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この度、日記風にリニューアルしました。
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2012年8月1日(水)
ノルウェーの養子今昔事情

日本にいる時より、ノルウェーに留学してから「養子」の存在が気になるようになりました。
まず最初に、ノルウェーで養子の存在に気付いたのは、1992年に参加したオーロラツアー。サーメ人のキャンプを訪問した時に、どう見てもアジア顔の男の子がいたのです。
「あれ?」と不思議に思い、そのまま疑問は残ったまま。
1995年にノルウェーへ留学し、初めて疑問が氷解しました。
「あ、あの子はアジアからの養子だったのだ!」と。
そう、大学にも顔は明らかに私と同じアジア系なのに、ノルウェー語が普通に話せて、名前もノルウェー人。
聞けば、外国からの養子がノルウェーには結構な数がいるんだよ、ということでした。
それ以来、ノルウェーを歩けば、肌の色が異なる子どもを連れた親子に出会うことも珍しく感じなくなりました。

さて、Aftenpostenでは、これよりも以前の「養子事情」について特集を組んでいます。
早速、ご紹介いたしましょう(2012年7月28日)。

ノルウェーで女性が自主中絶権を得たのは、1978年の「男女平等法」ができてからです。
それまで中絶は、行政へ申告後、審議をされるということで、女性には中絶できずにこっそりと「望まない子」を生む、という歴史が存在しました。

では「望まれない子」はどこへいったのでしょうか?

40年代や50年代はこんな広告が、女性誌によく載っていました。
「2か月のきれいな男の子。親切な人の温かい家庭を求めています」。
「過酷な運命に遭った若い女性です。結婚をする予定でしたが、婚約者は亡くなってしまいました。子どもが6月に生まれます。誰か、この子を引き取ってくれませんか?」

私は日本の事情に疎いのですが、日本でもこのような広告が存在したのでしょうか?

いずれにしても、現在のノルウェーの養子法は大変、厳しく、養子となる親に対して、厳しい条件が求められています。
養子する側、される側の同意はもちろん、養子となる親の健康・経済状態、扶養できるか十分な素養があること、25歳以上であること、そのほかにも細かい条項があります。
ノルウェー人からも、「養子をもらうには、厳しくて長い審査が必要なんだ」と聞いた覚えがあります。

また時計の針を前に戻しましょう。
ノルウェーでは、ノルウェー人の子どもがどれだけ養子になったのか正確な数を把握していません。1960年までは公式な統計もなく、また実態調査や研究も、少なかったのが現状です。
アフテンポステン紙は、1918年~1979年の間、ノルウェー人の子どもが養子になったのは、3万人ほどと推測しています。

今では、「養子あっせん業者」なるものは禁じられていますが、1950年の半ばまで、誰もが業者になることができました。ノルウェーの法律では、業者の条件もほぼ設けていなかったのです。
当時は、「婚外子」を生むことは恥だったので、何千もの女性が、様々な業者に頼っていました。子どもの父親は、父になることを拒み、女性の父親は家から追い出そうとし、母親は恥を恐れ、雇用者は容赦なく妊娠した女性をクビにしていた時代です。
今のノルウェーを知る者とすれば、まさに「隔世の感」があります。

詳しい統計で裏付けはしていませんが、ノルウェーは私が留学していた90年代は、韓国系の養子を多く見かけた気がします。
現在では、中国の女の子の養子が多いと聞いています。
厳しい法律で、養子たちの権利は守られています。

私は、韓国系の養子のノルウェー人、1人としか個人的に話したことはありません。
彼は、「いつの日か韓国に行ってみたい」と言っていました。でも彼は自分を「ノルウェー人」というアイデンティティーを持っているようでした。

とりあえず、養子の事情は確実に、良くなっていることがわかりました。
今では外国からの養子が目立ちますが、いろいろな「ノルウェー人」がかの地で幸せに暮らせるよう願わずにはいられません。
しみじみ。


いろいろな子ども

2012年7月18日(水)
もっと座席のスペースを!

