「北欧からの贈り物~絵本とわたし~」レポートです!

2月になればトーキョーノーザンライツフェスティバル」がすっかり定着しました。渋谷で北欧映画を堪能できる1週間。今年は、なんとイベントを一緒に開催することができ、今でも余韻に浸っています!浸りすぎてブログでのご報告が遅れました・・・・。

イベント名は「北欧からの贈り物~絵本とわたし」。
2/16に発売となったノルウェー絵本うちってやっぱりなんかへん?』 (トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)の表紙がチラシに大きく印刷されて、ひぁ~、すごいことになっている!と嬉しいやら恐縮するやら。光栄です!イベント当日の2/19(日)。会場は渋谷LOFT 9。いいお天気でテンションUP!

会場入り口には、すでに物販の準備を終えている谷中ひるねこBOOKSさん。

そしてステージには、今日のイベントのために偕成社さんが用意してくれた巨大パネルが鎮座しています!感動して爆笑しちゃいました。

登壇者の稲垣美晴さん森百合子さんがやってきます。そして初めてお会いするイェンス・イェンセンさん。ノルウェー語で話しかけると「スウェーデン語が話せるんだ!」って・・・デンマーク人の頭には「ノルウェー語」は存在しないことがよっくわかりました。

お客さんたちが続々と入ってきて、食べ物の差し入れもいくつかいただきました~(常に貧乏アピールが効いたようです)。
司会の雨宮真由美さんが挨拶をして、イベントはスタート。

まず私が『うちってやっぱりなんかへん?』作者トーリル・コーヴェ(Torill Kove)さんについて、また他の作品『王様のシャツにアイロンをかけた私のおばあちゃん』や『デンマークの詩人』を紹介します。この2作品は未訳で、何人かの方から「翻訳出してください」とありがたいお言葉をいただきました~。

王様のシャツにアイロンをかけた私のおばあちゃん

デンマークの詩人

それから軽く『うちってやっぱりなんかへん?』の紹介と、トーリルさんの作品の特徴をまとめて終わりです。
今日の目玉である原作短編アニメーション”Me and My moulton”(トーリル・コーヴェ監督)を上映します。
何度もくすくすと笑いが起きました。3本足の椅子から何度もひっくり返る子どもたち、人口1万5千の町で、唯一口ひげを生やしているパパ。

トーリルさんの夫が音楽を担当していますが、ユーモラスだけどメランコリックなメロディーは、ほろ苦さをあわせもった映画にぴったり。
イラストレーターのナシエさんもイベントに来て下さったのですが「ラストで泣いちゃいました」とおっしゃってました。
絵本とはまた違った映画の魅力があるのは、よーーーーく知っていたので、たとえ1回でも上映できることができ感激です!

そして、トーリル・コーヴェさんからのビデオメッセージを流します。
”Me and Moluton”と絡めて、ご自分の家族について語ってくださいました。60年代のノルウェーの小さな町で、独特な美意識を持った建築家のご両親との暮らしは「幸せだったけど、目立ちたくなかった、周囲に溶け込みたかった」という葛藤がまさに、本作の「わたし」と重なっていますね。
作品でも何度も出てくる「パパの口ひげ」についても言及されていて苦笑・・・。「些細なこと」に子どもは敏感なんだよね、と小さかったころの自分を思い出します。

それからノルウェーの愛されキャラクター「キュッパ」の短編アニメーションが上映されました。キュッパ+ガチャピンムックコラボ編と合わせて4本も上映!キュッパのお茶目なダンスシーンではやはり笑いが起きてました~。

さてさてお待ちかねの「北欧絵本トーク」に突入!
各登壇者が「わたしのお気に入りの北欧絵本」を紹介していきました。表紙をスクリーンに映し、お話しするスタイルです。
私はクラシックから新作まで6作品を紹介。『3匹のやぎのがらがらどん』はノルウェー絵本とイラストを比較してお見せしました。トロールの描き方が違うんですよね。
虫歯トロールが悪さをする”Karius og Baktus“「カリウスとバクトゥス」を紹介したら、イェンスさんが「デンマークの話だと思ってた!」とびっくり発言。デンマーク人は「ノルウェー」という単語を知らないのでしょうか(涙)。

ノルウェー留学中にどれだけ励まされたか分からない『フィンランド語は猫の言葉』著者である稲垣美晴さん。
稲垣さんはご自身が翻訳された本22冊をご紹介されました。落ち着いた声で、順番に作品を紹介されていきますが、どんな作品だろう?と興味がそそられます。

オーロラの雪』は読んでいましたが、同じ作者の『木の音をきく』も読んでみたい!と感じます。

森百合子さんは、彼女にしか紹介できない本を紹介して下さいました!
以前も見せていただいた『ぺち』。デンマークの人気者ラスムスくんを水木しげる先生が翻訳されていたとは、知らなかった人がほとんどでは?こちらをご参照ください。

