネットでかつ無料で観られるのはありがたいです♪(Youtubeに非ず)
NRK SUPER(こども番組専用チェンネル)は、たくさんの番組が見放題!こちらのURLです⇒http://nrksuper.no/
ノルウェー語レッスンでは「なるべくラジオとかテレビに触れるようにしてください」と生徒さんたちに言っています。
こちらのチャンネルでは「ポケモンGOの攻略法」番組だったり、「ニュース番組」を分かりやすいノルウェー語で説明してくれるので、学習者には嬉しいですね。
せっかく制作した番組なんだから、より多くの人(奇特な日本人だったり)に届けたいという工夫は、随所に感じられます。

ネットの利便性やオープン性を活用しているのは、やはり以前のブログで紹介した「刑務所のネットショップ」も忘れられません!
Halden(ハルデン)刑務所の受刑者たちが作った製品のネットショップは、健在です~。こちらからどうぞ

jobbe effektivt=「効率的に働く」を自負するノルウェー人。
以前は「それって単に残業しないでとっとと帰るだけでしょ?」思ってましたが、結果を見ると「うーむ」と感心することが増えましたね。
もちろん、日本の方が進んでいる・便利なところはたっくさんありますが、仕事量の割にアウトプットが残念・・・というものが存在するのも事実。
「マイナンバー制度」など、かなりの時間とお金を使った「力作」なのかもしれませんが、どんなメリットがあるのか私、分かっていません・・・(汗)。
・・・と9月の旅行の後、さらに「ノルウェー、侮るべからず」の感を深くした次第です!