・・・留学体験・・・
■各地留学レポート■

ノルウェーでの不思議な体験(2013年8月〜2014年6月)
文・写真提供 三輪 徹


 ノルウェー好きの皆さんこんにちは!
  僕は2013年の8月から2014年の6月までノルウェーのトロムソという町にYFUという団体を通じて留学しました。なぜノルウェーに留学したのか、また、そこで起きた不思議な体験などを少し書き綴っていきたいと思います。


「何故ノルウェーに??」

 僕はとにかくどこでもいいから留学したい!と思っていて、正直ノルウェーに 行きたいというわけではありませんでした。サッカーが好きなので、本場に行ってみたい、ラテン系の文化を体験したい、などの理由から最初はブラジルを第一希望にしていました。ところがブラジル行きの試験に落ちてしまったため、第二希望にしたノルウェーに派遣が決まりました。
 このように、あまりしっかりとした動機もなくノルウェーに行くことになりましたが、結果的にはノルウェー行くことができて本当によかったです。


「ホストファミリーとの思い出」

 僕のホストファミリーは留学出発の二日前に決まりました。母、真面目な姉、マッチョで六か国語話せる長兄、マッチョで犬が大好きな次兄、そして軍で訓練を受けた犬からなる四人と一匹の家族で、ホストマザーはトリニダードトバゴと いう国からの移民でした。

 実際に一緒に過ごしてみるとかなり厳しい家庭で、家庭内でたくさんの決まり事がありました。週一回の掃除ではしっかりと掃除しないとやり直しをさせられました。また、部屋が汚い、勉強をしろなどと、いろいろな所で怒られました。 さらにはみんなで食事をしている時に、食べるスピードが速い!クリスチャン (ホストブラザー)を見習え!と言われた時もあり、常に監視されているようで最 初のころはかなり辛かったです。真剣にホストチェンジも考えました。今までこのような環境にいたことがなかったので、大変な時期もありましたが、厳しい家庭での一年は自分にとってすごく良い経験になりました。
ホストファミリーとのフランス旅行
 また、家事は母親が一人でやるのではなく、一人一人が自分の役割を持っていて、それがあの家に住む者の義務でした。日本では家事は「手伝うもの」という イメージが強いですが、ここでは「義務」で、家事に対する考え方が異なっていることがわかりました。このような日本との違いを実際に体験してみると、今留学しているんだなと実感することができました。

 そのような生活のなかでも一番驚き、かつ少し寂しかったのは、誕生日やクリスマスを祝わない家族だったことです。後ほど触れますが、宗教の関係で祝えないとのことでした。ノルウェーではクリスマスは一大イベントで、十月ごろにはすでにクリスマス関連の商品がたくさん店頭に並びます。僕の友達もクリスマスが近づくにつれてテンションが上がってくる人ばっかりでした。雪山を登ってスノーボードで下る!そんなノル ウェーの一大行事を祝えなかったのはすごく残念でした。他の留学生仲間はクリスマスパーティーを家で開いたりしていてすごく楽しそうで、羨ましかったです。また、僕の誕生日には特に祝いもされず、僕はいつも通りトイレ掃除を一生懸命行いました。

 そのとき僕は、ノルウェーではクリスマスを祝うのはあくまでも一般的、であって国民の誰もが祝うものではないということがわかりました。祝えなかったのは残念でしたが、たとえ自分にとってつらいことが起きても、それを受け入れ たことで少し視野が広がったように思います。


「シャイなノルウェー人」

 僕はトロムソにある tromsdalen Vidergående skole という学校に通いました。生徒は約600人在籍しており、そこそこ大きな学校でした。

 登校初日僕は緊張と同時にわくわくしていたのをよく覚えています。最初に校長先生が僕を出迎えてくれて、2stb というクラスのみんなと一年間一緒に過ごすことを教えてくれました。それから教室まで案内してもらい、クラスのみんなの前でつたない英語とノルウェー語を使い簡単に自己紹介をしてから自分の席に着きました。クラスの雰囲気はそれほど悪いものではなく、みんな笑って談笑していました。その時僕は友達ができるか不安でしたが、心の中で「僕は留学生だからみんな珍しがって話しかけにくる」「友達もすぐできる」と勝手に思いこんでいました。ボーリング/山登り/島/オーロラ

 しかしこの考えは非常に甘く、クラスの誰一人として僕に話しかけにくる人はいませんでした。(最初、みんな僕のことを移民だと思っていたそうです。)みんな僕には興味がなさそうな感じで、先生が話を終えるとみんなさっさと帰っていき、僕は何が起きたかも把握できず、一人クラスに残されました。登校初日でまさかこんなことになるとは思ってもおらず、かなりナーバスになりました。

 その日はそのまま一人で帰宅。かなり憂鬱で、クラスメートとどうやっていけばいいのかとずっと悩みました。そして、僕は明日からこの留学生うざいと思われるくらい話しかけまくろう!と決心しました。

