ノルウェーの「地獄の天使たち」

ノルウェーの新聞で「MC」という文字を見ると、条件反射的に「犯罪」と結びついてしまいます。
MC=Motersykker「オートバイ」のことなのですが、日本でもバイクを乗り回す「暴走族」が存在するように、ノルウェーでもヘヴィー級のバイクを乗り回し、犯罪行為(麻薬売買、売春あっせん、暴行、恐喝など)に手を染める輩がいるからです。

ノルウェーの代表的な犯罪的MCグループは、「Hells Angels」です。そうです、アメリカ発祥のモーターバイク野郎たち。
今回のブログを書くにあたり、Hells Angelsを検索したら、なんと自分たちのHPを持っていました。こちらです!

http://hells-angels.no/

さすがIT先進国、犯罪集団でもHPを持っているんですね~。「Contact us」というコーナーもあって、うっかり何か書いてしまいそうな自分がコワイ・・・。

5月のノルウェー旅行中、飛行機でタブロイド新聞を読んでいると、「これがHells Angelsの掟だ!」という特集記事があり、どれどれと読んだところ・・・

・自分たち主催のパーティ以外での飲酒は禁止
・スマホは警察に盗聴されやすいので使用禁止
・バスや電車などの公共交通機関の利用は禁止

・・・とあり、特に最後の「掟」が何だか笑えてしまったのは、私がMCギャングたちの真の怖さを知らないからでしょう。
ごっついタトゥー、ムキムキに鍛えた筋肉、無駄にでかい肉体・・・。
やはり「関わりたくない人たち」です。

そしてやはり旅行中、ベルゲンの中心地を歩いていたら、バイクがたくさん並んでいる光景がありました!え?これって「集会?」怖いけど写真を撮ります。

バイク

実際は、普通にバイク愛好家の人たちが集っていただけでした~。

ライダー

私も勘違いしてしまいましたが、普通のライダーたちは「バイク集団=犯罪者たち」との結び付けられしまうことに困っているようです。
たしか、トロムソのライダー集団がパーティを行った時に、女性メンバーはこんなことを言ってました。
「私たちがバイクに乗っているだけで、すぐに犯罪グループと誤解されてしまう。これは偏見です。」

もうずいぶん前ですが、留学中にオスロでたまたま話しかけてきたアメリカ人(珍しくノルウェー語が上手!)が「ノルウェーのHells Angelsなんて・・・!!」とバカにしてましたが・・・。
どうしてどうして。北欧のMCギャングたちの怖さは、例えばスウェーデン発の世界的ミステリー小説「ミレニアム」でも描かれていましたね。やっぱり、コワっ!て印象です。

・・・ということで、平和なノルウェーでも存在するコワいお兄さん・おじさんたち。
普通に旅行や生活しているぶんには、接点はないと思いますが、万が一、メンバーが掟を破って「地下鉄」に乗っているのを見かけら・・・!
その時は、前述のHPのcontact usからチクリますかね~。

恐怖のバス

オスロのバス。
電光掲示板で、次のバス停留所が表記され、自動アナウンスが流れる。な~んて便利!!

・・・て「そんなの当たり前でしょ?」と思っている方、日本のサービスにスポイルされていま~す。

私はムダにノルウェーと関わって長いのですが(もう20年!)、最初のころは特に「え?これってアリ?」と驚いたことが多かったと思います。
バス停に名前がない」・・・これは衝撃でした。オスロの話ではなく、郊外ですが。

例えば、友達や知り合いの家にバスに乗る必要があります。
「何てバス停で降りればいいの?」
「バス停の名前ないんだ~」
「???」
こんなやり取りでした。仕方ないので、そのバス停周りの特徴となる建物などを聞き出します。

オスロから小さなフェリーに乗って約20分のところに、Nesoddenという風光明媚な島があります。
そこにお住まいの先生のお宅を訪問する時は、やはりバスを利用したのですが・・・。バス停周りの特徴は「ピンクの家がある」。
私はバスに乗り込み、他の地元の乗客がリラックスして座席に座っている間、鬼の形相で窓の外を凝視します。
「ピンクの家、ピンクの家・・・」頭の中でぐるぐる悩みながら、「ここ??」と悩んで、ブザーを押して降りる・・・。よかった~、あってた~。
もう「恐怖のバス」以外の何物でもありません。

さすがに最近はだいぶ状況が良くなったのかなぁ、と思ってベルゲン大に4,5年前に留学していた生徒さんに聞いたら、「バス停の名前なかったです」。
ベルゲンって確か、ノルウェー第2の都市ですよね。でもそうなんだ・・・。驚きつつも、納得しちゃいました。

日本だったら、どんなに田舎でもバス停に無理やり名前を付けると思います。
ノルウェーは田舎or郊外のバスは、ハナから地元客しか乗らないだろうという見込みで「バス停に名前を付ける」という行為を怠っているのかでしょうか?

