ノルウェーの夏休み

日本は「お盆」で夏休みの方も多いと思います。
ノルウェーは、社会人の場合、7月に夏休みを取って、8月は仕事に戻る人が多いですね。

2005年。ノルウェー語の仕事を細々続けながら、会社勤めをしていました。でも疲労MAXで、初夏に会社を辞めてしまいます。
その後のことは何も決まってませんでしたが、とりあえず「ノルウェーへ行く」だけは決心していました。
留学後では、最長の1か月くらい滞在していましたね。初めてヘルシンキにも行きました。トロンハイムへも元生徒さんへ会うために行きましたね~。
でも、ほとんどはオスロにいました。居候させてくれたアウドさんには感謝、感謝です。

今は時間にゆとりがないので、ノルウェーに行くとついつい予定を詰め込んでしまいます。
ですがこの時は、ゆーーーーーったりとしたsommerferie(夏休み)を満喫しましたね~。
ある晴れた週末、湖に行って泳ぎました。

いくら晴れていても、水温は冷たく「体を動かさないと死ぬ」と危機感を感じるレベル・・・。
湖は森の中にあり、日光浴をしている人がいました。
泳ぐのは早々に切り上げ、アウドさんの孫たちが泳いでいる姿を見ていました。
オスロは首都だけど、こんなに気持ちのいい森や湖があるんだなぁ~とうらやましい気持ちになりましたね。

先のことは何もわからず、夏休みの宿題を先延ばしにしたような日々。
「30代半ばになって、こんなにフラフラしているなんて~」と自分にツッコミいれつつ、でもノルウェーやノルウェー語の仕事は諦めたくない、と気持ちは固まった夏休みでした。

ミスから学ぶノルウェー語

「人は失敗から学ぶことができる」ってビジネス書みたいな書き出しでウットリしています~。
ノルウェー語も同じく。ミスから学ぶことが大事なんですよね。

オスロ大学留学時代、ノルウェー語文法の講義で「外国人が書いたノルウェー語の文章のミスを見つける」という課題がよく与えられました。
「え?この文章のどこに間違いが?」と気づかないぼんやりさん・・・はい、私です。
この時の講師がKirsti Mac Donald(ヒシュティ・マクドナルド)先生。Kirsti先生は、外国人向けノルウェー語を教える第一人者で、たーーーーくさんの語学書を出版されています。今はオスロ大学を定年になったようなので、Kirsti先生の講義を受けることができたのは、本当にラッキーでした。
「文法がこんなに楽しいとは!」という素晴らしい講義でしたね。

そのKirsti先生が出版された本の1冊”Spørsmål om gramatikk“「文法についての質問」について取り上げてみましょう。

「文法って退屈、でもできないと困る」という位置づけでしょうか。
その退屈な文法をいかに効果的に学べるか・・・本書では「ミスから学ぶ」スタイルが貫かれています。

名詞、形容詞、代名詞、動詞、前置詞、統語論(シンタックス)、接続詞と章立てされています。
そして、外国人生徒が書いた間違ったノルウェー語が載っています。名詞の章で冠詞が取り上げられています。

-Hun har venn i klassen. 意味「彼女はクラスに友達がいる」

さて、この文章のミスはなんでしょうか?
はい、venn「友だち」の前に冠詞のenがありませんね。
なので正解は、

Hun har en venn i klassen.

になります。

英語のa、theが相当する冠詞ですが、ノルウェー語でもそれを付けるか省けるか、悩ましいです。
冠詞に親しみがない言語は、日本語以外にもたくさんありますから、まぁ~難しいですよね。

シュールなイラストでやる気UP!

まず生徒たちのミスのあるノルウェー語が並べられ、そしてこのテーマを解説し、各文章の間違いを指摘していくスタイルです。
本書のありがたい点は、このような「冠詞」やノルウェー語の「不定形・定形」の使い分け、ややこしい前置詞など「外国人の生徒が特に間違いやすいテーマ」をたくさん取り上げてくれていること。
Kirsti先生は長い講師生活で生徒たちのミスをいーーーーーーっぱい集めたのだなぁと分かります。
(私のミスもどこかで使われていたかも??)

