frosk
在ノル日本人による
リレーエッセイ
Vol.3

エッセイ【21】〜エッセイ【30】



エッセイ【21】
ノルウェーでの育児日記 その1
お姉さん
                         オスロ市郊外在住・Kさんより

親子3人バタバタ育児 その1

保母として、3年間働いた経験はあっても、子育ては初めて
今考えれば、右も左もわからず、てんてこまいの育児スタートでした。
嵐のように、凄いスピードで去っていく毎日で、息子が産まれたのは、8ヶ月前の事なのに、あまり覚えていません。
でも、消えかけた記憶の中から、少しずつ印象に残った出来事を、書かせて頂きたいと思います。

県立総合病院産科での6日間

・出産当日

ノルウェーは、分娩科と産科が分かれていて、病院の中でも、2階と4階に位置しています。出産後、問題がなければ、2〜3時間後に産科へ移されるのですが、私は、帝王切開手術後の経過を見るため、分娩科で過しました。
個室で、しかも夜は、朝まで息子を預かってくれたので、ゆっくりと眠る事ができ、とても快適でした。

・産後1日目

2日ぐらいは分娩科の方に居るでしょう、と言われたのに、昼食後、いきなり保健婦さんが来て私の荷物をまとめ始め、産科へ移されます。

するとすぐに、ベテラン風保健婦さんが、出産お祝いセットみたいな物を持ってきました。
中味は、病院からの入院の手引き(小さな冊子)、赤ちゃんについての冊子(カラーで結構、細かく丁寧に書かれている育児手引き書)、赤ちゃん用バスオイルなど3個ぐらいの試供品が入った小さなバッグ、乳児突然死防止のために作られたボディ下着(下着のお腹部分にこの面を上にして赤ちゃんを寝かせましょう!と大きく書かれている)です。

入院の手引きの中には初産婦の入院日数の目安は3日〜4日。経産婦は2日〜3日。帝王切開の場合は6日〜7日。とありました。
入院日数が日本と比べて少ないため、この期間で、自分の体力が回復するのか、不安だった私ですが、帝王切開になってしまったので、無条件で7日は居させてもらえると、内心とても嬉しかったです。

しかし実際は、3人の相部屋母子同室の生活になじめず、入院2日目ぐらいには、早く退院したくてたまりませんでした。

夜は、お母さんが疲れている場合、保健婦さんが赤ちゃんを預かってくれるのですが、授乳時間になると、何時でも連れてきます
私も息子を預けましたが、授乳の度に起こされ、その上、同室の赤ちゃんが泣いても起こされたので、寝不足になってしまった事と、私は日本人的感覚、周りの人はノルウェー人的感覚のため、気の使い方が違く、それに疲れてしまった事が、退院を早めた原因でしょうか?

産後4日目

保健婦さんに、明日退院する事は可能かどうか聞くと、彼女はとても嬉しそうにもちろん!あなたがしたければ。でもその前に、助産婦とも話して聞いてみてねと答えました。

病院は絶えず、人手とお金が足りない状態とのこと。早く、入院患者がいなくなればなるほど嬉しいみたいです。

経費削減にご協力を!と言う張り紙も、よく目に入りました。
オムツ1枚いくら!とかタオル・シーツ等クリーニング代いくら!とか書いてあり、だから考えて使ってね!と言う感じです。

また、いただいた試供品セットは、病院にあっても邪魔になるし、家で使うものと思っていたので、その日のうちに、主人に持って帰ってもらいました。
しかし、保健婦さんから、あれを病院で使うと聞き、急いでまた、家から持ってきてもらいました。その試供品を使う理由として、衛生品は個人の物を使った方がより衛生的だから、だそうです。
でも、先輩ママさん達が出産した他の病院では、赤ちゃんの体を洗う石鹸など、全て病院にあり、自由に使ってよいと聞いていたので、なんとなく納得しませんでしたが....。

基本的に入院費用ゼロなので、こういう小さな節約も必要なのでしょう(でもその分、私達も税金をちゃんと払ってますよねえ...)。

話は戻ります。
助産婦さんとの面接では,退院日程についても話しましたが,母乳が順調に出ていないし、息子の体重も,かなり減ってきてしまっているため、もう少し待って欲しい、と言われてしまいます。
ノルウェーは、完全母乳志向なので、退院できる目安として母乳の出具合が、一番大切みたいですね。

面接後は、助産婦さんの指示通り、母乳を出すため、3時間おきに電動搾乳機で、おっぱい搾りです。
刺激する事が一番大切だからとの事ですが、これがとっても痛い!気分は牛でした。でもそのかいあって?母乳が少しずつ出るようになり、産後6日目に退院出来る事になりました!

・退院日

念願の退院!
葉書半分大のメモ用紙のような紙の出生証明書を、病院側からいただき、同室だった人と、お世話になった保健婦さん達に挨拶をして、病院とさようならです。退院手続きや会計など一切なく、とても簡単でした。

最後に病院生活の中で驚いたことをいくつか。

帝王切開手術から7〜8時間後、パン、チーズの簡単なオープンサンドが食べられたこと。
私が要求したせいもありますが、後で日本の本を読んでみると、帝王切開手術後は1〜2日絶食との事。ノルウェーで良かった!

帝王切開手術から24時間後、シャワーを一人で浴びるように支持されたこと。
お腹が開きそうで、恐かったです。

トイレに便座がなかったこと
トイレで落ち着いて過せるようになるまで、時間がかかりました。

誕生2日目から、おしゃぶりを使っていた赤ちゃんがいたこと。
その頃私は、おしゃぶりを使う事に抵抗があったので、とても驚きました。

同室のお母さん達が、病院のご飯がまずいと言ってあまり食べなかったこと。
私はおいしいと思っていたし、それに食べ物を捨てるなんて、もったいないので、食べていましたが。でも彼女たちは、家族の人達にご飯をもってきてもらったり、キヨスクでお菓子を買ったりして食べてました。

産まれて間もない赤ちゃんに、予防接種をすること。
任意ですが、お母さんが外国人の赤ちゃんは、BCGとB型肝炎の予防接種を、入院中に受けられます。
私は受けられる物は、受けておこうと思い、お願いしましたが、産まれてから数日しか経っていない、息子の腿と腕に針が刺さった時には、申し訳なく思いました。
しかも助産婦さんがBCG接種の時、1度失敗しやり直したので、計3回針を刺されかわいそう・・・。

さあ、これから家に戻り、全て自分達の手で、息子の世話をしなくてはなりません。私の母親が、日本から駆けつけてくれたので、心強いですが、不安は募るばかり・・・。

つづく

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エッセイ【22】
ノルウェーでの育児日記 その2
お姉さん
                         オスロ市郊外在住・Kさんより

