フィヨルドを求めて
ベルゲン鉄道の旅をしました
(後編)
それではベルゲンへの旅の後編です。
ここではまずグドヴァンゲンからヴォス(Voss)行きのバスに乗ってすぐのスタルハイム(Stalheim)のご紹介から始めましょう。
定番のツアーだとスタルハイムはバスが停まるだけなのですが、今回はここのホテルに1泊してみました。翌朝、スタルハイムからヴォスまで1時間ほどバスに乗って、ヴォスからベルゲン(Bergen)までは再び鉄道という行程です。もちろんベルゲンに1泊し、帰りは一気にドラメンまで7時間の鉄道の旅です(実際には遅れて8時間ほどかかりましたが)。オスロまで行く場合はこれに更に40分が加算されます。車窓がすばらしいのは確かなのですが1日移動というのはさすがにちょっと疲れました。
観光目的であちこち周遊するなら飛行機を使うのもひとつの方法ではないかと思われます。ノルウェーの鉄道はとにかくマイペースですから急ぎの旅には向かないかもしれません。ただ、ノルウェー人に言わせると「どうして日本人はあんなにせわしない旅行をするんだ?」と疑問に思うようです。しかも「カメラに景色を収めてその場では何も見ず、家に帰ってから写真を見るばかりだ。」と少々皮肉とも取れる発言も。しかし確かに否定もできないのですよね・・・・。夏の観光シーズン、大勢の日本人が北欧に押しかけて、1週間で各国すべての観光スポットを周るというはなれわざをやってのけるのが事実です。私自身、旅行の予定をたてるときには少しでも多くのものを観ることに主眼をおいてしまいます。ノルウェー人の旅行といえば1か所に1週間とか2週間とか滞在し、のんびりくつろぐのが多数派とか。日本人とノルウェー人、いったい何がこの差をつくっているのか、今後に研究の余地がありそうです。

スタルハイムホテルは、崖っぷちに建てられた1軒宿です。
従ってバスは信じられないほど細くて急なカーブを13個も曲がって海抜370メートルの崖の上まで登ることになります。こんな場所だからかホテルは夏季のみの営業です。
スタルハイムには馬車の宿という意味があるそうです。もともとこの峠には王立伝令便の早馬(1947〜1907年)のための宿があったそうです。ホテルは1885年から4回建て替えられて現在の建物は1960年のものです。ロビーの隅にに昔の建物の写真があったのですが、今よりも更に重厚な趣のあるホテルだったようです。日本の高松宮殿下も戦前にご滞在なさったとか。
ホテルのテラスからの絶景。
ゆったり眺めていたら、正面にそびえる岩場にいろんな顔が浮き上がって見えてきました・・・・
崖側の部屋の窓からも同じ景色が楽しめます。
谷から登ってくる途中に見られるスィブレ滝。
反対側にはスタルハイム滝も見られます。
この写真を撮るために、バスで登った急坂を歩いて下ってしまい登りで後悔するはめになってしまいました。それでも一見の価値あり。

ホテルのロビーの仕切り壁は素敵な彫刻でデザインされていました。手作りのぬくもりが感じられます。
土産売り場にはノルウェーの魔物?(妖精と出ている書物も)トロルたちのコーナーがありました。トロルというのはノルウェー民話に出てくる魔物なのですが、この国に来れば必ず目にすることになる定番のお土産となっています。とは言っても頭が3つあったりとちょっと気味が悪いので私はまだ買ったことがありません。
いよいよベルゲンにやってきました。
これぞ世界遺産のブリッゲン(Bryggen)の街並みです。

ベルゲンはかつてノルウェーの首都でした。
1350年頃から1763年まではハンザ同盟に加盟していました。
ハンザ同盟と言うのはドイツ商人が貿易をしていた頃の、商業独占を目的とした都市同盟です。主に干し鱈や木材が交易の対象だったようです。
ブリッゲンはハンザ商人が貿易のために商館を置いた地区で、現在でも三角屋根の木造の建物がぎっしりと並んでいます。1980年にユネスコ世界遺産に登録されました。

木造の建物はこれまで度重なる大火事にあっているそうです。その数も昔の4分の1に減ってしまっています。
建物は大通りから見ると幅が狭いのですが、写真のようにかなり奥行があります。写真には撮っていませんが、ハンザ博物館に行くと1702年に再建された建物に商人たちの事務所や住居を再現してあって、当時の雰囲気を味わうことが出来ます。薄暗くて全体が傾いて歪んでいる建物の内部は決して居心地のよいものではありません。
現在のブリッゲンの建物は土産物屋やレストランになっていて通りを歩くだけで楽しい場所ですが、是非とも建物の隙間から奥まで入ってみて欲しいものです。平衡感覚がおかしくなりそうな建物にはさまれながら空を見上げてみれば、わずかな空間に荷物を吊り上げる為のロープが巻き上げてあったりして発見がいっぱいです。

ブリッゲンのすぐ並びに建てられているラディソンSASロイヤルホテル。
街並みに調和させた意匠が引き立ちます。
ベルゲンで指折りの高級ホテルとなっています。

魚市場は最大の観光スポット。
新鮮な食品がたくさん並んでいます。
特に海水でゆでた殻付きの海老がお勧め。
その場で食べられます。
ベルゲン駅は石造りの重厚な建物です。
ここからオスロに向かって帰路につくことになるのですが・・・・
残念なことに今回のベルゲンでは雨に降られてしまい、フロイエン山にケーブルカーで登ったものの景色は濃い霧の世界。
前にベルゲンを訪れた時には運良く霧が晴れてすばらしい街並みを一望できたので、今回も期待していたのですが。
実はベルゲンはノルウェーの中でもとにかく雨の多い街なのです。それも1日に何度も降るのです。
だから傘が必需品。もっとも地元の人々には常にカッパを着て歩いている人が多いようです。
ベルゲンで雨に遭ってもそれは運が悪いとはいえないのではないでしょうか。
番外編として特別に、昨年1998年の夏の終わりに撮影したフロイエン山からの眺望を載せておきます。
ここからは帰りの車窓からの風景です。
まずは途中のミュルダール駅。行きはここでフロム鉄道に乗り換えました。
写真がちょっと暗いですが、大勢の観光客が移動しているのがおわかりになるでしょうか。
次第に標高が高くなりこの季節でも雪景色に・・・・・

フィンセ(Finse)は海抜1222メートル。
ベルゲン線でもっとも標高の高い駅です。
通年雪が残る殺伐としたところですが建物が建っています。

ベルゲン線は単線です。
この日、対向から来る列車の車両故障のため、45分間ほど駅も無い所で停止するはめに。もちろんクーラーもないから車内は次第に蒸し暑くなります。
こんなときもノルウェー人はマイペース。誰も怒ったりしません。手動のドアを開けて外に出ると、おしゃべりしたり、こどもたちは岩に登って遊んでみたり、中には木陰に腰掛けて本を読み始める人も。ビー玉大の動物の糞が転がっていたら、近くにいたノルウェー人が鹿の糞だと教えてくれました。日本の鹿に比べるとその大きさに驚かされました。そんなささいな発見も故障のおかげです。
7月初旬のたった3日間のベルゲン鉄道の旅の紹介はここまでです。いかがでしたでしょうか。
さらに興味のある方は「リンク集」にも載せてありますノルウェーの国鉄NSBのページを研究してみてください。
http://www.nsb.no