ノルウェー語レッスンで、細かい文法の質問を受けることがありますが、その際にも本書は助っ人になってくれます。
Kisti先生の文法説明はとても「正直」。例えば「この文法の説明は曖昧で、一般のノルウェー人は答えに窮する」「この文法は、人によって使い方が分かれる」など書いてあり、なるほど~と参考になります。

私は先生ほどの「ミスのデータベース」は持っていませんが、自分もミスしたり生徒さんも間違える箇所は、かなり分かってきたので、レッスン中には「ここは間違えやすいです」と言い添えるようにしています。

・・・で、最後にSpørsmål om gramatikk“のリンクを貼ろうとしたら、もう販売していないようです・・・(涙)。ノルウェーの本は、重版しないまま品切れで終わり、ってパターン多いですね。少量の増刷はしないのかもしれません。

あ~、買っておいて良かった、あ~、先生の講義を受けることができて良かった、と自己満足のまま、この稿は終わりです。

社内研修でノルウェーの講演をしました!

日頃、ノルウェーや北欧に関心がある人に囲まれていますが、全く別分野で仕事をされている人たち向けに講演をしました。
いや~、新鮮でした!
きっかけは4月に放送されたテレビ番組「報道ライブInsideOut」。ノルウェーが幸福度世界一に選ばれたことで、番組に出演することができました(過去ブログはこちらから)。
その番組をご覧になっていた方から「うちの会社の社内研修で講演をしませんか?」とお問合せをいただきました。え??びっくりです~。
しかも、北欧業界とは無縁の調剤薬局事業を行っているフォーラル社さんです。

番組中の発言「すみませんよりありがとうを使うノルウェー人」のくだりに興味を持って下さったとのこと。
薬剤師や介護士さんなど医療従事者は、真面目で高い理想を持って働き始めますが、日々の業務で疲弊し、幸福感が感じられないようになってしまう・・・とお聞きしました。
社内研修での講演依頼は初めてです~。

そして講演当日の7月8日。タイトルは「幸福度世界一~ノルウェーに学ぶ幸せの循環とは?~」です。
社内研修に集まったのは40人ほどの薬剤師の方々。冒頭「ノルウェーや北欧に行ったことがある人はいらっしゃいますか?」の問いに、スウェーデンに行ったことがある人が一人(後ろで手を挙げた人がいたのですが見落としてました・・・・しかもノルウェーに行かれた貴重なお一人でした~。)。
ノルウェー?いきなり言われても、ピンとこないですよね。それを意識しながら講演を始めます。

講演中です

ノルウェーの基本データ、様々なランキングが示すノルウェー(世界一暮らしやすい国、お母さん・子どもに優しい国、男女平等、報道の自由度、そして幸福度世界一)、主な福祉施策(大学まで学費無料、医療制度、年金や育休など)。
ぷちとりっぷ気分を味わえるように、写真を多く見せしながら、話を進めます。
また本職がノルウェー語講師なので「ノルウェー語から読み解く国民性」コーナーを設けました。
ノルウェー人を理解するキーワードの最初は・・・

Takk!

ノルウェー人がこよなく愛する「ありがとう」という単語です。私が発音した後、皆さんが復唱します。
「すみません」より「ありがとう」が好まれる背景を軽く解説しました。

Takkを使った会話例(
テキストより)

トータルで9つの単語(+ことわざ)を選んだのですが、初めてとは思えないほど上手に発音されて感激です!

