ノルウェーのクリスマス

クリスマスは、ノルウェー語でjul(ユール)と言います。
ノルウェー語レッスンのテキストは、ノルウェーで暮らす外国人向けに書かれたものなので、julに関する記述もあります。
ただ、文章だけでは理解が難しいので、重宝しているのがこちらの「ノルウェーのクリスマス」という冊子です!

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こちらは1996年にノルウェー外務省が作ったもので、在日ノルウェー大使館でいただきました。

ノルウェーのjulemat(クリスマス料理)は特殊です。
ribbe(ブタ肉料理)やpinnekjøtt(ラム料理)は、イメージしにくいので百聞は一見にしかず!ということで、こういったページも生徒さんたちにお見せしています♪

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ノルウェーのクリスマス料理は、ほぼずっと一緒なので、今でもこの冊子にはお世話になっていまーす!

『アルネ&カルロスのクリスマスボール』出版!

Arne&Carlos(アルネ&カルロス)の名前を知ったのは、この本がきっかけでした。
アルネ&カルロスのクリスマスボール(日本ヴォーグ社、朝田千恵訳)の邦訳出版は、Hurra!ばんざーいという気分です!
もうすでに彼らのファンの方、編み物好きな方だけではなく、ノルウェーや北欧のクリスマスや伝統に興味がある方には最適な本ではないか?とページをめくりながら思いました。
早速、極私的ツボをつづりたいと思いまーす。

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『アルネ&カルロスのクリスマスボール』の全体に流れているのは「クリスマス前のワクワク感」。
現代のクリスマス=Jul(ユール)は、10月からイルミネーションが飾られ、たくさんのプレゼントを用意しないとというストレスを覚えるノルウェー人がいるほどです。
でも本書では、まだクリスマスが商業化される前、長く暗い冬の中で生活しながらクリスマスをひたすら楽しみにしているノルウェー人の姿が浮かんできます。
「はじめに」から引用してみましょう。

11月半ば、この辺りがものすごく寒くなり始めると、僕たちは家中あちこちでろうそくを灯します。そしてクリスマス工房の計画を立て、最初の活動を始めます。(略)
クリスマスの計画自体には、僕たちは1年中取り組んでいます。そこには心待ちにする気持ちがあります。子どものころに抱いていた期待、時に大人になった今でさえ感じる待ち遠しい気持ちです
。」(7ページ)

クリスマスストレスに陥っている人には、まるで「福音の声」?

本書では、アルネ&カルロスが55のクリスマスボールのパターンを紹介しています。
興味深いのは、北欧の伝統的なパターンが、別の国でも存在するという事実に触れている箇所です。「まるでパターン自体があちこち旅してまわったかのようにも思えます」(14ページ)という喩えは「民話」と似ている!と思いました。民話は内容が少し違っていても、似たようなものがいろいろな国にありますよね。

55のパターンそれぞれの編み図紹介とともに、そのパターンがなぜ生まれたのかの解説がじっくりされていて、なるほど~と好奇心をそそります。その解説の合間合間に「深い!」と思える言葉がたくさん散りばめられています。長くなりますが以下引用します!

僕たちはいつもノルウェーの伝統的な手工芸にインスピレーションを得てきました。(略)ファッション業界では「最新のもの」がなにより注目されます。でも僕たちはこう思うんです。「最新のもの」を作り出すためには、時代をさかのぼって自分たちの文化や歴史、伝統を学び、そこから伝統的要素を見つけ、現代風に活かさなくてはならない。そうすることで、「最新のもの」を作り出すだけではなく、自分たちの文化的遺産を次の世代に引き継いでもいるんだ、って。」(34ページ)

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ノルウェー人がアルネ&カルロスのクリスマスボールに惹きつけられたのは、まさしく「伝統的なパターン」の要素が強かったのでは?と想像します。レトロな柄、まるでおばあちゃんの家に行った時の思い出のよう。
そうそう、アルネは「おばあちゃん語り」が好きですよね~。ちゃんと本書には「おばあちゃんのクリスマス」が記されています。ああ、こんなプレゼントを当時はもらっていたんだ、こんな風に過ごしていたんだ、と古きノルウェーのクリスマスに思いを馳せることができます。

55のパターンを見ながら、自分はこれが好き!と選ぶのも楽しいです。私のお気に入りは・・・
「スキーヤー」(33ページ)です。ノルウェー人とは切っても切れないスキー。それもクロスカントリースキー。このパターンの解説には、ノルウェーを代表する「愛すべき皮肉屋じいさん」オッド・ブレッツェンの文章が引用されていて、笑っちゃいました。まさに「わかる奴だけわかればいい」の世界・・・。

写真のインパクトもありますが、「クリスマスのぶた」(76~77ページ)も可愛いです!!
ぷっくりと肥えた豚にハートがあしらわれていて、う~ん、欲しいです~♪(←自分では永遠に編めません・・・)

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55のクリスマスボールに添えられているレトロなオブジェや写真もまた見どころです!
アルネ&カルロスは常にインスプレーションを探し、スクラップブックを作っているようですが、それをこんな形に昇華できるセンスは素晴らしいですね。

クリスマスプレゼントにも最適。
編み物ド下手な私でも、うっとりできる1冊です♪
あ、そうそう。ノルウェー語の勉強にもなりました!”Ut på tur, aldri sur”ということわざが本書に書いてあるのですが、今までしっくりくる訳がなかったんです。朝田さんの訳は「外に出れば、気分も爽快・・・・」でした。おお、この訳がどんぴしゃり!まさに気分爽快です♪

P.S.2013年に開催したアルネ&カルロスファンミーティングの様子はこちらからご覧になれます!

懐かしのノルウェークリスマスフェア

ここ数年、たくさんのデパートで当たり前のように「北欧クリスマスフェア」を開催していますよね~。
あまりに多くて、周り切れないほど。こんな世の中になるなんて、想像していなかったです!
・・・とは言え、「ノルウェーのクリスマス」にだけフォーカスしたイベントは、まぁ少ないですよね。
しかーし! 当時の赤坂プリンスホテルは「ノルウェークリスマスフェア」を開催してくれていたことで覚えています。

もう10年くらい前でしょうか。
かのホテルの「ノルウェークリスマスフェア」に、Yoko管理人といそいそと出かけた記憶があります。
赤いものが集まっているエリアがありました!おお、たくさんのユーレニッセ(Julenisse=ノルウェーのサンタ)が!!
ノルウェー物に飢えていたので、がっついた記憶が・・・。そこで買ったものの一部がこちらです!

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このユーレニッセは、女の子(おばさん?)なのが珍しくてチョイス。
あとお皿は、ノルウェーのPorsgrund(ポッシュグルン)のもの。ニッセがシュールにあしらわれています。
「在庫全部下さい!」と喰い気味にお願いし、3枚ゲットしました~。同じ模様のマグカップも買ったのですが、行方不明・・・。え~ん、お気に入りだったのに。

今では当たり前の「北欧クリスマスフェア」ですが、こんな時代もあったんですよ~と歴史の生き証人は語ります。
でもこの「当たり前」はいつまで続くのでしょうか??(ちょっと考えるのがコワイ・・・)