何かと不満が多く寄せられるNSB(ノルウェー国鉄)。
やれ遅延ばかりだの、やれ工事ばっかりやっているだの、何だか読む記事で誉めているものの記憶がありません。
今度はどんな不満を寄せられているのか、ご紹介いたしましょう(Aftenposten紙、2012年7月18日)。

よく知らなかったのですが、「Flirt」という新しい電車が導入されたようですね。
スピードは速く、騒音もしなくて、空調も今までより快適・・・といいこと尽くめなのかと思いきや・・・。

座席が狭い!と乗客は苦情を言っています。

横一列で、2シートと3シートが並んでいるのですが、「3シートにみんなが座ると、とてもきつい」とのこと。
そういえばノルウェーの電車って、ゆったりとした作りだったようなぁと、今までの乗車記憶をたどります。
あの「ゆとり感」に慣れている乗客だと、狭いと感じるのかもしれません。

何でもNSBのローカル線は、ヨーロッパで一番座席数が多いそうで、その数、295席(5両)。
乗客はこう愚痴ります。
「人の体形はどんどん大きくなっているのに、座席はどんどん狭くなっている。」

このコメント、ちょっと笑っちゃいました。
確かにノルウェー人の肥満度は、上昇していますからね。
この記事の読者コメントにも、「もっとみんなが食事の量を減らして痩せればいいのだ」みたいな反論も書いてありました。
まぁ、でも肥満化を食い止めるのは、なかなか一朝一夕にはいかないでしょう。

仕方ないので、乗客の中には、「3列並びの真ん中の席は避けるようにする」と、対策をとっているケースもあるようです。

ただこうした乗客に不満の座席ですが、すでにNSBはスイスのメーカーに発注してしまったので、変更は無理とのこと。

ノルウェー人はオフィスでも個室が与えられていたり、お家も広かったり、と、とかく「スペーシー」であることに慣れています。
ここは、東京のラッシュ電車で「強制乗車研修」でも行って、自分たちがいかに恵まれているのか、思い知るという荒療治もいいかもしれません・・・。


ノルウェーの電車です

2012年6月26日(火)
リアルティーTV真っ盛り

6/8~20日までノルウェーへ行っていました。
14日までは、「ノルウェー案内人青木順子さんと行く第2回ベストシーズンのフィヨルドとオスロ暮らしを感じる旅8日間」というツアーで、「案内人」なる立場で西へ東へ旅していました。

とても楽しかったです!

この話は、現在連載中のフィンツアーHPのエッセイで書きたいなぁと思っています。

では本サイトでは何を書こうかなぁと悩みました。
思いついたのが、「テレビ番組」です。
ツアー終了後、いつもお世話になっているノルウェー人の友人宅へ居候。
私がノルウェーのいろいろなことに興味を持っていることを知っている彼女は、「このテレビ番組は面白い」と教えてくれたのが、2つとも「リアルティーTV」でした。

おそらくアメリカが発祥だと思うのですが、この「リアルティーTV」はノルウェーでとても人気があります。
アメリカものを放送する場合もありますが、ノルウェー産のリアルティー番組も増えています。

まず最初に観たのが、「Jakten på kjærlighet」(愛を求めて)というTV2の番組。
地方の農家の人たちで、恋人・配偶者を探している人たちが、思いっきり自分の顔をさらし、自宅をはじめ、普段の生活をテレビであますことなく公開します。
そして、「このKnutに興味のある人は、どうぞメールを送ってください」と番組のメアドがテロップで流れます。

地方の、特に男性が配偶者や恋人を見つけられない、という問題は深刻です。
女性はほとんど地元を離れてしまい、残っているのは男性ばかり。
苦肉の策として、以前は新聞、ネット、そして現在ではテレビで堂々と「婚活」している様子に、「日本ではここまで大っぴらな番組ってあったかしらん?」と感慨深かったです。

特筆すべきは、農家の人たちの自宅がみんな広くて、おしゃれなインテリアでキメられていること。男性だって、おいしそうな料理やデザートを作って披露し、アピールに余念がありません。「これならアリかも?」と思ってしまう自分がコワい。。。

もう1つのリアルティーTVは、「Et lite stykke Thailand」(タイを少し覗いてみると)というTV Norgeの番組が印象的でした。
やはり、ノルウェーの男性とタイの女性というカップルが増加するにつれ、こうした番組ができたのかなぁと想像しました。