親子3人バタバタ育児 その2

満1ヶ月誕生日まで

息子が生まれてから、頭で計算した通りに事が運ぶなどありません。
特に、初めの1ヶ月は、何をやっても予定外の事ばかり。

特に、ベビー用品の選択
出産前に、必要最低限の物は、日本とノルウェーの育児書や、ノルウェー人のお宅でベビーシッターをした時の経験を色々比べて、揃えたつもりでした。
でも、いつも思い通りに使いこなせなかったり、買っていなかったり。
足りなかったものは、主人にお使いしてもらいましたが、彼に何度、買い物リストを渡した事か・・・。
その点、ノルウェーには、父親に産後2週間の無給休暇を取れる権利があるので便利でした。

ちなみに、お父さん達には、4週間の父親育児休暇(有給)を取れる権利もあります。
今回、主人は私が無職なので、その権利を得る為の条件が揃わず、取る事が出来ませんでしたけど。彼は残念がっていました・・

さて、出産前に買ってしまったが、思い通りに事が運ばなかった物の一つに、オムツ交換台があります。
ノルウェーで、赤ちゃんのいる家庭には、大体あるオムツ交換台ですが、子ども用たんすの上に、オムツ交換台とベビーバスが付いているもの、壁に取り付けられるもの、大人用バスタブに取り付ける交換台とベビーバスセットなど、タイプも様々
タンスタイプ(でもたんす上のオムツ交換台を持ちあげると、ベビーバスが顔を見せるタイプは、何度見ても、衣類をぬらさず、どのようにこのベビーバスを使いこなすのだろうか、と考えてしまう私です)。

我が家は狭いので、あまり場所を取らない大人用バスタブに取り付けられるタイプを準備しました。
これは、ベビーバスが交換台の下にあり、それを大人用バスタブにのせるだけという物。赤ちゃんの沐浴時は、ベビーバスを横にずらし使います。

しかし、家で初めて息子をお風呂に入れた時、まず、ベビーバスをシャワーがある方へずらしたかったのに、反対の方にしか動きません
そうすると、シャワーは交換台の上を通らないと、ベビーバスで使えない。
仕方なくそれで使うと、案の定、交換台の上に水がたれ、息子の体を拭く為のタオルはビショビショに!

バスタブタイプまた、息子に上がり湯をかけていると、ベビーバスのお湯がどんどん増える一方。
急いでお湯をぬこうとしても、お湯を抜く為のホースからは、お湯がチョロチョロとすずめの涙程度にしか流れません。
早くしないと溢れてしまう!!と私はイライラ。でもお湯は、マイペースにチョロチョロ。

すぐに主人と話し合いが持たれ、その結果、交換台とベビーバスセットは分解。交換台は最初の予定通り、バスタブの上で、ベビーバスは、お風呂場の床に置いて使う事になりました。
結構この方が使い勝手がよく、9ヶ月経った今もこうして使ってます。

それなりに値が張るオムツ交換台とベビーバスのセットだったので、分解するなら、最初から別々に買えば安かったのかな、とちょっと後悔もしました。
でも、こういう試行錯誤が大切なんですよね、きっと!?

つづく

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エッセイ【23】
フォルケホイスコーレのアウドドアライフ その1葉

                          ヴォス留学中・Grøtさんより

Hei!

はじめまして!
私は今、Vossフォルケホイスコーレに在籍しているGrøtです。
こちらに来て、はや2ヶ月。日本での生活とは、180度違う毎日をエンジョイしています。

私は学生の頃に、ガイドブックで見た白夜に惹かれ、4年前に初めて北欧に渡航しました。
ノールカップまで行きましたが、生憎の悪天候(ありがちなパターン・・・)で、残念ながら白夜を拝むことは出来ませんでした。
しかし、その時に訪れた数々の街、特にベルゲンに強く惹かれ、
「人生、一度はここに住んでみたい!」
という野望を秘めながら、日本のビジネス社会に身を投じました。
そうこうして、社会人生活も3年が過ぎ、「秘めたる野望を実現するには今しかない!」と、思い切って会社を辞め、フォルケに留学したわけです。

当初は、FanaやAsaneなどベルゲン近郊の学校を探していましたが、Vossのフォルケが良いとの評判を聞きました。
またせっかく、自然豊かなノルウェーに行くのだから、ぜひとも、アウトドアスポーツに興じてみたいという思いもあり、最終的に、Vossのフォルケに留学することにしました。

ノルウェー語はおろか、英語もままならない自分がどうやって海外で生活するのだろう!?と、一抹の不安を胸にやって来たわけですが、ここの人たちは先生・生徒ともに、みな非常に親切で、おかげさまで今のところ、毎日楽しく生活することができています。
もちろん、コミュニケーション不足は否めませんし、時々、強い孤独を感じることもありますが、今は焦らず、じっくりと語学能力を向上させていくしかないと、日々少しずつですが、勉学に励んでいます。

美しいフィヨルドの日没前述のとおり、私はスポーツ&アウトドア(Idrett og Friluftsliv)のクラスを専攻しており、ここでの生活の大半を、山やフィヨルドで過ごします。
Vossやその周辺は、すばらしい自然に恵まれており、毎度々々、その壮大なパノラマに感動を覚えています。
一日に数時間も山を登ったり、5,60kmマウンテンバイクをこいだり、4,5日間シャワーを浴びることが出来ない(笑)などなど、日本での都会生活では経験できなかったことが、こちらでは私の日常となっており、とても貴重で豊かな時間を過ごしているなあ、と日々実感しています。

また、冬季は専ら、スキーに興じるようで、特にクロスカントリーとテレマークスキーを中心に行います。
自慢ではないですが、普通のスキーですら、たった1度しか経験がない自分にとっては、語学同様に大きな不安材料のひとつです・・・。
しかしクラスメイトは一様に、「すごくおもしろいし、できるように教えてあげるから」と言ってくれているので、なんとかモノになるよう頑張りたいな、と思っています。

こんな感じなので、日本に帰ってから自分はいったいどうやってしまうのだろう?と時折、自問自答してしまいますが、今は「一度しかない人生、心の財産を沢山増やそう!」と考えています。

フォルケでの生活も、残り7ヶ月(しかない!?)。
食わず嫌いにならず、いろいろな物事に積極的にチャレンジして、より充実したものになるように努めていきたいと思っています。
またこの留学を機に、大好きなノルウェー・北欧になんらかの形で、関わりを持ち続けられるような人生になれば・・・と願っています。

Ha det bra!
Hilsen Grøt



編集者注:
Grøtとは、お粥のことですが、味は日本で食べるお粥とは似て非なり。甘くて、シナモンなどをかけて食べます。
フォルケなどでは、よく食事のメニューになるので、おそらくこのハンドルネームが誕生したのでは?