これらの単語をイメージできる写真をお見せしながら、さらに解説を加えます。ノルウェー人の「Takk愛」「残業しない精神」「オンオフの切り替え」「自立へのこだわり」が印象に残ったようで、納得でした~。

友だちが働く会社。金曜午後のコーヒータイム。

私自身のお話もしました。
オーロラツアーがきっかけでノルウェーが好きになり、会社勤めをしながらノルウェー語の勉強を開始。憧れが募り、会社を辞めてノルウェー留学。
4回の長期短期留学を経て、2000年に「ノルウェー夢ネット」をYoko管理人と立ち上げ・・・・はご存知の方もいらっしゃると思います。そこから現在のフリーランスでノルウェー語の仕事に携わるようになった紆余曲折の道を振り返ります。思えばノルウェー色に染まったほぼ半生!我ながらびっくりです~。

最後に、少しでも「幸せなノルウェー人に近づくには?」と実行できそうな大小の行動を提案しました。
ノルウェーや北欧の福祉とか視察した人たちは「ノルウェーや北欧は素晴らしい。でも日本では無理」と諦めてしまうことが多いのが、残念!と思っていました。「では明日からノルウェー方式で16時には、速やかに帰宅しましょう」は無理ですよね。でも、何かできることから始めていただきたいなぁっと。

薬剤師の皆さんは、真剣に耳を傾けて下さり嬉しかったです。
講演後はグループごとにディスカッションをされ、講演のコメントと私との質疑応答がありました~。まさに社内研修です!

質疑応答!

質疑応答!!

熱心な質問ばかりだったので、1を聞かれて100でお答えした気がします・・・(話が止まらない・・・)。
研修は終わり、レストランで催された懇親会にも参加しました。

講演会だけだと一方的な発信で終わりますが、たくさんの方と言葉を交わすことができて、本当に有意義でしたね~。
調剤薬局で働く薬剤師というと「優雅」なイメージなのですが、それは素人想像にすぎなかったようで、私の方からもいろいろ質問しました。

懇親会のビュッフェ

同社の調剤薬局では、地域向けの健康セミナーなども積極的に行っているとお聞きし、ひたすら感心です。

皆さんの言葉で、印象深かったものは・・・
日本語の”ありがとう”や”ありがとうございます”より”Takk!”は簡単かつ気軽に言える
鋭い指摘です!シャイで人情に薄いノルウェー人。Takk!という簡単な言葉だからこそ、感謝を頻繁に伝えることができると思いますね。
他にも
ダラダラと残業ありきで仕事をする癖がついてしまったから、もっと時間を意識して仕事をしたい
オンオフの切り替えで、もっと自分の時間を楽しみたい
ノルウェーに行きたくなりました!
ノルウェー好きなのがよく伝わってきた
会社辞めてノルウェー留学なんて大胆!青木さんの性格に興味がある」などなど・・・。
締めの挨拶でも「今までノルウェーについて考えたことがなかったですけど、今日はいいきっかけになりました」というお言葉。もう納得すぎて納得です!

お気に入りの1枚

幸福度世界一に選ばれたことをきっかけに薄日が当たった(かもしれない)ノルウェー。
でも世間的には、まだまだ知られていない国です。
でもでも、ノルウェーの紹介や発信を続けていけば、日本人の生き方・働き方に何らかのヒントをくれるのでは?と願いつつ、皆さんとお別れしました。
貴重な機会を下さったフォーラル社さんにTakk!です♪

短編テレビ番組にみるノルウェー人と酒の関係

ノルウェーの大人気ドラマSKAM
私はノルウェー留学時代に、散々、学生たちのバカ騒ぎ大酒飲みパーティに参加したり、遭遇しました。なのでSKAMのパーティシーンは、違和感なく観ていました。
しかし「飲酒パーティシーンが、SKAMがもっと多くの国で放映権が売れない要因になっている」という記事を読んだ記憶があります。へ~、そうなんだ。
さらにSKAMを観た生徒さんたちから「ノルウェーのパーティってあんな感じなのですか?」と聞かれて、ノルウェー人の常識は日本の非常識?と改めて思い知りました。

残念ながら制作元のNRK(ノルウェー国営放送)は、ライセンス圏外の国へのウェブ配信はやめてしまいました・・・。
代わりに、ノルウェー人が酔っぱらうとどうなるのかがまるで「動物生態番組」のように理解できる3分ほどの短編シリーズが視聴可能です。
タイトルは”På fylla“。fyllaは飲み会、飲酒、酔っ払いを意味します。
しかーし!日本語の飲み会に比べて、fyllaの持つインパクトは異なります。