オスロのバスは、いつからかはっきり覚えていませんが、冒頭のようなサービスになりました。
以前は、バスの運転手がすご~く気まぐれに次のバス停の名前をアナウンスしてましたね・・・・。運転手によっては、アナウンスを忘れちゃったり、とんでもなく聞き取りにくかったり・・・。バス

なので冒頭のサービス&テクノロジーの発展は、昔を知る者としては、涙ものです。

「バスで恐怖を味わいたい」という方には、ノルウェーの郊外&田舎バス、おススメですよ~♪

イースターにはミステリを

ノルウェー語では、「イースター」のことを「påske」(ポースケ)と言います。
この「ポースケ」の響きが可愛くて、生徒さんと「ぽー助みたいですね~」なんて笑ってます。
今年のポースケは、今週からですね~。
ノルウェーでは、ポースケで1週間~2週間休む人が多いので、hytta(ヒュッタ=セカンドハウス)にこもって、春スキーを楽しんだり、海外旅行したり、またはいつも以上に静かな町に残ったり、といろいろな方法で人々は「春の訪れ」を感じます。

そんな「ほっこり」したポースケ。
しかし、なぜかノルウェーのポースケでは、やたらと人が死ぬのです!

・・・といってもそれは現実ではなく、「ミステリ小説」のお話。
なぜミステリ?というと、ノルウェーでは「ポースケミステリ」(påskekrim)という一大ジャンルが存在するのです。
書店に行けば、大きく「påskekrim」と書かれたコーナーが設けられ、各出版社、ポースケに向けてたくさんのミステリ小説をラインナップに並べます。

最初は「ミステリ小説」だけだったのですが、今ではラジオやテレビでも「påskekrim」と銘打って、ミステリドラマシリーズを流します。
例えばNRK(ノルウェー国営放送)の番組表に、しっかりpåskekrimと書いてありますね。

http://tv.nrk.no/serie/hinterland/koif51002113/sesong-1/episode-1

特にノルウェー人に尋ねるわけでもなく、「なぜポースケにミステリ?」とあまり深く考えてきませんでした。
おそらく、あまりやることのないhyttaで余った時間に、ミステリを読めば集中できて楽しめるから?と勝手に想像していたのです。
このブログを書くにあたり、「påskekrim」の起源を調べたところ、思ったよりも歴史がありました。
wikiによると、すでに1920年代に、出版社が仕掛けたキャンペーンがきっかけだったようです。
ポースケ(正式には”聖枝祭”)1週間前に、大手新聞のトップに「ベルゲン線が今夜、襲われた」(Bergensbanen plyndret i natt)と載りますが、実はこれ、あるミステリ作家の新作タイトルでした。
広告であることを示す表記はごく小さく、多くの人は「え?そんな事件が?」と騙されてしまいます。
この「エープリルフール」のような広告は成功し、それから他の出版社も「ポースケにはミステリ」の戦略に乗っかり、今に至る・・・が「påskekrim」のヒストリーでした。

ノルウェーで存在することは、他の北欧でも同じ、ということが多いのですが、こと「påskekrim」に限っては、「ノルウェー的現象」のようです。

ミステリ

初代ミステリ女王の本!

翻訳家のヘレンハルメ美穂さんに教えていただいたのですが、ノルウェーの「påskekrim」の成功から、スウェーデンでも同じような試みが始まったようです。フツーはスウェーデンの後を追いかけるのが、ノルウェーなのに・・・。

こうなると、北欧中に「人がたくさん死ぬイースター」が広がっていくでしょうか?

元は「復活祭」というキリスト教の行事であるポースケ。
こんなに、フィクションの世界で人を殺したり、血を流していいのか分かりませんが、それだけノルウェーが平和な証なのかもしれませんね~。

石油をめぐる冒険

「ノルウェーってどうしてお金持ちなんですか?」という質問はたびたび受けます。

ノルウェーに興味がある生徒さんでもご存知ない方がいらっしゃるので、いわんや普通にノルウェーと関わりがない人など意識もされたことはないでしょう。
2012年の「国民一人あたりの名目GDPランキング」を見ると、ノルウェーは第3位にランクイン!
ノルウェーをそれほど豊かな国に押し上げたのは、ずばり石油と天然ガスのおかげです。
特に、石油については「Oljeeventyr」という単語が存在するほど。直訳すれば「石油物語」でしょうか。
私は村上春樹氏の「羊をめぐる冒険」をもじって「石油をめぐる冒険」という風に訳しちゃってます。

私自身、漠然とノルウェーで油田が発見されたのは、1960年代だということは知っていました。
油田発見までの詳しい経緯は、レッスンで使っている「Stein på stein」というテキストに載っています。「語学書のテキスト」でも学べることは多いですね。