イェンス・イェンセンさんは、子どものころに好きだったデンマーク絵本を2冊持って来てくれました。
デンマークを代表する絵本作家Ib Spang Olsen(イプ・スパング・オルセン)のOnkel Karfunkelシリーズです。こちらをご参照ください。

本イベントの立役者・雨宮さんが「参加型イベントにしましょう!」ということで、事前に「あなたの好きな北欧絵本は?」をハッシュタグをつけてTweetを呼びかけました。ムーミンが圧勝かな?と思いきや、たくさんのタイトルが集まって嬉しい悲鳴です。
こちらもスライドでお見せしましたが、「こんなにあったのね~」と感心しきり。

てんこ盛りすぎるプログラムですが「北欧絵本クイズ」を各登壇者から出しました。
最後まで勝ち残った人は2人しかいなかったのですが、2冊ずつ北欧絵本をプレゼント。おめでとうございまーす♪

また、北欧絵本を持参された方へ「いさわきちひろ美術館」の入場券をプレゼントする贈呈いたしました~。皆さんには前に出て頂き、絵本のプレゼンもお願いします。「稲垣美晴さんのファンでフィンランドへ留学した」「これから留学します」という方がいて、改めて本の持つ力を実感。感動的なシーンでした。

やんややんやでイベントは終了~。
特別コラボメニューカフェ(協力:アクアビットジャパン)や物販は続き、談笑する姿があちこちに。
『うちってやっぱりなんかへん?』を買ってくださった方が、「ノルウェー夢ネット特製スタンプを押してください!」と来て下さり、わ~~~!!と感涙ものです。

ただすごく押すのが下手なので「押してもらう」方式と「下手でもいいから押してください」方式を採用・・・。「わたしってやっぱりなんはへん?」と薄々わかってきました。

巨大パネルは人気者でしたよ~。撮影する人がたくさんいました!
とっても楽しいイベントになって嬉しかったです~。

Fukuyaで買ったマリメッコの古着、隣は雨宮さん

昨秋からスタートしたイベント準備。
大変な企画を運営して下さったトーキョーノーザンライツフェスティバルの皆さま、Tusen takk!
他の関係者の皆さまに深く感謝です~。
せっかく字幕をつけてもらったので”Me and My Moulton“をもっと上映する機会があればいいなぁ~と願いつつ、お土産のデンマークヨーグルトを飲みながら会場を後にしました。
  

***************************************************************************
『うちってやっぱりなんかへん?』刊行記念パネル展が、2/24~3/10まで谷中ひるねこBOOKSさんで開催されます!
美しいビジュアルをご堪能くださ~い。なお絵本をお買い上げの方には限定ポストカードをプレゼントします♪
私は時間があるときにスタンプ持参でお邪魔しますね~。谷中でノルウェー、北欧を感じませんか?

https://www.facebook.com/events/114818502358278/


限定ポストカード!

2月イベント情報~北欧からの贈り物 絵本とわたし~(Updateしました!)

とりあえず、2017年2月19日(日) は空けておいてください!
(翌週の26日も空けて下さると嬉しいです~。北欧ぷちとりっぷ開催!)

何も言わず、チケットを買ってくださいね~。テロップはこちらです!
・・・なんて「殿様商法」は通じないので、来年の2月19日になぜ「万難を排し、渋谷に行かなくてはいけないのか」説明をいたしましょう。

ノルウェーをはじめ北欧を愛する皆さまは、「トーキョーノーザンライツフェスティバル」(TNLF)の名前を聞いただけで「あ~、また渋谷が北欧になる季節!」と感慨深いでしょう。来年はどんな北欧映画に出遭えるのか楽しみですよね。

映画祭とともに、TNLF主催のイベントがあるのですが、来年は不肖・青木がイベントの1つに関わることになりました~!!
で、それが2/19なんです。

イベント情報は、TNLFのFacebookできれいにまとめて下さっていmるので、大部分を借用いたしま~す(おい!)。

イベント名:北欧からの贈り物~絵本とわたし~
日時:2017年2月19日(日) OPEN12:00 / START 13:00 (CLOSE16:30)
場所:LOFT9 Shibuya (ユーロスペース1階です)
チケット:前売券1,500円(ドリンク代別途) 当日券2,000円(ドリンク代別途)
*2017年1月7日10:00より イープラスにて前売券販売開始!