短編10本をまとめて観ても30分くらいでしょうか。
使われているノルウェー語は、テキストには出てこない下品な言葉、スラングが多いです。
下ネタも多用されていますが・・・国営放送の番組です。受信料で作られていますね~。
全エピソードは甲乙つけがたいですが、印象的なものは・・・
10話目のよっぱらい男性は、アイスの看板を勝手に持ってきちゃってます。
これ!まさに最初の留学時に、ノルウェー人学生たちがやってました~。大人もやっているとは、げに恐ろしい酒の魔力・・・とほほ。

かわいそうなアイスの看板・・・

あと6話目の女性が酔っぱらって元恋人の家へ行くシーン。元恋人には新しい彼女がいて、酔っ払い元カノは歯ブラシで復讐をするシーンなど。

最初は字幕なしで「生態」を観て頂き、お気が進みましたらば、右下にノルウェー語字幕を表示するボタンがあるので、思いっきり「下品な言葉」を満喫していただくのも乙でしょう。

https://tv.nrk.no/serie/paa-fylla

何年か前に、酔っぱらった若い女の子がブラジャーを路上で振り回している姿を見かけましたが、あんなのは序の口。
ノルウェーと飲酒の関係に思いを馳せませんか?

セレクトレッスン「オスロ大学留学体験」!

6/25(日)にセレクトレッスン「オスロ大学留学体験記」を開講しました!
昨年と同じくオスロ大学に正規留学されたYさんが一時帰国を利用し、自らの体験を語ってくれました。
昔と比べれば、留学情報はネットでいろいろと集めることができます。それでも、直接、話を聞きたい、質問したいという希望があるのかな~と、受講者の方々を見ながら感じました。

Yさんは、オスロ大学を志願した理由、応募方法から説明します。
昨年と今年では、オスロ大学の留学条件が変わっていて、Yさんも私も驚きました~。
学部レベルでは、英語だけではなく、ノルウェー語のレベルが必要と変わりました。こちらからご覧ください。
留学情報はビザと同じように、アップデートが必要と実感しましたね。

1時間半の予定でしたが、結果的には1時間延長になりました・・・。
住まい探し、荷物、到着後の諸手続き、授業内容、試験内容、月々の予算などなど具体的な説明が親切です。
たくさんの質問やコメントが出て、白熱した雰囲気に包まれ、これも昨年と同じでした。

オスロ大学内の書店

私がオスロ大学に留学したのは1999年/2000年なので、いろいろと変わっている部分・変わっていない部分がありますね。
羨ましいなぁと思ったのは、Yさんのような留学生にはノルウェー人のメンターが半年ついてくれるというシステム。昔はなかったですね~。
他にも、日本に興味があるノルウェー人も確実に増えたと感じました。

キャンパス内

暗い冬をいかに過ごすか?」テーマもかなり白熱しました!
Yさんが「Youtubeでセミの音の映像を聞く」と教えてくれて、笑っちゃいました。「今は夏!」と自己暗示(錯覚?)をかけるのですね~。

Yさんはとても勉強熱心で真面目な留学生ですが、「試験に落ちても構わない」とどっしり構えている姿が印象的でした(もちろん試験は常に及第しています!)。
将来についても「必ず~になる」と決めつけていないそうです。フレキシブルさを心がけている、と。
そうした柔軟な姿勢が、留学中に無駄なプレッシャーを自分にかけないことにつながるのだな~と感心しました。

Yさんがこれからも充実したノルウェー留学になりますように~。
そして留学希望の受講者の方々が、無事に夢が叶うといいなぁと思いました。
次にノルウェーへ行く際に、またYさんと会えることが楽しみです♪
Tusen takk!

***************************************************************
ノルウェー語レッスン7月期まだ間に合います!
「初心者クラス」は7/9(日)15時半からスタートします。まだ空きがありますので、お申し込みはお急ぎください♪
火曜19時は引き続き待機者がいらっしゃいます。

セレクトレッスン「超!ノルウェー語入門」は7/9開講します。90分でノルウェー語に触れてみませんか?各回参加なのでお気軽にどうぞ!

内容詳細とお申し込みは以下リンクからどうぞ~。

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm