ハルダンゲルフィヨルド
と
リーセフィヨルド
今更くどいようですがノルウェーと言えばフィヨルド、フィヨルドと言えばノルウェー。世界地理がどんなに苦手な人でもその昔に習った記憶があるはずです。ところがフィヨルドと一言に言っても、その数は計り知れません。試しにノルウェー全土の地図を広げ、海岸沿いに記載してある名前を見れば、どこもかしこも「○○フィヨルド」と書いてあります。これまでに私が紹介したのは2か所で、一つ目はベルゲンの北部に位置する世界最大を誇るソグネフィヨルド、2つ目がソグネフィヨルドから更に北上したところに位置する切り立った崖で有名なガイランゲルフィヨルドです。(もちろん、大きなフィヨルドから枝分かれした先のフィヨルドは名称が変わりますが、ここでは観光用に一般に呼ばれている名称で分類します。)
さて、今回は題目を見ておわかりの通り、ソグネフィヨルドよりも南部に位置するハルダンゲルフィヨルド(Hardangerfjorden)とリーセフィヨルド(Lysefjorden)のご紹介です。これらの2か所を合わせた4か所が、観光地として最も有名なノルウェーの4大フィヨルドだからです。
ハルダンゲルフィヨルドについてはどの観光ガイドを見ても「他に比べて優しいイメージのフィヨルドで、リンゴの花が咲く春が最高の季節」というようなことが書いてあります。そこで私は前々から「ここに出かけるなら春にしよう」と思っていました。リーセフィヨルドは、プレーケストーレン(Prekestolen)(説教壇)と呼ばれる巨大な岩の壁があるので有名なところです。実は私は2年ほど前に一度ここを訪れました。ところが、あいにく天候が悪くて霧がかかってしまい、見たい景色を望むことが出来なかったのです。今回は2年越の念願を達成する為に無理やり行程に組み込みました。
簡単に足取りをご説明しておきましょう。交通手段はマイカーとフェリー、出かけたのは5月末から6月初めにかけてで連休を重ねました。連休でもこの国では渋滞の心配はありませんから。初日の午後にドラメンからハルダンゲルフィヨルドの奥にあるウテネ(Utne)まで行き2泊、3日目に南下してサンド(Sand)という小さな町に2泊し、そこからリーセフィヨルドまで足を伸ばしました。フィヨルド名を正確に書くとウテネはウテネフィヨルドに、サンドはサンドフィヨルドのほとりにあります。そう言えばオスロにはオスロフィヨルド、ドラメンにはドラメンフィヨルド・・・・・これらも立派なフィヨルドでした。ただし、オスロ近郊のフィヨルドは一般に「フィヨルド観光」と呼ばれているイメージとはちょっと違いますね。もしオスロフィヨルドだけを観て、「これがノルウェーのフィヨルドだ。」と納得している観光客がいたなら、なんとも残念なことです。

まずは前菜から。
これらの写真はドラメンからウテネに向かうドライブ途中に立ち寄って撮影した風景です。
写真上と右下は見ての通り、まだ雪の残る標高1000m付近の山中です。最高地点で1363mでした。天候が不安定で、雨ではなく雪が舞ってきたのには少々驚きました。
写真左下はウヴダール(Uvdal)のスターブ教会。奥にあるのが教会です。詳細はそのうちスターブ教会特集のページに載せたいと思いますのでここでは省かせていただきます。

ハルダンゲルフィヨルド近郊の風景です。
が、残念ながら天候の悪い日が多くてイメージ通りのハルダンゲルを満喫することが出来ませんでした。
更には、美しいはずのリンゴの花はどこへやら。時季が過ぎているとは想像していたのですが、まさか全て散ってしまって見る影もないとは思ってもみませんでした。この春は5月初旬が夏のような高温になる異常気象だったので、見頃のピークが特に早かったのかもしれません。いずれにしても「花が咲き乱れて優しさにあふれるハルダンゲル」をここでお伝え出来ないことをお詫びいたします。
写真左上はウテネフィヨルド。その下がウルヴィクフィヨルド(Ulvikfjolden)。左下は晴れ間の見えたオッダ(Odda)から撮影したものです。オッダは意外にも空気が悪く感じたのですが、原因は滝とダムを利用した水力発電所、その電力を利用した鉄やアルミの工場から出ている黒煙でした。自然が壮大である分、工場の環境基準は日本より遅れているのかもしれません。近くに発電所の博物館があるのですが、ほぼ100%に近い発電を水力に依存しているノルウェーの発電所の歴史について勉強になりました。(だからといって安価な電気をいくら使ってもいいわけではないと思うのですが・・・・ノルウェー人はあまりに節電意識に欠けていると、私は常日頃に感じています。)
写真右上はロフトフース(Lofthus)からの眺望で、ここはハルダンゲルでもっとも有名なリゾート地の一つです。天気がよくてお花が咲いていれば、最高の絵になるところのはずです。
中心のフェリーはこの地域でなくてはならない人々の足です。道路の延長で車ごと簡単に簡単に乗れるのが魅力です。
1722年に創められたウテネホテルは、現在も創業している中ではノルウェーで最も古いホテルとされています。白い外壁、赤い屋根を持つ木造の建物は大変趣があります。
また、家族経営で続けられてきただけあって温か味のあるサービスには定評があるようです。
私は特に写真右に写っている螺旋階段が気に入りました。狭くて急なので安全面には問題があるかもしれませんが・・・・。
優しいイメージと言われるハルダンゲルフィヨルドにも険しい滝がたくさんあります。ドライブがてらに目にした滝の数々には名前すらないものがほとんどです。
写真は観光地としても有名になっている滝々です。左上がヴォリング滝(Vøringfossen)で182mの壮大な滝を上から横から下から眺めることが出来ます。写真右上はローテ滝(Låtefoss)で、道路に向かって落ちてくるので迫力があります。(気をつけないと水しぶきで濡れます。)写真下の3枚はスタインダール滝(Steindalfossen)は規模は小さいのですが、滝の裏側に行けるので人気があります。これだけ滝ばかりがあるとちょっとやそっとの滝では満足しなくなるのでしょうね。
オッダの町を散歩していたら、改築中の店舗がありました。これはこの地方でたくさん見かける石の瓦です。山から切り出したこのような石を道路脇に並べて販売しているのも見かけました。(ただし無人でしたが・・・)
よくよく考えれば岩山ばかりの地方で、建築材料に自然の素材を活かした伝統が根付いているのは当然のことですよね。輸入材料ばかりに頼っている日本の建物がちょっぴり寂しく感じました。