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エッセイ【24】
ベルゲン徒然草 その1てるてるぼうず

                       ベルゲン郊外在住・alkeさんより

Hei! ノルウェー夢ネットの皆さま。

主人の仕事の都合で、約10ケ月間ベルゲン郊外に滞在することになったalkeです。
9月 の中旬にこちらについてから、2ケ月が経ったところです。
ノルウェーのことはまだまだ分からないことだらけなんですが、図々しくもこちらの暮らしについてレポートさせていただきます。

先日、ハロウィーンパーティに行ってきましたので、ノルウェー でのハロウィーンの様子についてお届けします。

ノルウェーでハロウィーン? なんかピンと来ない方も多いと思いますが、実はパーテ ィに誘ってくれたのは、パーティ好きの南欧からの留学生。
ノルウェー人自体はハロウィーンを祝っているのか、ちょっと怪しい気がしましたので、ノルウェー人学生に 聞いてみたところ、
「ハロウィーン?やらないよ。あれはアメリカのイベントだ し」
「Trick or treat?やってるの見たことないよ」
えっ!? じゃあパーティっていうのは?よくよく聞いてみると、「いや、実はハロウィー ンパーティやるの、初めてなんだけどね」
そうでしたか。しかし私は、近所の子ども がtrick or treatの様な扮装(夜間歩行用反射板付き、懐中電灯持参)で歩いているのを見ました。やっているではないですか!

ノルウェー人の中にもハロウィーン賛成派、反対派があるのでしょうか。
この反応の 違いは、TVや映画、音楽情報などにおけるアメリカンカルチャーの氾濫といったこと と関係があるのかな、と私はにらんでいます。
が、ともかくも一部の若い人たちや子どもは、この種のイベントやパーティを単純に楽しんでいるようです。

ハローウィーンパーティ当日。
ノルウェー人たちは、学生だからでしょうか(?)。仮装に気合いが入っていて、仰天しました。仮装といっても、まあちょいとお面をかぶったり、ゴスな服着たり、そんなものだろうと考えていたのです(事実自分たちは、そんな簡易仮装で した)。
ところが、気合いの入ったモンスターがぞろぞろ。ドラキュラとかフランケン シュタインとか、ゾンビとかキャットウーマンとかライオンとかパンダとか...最後 の方、動物園じみてましたが。

パーティは、準備(夜7時から11時半まで)と、本編(深夜12時ごろから夜明けまで?)が ありました。
まずは、ベルゲン市内に住んでる学生の家に行って、パーティ支度。
ヘアメイク&コスチュームに着替えがてら、すでにお酒を飲んだり、大音響で音楽をか けて踊ったりして、準備とはいえ既に宴会状態
ここに、大勢の不気味な人が集結した後、夜12時ごろに大型タクシー(というかバン)に乗り込み、ベルゲン郊外の閑静な住宅街へ。一部の学生はもうかなりでき上がっている状況でした。

素敵なお宅に、深夜上がり込む怪しい学生ども。このおうちの親御さんはどうしていたのでしょうか?

パーティ自体は、素敵なおうち(一人の学生の実家でした)の居間(推定15-16畳ほど )で、深夜に酒を飲み、語り,踊り,,,といったノルウェーのパーティではごくスタン ダードな物でした。
お酒はキッチンに入って、自分で好きなものを持ってくる方式。
ラクリあるいはラクリスという菓子(甘辛い変な味,,,こちらのサイトの方は、既知の物 と思いますが)を砕いてコーラに混ぜ、強い酒で割ったものがあり、勧められるまま に一口だけ頂きましたが...。
うむむむ,凄い味!学生たちは、これをちっちゃなリキュールグラスに入れて、ぐっと一気飲みいましたが、この味覚は分かりません!

午前1時すぎ。突如温かいスープが出て、ドラキュラや宇宙人とスープ配給の列に並びました。食べ物は、ほとんどポテチとかスナック。あと、ノルウェー人の好きなチョコばっかりだったんで(ちなみに夕食は、市内の学生宅でピザ=冷凍物)、これはちとよかったです。
まあ、クノールかTOROの粉スープだったようですが。

で、深夜1、2時になると、おかしな人も出てきました。
ノルウェー語の変な早口言葉みたいな唄に合わせて、なんかパフォーマンスのような、パントマイムのような踊りをするヤツ。しかもそれを何度も何度も。壊れ気味?
ふと気づくと、何人かの人は消えていました。 いつのまに帰ったのか?早業です。

私たちも帰り際(深夜2時半すぎごろ)、女ドラキュラに捕まってしまいました。
女 ドラキュラは語りました。自分は今でこそ、悪魔のような恐ろしいなりをしているが、実は自分はクリスチャンなのだと。
酔眼で彼女はさらに言いました「イエスを、唯一の神を信じるか?」

真に迫った吸血鬼メイクの、完全に酔いの回ったノル人女性(かなりガタイ良し) に、ろれつの回らない英語(しかも彼女、舌ピアスをしているのでより聞き取りにく い!)で、改宗を迫られてる深夜の私たち...想像しただけで、バカな光景です!
そのうえ私がうっかり(!)、教会に行ってたことがあり、聖書も讃美歌も知っている と言ったものだから、事態はさらに悪化。
女ドラキュラと讃美歌を歌う羽目に
こっ ちは日本語だし、向こうは歌詞をうろ覚えだし。もう無茶苦茶、ヤケクソでした。

その時,丁度市内に戻るタクシーが来たんで(私らは午前4時くらいに帰りましたが、他の人たちは他の家のパーティにさらに行きました...)、そのまま彼女を放置して逃げました。
後日聞いた話では、彼女はさらに叫んだり、他の人に激しく抱きついたり,寝てしまったりして大変だったそうです...なんにせよ、トホホな幕切れのハロウィーンでした。

この夜は、いろんな所で同様のハロウィーンパーティが開かれていたのか、深夜3時す ぎのベルゲン市内は、若者たちでごった返していました。
週末の夜のベルゲン繁華街 が、いつもこんなに混雑しているのかどうかは、さだかではないのですが、まだ宵の口かしらと勘違いするくらいでした。
お店や友だちの家で、各々盛り上がっていたようです。

ハロウィーンの実情といったよりは、ノルウェーにおける学生パーティ事情のようになってしまいましたが、また話のネタが見つかりましたら、お伝えさせていただきます。

Ha det bra!

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エッセイ【25】
北ノルウェーのホームステイ生活 その1ゆきだるま

              スールヒョーセン(Sørkjosen)在住・Tさんより

2003年8月より、北ノルウェーの町、スールヒョーセンにホームステイ中の高校生Tさんから、普段の暮らしぶりをつづったお手紙をいただきました。若いっていいな〜!
掲載遅れてスミマセンでした、Tさん!(by 編集人)

区切り線

ここスールヒョーセン(Sørkjosen)は、トロムソから北へ240キロ
車で3,4時間走ったところにある、まさにフィヨルドに位置する小さなです。
その規模から言わせて頂ければ、それはそれはでもおかしくない、というものですが、地元の人は決してvillageと言いません
「じゃあ、cityか?」と尋ねると、「ははは、そんな大きなものじゃないよ」と返ってくるのです。英語にすると、トロムソのようなところはcity、スールヒョーセンはtownだ!と一応なっているようです。

それにしても、僕が「Jeg kommer fra Tokyo」(東京から来たんだ)を初対面の人に言うと、多くの人が「そうか、そうか。どうだ?スールヒョーセンはTokyoと、さほど変わらないだろう?」というようなNorwegian joke(?)を飛ばして、ゲラゲラ笑う姿を見ると、「ああ、この人たちは、この町が大好きで、ここに住んでいるんだな」と思うのです。