番組では、ノルウェー男性:タイ女性のカップル4,5組の動きを並行して、映していきます。
あるカップルは妻の実家、タイへ里帰りに同行し、悪戦苦労。別のカップルは、妻の仕事を支えようとする夫の姿を映し・・・。ってな感じです。

一般的にノルウェーでは、タイ女性と付き合うノルウェー人は得てして、年寄りでモテなくて田舎者。そしてタイの女性は、安定した生活を求めて割り切ってノルウェー人男性と一緒になる、という偏見を持たれることが多いと聞きます。

確かにそうしたカップルは存在すると思いますが、同番組では、高学歴なタイ女性と彼女の職探しを懸命に支えようとする、ノルウェー男性のカップルを映し、「人はそれぞれ」という当たり前の事実を、視聴者に教えてくれました。

なんでノルウェー人がこれほど「リアルティーTV」にハマるのか、という現象も分析が必要ですね!


Et lite stykke Thailand

2012年6月6日(水)
リフォームは誰に頼む?

ノルウェー人は家のリフォームが大好きです。

中古物件は人気があるので、それをリフォームをするのがノルウェー流。結構、「え?こんなことも自分でやるの?」というケースもあるのですが、本格的なリフォームの場合、業者に任せることになります。
ではどんな業者に頼むのか?興味深い記事があったので、ご紹介いたしましょう。(Aftenposten紙、2012年6月5日)

「誰にリフォームを頼みますか?」という調査をNorstatが行ったところ、ある傾向が見られました。
「最良の仕事をしてもらいたい」場合、ノルウェー人の業者を選ぶ人が66パーセント。外国人の業者に頼みたいと答えた人はわずか6パーセントです。

一方、「できるだけ安く仕事をしてもらいたい」場合、外国人の業者を選ぶ人が46パーセントと最も多く、ノルウェー人の業者と答えた人の26パーセントを上回ります。

性別、地域による違いも見られます。
外国人の業者を選ぶのは、女性<男性で、東ノルウェーと中央ノルウェーが多いです。
オスロの住民で「ノルウェー人の業者を選ぶ」と答えた人はわずか15パーセントです。

あと仕事の内容による違いもあります。
台所システムを交換する場合や電気工事の場合、ノルウェー人の業者は人気があります。
一方、塗装の仕事では、外国人の業者が選ばれます。

こういった結果をみると、「ノルウェーの業者の方が技量的には優れている」という印象を抱いてしまいますが、専門家の意見はまた別のようです。
「外国人業者の多くは東欧からの移民たちですが、彼らは優秀で専門技術を持っており、職歴も長いです。外国人業者に対する偏見は、言葉の問題が大きいでしょう。」

ノルウェーの求職広告を眺めていると、「ポーランド人、大工仕事をやります」「ポーランド人、塗装の仕事をやります」といった類をほぼ確実に見つけることができます。
私が留学していた2000年でも、すでにアパートを購入したノルウェー人の学生はポーランド人の業者に内装工事を依頼していました。
「彼らは、とんでもなく長時間、働くのよ!」と興奮気味でしたね。
ま、ノルウェー人は7.5時間労働ですが、東欧など外国人労働者はなるべく長時間働いて、短期間でお金を貯めようとする傾向があります。

景気のいいノルウェーへ、こうした労働移民はこれからも増えていくでしょう。
ノルウェー人が大好きなお家のリフォームといった「聖域」も、安さの前では、神話が壊れる感があります。


改装中のお家

2012年5月31日(木)
青年よ、不動産には注意せよ!

