各回のまとめ
ノルウェーについて学ぶサロン・講座レポート


第39回 「生きる力を育てる国ノルウェー」
     〜高校生が学ぶ社会科教科書から


開講日時: 2009年8月22日(土) 13:00〜15:00
参加者数: 14名

●テーマ紹介文
初夏のノルウェーを訪れ、本屋で高校の社会科の教科書を何気なくめくってみました。すると1ページ目から思いもかけない文章が飛び込んできました。
「あなたはユニークです。あなたは他の誰とも違います。」
ノルウェー人は個性を大切にしている、とよく感じることがありましたが、学校の教育から日本とは違っているようです。
教科書には、これから成人になる生徒たちに向けて、社会で生き抜く上で必要な力や知識がたくさん載っています。
民主主義の大切さ、選挙や政治の仕組みといった基本はもちろん、人はなぜ犯罪者になるのか、離婚した家族の問題といった社会的に負のテーマも積極的に取り上げています。
そして、働く上での権利や義務、賃金の相場、失業者になった場合の社会保障など、「お金の問題」にも真っ向から向き合っているのです。
私もこんな教科書で勉強したかった!ときっと思える本です。
”ノルウェー人の作られ方”を一緒に学んでみましょう。
ノルウェー語ワンポイントレッスンは、「あなたはユニークですね」です。

●講演内容

教科書との出会い/教科書から 小さな子どもを持つ家庭の現代事情/パートナーとの別れ:離婚に際して子どもからの9つの望み/ノルウェーの犯罪/民主主義と選挙/あなたの影響力を及ぼそう/もうすぐ大人-個人の経済:カロリーネの事例,仕事をする若者,労働者の義務と権利,給料,ローンと奨学金,消費者の権利/価値ある給料/労働と失業/労働環境/自分の会社をスタートさせる/まとめ
●ノルウェー語レッスン
あなたはユニークですね Du er unik.
●付録
新規参加の方には・・・語学資料「ノルウェー語とは」
       その他 ノルウェー大使館、フィンツアー、スカンジナビア政府観光局
            提供の資料多数
ノルウェー社会科教科書 FOKUS Samfunnsfag 2009年版 目次(PDFファイル)

●主催者後記
教科書を片手に
高校時代、こんなに教科書を読みこんでいたら、今頃もっと違う人生を歩むことが・・・、と思わず悔悟の念にかられるほど、今回、テーマにしたノルウェーの社会科教科書は夢中になって読むことができました。
読者層を「若い大人たちへ」と銘打った本書は、大人が読んでも楽しめる内容です。
冒頭、「あなたはユニークです」と高らかに宣言し、個性の尊重をすすめる内容にまず、納得。ノルウェー人、個性好きですから。
本書は高校2,3年で勉強する本でかなりボリューミーでしたので、気になる箇所をピックアップしました。
私が何と言っても「面白い!」と感じたのは、パート3の「仕事と経済」の部分です。おカネの話がシビアにリアルに描かれています。まず家計=予算を組むことの大切さと方法、そして若いうちに働く場合の権利や制限、一般的な労働者が働く場合の権利と義務が、きっちり書き込んであり、「無知」から救ってくれる内容となっています。
全般的に、地に足がついた「生きる力」をたくわえる教科書、といえると思います。
将来に希望が持てる内容にも感心いたしました。
今回、この教科書を紹介できる機会を持つことができて、とても嬉しいです。
ご清聴ありがとうございました。
(Aoki)

”教科書”と聞くと、堅苦しい内容で生活の役にはたたない書物のイメージがありますが、ノルウェー人に聞けば違う答えが返ってくるのかもしれません。
これまで、私たちのサロンではノルウェーの様々なテーマを扱って学んできました。
福祉にしろ、音楽にしろ、スポーツにしろ、あらゆる分野で活躍するノルウェー人の誰もが持っている共通した国民性を感じます。個性を活かし、自主性を持って各々の人生を楽しむ人たち。今までは羨望の思いで見ていましたが、今回、社会科教科書の内容を知り、彼らが”教育”によって作られていることを実感しました。もちろん、持って生まれたバイキング気質があることも否めませんが・・・・。
日本が北欧ノルウェーに何かを学ぶとき、部分的な制度を切り取って持ってきても社会に馴染むわけもなく、社会全体のバランスや価値観を学ぶ必要がありそうです。そのツールとして、まずは社会科教科書を読むところから始めましょう♪
といっても、問題はノルウェー語。ここは講師に翻訳、出版をしてもらわねば・・・・・。
夢ネットでは本気で出版社を募集中です(笑)
(Yoko)

今回取り上げた社会科教科書をブックレビューでもご紹介しています。
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