町が小さい=人が少ないともなると、人々は自然と何かと助け合って暮らしているようです。
例えば、自分の前後を通る車が溝にはまって動けなくなったのを見たとすれば、すぐさま車を降りて助けに向かう。
これは常識の一つのようです(それで渋滞が起きるような所ではないですし。。。)。

ここの人たちは、前々から聞いていた通り、シャイな人が多いです。
特に子ども、若者がそうです。
でもそれは、こちらが積極的になれば、問題ないこと。第一印象とは違い、意外と陽気で冗談が好きで、というような人を何人か知り合うことができました。
そういうところは、ノルウェー人独特のものかもしれませんね。

移民と言うべきか、難民と言うべきか、スールヒョーセンも外国から(政治的・経済的)問題を抱えて逃れてくる人を、条件付で迎えている町の一つです。
現在、80の異なる国籍を持つ人たちが暮らしています。
だから、地元住民との間で時々、トラブルがあるようですが、それでも外国人だとわかると「よく来た、よく来た」と言って、暖かく迎えてくれる人が、ほとんどだと思います。
「元AFS生(注:Tさんもメンバーであるホームステイのあっせん機関)で、40年前に○○に留学していたんだよ!」なんて人もいて、とにかくその国際色豊かなところには、オドロキです。
大学もノルウェーにしようか、と思ったりもします。

さてこっちの気候なんですが、それはそれはサムいです。
南ノルウェーでホームステイしている他のAFS生が、ちょっとうらやましいです。
初雪は山頂(標高2〜300メートル?)で8月下旬、地上では9月に観測してしまいました!さすがノルウェー。。。
一度、海辺を歩いていた時なんて、北極からの強風とマイナスの気温で、耳が痛くなるほどでした。
あの時はまだ、ノルウェーをナメていて、薄着で出かけたのが大間違い。
「郷に入れば、郷に従え」と言いますが、ノルウェーではノルウェー人のする格好、防寒対策を真似しなければいい、ということを学んだ気がします。
聞くところによると、この辺の気候、特に夏から秋にかけての気候は、少しフシギなところがあって、8月に寒波が訪れた後は、暖期・寒期が毎週交互にやって来るそうです。さすがに今はもう冬のシーズンですが。。。

ここの物価ですが、やはりノルウェーはどこへ行っても高めですね。
食料品なんかは、日本よりも高いです。
僕は毎日、学校にお弁当を持っていって、節約に励んでいます(もちろん学校には、売店があるのですが)。
車なんかは、皆さんメッタに新車を買う、なんてことはしないみたいです。日本車の中古は人気です。
それと水道代は高いです。シャワーを浴びる時は、タンクに貯められている水の量に限りがあるので、急がなくてはなりません。
その辺の事情を知らず、長風呂をしていたら、ホストマザーに叱られました。

ノルウェーで安いものと言ったら、電気でしょう。
電熱のコンロを使って、料理をしている姿を見た時は、何だか日本の文明に劣等感を感じました。料理するのには、ガス=火を使用するのは、当たり前だと思っていましたから。
それから我が家は、森林を所有する友達というのに頼って、薪木をタダで十分にもらえるので、寒くなったら暖炉に新聞と木を放り込み、火をつけるだけで完了です。
寒いノルウェーで、暖房にお金がかからない、ということは素晴らしいと思いませんか?
あと「食器洗い機」がかなり普及している。これにもビックリです。

Typisk norskな食べ物の中で、これは美味い!と思ったものを挙げると。。。
パン(ホストマザーの手作りパン og コンビニで売っているもの)、ブラウンチーズ、チョコレート、チーズ、アイスクリーム、italiensksalat(実はこれは、何にもitalienskではないらしいのですが。。。パンにのせて食べるものの中では、best!!です)などです。

Fantastisk! 日本に持って帰りたいと思ったものが。。。
Kaviar(チューブで売っているもの)、fiskekake。僕のほか、数人のAFS生(アメリカやイタリアから)が、同じ地域でホームステイしているのですが、誰もが「あれは美味い!」と言ってました。

ちょっと苦手なのが。。。
干したトマト、それからフルーツと野菜をごちゃまぜにしたサラダ、ヤギのミルク(他の地域には、「ヤギの頭の丸焼き」を食べるそう。まだトライしていないけれど、きっと苦手な部類に入るでしょう)。

その他、発見したこと、オドロイたことを箇条書きにしますと。。。
  • ノルウェー人は、よくアイスを食べる(この寒さにも関わらず)。
  • ノルウェーの乳製品は、美味い。特にMelkesjokolade。
  • 冷凍ピザの人気が高かったり、「イタリアン風のサラダ」を朝食に食べたりと、なぜかイタリアに関係するものが多い。理由は単純。「ウマいから」らしい。
  • 写真をたくさん飾る。
  • 夕食時間は,やっぱり早かった(午後4時〜5時がフツー)。
  • ゆでたまごは殻を割らず、正しく言うと、一部だけナイフで切って、あとはスプーンで中味をかき出して食べる。「たまご用の器」がある。
  • 日本に比べて、ペンよりも鉛筆を使う人の割合が多い(学校で)。
  • 歩道、車道は完全に分離されている。時々、馬が歩いている。
  • 家畜の地位が高く、80キロのスピードで車が走ってきても、ピクリともせず、ただ居座る羊を見た。それも車道のド真ん中で,エサを食べていた。
  • 「山登り」に行くと言われ、ついて行ったら、家の裏庭が登山口だった。
  • ホワイトチーズはパンと一緒にマイクロウェーブで温めると、トロけてピザのようになるが、ブラウンチーズだと。。。あ、という間に焦げて大変なことになる。
  • 地元の人曰く:「オスロの人間はトロンハイムより北は、全てド田舎だと思っている。トロムソさえも。スールヒョーエンなんて田舎中の田舎だよ」
  • ノルウェー人は、というか北ノルウェー人は、よくレンタルビデオで暇つぶしをする。コンビニが、レンタルビデオ店を兼ねているのも面白い。
  • 日本の映画もノルウェー上陸を果たしていて、見たところ、「リング」と「バトルロワイヤル」が人気。なぜ「千と千尋」がないのだろう??
  • 寒い気候のせいか、犬はまだしも、猫がほとんどいない
  • 意外と白米の需要がある。我が家では、「中国のジャスミン米」を食べる。なぜか日本の米は見当たらない。どうやら輸入するものは、高価らしい。
  • ジュースの種類が、どうも少ない。それに比べて、調味料の種類が豊富。メキシカンだのタイ風味だの、世界各国の味が揃っている。もちろん日本のsoya sausも。
  • 交通手段は、マウンテンバイクか車。電車はないし、路線バスも長距離のものが時々、通るぐらい。子どもはソリを使ったりする。これからの時期は、スノーモービルが流行るらしい。
  • ノルウェーは一つの禁煙推進国(仮名)だと聞いていたけど、日本より喫煙者が多いように思える。特に若者に目立つ。最近、CMで禁煙を訴えていたけど効果は??
  • 髪を黒く染める人が多い。日本人の自分としては、ちょっと優越感にひたれる。
  • 10歳のホストシスターが、男の子の誕生パーティに行くというので、「カレシなんだろう?」とからかってみたら、「元カレよ」。。。ここでは普通のことらしいが、とてもとてもマセている。
  • エドヴァット・ムンクがノルウェー人、リレハンメルがノルウェーの町だということを知らなかったのは、僕だけであろうか??