レッスンで使用しているテキストに以下のような一文があります。
「Å leie er å kaste penger ut av vinduet」
意味は「家を借りることは、お金を窓から捨てるようなものだ」です。
とかく持ち家志向の強いノルウェー人ですが、学生たちの不動産購入事情について取りあげた記事がありましたので、ご紹介いたしましょう。(大学新聞、2012年5月23日)

まずこの記事をご紹介する前に、ノルウェーの学生と不動産について、私の経験を綴りたいと思います。
ノルウェーの大学は日本の大学に比べて、学生寮の整備が整っていますが、十分ではありません。

学生寮に入らない・入れない学生たちは、アパートを借りる、ルームシェアするなどが一般的ですが、大学生のうちから不動産を購入する、という選択をする学生がいました。
「え?学生の身分でアパート、買っちゃうの?」と驚きましたが、ノルウェーの、特に都市部の不動産価格は、日本のバブル期のように「値上がりが当たり前」。
購入した価格より、高く売却できることから、「アパート買っちゃおうよ!」と踏み切る学生がいるのです。

そうした現状に警鐘を鳴らしているのが、ビジネススクールBIのSommervoll準教授です。
「住宅市場の価格が下落するかどうかの予測は、大変、難しいです。しかし確実に言えることは、ここ数年続いている住宅価格の上昇は、ずっと続くことはないということです。」
特に同準教授は、少ない自己資本で不動産を買おうとしている学生たちに警告しています。

「不動産を購入することは、誰にとってもリスクを伴う行為です。
しかしごく普通の学生で自己資本が少ない場合、もっとリスクは大きくなるでしょう。たとえ不動産が売却できた後でも、不動産価格が下がった場合、大きなローンが残ってしまいます。」

学生が不動産を購入する場合に「ありがちな」行為として、少ない自己資本で多額のローンを組む、ということが挙げられます。しかし購入時期を誤ってしまうと、どんなことが起きるのか・・・。
Sommervoll準教授は語ります。
「住宅価格下落直前に、不動産を買ってしまうと、その人は"敗者”となるでしょう。私が学生の時、住宅危機を体験しました。」
こうした住宅危機は、ノルウェーで80年代終わりに起きています。
「私のクラスメートがまさにその時期にアパートを買ってしまい、価格が下落しました。彼は不動産を購入したよりもずっと安く売却し、大学を辞めることになってしまったのです。
こうした現象が、今日、また起きないと誰が断言できるでしょうか?」

ノルウェーが最後の住宅危機を経験してから、すでに大分、時が経っています。
「常に不動産価格は上昇を続け、誰もが"勝者”であり続ける保証などないのですよ」と、厳しい指摘が続きます。

そして学生たちに対しては、
「不動産を買う場合には、どうか長期的な視野を持って、臨んでください。むしろ、賃貸物件に目を向けるべきですが・・・。」と、呼びかけています。

欧州経済危機の影響もあり、「ノルウェーだけが例外」という現実がいつまで続くかは誰も分かりませんね。
それにしても、学生が住宅ローンを組めることが、日本とは大きく違います!


オスロのグルンネルッカ地区のアパート

2012年5月24日(木)
やっぱりSnack菓子が好き

新聞でパラドックスな見出しを見つけました。
「健康やダイエットに、これほど興味が高まったことはない。
スナック菓子を、これほど食べたことはない。」
という見出しと共に、ポテトチップスを試食する人たちの大きな写真が載っています。
ノルウェー人とスナック菓子の関係について、綴った記事をご紹介いたしましょう(Aftenposten、2012年5月19日)。

ノルウェーのスナック菓子企業大手、Kims社では、新製品のポテトチップスの試食が行われていました。
「この業界の競争はとても厳しいです」と担当者は語ります。

ノルウェーのスーパーに行かれた人は、きっとその種類と量の多さに圧倒されるでしょう。
伝統的な、MaarudのポテトチップやPolly社のピーナッツといった定番から、今ではとんでもない量のスナック菓子がノルウェーでは販売されています。

その数、716種類!昨年より97製品が増えています。
オスロの大手スーパーUltraの棚には、その中から183種類のスナック菓子が陳列されています。

しかしちょっと考えてみましょう。
近年、かつてないほど、健康やダイエットへの関心が高まりを見せているのです。
それなのに、「ジャンクな」スナック菓子が、こんなにも盛り上がりを見せているのは矛盾ではないでしょうか?

そもそもノルウェーへ最初のポテトチップスがもたらされたのは、1936年。
ノルウェー最大のスナック菓子企業Maarudの創業者、Thomas Stang氏がアメリカ旅行中、この「エキゾチックな」味覚に注目し、そして母国ノルウェーでの生産に踏み切ります。

そして現在。
2010年、ヨーロッパにおけるスナック菓子の平均年間消費量の統計を見てみると・・・・。
  1. オランダ:6.9kg
  2. スペイン:6.6kg
  3. ノルウェー:6.4kg
と見事に、ノルウェーはベスト3に入っています。
他の北欧諸国を見てみると、5位スウェーデン(4.4g)、9位デンマーク(3.7kg)、17位フィンランド(2.6kg)です。

ノルウェーのスナック菓子消費量は確実に増えています。
2003年には5.2kgでしたが、2011年には6.3kgと、1kg以上が増えているのが分かります。

「ジャンクな」スナック菓子を食べさせるために、業界大手のKimsはこんなキャッチコピーを作りました。
Ingen Kims、Ingen Kos. (No kims, No cozy)。
おぉ~、まるでタワーレコードのようなコピーじゃないですか!
「Cozyであるということは、金曜の夜にリンゴを食べることではないですよ。ようやく金曜の夜の実感を得るために、私たちの製品があるんです」とKims社はコメントします。

確かにノルウェー人は健康やらダイエットやら気にはしていますが、このkos(cozy)という単語に、ひたすら弱かったなぁ・・・。
ヘルシーじゃない物ほどおいしいのも、分かります。

ノルウェー留学中、私もとんでもない量のポテトチップスを消費しました。
共同キッチンでみんなでテレビを見ていると、「当然のように」ポテトチップスの袋が開けられます。それはもう「お約束」でした。
味は日本のポテトチップスとは違うのですが、「やめられない」魅力があったと思います。

さて今年はどんな新製品が、ノルウェー人を楽しませてくれるでしょうか?


わざわざ3000円くらいかけて、ノルウェーから買ったポテトチップス

2012年5月17日(木)
「キュッパのはくぶつかん」オーシルさん来日!

私がその絵本を知ったのはTwitterを通じてでした。
「キュッパのはくぶつかん」(オーシル・カンスタ・ヨンセン著、ひだにれいこ訳、福音館書店)という絵本は、ノルウェーの絵本なのですが、珍しく日本人受けする「かわいい~」キャラクターでした。
そして発売になるとすぐに買いました。やはりイラストはとても可愛く、でも面白いクセがあって、ストーリーも「おお、そうくるか!」と不思議な作品です。私はサイトの掲示板やTwitterを通じて、PRしました。

そして、ノルウェー大使館と「キュッパ」のアニメーション製作やグッズ展開をしているトムス・エンタテインメントさんから、「作者のオーシルさんが来日するので、通訳とアテンドをしませんか?」と思いがけないお申し出がありました。
おお~これは引きうけるしかない、と即決。一ファンとしてミーハーに喜んだのです。

そして来日当日の5/12。
待ち合わせ場所のホテルに行き、オーシルさん、そしてトムスの担当者さんとお会いしました。何でも成田空港で緊急来日中のジョニー・デップを見た!と興奮気味。オーシルさんはとても親しみやすいベルゲンっ子です。
その日は軽く観光し、とらやのカフェでお茶をしました。その時に、持っていた「キュッパ」本にサインをお願いしたら・・・。
何と、ただ名前を書くのではなく、丁寧にキュッパのイラストを書いてくれて、面白いコメントを書いてくれるのです♪もう感動の嵐~。
夕食もとても気に入って下さり、何とか1日目は終わりました。

そして昨日。5/16は午後から合流しました。夜にノルウェー大使館で「キュッパ サポーターの集い」が開催されるので、私は通訳をするのです。
何とか原稿を事前に頂きたいと何度か督促したのですが、最終原稿を頂けたのはその朝でした。
午後はずっとホテルの部屋で講演で見せる画像の編集をされ、私は原稿を何度も読み返しました。日本語にする時間はなかったので、もうこの原稿だけが頼りです。