テキストによると、ノルウェーが北海で油田を探し始めたのは1960年代半ばから。
しかしノルウェー単独では、油田探しの経験も技術もなかったので、海外の石油会社が油田探しに加わるように依頼されます。

温泉掘りと比較しては「規模が違う!」と怒られそうですが、油田探しは容易にはいきません。

4年かけて、30もの深いボーリングを行いますが。油田は見つかりませんでした。「もうこれは無理だ・・・」と諦めかけたところ・・・。
でも、アメリカのPhillips Petroleum社だけは、「あともう1回、ボーリングをしてみよう」と、ラストチャンスにかけます。
ついに1969年秋に、北海の中央付近に油田を見つけることができたのです!
その時の歓喜の様子は・・・・想像するだけでワクワクしますね~。

それからノルウェーはStatoilという国営の石油会社を作り、次々と油田開発と輸出を行っていきます。
順調に石油産業は成長し、そのおかげでノルウェーの経済も好調になっていきます。
ノルウェーは他の北欧諸国よりもリッチなので、しばしば「北欧のカタール」と揶揄されるほどです。

もっと言うと、スウェーデン人から「ノルウェー人は技術の開発はできない。あるのは天然資源だけ」とdisられるほど・・・。

のどか

ゆとり満載

2012年、石油輸出量は世界で5位、天然ガスは世界2位となっていて、莫大な収入を堅実に「政府年金基金」という形で貯蓄し、将来、資源が枯渇したり、価格が暴落した時に備えています。

今年読んだ記事だと、この基金は国民ひとり当たり1000万円ほどの貯金になっているらしいです。日本人は国民ひとり当たりの「借金」が膨大なので比較すると空しいです・・・。

ちなみにノルウェー国内の電力は、豊富な水資源を生かし、水力発電でまかなっています。
ですので、石油やガスは輸出だけという、何ともうらやましい状況なんですよ。

もし、あの時、Phillips Petroleum社がボーリングをあきらめ、帰国していたら・・・?と想像すると、ノルウェーってなんてラッキーだったのだろうって思いますね。
まさに「Oljeeventyr」という名がふさわしい「冒険譚」です。

受信料、払ってね

ノルウェー国営放送(NRK)は、テレビチャンネルを3つも持ち、ラジオ放送もた~くさんあるノルウェーの大きなメディアです。
「国営放送」というくらいですから、CMはありません。
「みなさまの受信料」で収入を賄っています。その割合は96%とかなりの高い数字ですね。

Aftenposten紙(2014年3月23日)に、この「受信料」に関する記事がありました。
2013年、1983000人が受信料を支払っています(ノルウェーの人口は約510万)。
「どの国にもいるんだなぁ」と感心したのは、「受信料を払わない人」。
10世帯のうち1世帯の割合で、「未払い」をしているとか。そのため、本来、得られる利益が減少してしまいます。

私がノルウェーで訪れた家も、そうした「受信料未払い」を貫いてましたね。
外の窓から見えない低い位置にテレビを置いて、「テレビ持ってません」と言い張ってました・・・。なんか既視感が・・・。

しかしノルウェー人は、こと「受信料支払い」に関しては優等生なのだそうです!
スウェーデンでは、未払いの割合は14-15%、
そして受信料制度を昨年、撤廃したフィンランドはなんと30%だったとか!(ムーミンが泣くよ・・・って関係ない?)

NRKはさらに海外の事例を調べました。
英国BBCでは、受信料の未払い=犯罪行為だそうです。未払い率は5%だそうですが、なんと罪に問われて収監された例もあるとか・・・。
NRKはそこまでの強い態度は考えていないそうです。刑務所にテレビありますしね~。

と、NRKは未払い問題に悩んでいるのか。と思いきや実は、受信料の支払い額自体は増えているとか。
ノルウェーでは、テレビを買った店がNRKに「通報する」システムになっています。
そして薄型テレビの販売が好調→受信料増えるという図式みたいですね。

ちなみにノルウェーでテレビを持ってない世帯はわずか3%。あんまり娯楽ないから、テレビ依存度は日本より高い気がします。
で、気になるNRKの受信料の額は・・・・年間2729.16クローネですから、1NOK=17円で計算すると約46000円!
ひえ~、なんでも高いノルウェー・・・!
 

撮影クルー

撮影現場!

どうりで、私のノルウェー人の友達が、「○○オリンピックにNRKはすごい数のスタッフを連れて行くのよ。まったく受信料の無駄遣い!」と怒っていたわけです。

今、ノルウェー以外の国でも評判の「スローテレビ」。
この制作も、精神的なゆとりももちろん、金銭的なゆとりがあるからできるんですね~。

**********************************************************************
サイトの「インタビュー」コーナーを久々に更新しました!ピアニストの安保美希さんです!
ノルウェーの留学話などいろいろ伺いました。ぜひご一読下さいね♪

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/frameintervju.htm