各回のまとめ
■イベントレポート・ブログ転載■


「ノルウェーナイト」
(「エル・ソーラ仙台」2014年12月10日)
第1部 トークサロン「ノルウェーの悲劇と希望~テロ事件を乗り越えて~」
第2部 交流会「知る・味わう・楽しむ!」

「ノルウェーナイト in 仙台」やります♪ (※このイベントは既に終了しています)

今まで講演は何度も行っていますが、東北遠征は初めてです。
ということで、以下のイベントに登壇しちゃいま~す♪

平成26年度せんだい男女共同参画財団賛助会プレゼンツ
★★★ノルウェー・ナイト★★★

男女平等先進国ノルウェーってどんな国?
「ノルウェー夢ネット」の青木順子さんをお迎えし、
ノルウェーの魅力をたっぷりご紹介します。
ぜひご参加ください!

◆日時 2014年12月10日(水)18:30~21:00

◆会場 エル・ソーラ仙台(アエル28階)

◆プログラム
【第1部】トークサロン 18:30~19:50
「ノルウェーの悲劇と希望~テロ事件を乗り越えて~」
東日本大震災の同年、世界一の民主主義国家ノルウェーで、77名もの犠牲者を出したテロ事件が発生し、平和で安定した社会に大きな衝撃を与えました。現地で出版されたノンフィクション本『ノルウェーの悲劇』をもとに、この事件を乗り越え、より寛容な社会を築いていこうとする人々の姿を紹介します。

【第2部】交流会 20:00~21:00
「知る・味わう・楽しむ!」
ノルウェーゆかりの食べ物を味わいながら、楽しく交流しましょう!ノルウェーの暮らしや文化を紹介するミニトークや、プレゼントが当たるクイズ大会も。
第1部とあわせて参加すれば、きっとあなたもノルウェー通に!
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・・・といった次第で仙台に上陸します!(台風みたい・・・)
第1部のトークサロンでは、以前のブログでも取り上げた「ウトヤ島テロ」の軌跡を追ったノンフィクション本『ノルウェーの悲劇』をもとにお話しします・・・ブログはこちらから。
・・・なのですが、その後、ノルウェーではテロ関連本がトータルで40冊くらい出版され、さらに2冊追加で読みました。
『私たちの一人』(En av oss)は520ページの大作でしたが、著者は元NRK(ノルウェー国営放送)の戦場ジャーナリスト、オスネ・サイエルスター(Åsne Seierstad)。彼女の「ジャーナリズムとはこれだ!」の真骨頂と言える1冊です。

内容は、テロ実行犯のブレイヴィークの生育、謎めいている母子関係、そしてテロ犠牲者になった若者や難民たち、どうしてあそこまで被害者が増えてしまったのか、またブレイヴィークの精神鑑定や裁判中での様子などなど。どれも全てが興味深く、あまりに本書にハマってしまい食事も面倒なほどでした・・・。

トークサロンでは、『ノルウェーの悲劇』では知りえなかった当時のストルテンバルグ首相が、テロ犠牲者の家族たちとの初対面時の様子が描かれていますが・・・とても人間味あふれる反応でしたのでご紹介します。
さらにテロ前とテロ後の「移民たちに対するノルウェー人の意識調査」を加えて、テロ当日の警察や公安の犯したミスを厳しく断罪した「検証レポート」についてなど、ノルウェー社会がどのようにこの大きな悲劇を乗り越えていったか、乗り越えようとしているか、よりフォーカスを当ててお話ししたいと思っています。

奇しくも東日本大震災とウトヤ島のテロは同じ2011年に起きました。
両方とも安全と思われていた日本とノルウェー。もちろん震災と人災という違いはありますが、その悲劇が起きた後、ノルウェー人たちが取った行動は、きっと私たち日本人に多くのことを教えてくれると思います。

と。シリアスモードな第1部ですが、第2部は一転して、ノルウェーゆかりの食べ物や飲み物を楽しみつつ、ミニトークをいたします。
99%自虐は封印し、ノルウェーの素敵な風景スライドをもとに、ノルウェーの魅力を語りま~す♪(でもネタはちょいちょい入れていきますね!)
なんでもプレゼントが当たるクイズ大会もある、とお聞きしていて、「ワタシも参加した~い!」と下心が・・・。

さらにさらに、ノルウェー大使館のご厚意で、ノルウェートートバッグやおしゃれパンフレットも参加者の皆さまにお渡しします♪

さて、どんな方々とお会いできるか今から楽しみです。お申込み・詳細は・・・こちらをクリックしてくださいね♪

ベルゲン



2014年11月11日
norway yumenet official blog 141111より転載しました-

 
仙台へ行ってきました♪ ~前篇~

12/10(水)に、始めて東北地方、仙台で「ノルウェー・ナイト」というイベントで講演&ミニトークをしてきました~。
主催は「せんだい男女共同参画財団」、共催は「ノルウェーに学ぶ会」になります。