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エッセイ【26】
ベルゲン徒然草 その2てるてるぼうず

                       ベルゲン郊外在住・alkeさんより

肉食の愉しみ - 羊頭 VS トナカイ肉 -
(一部グロ表現あり)

味はどうも今一つである、と評判のノルウェーの食ですが,肉,特に牛肉,鷄肉以外の旨味を味わえるという点においては,一目置いてやっても良いのではないでしょうか。
日本では,普段あまりお目にかからない肉料理を味わうことができました。

Julemat,すなわちクリスマスの御馳走といえば,まずはあるいは豚のリブ肉
私の滞在しているのはベルゲン(西ノルウェー)ですので,必然「クリスマスはピンネチョット(羊 リブ)!」となる訳ですが,オスロなど東ノルウェーではribbe豚リブになります。
その他, 魚を食す地域もあるようです。
詳しいことは、ノルウェー語テキスト「Ny i Norge」の Leksjon25か,管理人さんのJulematのページを御覧あれ。

クリスマスパーティに行った際,大量のピンネチョットをすごい勢いで食べるノルウ ェー人(西ノルウェー出身。もちろん手づかみで)を見て,かなり仰天しましたが,ピンネチョットが好きなんだなーと実感しました。

私も手づかみでかぶりついてみました,ピンネチョット。
ジューシーなお肉で,元々肉好きでない私には,少々脂っこい
美味いことは美味いが,食べにくいし,肉部分が少ないのが寂しい。
ほかに茹でジャガイモ(かかせない一品!),コールロットという蕪のお化けのような根菜のマッシュなども一緒に食べるので,あっという間にお腹がくちくなりましたが。
しかし西ノルウェーの人はこれが好きです!皆,一山二山,あっという間に掴んでいきます。

さて,その他のJulematとしては,また別の日(Jul前の最終日曜日?)に,一緒のdormitoryに住んでいる学生さんが,Smalahoveというものを振る舞ってくれました。
前回のTさんのエッセイにも出てきた,いわゆる羊の頭です。
これも伝統的なJulematの一つで,西ノルウェーの習慣であるらしい。
Julの時期には、肉屋のショーケースの中に、この羊頭がごろりと置かれているのをよく見掛けたものです。
smalahove
見掛けは何せ、羊の頭そのままなので,コワイですが,味はさっぱりして(調理方法は2時間塩茹でするだけ),シンプルに肉の味を楽しめます。
羊頭は,ばさっとカブト割り状態で(ちなみに脳は付いていません),一人あたりの分量は1/2顔

味の方は,面の皮は少々プルプルとした食感で,その下に若干脂肪っぽいものがありますが,頬の肉はよく煮込んだ牛肉のような味わい。耳,鼻の辺りはやや筋のようなというかゴムめいた感じがありました。
また,私は勇気なく,いただきませんでしたが,の部分を食べた人によると,卵の黄身のような味であったそうです。

付け合わせは例によって、茹でジャガイモと,コールロットという根菜のマッシュで,これは羊頭の茹汁とパセリを加えて仕上げていました。
外見はかなり野趣に富んだ(?)ものですが,なかなかに美味かったです。

さてノルウェーの肉もの,というとトナカイの肉も定番の郷土料理メニューでしょう。
今まで二人のノルウェー人が、この御馳走を振る舞ってくれました。
二人とも男性でしたが(ノルウェー男性は料理上手が多い!),一人の学生さんは,自分で捕ったトナカイ肉を,これまた自分で採ったブラックカンタレッル(アンズ茸の一種)のキノコのソースで仕上げるという本格派。

トナカイ肉の味は,思ったより肉に臭みがなく,ソースの旨味もあって美味しくいただけます。
森で採ったきのこのソースは味にコク,深みがあり,肉の味によく合っていました。
そしてトナカイ肉を食すとき,かかせないものと言えば,コケモモジャムでしょう。

正式にはripsgeleというものを添えるということですが,二度ともコケモモジャムで代用していました。
肉料理に果物,果実のソースを合わせるのは,日本人には少々抵抗のある感覚ですが,慣れるとこれがまた妙味
秋口から食品店にはコケモモが小山になって売り出されていますが,これでソースを作っておくのが本式らしい。

隣国スウェーデンに行ったとき,トナカイとよく似たelg(ヨーロッパヘラジカ)も食べました。
作ってくれたのは北部スウェーデン出身のお嬢さん。
ヘラジカ肉は,これまた彼女の知りあいが捕った物だそうで,北欧で狩猟が盛んなことがよくわかります。
肉を煮込む時に、ジュニパーベリー(ねずの実)を粗びきにして使っているのが、印象的でした。
香りづけ?臭みを取るのでしょうか。

この時は、私たちがシャグマアミガサタケの缶詰(注:日本では猛毒種。調理用に下処理済みの物)を買っていたので,それを使って肉汁と合わせ,クリームソースを作りましたが,これも美味でした。
ヘラジカ肉は,トナカイよりややクセのある,よく言うと野性味のある肉でしたが,これがかくもきのこソースと合うものか!ソースに茹でジャガイモをつぶして,よく絡めて食べるのが,また美味いのです。

羊の頭とトナカイの肉,あっさり味とコクのある味で,全く違いましたが,その土地の肉,その土地のハーブやきのこのソース,そして茹でたジャガイモが,この国の古くからの御馳走であり,今も愛されているものであることを肉の味を噛みしめつつ,納得しました。
その心は大地の味わい,なのかもしれませんね。

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エッセイ【27】
ベルゲンの日本食材事情 fisk

                    ベルゲン郊外在住・掲示板のgさんより

ベルゲンの日本食材事情

ある程度長く生活するとなると,欠かせない日本食材の購入
これまで,オスロには売ってる店がある,以上の情報がなく,個人の探索に委ねられて来た。住む町ごとに事情は違うので,それぞれ何とかするしかないのだが,この辺でベルゲンについてまとめたものがあってもいいのではないかと思い,ベルゲンでの事情について書く事にする。
筆者はまだ滞在1年未満なので,その辺を割り引いて読んでいただきたいが,長期在住の方にもいろいろ教わっているので,そこそこ詳しくなったのではないかと思う。

・スーパーで普通に買えるもの

醤油,酢,味醂,寿司のり,寿司用ガリ,春雨,即席麺,米,野菜類
醤油はどこへ行っても,キッコーマンのものが買える。濃い口しかないが,濃い口1本あればたいがい何とかなる。
酢,味醂などはBlue Dragonというやや怪しげな銘柄がある。品質はいまいちだが,ビーフン,春雨,中華調味料,それに寿司用品などが揃っている。荘記という銘柄の中華調味料もよく見かける。
即席麺では,Mr. Leeという銘柄があって,カップ麺など各種そろっている。
こちらではリィスグロットという,米を牛乳で煮たお粥をデザートとして食べる。それ用のグロォリスという米がジャポニカに似た短い米で,香りが良くないが,米の代わりになる。
インディカ系の長い米ではタイのジャスミン米という,香りの良い米があり,カレーにはもっぱらこちらを使っている。インド米のBasmati Riceというのもある。

野菜類では,洋食に使うタマネギ,じゃがいも,人参などはもちろんある。
特にじゃがいもは、日本のものより甘みが強く,うまい。
品種も多数あり,使い分けているようだ。キャベツは日本のものよりも堅く,使いにくい。
日本食によく使う野菜では,白菜がどこでも売っていて重宝する。
きゅうりもどこでもあるが,日本のより大きい。
ネギは関西の青ネギぐらいのものと,アサツキなみに細い鉢植えがある。
大根も比較的よく見かけるが,古くてしなしなになってることも多いので,新しいのが入ったら買う。
ほうれん草は、サラダ用として売られている。
サツマイモもあるのだが,日本の芋に比べて水っぽくほとんど使い物にならない。
カッサバを代用した方がホクホク感があっていい。
日本にはないが,コルロットというカブに似た根菜が常に売られていて,これが意外に、おでんなど煮込み系に使える。
おでんと言えば、洋芥子にはイギリスのColsman's Mustardがぴったり。
ハンペンの代わりに,こちらの典型的お惣菜,フィッシュカーケが使える。

・アジア食材店
アジア食材店はいろいろあるが,中東系が多く,日本人にとって使えるのは、Kinsarvikと,Vektertorgetの中のEkisotisk Torgだろう。Kinsarvikは健康食品店。
アーユルヴェーダが、ヴァータを誘発しちゃうようなとこなので,品揃えもそれ系だ。

名前が違うが系列店が,Bygarasjen,Åsane,Lagunenなど,大きいショッピングセンターに入っている。
豆腐,Helios銘柄の醤油,たまり,干し椎茸,ごま油,すし米,大豆,小豆が買える。味噌もあったかもしれない。
豆腐は、森永のロングライフパック入りの豆腐と,普通のパックに入ったきめの粗い豆腐がある。冷や奴などには森永の豆腐,いためなど,加熱用には普通のパックの豆腐を使う。
ハウスの本とうふミックスもあったかもしれない。自分で作る分おいしいらしいが,面倒で作っていない。
すし米は,グロォリスよりずっとうまいが,値段も倍以上する。

Ekisotisk TorgはKinsarvikの斜め向かいの路地を入ったところ,ベルゲン大の学生向け厚生施設が入ったVektertorgetという建物の1階にある。
出前一丁,だし昆布,みりん風調味料,寿司酢,みつかん酢,パン粉などがある。
うどんや冷や麦の乾麺,いなり寿司用の寿司揚げがあったこともある。
今日確認に行ったら,インスタントのゆでうどん,エビ蒸し餃子,春巻き,チャーシュー饅もあった。

最近見つけた中国系食材店Lienは、警察署の裏近くにある。
ここには乾燥レンコン,水煮タケノコがあった。
乾燥レンコンは普通のレンコンと同じに使える。中華麺もベトナム製やタイ製の乾麺ばかりだが,ビーフンとともに豊富に揃っている。
干し椎茸,豆板醤,腐乳,黒酢などの調味料,野菜類,中華の食器もある。

米について
米はスーパーでも売っているが,日本で食べるレベルに近い米は,すし米として売られているものしかなく,かなり高い
まとめ買いするには,Kjøttbasarの中の,チーズ屋の向かいにあるアジア食材店で,20kg入り,240クローネのカリフォルニア米を買う。これは結構いい。
さて,米を買ったら炊かねばならない。
日本の無洗米のようなわけにはいかないので磨ぐ必要がある。
無農薬じゃないだろうから,よく磨いだ方が安心だ。
炊飯器はClas OhlsonやCOOPで売っていて,蒸らしに時間をかければちゃんと炊けるのだが,すぐ壊れてしまった
最初に買った炊飯器は約3ヶ月後に動かなくなった。次に同じものと交換してもらったが,2回目に動かなくなった。
どうも,米を磨ぐので,内釜の底が濡れた状態なのがショートの原因になったのかもしれないが,日本の炊飯器でそういう目にあったことはない。
3回目は違うのを買ったら,今度は1回使って皿洗い機にフタをかけたら,割れてしまった。
ガラスのフタにプラスチックの持ち手が合わせてあるのが良くなかったらしい。
以来、ナベ炊きしかしていない。日本製炊飯器でも,こちらの電源に合わせたものが,ネットや日本食材店で売られているので,それを買ってもいいだろう。

・ネット通販
ベルゲンでも日本食材はある程度は買えるが,種類が乏しい。少し長くいると,どうしても欲しいものが出てくる。そこでネットを探してみると,海外赴任者を相手に商売している通販会社がたくさんある。ロンドンにある「らいすわいん」というオンラインショップを利用してみた。

ヒガシマル薄口醤油 1L 2.99ポンド
宮の雪生粋純米酒 10.99ポンド
下仁田黒こんにゃく 0.79ポンド
S&Bラー油 1.59ポンド
おにぎりせんべい 1.49ポンド
梱包料 2ポンド
送料 37.95ポンド
重量チャージ 4kg分 5.2ポンド
総計 63ポンド
結局送料の方が高い。

ストックホルムのJapanska Torgetと同系列のオスロのJapan Torgetでも通販をやってくれるそうだ。
電話で頼めば、価格表を送ってもらえる。国内なので消費税が別途かかることはないが,税込みの価格表はやっぱり高い。消費税の割合が変わらないはずなのに,ストックホルムの倍くらいする気がする。
他には日本国内からの荷物転送サービスや,日本出国の際に空港で,予約注文した物をピックアップできるサービスなどがあるようだ。

・税金
ネット通販で買って個人輸入する物にも,原則として消費税24%がかかる。
家族から送られて来る差し入れに税金がかかったことはないので,発送元や内容や梱包の具合を見てチェックしているのか,それとも金額を見て判断しているのか。
定期購読しているコミックにもかからないし,個人輸入したCDの枚数が少なかった時もかからなかったので,金額もきいているのかもしれない。
1万円を超えるかどうかあたりが、分かれ目のような気がする。

税関で納税が必要とチェックされた場合は,税関で止められて連絡だけ郵送されてくることもあるし,荷物に税金の納付方法を選択する用紙がついてくることもある。
配達人が税金の徴収もやってくれることもある。
納付選択用紙がついて来た場合は,郵便局に税金の手続きを任せるという一番目の項目にチェックを入れて,署名して,用紙に書いてある宛先に送れば,必要な税額を計算して振込用紙を送って来る。

日本酒
酒類はライトビール等を除き,国営酒屋Vinmonopoletでしか買えない。
Vinmonopoletには,アメリカ製の月桂冠しか置いてない。
カタログにはもう一種類載っていたが,いずれにせよ極めて貧弱。
日本の酒屋はネット通販も含め,ほぼ海外発送してくれない。
料理酒は日本の家族から送ってもらった。上記の宮の雪もイマイチだったので,料理酒になった。日本で買う宮の雪純米はおいしいのだが。