 それからは指さし会話帳や辞書を駆使して、今日いい天気だね!など、何でも いいからクラスのみんなに話しかけ続けました。それをし続けて1,2か月経つと自然とクラスの雰囲気が変わり、みんなから遊びに誘ってもらえる、など、だんだんと打ち解けて来て、少しずつでしたが僕に向けられる笑顔は増えていきまし た。その頃から、僕のことが嫌いで話しかけてなかったのではなくて、ただ単にシャイで、興味はあるけど恥ずかしくていから話しかけてこなかっただけなんだ、と分かりました。最初はつらい時期がありましたが、それが分かってからはかなり楽しかったです。

 友達を作るのが難しい状況は他の国からの留学生も同じでした。なので僕たちトロムソに派遣された留学生は週に2日ぐらいの頻度で遊び、留学生活の最後にはみんなほぼ無計画のまま島の方に遊びにでかけたりしました。留学生同士で過 ごした時間は今でもいい思い出です。


「宗教」

 僕のホストマザーの宗教はとある有名な新興宗教でした。ホストマザー曰く、この宗教を信じると、世界中の信者と友達になることができ、幸せな人生になるというのです。実際、ホストマザーが家に招待する人(信者)はいろんなひとがいました。ノルウェー人やフランス人、さらにはタイ人の人も来ます。その人たちはみんな親切で、僕のへたくそなノルウェー語や英語にもしっかりと耳を傾けてくれました。ですが、唯一嫌だったのはその人たちやホストマザーが何度もその宗教にならないかと勧誘してくるところでした。僕は仏教と神道を信じていると言って毎回断りましたが、少し恐怖を感じました。

 留学前に宗教について真剣に考えたことは皆無でした。しかし、このように本気で宗教を信仰している人々を見て、宗教とは何なのかを少し考えるようにもなりました。


「ノルウェー語の学習」

 留学生活において一番の大きな壁は言語です。僕も一番苦労しました。
今まで英語以外の言語を学んだことがなく、どのように勉強したらいいか全く分かりませんでした。なので、とにかく手当たり次第様々な勉強方法を試しました。

 そこで、いくつかおすすめのノルウェー語の学習法を紹介したいと思います。
これからノルウェーや海外に留学される方の参考になればと思います。

1)LINGQ
様々な言語の学習サイト。説明するのが難しいので検索してみてください。
月額1000円ほどで始めることができます。(もちろん無料版もあります)
このサイトを1ヶ月試してみました。英語の学習には最適な方法だと思います。 ですが、ノルウェー語などのマニアックな言語には一応対応していますが、コン テンツが少なく、あまりノルウェー語の学習には向いていませんでした。

2)新聞
ノルウェーに来てから約5ヶ月経った頃には、ノルウェー語にも大分慣れてきていました。そこで二日前の新聞や klartale というノルウェー語学習者向けのネッ ト新聞を読むことを始めました。読み方としては、まず記事の文章中に出てきたわからない単語に線を引きながら読み進めます。読み終えたら線を引いた部分を 辞書で調べ、内容を把握したら繰り返しその記事を読みます。そして大体の単語を覚えたら次の記事を読む。これを繰り返したおかげで語彙力がある程度はつきました。

3)ノルウェー語初心者向けの本(på vei)
学校の図書館に置いてあったノルウェー語学習者向けの本。ノルウェー語の授業の時に使いました。この本にはすぐ使えるフレーズがたくさん掲載されています。

4)子供向けの本
こども向けの本を図書館で借りて多読してしました。ただ借りに行くのが面倒ですぐ借りなくなってしまいました。

5)図書館
トロムソの図書館では赤十字団体が無料でノルウェー語講座を開いており、そこ に週に何日が通っていました。そこにはたくさん移民の方がいて、僕みたいな留学生は一人もいませんでした。移民の人の中にはアルファベットすら書けない人もいました。
初めてこの講座を訪れたときに、たまたま同じ席だったソマリアの方が話しかけて来て、仲良くなりました。その人は僕にソマリアからの移民がサッカーをしている場所を紹介し、俺たちと一緒にサッカーをしようぜ!と誘ってくれました。 僕はそれがうれしくてすぐに場所と時間を聞いて、その練習場に行ってサッカーを楽しみました。
このように図書館には勉強する場所だけでなくいろいろな出会いもあります。ぜ ひ近くに図書館があったら行ってみてください

最後に、ノルウェーの代名詞、オーロラの写真を載せておきます!
カメラに詳しくない僕でもトロムソに行けばこんな写真が撮れちゃいます!!
オーロラ/風景

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■著者紹介■

三輪 徹
(愛知県)
現在は高専の4年生。
3年時にノルウェー北部、Tromsøに留学。

ノルウェー夢ネット主催の「スカイプレッスン」でノルウェー語の学習を継続中。


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