「サポーターの集い」の前に、面白い会がありました。
ノルウェー大使館の会議室に、ノルウェー人の子どもたちが集まり、オーシルさんが読み聞かせをするのです。
集まって来るノルウェー人の子どもたちの可愛いことといったら!!ジュースを飲んで、お菓子を食べながら、熱心にオーシルの読み聞かせに聞きいっています(ずっと泣いているトロールそっくりの男の子もいました・・・!)。
読み聞かせが終わったら、キュッパ・グッズが入っている紙袋に子どもたちへサインを書いていきます。私のサインと同じで、丁寧にキュッパのイラストとみんなの名前を書き入れていきます。
みんな「Tusen takk!」(どうもありがとう)と、とても喜んでいました。

さぁ、いよいよ本番が近付いてきます。
いつもの通り、小心者の私は緊張MAXです。
まず、スノーフリッド参事官より開会のご挨拶、そしてトムス・エンタテインメントの岡村社長がご挨拶されます。不肖、ワタクシ、社長のスピーチをノルウェー語通訳をさせていただきました。
トムス・エンタテインメントさんは、誰でも知っている「あんぱんまん」、「コナン」シリーズ、「ルパン三世」などを手掛けた会社です。
まず「キュッパ」を見つけたのはトムスさんでした。ボローニャのブックメッセで、キュッパの絵を見て、すぐにブースに入ったそうです。
そこからは、どんどん日本での出版とグッズやアニメーション展開へ話は進んで行ったそうです。

オーシルさんの講演の番になりました。
オーシルさんは用意された画像を映しながら、生まれ育ったベルゲンのこと、芸術大学でのこと、でも卒業後はほとんど「失業状態だったイラストレーター」だったと、「美しい」ベルゲンの方言でお話されます。

キュッパ誕生の秘話も聞けました。
オーシルさんは退屈なミーティングで、木や根っこなどの絵を描いていて、それらが気に入ります。そして2008年、オスロからベルゲン行きの電車で、車窓の風景を見ながら、森や木の風景が「トロール的」=非現実的に感じて、なんとかそれを紙に再現しようと試みたそうです。
それらのイラストをどんどん発展させて、遂に「Woody」という名前をつけました。
でもWoodyだと英語なので、ノルウェーの子ども向きではない。そしてお父さんと相談し、「Kubbe」(丸太)と名付けます。そう、こうしてKubbeが誕生しました。

物語の製作も紆余曲折があったそうです。
そして彼女の子ども時代の夢、「自分で博物館をつくる」をキュッパを通じて、実現しようとしたのです。
キュッパを助けるおばあちゃんやモミの木「ググラン」にも、きちんと役割をふりました。
もうすでにキュッパの続編が出来上がっていて、今年、電子書籍で発売されるそうです。

30分強の講演は何とか終わりました。
私はベストを尽くしましたが、みなさんはどう感じたのでしょうね?
懇親会へと会場は変わりました。

たくさんの方々がオーシルさんとご挨拶したいと集まってきました。
サインを求められる方が多かったのですが、オーシルさんはまたもや丁寧にキュッパのその人の名前を書いていきます。
その姿にみなさん「かわいい~」を連発。
オーシルさんは、みなさんの称賛の言葉を真摯に受け止められ、そして感動されているようでした。

会場では翻訳者の枇谷玲子さんともご挨拶できました。枇谷さんはデンマークで勉強されたようです。
可愛らしい絵本の翻訳者にぴったりのチャーミングな方で、狭い業界なので共通の知人もいました。

宴もたけなわですが、21時20分頃、そろそろお開き・・・ということで、何と、私が僭越にも祝辞を述べさせていただきました。
その後も、まだ挨拶したいという方が会場に残られ、オーシルさんは丁寧に対応されます。

その夜はオーシルさんはカラオケに行きたい、とご所望だったようで、トムスのみなさんがご用意して下さるようでした。
私は去りがたかったのですが、オーシルさん、トムスのみなさん、そしてノルウェー大使館の仙波さんとご挨拶をし、会場を後にしました。あ、ちゃんと私も可愛いキュッパ・グッズを頂きましたよ!

会場では3分のアニメーション映画を見たのですが、今後、どのように発展していくのかもう楽しみで仕方ありません。
オーシルさん、楽しい時間をありがとう!!


ノルウェーの子どもたちにサインをするオーシルさん

2012年5月8日(火)
同性カップルたちの出産事情

ご存知の方も多いかもしれませんが、ノルウェーでは2009年に婚姻法が改正され、同性同士の結婚と人工授精による出産、養子が可能となりました。
新聞で、同性カップルの出産事情の特集記事があったので、ご紹介いたしましょう(Aftenposten、2012年5月5日)。

ここでは主に「女性同士のカップルの人工授精による出産」が大きく取り上げられています。
ノルウェー国内で、女性同士のカップルの人工授精施術を行う病院は、公的機関が2つ、民間が2つです。

ですが、ノルウェーでは精子のドナーを公開しなくてはいけません。子どもが18歳になった時に、「生物的な父親」が誰なのか尋ねる権利があります。
一方、デンマークではこのような義務が課されていないので、ノルウェーの同性カップルがデンマークで人工授精を受けるケースが多く見られます。

特集記事では、34歳と32歳の女性カップルが紹介されています。
34歳の女性は現在、男の子と女の子の双子を妊娠中。精子ドナーはスカンジナビア系とのこと。2人にはすでに2歳になる男の子がいます。

ノルウェーで人工授精が行える公的機関の1つ、「国立病院」では患者の半分が女性同士のカップルとのこと。
担当責任者によると、「ここ数年、女性同士のカップルによる人工授精が劇的に増えている」だそうです。
2009年の「解禁」により、ノルウェーでは450ケースの同性同士の人工受精が行われ、そのうち188ケースが妊娠に至りました。

前述のカップルは、2009年以前、デンマークへ人工授精を受けに行っていました。
8回もトライしましたが、妊娠には至りませんでした。
ノルウェーでも認められた2009年以降は、国内での治療を選び、遂に男の子を得たのです。
「デンマークまで行かなくてはいけないのは、精神的にも肉体的にも疲れました。だから国内でも認可されたことで、ほっとしたのです。」

現在、家族は3人、もうすぐ5人になりますが、幸せに暮らしています。しかしながら、当然、様々な葛藤はあるようです。
「子どもが小さなうちは母親が2人いることは、いいことかもしれません。でも子どもたちが成長するにつれ、様々な試練が予想されます。」

にもかかわらず、同性同士が子どもを持つことは以前と比べて変化が起きているようです。
国立病院の担当責任者はこう語ります。
「同性カップルが人工授精で子どもを持つことは、以前よりもずっと容認されるようになってきました。実際に、子供を持ったカップルは”良かった”と実感しているケースが多いのです。彼女たちは、きっと医療機関や保育園でいろいろな偏見に向き合うだろうと予想しているのですが、実際はうまくいっているようですね。」

確かに前述のカップルが受けた偏見は、多くはありませんでした。
でも、覚悟はできています。
「息子は大きくなるにつれ、お前の両親はレズビアンと言われるでしょう。でも彼が自尊心を持ち、そうした言葉に立ち向かえるように育てるのは、私たちの役割です。」

記事では男性同士のカップルに対する言及は少ないのですが、代理母を求めて、アメリカ、インド、ウクライナへ出かけるケースが多いそうです。統計的な数字はありません。

記事全体を読んで驚いたのは、保守的とみなされるAftenposten紙で、これほど同性カップルの人工授精に好意的だとは・・・ということです。
12~13年前、まだ同性カップルが子どもを持てるか、という議論が盛んだった頃、ノルウェーの知人は「それはエゴに過ぎない。子どもがかわいそう」と断言していました。

社会も人々の意識も変化しているのかもしれない。
もちろん、偏見や差別は存在しているとは思いますが。
感慨深い記事でした。


「普通の幸せ」って何?

