frosk
在ノル日本人による
リレーエッセイ
Vol.4

エッセイ【31】〜



エッセイ【31】
ヴォルダの先生生活 その4laerer

               西ノルウェーヴォルダ在住・テンギョウさんより

お笑い七福神

さぁ、生徒の心をしっかり掴んだ(はず)ところで、本題へ移ります。
やはり日本といえば、世界をリードする経済と、それを支える最先端技術が印象的。
でも、考えてみると、今の日本の主力産業は、どれも海外からそのアイディアがもたらされたもの。
では何故日本は、外からのアイディアを取り込むだけに留まらず、それをさらに改良して生産することが出来るのか?
そこに日本人のメンタリティは関係しているのか?というようなことを、日本の宗教事情と絡めながら、学生たちと考えていきました。

学生たちが気にしたのは、結婚式は神道やキリスト教のやり方で、葬式は仏教のやり方なのは何故?ということ。
ノルウェーの国教は、プロテスタントのルター派でしたでしょうか。
若い世代の話を聞くと、かなり信仰は形骸化してきているらしいですが、それでも、国教というものが中心に据えられている国の人たちからすれば、時と場合に応じて宗教を「使い分ける」日本人は、とても器用に(もしくはいい加減に?)見えるかもしれません。
勿論、日本には日本の事情があってそうなっている事を、僕は必死に(あぁ、「恥と名誉」の国民の習性です)解説(弁解)したわけです。
そしてそのことは、日本文化のルーツとして、今の日本を理解する上で避けて通れない問題でもあるわけです。

ひと通り神様のことを説明している最中に、学生たちがクスクスと笑い始めました。
そのうち、こらえきれずにガハハハ!と爆笑です。
何が起きたのか分からずに、授業を進めようとすると、学生たちが「もう一回、今の言ってください!」ってせがむんです。

えっと、今のっていうことは、「七福神?」「ギャハハハハ!」クラス中大騒ぎです。

「SHICHIFUKUJIN」の発音が彼らにはたまらなく可笑しかったらしい。
初めは、まさか七福神の発音が、何かノルウェー語の変な言葉と似ているのでは?と冷や冷やしましたが、そういうことではなくて、純粋に発音が可笑しかったらしいので、安心しました。
それ以降も、僕が日本語で神様の名前を言うと、よく笑われました。Voldaの教会には、七福神はいません
生まれて初めて耳にした日本語ですもんね。そりゃ最初は、耳が驚くかもしれません。

僕は、今は慣れましたが、ノルウェー人が会話の中で「ヤァ」って言うと同時に「ハァッ!」って短く息を吸い込むのを聞いて、一瞬目の前の人が呼吸困難になったのかと、何度もドキッとしました(苦笑)。
僕はスリランカで教えていたとき、フィンランド人と部屋をシェアしていましたが、彼らがそれをするのは、見たことがなかったです。
僕らの下の階に住んでいたデンマーク人の友達は、それをやっていた覚えがあります。
同じスカンジナビアンでも、多少違うんでしょうか。とにかく、日本語がノルウェーの学生たちにとって不思議な発音の言葉だということはよく分かりました。
ただ、そんな彼らが実は日本語の発音に滅法強いということを、僕は後に知ることになるのです。


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