実は、「ノルウェーに学ぶ会」の木村さち子さんとは、ずいぶん前からお世話になっていました。サロンの前身「ノルウェーについて学ぼう」(2005年開催)に、仙台から隔週通っていただき、「なんて熱心な方なんだろう~」とひたすら感心していたのですが・・・・。

その木村さんから久しぶりにご連絡を頂き、「サロンでお話しされた”ノルウェーのテロ”のテーマを仙台で講演してほしい」とのメールに驚きました。
確かに、サロンで4月にそのテーマで話をしました。レポートはこちらから
ただ、非常に重いテーマで「これで人が集まるの?」とひやひやしたのも事実です。せっかく仙台まで呼んでいただいたのに、10人くらしか集まらなかったら!!

・・・「せんだい男女共同参画財団」は、ノルウェーが震災復興の一環として立ち上げた「女性リーダーシップ基金」を活用され、非常に活発に活動されています。
ノルウェーへ視察団を派遣されていて、その報告書に感動したことは以前、ブログでも書きました。こちらからご覧になれます。

7月に財団理事長の木須八重子さん、木村さち子さんが東京へいらっしゃった際に、Fuglenでお会いし、私がどうして「ウトヤ島のテロ」にこだわっているかお話ししました。
木須さんのご判断は早く、財団の方と連絡を取りながら、「ノルウェー・ナイト」開催へ向けて動き始めます。

サロンと全く同じ内容でない方がいいのでは??と考えました。同じ話をするのが好きではない悪いクセです。
まず参考にした『En Norsk Tragedie』(ノルウェーの悲劇)以降、たくさんのテロ関連本がノルウェーで出版され、非常に評判になっている『En av oss』(私たちの一人)を購入。
530頁もの大作です!
著者はノルウェー国営放送の戦場ジャーナリストとして著名なÅsne Seierstad(オスネ・サイエルスター)。『ノルウェーの悲劇』で疑問に思っていた点やより詳細なテロに至るまでの軌跡や、精神鑑定、法廷シーンなど、これは読みごたえがありました。
講演資料
ただ・・・論文などと一緒で、「あまりに資料を集めすぎても・・・」という心配があります。
あまりにもテロ本にハマってしまって、一気にダークサイドに落ちていた期間がありました。犠牲者になったクルド人難民の姉妹に感情移入しすぎてしまい「うう・・・(涙)」となってしまうほどです。計1000頁くらい読んだでしょうか・・・。
他にも懸念がありました。ディテールばかりを集めても、「実は根幹的な移民・難民政策が分かってないのでは??」と焦ったのです。
ブレイヴィークは、反イスラム主義でしたがノルウェーの政策はどのように変革していったのか・・・と。

他力本願体質の私は、「日本におけるノルウェーの移民難民専門家の第一人者」の生徒さんに頼ることにしました~。
「初心者でもわかるノルウェー移民・難民対策の歴史」について、他の欧州諸国と比較を交えてレクチャーして頂き、まさに「目からウロコ」。専門家のお話しは貴重です!

・・・そんなこんなで1000頁近い資料を読んで、レクチャーを参考に、サロンで使用したパワーポイントに修正を加えます。特に今回は「テロ後のノルウェー社会」についてをさらに詳しくお話ししようと考えます。

並行して、せんだい男女共同参画財団からイベントのチラシが送付されてきたのですが、その明るいチラシを見て、不安がよぎります・・・。
改めて、このテーマで人が集まるのだろうか??? いつもサロンやイベントで集客を気にしてばかりの性格なので、心配MAX!
ちらし
財団で「ノルウェー・ナイト」の担当者の大羽沢さんに「集客大丈夫ですか??」とメールで思い切って尋ねたのですが、当初の20人くらいから、50名を超えた!と聞いてほっとしました~。
定員は60名なのです。ノルウェー大使館のニューズレターで2回も告知して頂きましたし、財団や夢ネットのサイト、ブログ、TwitterでPRしました。
当日を控えて、メモを見ながら練習する日々が続きます。(続く)



2014年12月15日
norway yumenet official blog 141215より転載しました-
 
仙台へ行ってきました♪ ~中篇~

久しぶりの東北新幹線。実は、震災以降、東北へ行くのは初めてです。車中で最後の原稿メモのチェックをしようと思ったのに・・・寝てました~。

2時間ほどで仙台へ到着。駅前は、東京にあるのと同じような店舗が並んでいますが、ローカル食として「牛タン」と「ずんだ」の文字が躍っています。
ホテルでようやく原稿メモのチェックをして、開始より早めに会場の「エル・ソーラ仙台」へ。高層の立派なビル。しかも駅前の一等地。「すご~い」と感心しきり。
財団担当者の大羽沢さんや川端さん、木村さち子さん、そして木須八重子さん(ノルウェーのOLEANAの素敵なニットをご着用)など集まってきて、当日の進行打ち合わせをします。

開始
開始の18時半。木須さんが力強いあいさつをして下さり、私の講演が始まりました。今回の講演タイトルは「ノルウェーの悲劇と希望~テロ事件を乗り越えて~」です。
参加者の皆さんは、いろいろな年齢層に見えました。
ノルウェーの知識を皆さんがどの程度お持ちなのか分からないので、簡単にノルウェーの紹介をしてから、「2011年7月22日」に何が起きたのか?犯人のブレイヴィークの幼少期からテロに至るまでの軌跡を紹介、犠牲者になった労働党青年部の説明、ウトヤ島でのテロの様子を時系列でお話しします。
会場は静かだったので、「これは大丈夫なのかな~?」と心配がありましたが、75分で話さないといけないので、「みなさん、これでいいですか~??」と聞くこともできず、先を進めます。

最初にサロンでご紹介した時よりも、「テロ後のノルウェー社会」について時間を割くようにしました。
中央統計局(SSB)が発表した統計によると、「移民はノルウェー社会の安全を脅かす」という意見に反対だった割合は、テロ前は48パーセント。
しかしテロ後には、70パーセントの人が反対しています。
当初、連続テロは「アルカイダ系などイスラムのテロ」とほとんどの人が連想しましたが、実際はノルウェー人の犯行でした。
また今年の12/2に発表された同じ統計でも、やはり72パーセントの人が反対、ということでノルウェー人の「移民観」が一定してネガティブからよりポジティブなものに変わったことが分かります。

さらに、当時のストルテンバルグ首相の毅然とした対応は特筆すべきで、「暴力には民主主義と寛容さ」を追悼式でアピールした点を強調しました。

・・・ということで75分の講演はあっという間に終わりました! 拍手をいただき、2部の「交流会~知る・味わう・楽しみ」の会場を移動します。
テーブルには、ノルウェーサーモンやゴートチーズ、おいしそうなカナッペが並んでいます。
会場入り口は、クリスマスツリーには、「アルネ&カルロス」のクリスマスボールが飾られていていました。職員の方々が実際に「編み物キット」で編んだとお聞きし、「なんて・・・すばらしい!!」と感心&感嘆~。
juletre

木村さち子さんの心のこもったご挨拶でスタートし、しばしお料理を楽しみます。皆さん、リラックスしたモードで私もすっかりリラックス・・・。
あ、いか~ん、まだ「ミニトーク」があるのでした!! 1部のシリアスな講演とは対照的に「ステキなノルウェー♪」と題して、フィヨルドやフロムの農場、またオスロの様々な風景や今年の「ナショナル・デー」のスライドを映しながら、私本来の「ノルウェー人おちょくり」トークを交え、笑っていただきました~。

懇親会

そしてテーブル対抗クイズ大会ですが、ノルウェーの豪華賞品が当たるということで、各テーブルから気合が感じられます。
ただ全部のクイズを出題しても、2位が決まらなかったので即興で私がクイズを出題しました~。選ばれたテーブルの皆さんは、キュッパやアルネ&カルロスのグッズ、ノルウェーのチョコレートやお酒など嬉しそうにチョイスしています。
プレゼント

瞬く間にお開き~。ノルウェーに10年くらい住んでいました、という方や交換留学で行かれた方、また「女性リーダーシップ基金」から視察へ行かれた大学生や社会人の方などノルウェーに縁のある方とお話しできて楽しかったです♪
さらにさらに「ノルウェーへ行ってみたくなりました」というお声を聞くと、伝道師冥利に尽きま~す。
また地元紙の「河北新報」の記者の方からも、いろいろご質問を頂きました。「河北新報」は、連続テロの記事をたくさん掲載されているのを事前に資料で頂いていて、全国紙、見習ってよ!と感じていました。

後で大羽沢さんに聞いたところによると、この日の参加者は57名。財団の賛助会員の方と一般の方と半々くらいだったそうです。「仙台にノルウェーファンを増やしたい!」と切実に願った夜でした~。

さて翌日は、木須さんと木村さんのご厚意で、仙台市の被災地区を見学できることになっています。
どんな風景が私を待っているのでしょうか・・・(つづく)。

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「河北新報」の古賀記者が当日の様子を記事して下さいました!!

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141218_15048.html

こんなに立派なコメントをした記憶が・・・もちろんあります!ぜひ記事もご一読下さいね~。



2014年12月17日
norway yumenet official blog 141217より転載しました-

 
仙台へ行ってきました♪ ~後篇~

翌朝。理事長の木須八重子さん、木村さち子さんと車で被災地見学を果たすことができました。
これはとても「贅沢な」経験です。というのも、木須さんは、震災当時、仙台市で一番被害がひどかった宮城野区の区長だったので、運転しながら貴重なお話しをたくさん教えて下さいました。

まず、仮設住宅の建設について。
阪神淡路大震災の教訓を生かして、なるべくコミュニティー同士の人たちが一緒に住めるように配慮したこと。
場所は、仙台駅前の一等地の公園をつぶして、「ここへ引っ越しませんか?」と提案したそうですが、沿岸部の住民たちは足が便利な街の一等地よりも、被災した場所を希望されたそうです。
「完全に”街の人間”の発想でした。」と木須さん。
ということで、実際の仮設住宅はどんなところに建てられたのか?・・・興味は増します。

中心地から車でどんどん沿岸部へ。たくさんのトラックが走っています。
荒浜小学校の前に到着しました。もう人気(ひとけ)はありません。その場所に立って、「こんな場所まで津波が来たの??」とありきたりですが驚きました。

荒浜小学校荒浜小学校

津波の映像はたくさん見ましたが、やはりその場に立つとその威力に圧倒されます。
荒浜は海が近く、とても強い風が吹いていました。防風林がほぼ流されてしまったから。
「ここは、本当にいいところだったのよ」と木村さんが教えてくれました。海の近く、大きな家がたくさん建っていて・・・。「仙台の湘南みたいなところ」という表現を使っていました。
残念ながら、今ではほんの少し残っている木、そして更地化された「荒涼とした」一角になっていました。
強い風を受けて、ひときわ寒さが身に染みます・・・。
荒浜地区

それから、木須さんが懇意にされている佐藤政信さんが自治会長をつとめている「高砂一丁目公園仮設住宅」へ向かいました。
仮設住宅
佐藤さんは、とても暖かく迎えてくれました。みんなの寄り合い部屋には、たくさんの寄せ書きや千羽鶴などが飾られています。
震災時と震災後の記録写真などが丁寧にファイルされていて、拝見します。震災当時の被害のすざましさを見ると、よくここまで復興したものだ、とも思えたのですが・・・。

佐藤さんは、わざわざ仮設のご自宅の中まで入れて下さり、「これは何と言う体験!」と感激しました。
お二人住まいの住宅は2部屋ですが、収納スペースは十分ではなく、そして台所も狭くて「ここにまだ暮らしていらっしゃるのか」と言葉を失いました。
ここに住んでいらっしゃる方たちは震災前、大きな住宅に住んでいたので、このような狭い空間で暮らすのは不慣れで大変なことと想像します。
仮設住宅に暮らしてから、実際に12か所の修繕(二重窓の設置など)を依頼されたそうです。
こうした経験は、来るべく震災で大いに「学習」すべし!と素人なりに感じました。
またまたありきたりの感想ですが、「皆さんが一刻も早く普通の生活に戻れるように」と願います。

クリスマスツリーや皆さんが育てている植物なども目につきました。
佐藤さんに感謝しつつ、仮設住宅を後にします。
クリスマスツリー
お昼は、キリンビール仙台工場内にある明るいレストランに連れて行ってもらいました。
工場は被災がひどくても本社が「地元でやっていくこと、雇用もそのまま継続すること」を早く決断し、復旧に向けて工場の人たちや近隣の人たちが一丸となって、今では「え?ここも被災したの?」と思えるほどの光景に戻っています。
おいしい牛タンシチューを頬張りながら、木須さんや木村さんの当時の体験を伺います。
木須さんの区長としてのリーダーシップ、そして区職員の皆さんの奮闘ぶりが想像できました。

ノルウェーの前大使は、20回ほど仙台に足を運ばれたそうです。震災を経験し、被災地の惨状を目の当たりにして、熱意をもって震災復興に力を注いでこられたのだなぁと感嘆しました。
現大使も、すでに仙台に訪問されたそうですが、これからもノルウェーの息の長い支援に期待したいですね。

・・・こんなに書いても、ホントはもっともっとたくさん書きたいのですが、ブログという媒体では不向きでしょう。
被災地見学に連れて行って下さった木須さん、木村さん、そして案内して下さった佐藤さん。皆さんには言葉にならないほど感謝しています。
ワタシにできることは何?
せめて、あの日に見て聞いた体験や光景を「忘れないこと」。
そして何らかの手段でも「伝えること」。

ノルウェーの連続テロにここまでこだわっていますが、同じことが言えます。
「忘れないこと」。そしてノルウェー語の文献から日本ではなかなか得られない情報を「伝えること」。

仙台への訪問は短かったですが、関係者の皆さま、サポートして下さった皆さまに感謝感謝です!!

皆さん木村さん、佐藤さん、木須さん


2014年12月19日
norway yumenet official blog 141219より転載しました-