ネット通販では、菊水酒造の日本酒生活研究所だけが,海外発送を引き受けてくれた。
海外発送しないとは書いてないので,メールで問い合わせてみたら,JETROに問い合わせて検討してみてくれるとのこと。一週間くらいで回答が来て、OKが出た。
菊水の缶なら輸送中に割れる心配がない。
瓶でもしっかり梱包してあれば割れないことが,らいすわいんからの通販で証明済みだ。200ml入りの缶を10本買って,3130円,送料が7527円。合わせて10657円だった。
約648クローネ。これに,24%の消費税がかかると,156クローネ加算される。
今回は、税関で酒として認識されなかったらしい。酒にかかる税率はいくらになるのか,よくわからない。
JETROによると請求されることもあるし,請求されないこともある,ということだ。
前にテレビで、税関で個人輸入のワインが摘発されているのを見たことがあるので,多分,見つかると相応の税金がかかるのだろう。

上記の「らいすわいん」でも,宮の雪以外に,八海山,上善如水,久保田の千寿,万寿,浦霞など,十数種類の銘柄がある。日本国内向けのものと味が違う可能性もあるが,試してみないことには何とも言えない。
通販でも無いものは自分で持ち込み,家から送ってもらう品質のいいものや,グルメっぽい物は買えないだろう,と思って,いろいろ荷物に紛れ込ませて持ち込んだ。
柚子胡椒,柑橘類の酢,ソバ,ウドンなどの乾麺(やや値が張るもの)などは,やはり,こちらでは見当たらず,重宝している。
寒ずりも別送品に入れたはずだが,没収されてしまったらしい。
家族などに頼むのは,送料も高いので気が引けるのだが,向こうから送ってくるのに任せていると,同じ物や使わない物ばかりがたまってしまう。
日本にいると,国外では何が買えなくて何が買えるのか,想像するのは難しい。
何が欲しいのか,具体的に伝えた方がいいだろう。

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エッセイ【28】
ヴォルダの先生生活 その1laerer

               西ノルウェーヴォルダ在住・テンギョウさんより

Voldaに到着

初めまして、皆さん。テンギョウと申します。今年の七月末からノルウェーで暮らしています。教師です。

西ノルウェーのヴォルダ(Volda)という町にある Volda University College で日本語、日本文化、日本史を教えています。
偶然ですが、このサイトの編集人Froskさんがかつて留学されたのも Volda University College です。
「私のノルウェー留学」という著書の中で、Voldaでの生活について、詳しく書かれていらっしゃったので、今回ノルウェー初体験の僕にとっては大変貴重な予習教材となりました。

Voldaの天候は移り気です。移り気という言葉でも足りないくらいに刻一刻と変化します。窓から外の風景を眺めていると、何度も太陽に「ハロー」と「グッバイ」が言えます。
まだ来たばかりなので他の季節のことは分かりませんが、今はあまり太陽を見る事が出来ない時期のようです。
一週間のうち平日がずっと曇りと雨で、週末に奇跡のように晴れる、というのが最近のパターンです。
ただ地元の人たちにとっても、こんな天気はこの時期に珍しいらしく、奇跡的に晴れた週末
「今年の夏は肌寒くてダメだね〜」なんて言っています。
何しろ日中でも気温が15℃を超えない事もしょっちゅう。真夏の日本から来た僕にとっては、残暑ですら恋しい気分です。

Voldaは人口一万人程度で、そのうちの20%がVolda校に通う学生です。
ですから、夏休みなどで学生がVoldaにいない時期は、正直「眠れる町Volda」になっています。
八月中旬から新学期が開始になったのですが、僕がここに来たのが七月末ですから、約二週間Voldaの眠れる町状態を体験しました。
日中、町に出ても殆ど人を見かけません。まるで映画のセットの中を歩いているかのようです。たまに車が一台、ボボボと通り過ぎていくくらいで、家も通りもひっそりと息を潜めていました。
夕方になってスーパーに買い物に行くと、ようやく数人のお客に出会います。
そして初めて、自分がこの町に一人ぼっちじゃない事を思い出させられるのです。
ちょっと大袈裟に聞こえたかもしれませんが、学生たちが戻って町中が賑わっている今に比べると、僕の印象がオーバーではないと思えるほど、その頃のVoldaは、物静かな侘び寂びの情緒に満ちていました。

Typisk VoldaVolda校には約三千人の学生たちがノルウェー中のみならず、世界四十カ国から集まっています。驚くなかれ、アフリカからの留学生も多くいます。
残念ながら日本人は、生徒も教師も、もっと言えばVoldaにも僕以外いません。
かつてFroskさんが体験されたのと同じ事が、僕の身にも起きてしまいました。
時折スーパーで買い物をしながら、ぶつぶつと日本語を呟いている自分に気付いて切ない気持になったりします。
勿論、今の時代インターネットで繋がっていますから、孤独は感じませんが、やはり日本とノルウェーは遠いなぁ、とは思います。

これから少しづつ、Voldaのこと、Volda校での授業や学生たちの話など、僕の生活を通して皆さんにお知らせしていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。それでは、今回はこれにて。ハーデ!

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エッセイ【29】
ヴォルダの先生生活 その2laerer

               西ノルウェーヴォルダ在住・テンギョウさんより

授業開始!

いよいよ、Volda校での授業が始まりました。
学生食堂で行われた始業式では、Volda校のホームページでしか見たことの無かった学長がついにその姿を見せました。このVoldaに、こんなに大勢の人が...

食堂に入りきらない学生たちが、階段や踊り場、バルコニーにまで溢れる中、何かの表彰式や(ごめんなさい、まだノルウェー語がよく分からないので、状況が掴めませんでした)シニアスチューデントによる歓迎の歌などがあり、日本の大学やモンゴルの大学のそれとはちょっと違う、和やかな雰囲気でした。

思い起こせば、モンゴルの大学の始業式は、なぜか正面玄関前で行われていたっけ。

全校生徒が歩道という歩道を塞ぎ、車道まで溢れる勢い(そりゃそうだ、何百人という学生たちがいるんだもの)、すでに冬に向かっていた空の下で随分と寒い思いをしたのが印象的だったなぁ。。。

僕が最初に受け持つ事になった生徒たちは、「オーストラリア・アジア研究」に携わる子たちで、十月末から日本へ研修旅行に行くので、日本語や日本文化についてのレクチャーをしてもらいたい、という事でした。
僕の心配の種は、「ノルウェー人学生たちの気質が分からない」、「どれだけ日本に興味があるのか分からない」、という事。
今まで教えてきたモンゴルやスリランカの学生たちは、仏教をベースにした師匠や教師に対する尊敬心が身についているので、授業がやり易い環境だったかもしれません。
楽しく活発な授業が僕の好みですが、そういう雰囲気でも、羽目を外す生徒は殆どいませんでした(ごくたまにお酒を飲んで酔っ払ったまま、授業に出てくる生徒もいましたが(笑))。
ノルウェーの学生はどうなんだろう?授業がつまらなかったら、すぐにお喋りを始めたり眠ったりするんだろうか?
そんな不安が頭を過ぎりましたが、とにかく、賑やかだけど楽しくて集中できる授業を展開すれば、皆ちゃんと付いてきてくれる筈だと、自分に発破をかけて教室に入りました。