*本イベントは大人向けの内容となります。中学生以上は有料となりますこと、ご了承ください。

ノルウェー出身のアニメーション作家トーリル・コーヴェ(Torill Kove)。
米アカデミー賞の短編アニメーション部門に全作品がノミネートされ、TNLF2011で上映した『デンマークの詩人』は見事オスカーに輝きました。そのコーヴェ監督の最新作『わたしとモールトン自転車』が絵本になり、日本でも 『うちって やっぱり なんかへん?』 偕成社、青木順子訳)のタイトルで出版が決定!
TNLF2017ではアニメーション上映と共に、北欧の絵本の魅力を堪能するイベントを開催します!ノルウェーの愛されキャラクター・キュッパも登場しますよ~。

★短編アニメーション『わたしとモールトン自転車』上映
★トーリル・コーヴェ監督ビデオメッセージ上映
★ノルウェーの人気者!キュッパのアニメーション上映
★「うちって やっぱり なんかへん?」翻訳の青木順子のトークショー⇒作品解説やトーリルさんの他作品を紹介します!
★ゲストによる絵本愛あふれるトークセッション
☆スペシャルゲスト☆
稲垣美晴さん(猫の言葉社代表)
森百合子さん(北欧Book主宰) Continue reading

そもそものきっかけ ~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 1~

一番最初に、ノルウェー語の本を買ったのは絵本=bildebokです。学習を始めて半年くらいで「ノルウェー語の本を読んでみたい!」と購入しました。
絵本のテキストは予想以上に難しかったけれども、ノルウェーらしさ満載のイラストを眺めて楽しみました!(実はスウェーデン原作の絵本だったのですが・・・。顛末はこちら

それ以降もポチポチと絵本を買ったりもらったりしていました。「ノルウェーについて学ぶサロン」で「ノルウェーの絵本」について2回、お話ししていますね~。最初のレポート2回目のレポートがご覧になれます。

そんな感じでノルウェーの絵本とは、「つかず離れず」状態だったのですが、運命的!と思える出逢いがありました~。
NORLA(Norwegian Litterature Abroad)「ノルウェー海外文学普及協会」が主催した「翻訳者セミナー」が2009年に開催された時、ラッキーなことに参加できました。その時のレポートはこちらに記していますが、グロー・ダーレさんとスヴァイン・ニーフースさんの『Sinna Mann』に衝撃を受け、その後、紆余曲折を経てパパと怒り鬼』となり邦訳出版に至ることができました。

20151227-2

2014年にもNORLA主催の「翻訳者セミナー」が開催されたのですが、「これいい!」と一目惚れした絵本がありました!
タイトルは『Slapsefjell』。60年代頃のノルウェーのスキー場での1日がノスタルチックかつシュールに描かれています。イラストはレトロ調で「これぞノルウェー!!」てんこ盛り絵本です。

20151229

出版社の人に聞いたら「ノルウェー語のサンプルはこの1冊しかない」とのことでしたが、半ば強奪した次第です。こちらから中身をちょっと覗くことができますよ~。
他にも、絵本作家やイラストレーターたちのプレゼンテーションや聞くことができ、大いに刺激を受けることができました(キュッパシリーズの作者、オーシルさんもお話しされていたのですが、”Big in Japan”と紹介されていて本人も照れてましたね・・・)。
まだ邦訳はされていませんが、ノルウェーやヨーロッパで評価が高いStian Hole(スティーアン・ホーレ)さんのワークショップでは、作品の芸術性の高さに感銘しました!

Annas Himmel(アンナの空)より

Annas Himmel(アンナの空)より

帰国後、持ち帰ったり送ってもらった絵本を見ながら、2013年に来日講演してくれたグロー・ダーレさんの言葉を思い出しました。
「ノルウェーには、とても素晴らしい絵本作家やイラストレーターがいるんです。」
グロー・ダーレさんはご自身のお気に入りの絵本を持って来てくれて、その中で気になった1冊がØyvind Torseter(オイヴィン・トールシェーテル)さんの『Hullet』でした。本の真ん中に開いた穴をめぐる絵本なのですが、セリフはごくわずか。まるで上質なコメディー映画を観ているような感覚になれます。

20151227-4

ノルウェー語レッスンの部屋に置いていたら、デザイナーの生徒さんが「これ、貸してください」とおっしゃったので、やはりデザイン系の人には刺さる絵本なのだな~と実感。
こちらは『穴』というタイトルで邦訳されています(ワールドライブラリー社、ひだにれいこ訳)。

個々の絵本に触れながら、「もっと絵本と取り巻く環境を知りたい!」とテンションUP!
9月のオスロ訪問に合わせて、自分が行ってみたい!と思う「絵本をめぐる場所や人」を訪ねることにしました。さらに幸運なことに・・・オスロで初めて「Barnebokfestival」(子どもの本フェスティバル)が滞在中に開催されることが分かり、テンションMAX!! 

・・・いつも前置きが長くなるのは悪い癖ですが、これから不定期にユルユルと「ノルウェーの絵本を訪ねる旅」と書いていきたいと思います~(オスロ旅行記も終わってません・・・)。

つづく(ハズ)