さて本日のメインディッシュに、石は石でも瓦のような小さいものではなく、高さ600mの岩の塊をご紹介いたしましょう。これが有名なプレーケストーレン(Prekestolen)(説教壇)です。ここは真に見たままの、とにかくすごいところです。自然の神秘を強く感じずにはいられない、そんな場所です。どうしてこのような形状の岩が出来あがったのかは誰も知りません。もちろんフィヨルドにあるわけですから氷河が削ったのでしょうが、それも納得できないほどに奇妙な岩です。昨年、この岩から飛び降り心中したというようなニュースがありました。最近には、ダイビングに挑戦したイギリス人が亡くなったという事故も耳にしました。プレーケストーレンは一目で死を想像してしまうところでもあるのです・・・・・それでも決して安全柵をつけたりしないところが、自己管理に重きを置くノルウェーらしいところです。
言い忘れていましたが、プレーケストーレンはリーセフィヨルドにそびえています。リーセフィヨルドは全長40kmでそれほど大きなフィヨルドではありませんが、ノルウェー第4の都市スタヴァンゲル(Stavanger)から近いこともあって、観光地として有名なフィヨルドです。プレーケストーレンをフィヨルドから眺めるボートツアーもありますが、やっぱりここは自分の足で登って上から見ないと・・・・・。
プレーケストーレンへの登山は、ちょっとしたハイキング感覚で誰もが楽しむことが出来ます。とは言いましても片道1時間半はかかりますが・・・・。前回ここを訪れた時も今回も途中で大雨にみまわれました。晴れたかと思うと雨、雨と思うとまた晴れる。慣れたとはいうもののノルウェーの気まぐれお天気には困ったものです。故にこの登山、歩きやすい靴と雨具は絶対必需品です。それからちょっとした防寒具もいるでしょう。私はここは寒いだろうと予想はしていたものの、まさかこの季節に携帯していた温度計が0℃を示すとは思ってもいませんでした。そうなのです。冷える時は冷えるのです。そのくせ暑い時はTシャツ1枚でも大丈夫だったりするのですから、おかしなものですよね。
今回はお天気が悪くて雨にも降られたのですが、幸いにも岩の上に到着した直後からお弁当のパンを食べ終わるまでは天気が持ちこたえていました。その後、大雨になって人々が岩の反対側に避難している様子が左上の写真です。
中央の写真に写っているのはフィヨルドの観光船です。岩の上から見ていると豆粒のような船がプレーケストーレンの真下をぐるぐる回っていて、なんとなく優越感に浸れます。
写真左下は登山途中ですれ違ったご老人。その上には犬を連れた人たち。写真右上は、犬を連れながら赤ちゃんを背負っているお父さんの姿が見て取れます。おじいさんもおばあさんも、小さな子どもたちも犬達も、とにかく老若男女問わずにここを楽しんでいたのには改めて驚かされました。ハイキング程度とは言ったものの、私にはそれなりにきつかったので・・・・

旅の後半に滞在したサンド(Sand)はフェリー乗り場があって観光客が立ち寄る小さな小さな町です。中心部にはいくらかのお店がありますが、ほんの10分くらい歩けばほぼ何があるのかがわかる程度の規模です。
右下の写真は対岸からサンドを眺めたところですが、フィヨルドの風景の中に溶け込んでしまっていて、どこに町があるのかわかりませんよね。
ちょっとイメージにそぐわないお話もしておきましょう。こんな小さな町でも夜中に若者たちが大騒ぎをしていて大騒音でした。どこの国でも、どこの地域でも、若者は「都会的」なものに憧れる習性があるようです。
最後にデザートを加えてみました。
これらは帰路のドライブ途中に撮影した風景です。皮肉にもこの日、旅行中で一番の晴天となりました。写真右上とその下はロールダール(Røldal)ですが、とにかく美しい町でした。スターブ教会を中心に牧草地が広がり、その中に民家が点在しています。四方はまだ雪の残る山々に囲まれていてどこを見ても絵の中にいるような気分に浸れるのです。今思うと、お天気がよかったせいもありますね。
右下はサウダ(Sauda)というフィヨルド沿いの町からロールダールに向かう途中の風景ですが、近道のつもりが写真のような山の中を走るはめになり、予定外の時間がかかってしまいました。フィヨルドは海ですが、ちょっと道を入るとすぐに標高1000mを越える山の中になりがちです。道路の脇には除雪された雪が3m以上の高さの壁になっているところさえありました。高低差のわかりやすい地図を持参していないとドライブも楽ではありません。
♪・・ポースケの旅・前編〜トロンハイムから〜 ♪・・ポースケの旅・後編〜ローロスヘ〜 ご訪問、ありがとうございました。 勝手ながら日本へ帰国予定のため、 しばらく更新は出来ません。 この先の予定は未定ですが、 そのうちまた遊びにいらしてみて下さい。 |