素敵な学部棟です

生徒数は35人。三分の二は女の子です。
教室を見渡すと、(お〜、パンクじゃん!)と思わざるを得ない髪型をした女の子が、ちらほら。化粧もそれっぽい感じで決めています。
男子はというと、(うわぁ、すごいタトゥー入れてんなぁ!)っていう生徒に、スターウォーズのチューバッカ並みに迫力のある生徒まで、(う〜ん、僕にうまく御しきれるだろうか?)という顔揃え。
なかなかハードルは高そうです。
やはり授業初日という事で僕のことが心配だったのか、僕が所属している人文学部の学部長も教室に来てくれました。

しかしよく考えてみると、僕自身も、生徒たちに不安を感じさせていたかもしれません。
この日、僕が仕事着として選んだのは、背中にでっかく金色の虎の顔が刺繍してあり、JAPANと大きく縫い付けてあるTシャツ。
そして和をイメージした雲のマークを貼り付けてある、擦り切れたジーンズだったのです。(何か日本っぽい感じ出さなきゃな。何しろ、生徒たちには初めて生で見る日本人なんだから。)と、気負った結果のなれの果てでした。

何の事はない、もしかしたら自分自身が教室で一番浮いていたかもしれなかったのです。 (次回へ続く)

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エッセイ【30】
ヴォルダの先生生活 その3laerer

               西ノルウェーヴォルダ在住・テンギョウさんより

日本に関する10のクイズ

最初の授業でなんとしても主導権を握りたい僕は、ちょっとした秘策を用意していました。
それは「日本に関する10のクイズ」!そして「成績優秀者へのプレゼント」!
一体、ノルウェーの学生たちが日本についてどれだけ関心を持っているのか、実際にどれくらい日本のことを知っているのか。
日本学教師としては是非押さえておきたいところです。
それをクイズで楽しみながらチェックしつつ、生徒の心を賞品で釣ろうと(笑)いうプラン。
その10のクイズというのは、AかBの答えを選ぶ二択で、かなり難しい問題も含んでいます。ただ色々なジャンルをカバーしているので、それぞれのテーマ(スポーツ、アニメ、歴史、経済など)を持って日本を研究している学生たちには興味深いものになっているはず。クイズは以下のとおり。
  1. 今年ノルウェーと日本は国交開始から、A)100周年、B)60周年
  2. 今年日本の皇族がノルウェーを訪問したが、それはA)天皇、皇后両陛下、B)皇太子、皇太子妃両殿下
  3. 日本の皇族には代々、皇位継承の証として三種の神器と呼ばれる玉、鏡、剣が伝えられている。転じて三種の神器とは、大変有り難く貴重なものという意味になった。戦後の日本家庭で三種の神器と言えば、テレビ・冷蔵庫・洗濯機だったが、十年前はパソコン・携帯・カーナビになった。それでは最新版三種の神器とは、A)ハイブリッドカー・ホームシアターセット・自動清掃機能付きエアコン、B)デジカメ・DVDレコーダー・薄型大画面テレビ
  4. 日本は今年終戦から60年を迎えたが、敗戦の最大の原因は A)東京大空襲 B)広島、長崎への原爆投下
  5. 日本に徴兵制は A)ある B)ない
  6. 長年日本国民に愛されている漫画「ドラえもん」、ドラえもんの秘密は A)おなかのポケットから未来の道具を取り出せる B)色々な形のロボットに変形して敵と戦う 
  7. 本独特の食べ物に納豆がある。納豆は発酵した豆でネバネバしており、強烈な A)臭い b)辛み がある
  8. シドニーオリンピックで女子の陸上選手として日本で初めて金メダルを獲得した高橋尚子選手の競技とは A)走り幅跳び B)フルマラソン 
  9. フランスのTGVと並び世界最高速で走る日本の新幹線、そのスピードは A)時速300キロ B)時速270キロ 
  10. 今、日本の巷で囁かれている2007年問題とは A)団塊の世代と呼ばれるベビーブームに生まれ、長年日本の製造業の中心として働いてきた多くの技術者たちが2007年に退職を迎え、その後の日本の技術力低下が危ぶまれている B)東京の人口は爆発的に増加しており、2007年には新たに入居してくる人たちの住む場所が無くなる

さて、結果の方は。。。
全問正解、9問正解ともにゼロ。しかし、8問正解者が35名中4名!
知らなきゃ勘で答えるしかないような問題で、8問正解は素晴らしい。この4人、かなりの日本通?!
ちなみに問題別回答状況は、1問目、2問目ともほぼ全員正解。ニュースで見て知っていた、とのこと。3問目、半数が不正解、ハイブリッドカーにひっかかったのか。4問目、全員正解。5問目は半数が正解。
6問目がほぼ全滅。「ドラえもん」を知っている生徒は一人もおらず。「ドラゴンボール」や「ワンピース!」のノルウェー語版コミックは売っているけど、「ドラえもん」は無し。ジャパニーズアニメーションと言えば、闘うヒーローのイメージが強いのか、思わぬ苦戦。
7問目、過半数が不正解。一人だけ納豆経験者有り。彼ら35人は今月の終わりから日本ツアーに出るので、「いずれ体験することになるよ(笑)」と言っておきました。
8問目は過半数が正解。ヒントとして「僕の体型を見て考えて。僕たち日本人は瞬発力が高そう?それとも持久力が高そう?」と言いましたが、参考になったのかどうか。。。9問目、10門目はそれぞれ約半数が正解。新幹線も今度のツアーで体験します。10問目には日本の経済を勉強している生徒が興味を示しました。現在彼女は、そのことについて研究をしています。

さぁ、成績優秀者への賞品授与です。賞品は小瓶入りの純金箔紛。
うちの祖父母が金箔の会社をやっていて、京都の金閣寺にも金箔を納めているのですが、それと同じ物です。
純金箔なので食べられます。バブル期の日本人がお酒に入れていたみたいに。8問正解者4名のうち、女性3名に男性1名。
クラス全員だと女子24名に男子11名なので、妥当な比率です。車少ないです
よくがんばりました!
一人づつ教室の前に出てもらって、僕が両手で金箔入りの小瓶を差し出しますが、何か様子が変。戸惑っているような感じで、ぎこちなく受け取っていきます。
とりあえず全員に渡し終えたところで、学生の一人が、「ノルウェーでは賞品などを授与する時は、片手で渡してもう一方の手で握手をするんです。」と教えてくれました。
あぁ、それでか!日本人は敬意を表して両手で賞品を差し出しますが、ノルウェーでは握手も大切なんですね。ひとつ学びました。

そんなこんなで僕と学生たちの授業が幕を開けたのでした。  

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