2012年4月27日(金)
やっぱりお金が好き(堅信礼編)

キリスト教の行事に「堅信礼」(konfirmasjon)があります。信仰心がないと言われる現代ノルウェーでもこの堅信礼の伝統は残っています。
15歳になると、「キリスト教信者である」という確認をするか・しないか選ぶことができます。
よくノルウェー人のお宅にいくと、堅信礼の写真が飾られていることがあります。
ブーナッドと呼ばれる民族衣装を着て、にっこり笑っている写真が一般的でしょうか。

で、この堅信礼のお祝いはしばしば家族・親戚が集まって行われるようです(すみません、私は出席したことがないので想像の域です)。
そこで堅信礼を受けた当事者は、プレゼントをもらいます。
そのプレゼントについて取り上げた記事があったので、ご紹介しましょう(NRK、2012年4月26日)。

若い子たちは堅信礼に何を欲しがっているのでしょうか?
キリスト教のアイテム?豪華装丁版聖書?ノン・ノン。
ずばり「お金」です!いや~、世知辛いですな。

「叔父と叔母さんから、200クローネもらえると期待しているの」
トロンハイムの中学3年生が無邪気に言います。
「え?私は最低でも500は欲しいな」と他のクラスメートが反論します。
「叔母さんは銀のスプーンをくれると思うけど、後でネットで売っちゃうつもりなんだ」と男の子。おいおい、ひどくないかい!
では両親からは、いくらもらえるのでしょうか?
「1万クローネだと思う」と女の子の一人はいいました。日本円で14万円ですね。結構な額です!

昨年、Synovateという調査会社が、堅信礼のプレゼントについて調査を行いました。
やはり金銭を送るという行為が一般的なそうで、以下、平均金額を記します。

-両親:11260クローネ(約15万)
-シングルペアレンツ:6210クローネ(約8万6千円)
-祖父母:3960クローネ(約5万5千円)
-親戚(叔父叔母):780クローネ(約1万1千円)
-家族の友達:390クローネ(約5500円)

これはあくまでも平均で、実際の金額はピンキリだそうです。

さて堅信礼でもらえるお金は、子どもたちにとって初めての大金です。
前述の中学生たちは、もらったお金の大半は「貯金する」と言っていますが、一部は使っちゃうようです。
「少しはショッピングに使うなぁ」とIngerが言うと、
「18歳になったらメルセデスに乗りたいからそのための資金にするよ」と、Tobiasは壮大な野望を語ります。

いずれにしても、早いうちから親元を離れて独立するのが大半なノルウェーの若者たち。
お金の大切さを噛みしめて下さいね♪
(肝心の信仰も忘れずに!)


Money, money, money!

2012年4月18日(水)
国会で飲むビールはうまい!

月曜からノルウェーのメディアは大規模テロのブレイヴィーク容疑者の記事ばかりで、少々、食傷気味です。
全ての記事を追いかけるのは無理なので、とりあえず結審を待ちたいと思います。
ということで今日は、ヒマネタです。

たまにはDagsavisenの記事からどうぞ!(2012年4月17日)

よく日本でも警察トップや政治家が不適切な飲酒をして問題になっていますが、ノルウェーではどうでしょうか?
進歩党(FrP)の国会議員、Gjermund Hagesæterは国会におけるアルコール飲酒の実態について迫りました。
というのも、別のToppeという国会議員(中央党)が、国会におけるビールの販売を止めるべき、という主張するのを新聞で読んだからです。
Toppeは仕事に関連した夕食会においても、アルコール量を控えるべき、と述べたそうです。

で、Hagesæterが国会の食堂でどれだけのビールが販売されたかを調べたところ・・・。
昨年の秋から「たった」57本のビールしか販売されていないそうです。
これは週当たりに直すと、「たった」2本にすぎません。こんなのノルウェー人にしてみたら「屁」みたいなものですよね~。

Hagesæterは、「Toppeはまるで国会議員がしょっちゅう、アルコールを飲んでいる印象を与えました。でも全国会議員や国会職員、記者たちも含めて57本のビールは、そんな多くないですよね」と反論しています。

記者は質問します。「では国会でビールの販売を続けるべきですか?」

Hagesæterは答えます。「はい、現在のように続けても問題はないでしょう。」

記者は続けて質問します。「夕食会において、国会議員が酒に酔っ払っているのは問題ではないですか?」

Hagesæterは答えます。「国王やその他の組織から王宮に招かれた際、ワインが出されますが、その場合”いや、結構です”と断ることもできるし、問題はないでしょう。」

ということで、平和なノルウェーの国会論争でした。
ただ酒に勝るものなし!


国会じゃ~!


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