温かいランチ~それはスウェーデンへの憧れから始まった?~

2017年のブログ始めが遅れました。
Twitterでうざったいくらいアピールしているのですが、左手首を骨折してしまい、かなーり、生活に支障をきたしています~。
気を取り直して、積読状態だった本を少しずつ読み始めていますが・・・(合間に「骨折」キーワードでネットサーフィン)。
昨年、ノルウェーの書店から買った”Den Norske Folkesjela“(「ノルウェー国民の魂」)は、その1冊です。著者のPer Egil Heggeは、Aftenposten紙で「ノルウェー語コーナー」をずっと担当しているノルウェー語エキスパート。記事などで見つけたノルウェー語のミスなどをユーモラスに指摘する「ノルウェー語ご意見番」的存在です。

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17.mai, brunost, lutefisk, grilldress, vinmonopolet….などなど、ノルウェーやノルウェー人を理解する上で大切なキーワードが、2-3ページのコラムで、Perさんならではの解説がされています。
Brødskiveの項目を読んでいた時、新たな発見があったので、取り上げますね。

このBrødskiveって単語は、ノルウェー語レッスンのテキストに出てくる際に、ちょっと説明に時間がかかります。Brød=パン、skive=スライスという意味ですが、「スライスパン」よりも、smørbrød=オープンサンドの方をイメージして下さい。パンの上にpålegg=トッピングを載せるものですね。

Brødskiveと並んで、説明に苦労するのがmatpakkeという単語。mat=食べ物、pakke=包み、からなる合成語です。
smørbrødを紙にくるんだり、ランチボックスに入れるのがmatpakkeです。写真をご参照ください。昨年9月、オスロの小学校を訪問した際に、子どもが持っていたmatpakkeを撮らせてもらいました。このmatpakkeは、ノルウェー人のランチ定番なのですが。

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と、ここまでの前知識を入れてから、Brødskiveの項目で「お?」となった箇所を書きますね。
1990年代、ノルウェーのスウェーデン大使を務めたKjellさんは退任する際「解決できなかった残念な問題はありますか?」というインタビューに対し、このように答えたそうです。
私は、ノルウェーに住むスウェーデン人たちに、温かいランチが食べられるよう助けられなかった。

varm lunsj=温かいランチ。
何かと似ている北欧諸国ですが、スウェーデンにあってノルウェーにないもの。それが「温かいランチ」だったんですね。
前述のスウェーデン大使在任中は、スウェーデンからノルウェーへ労働移民が増えていた時期。スウェーデン同志たちが、ノルウェーへやっていてmatpakkeに代表されるkald lunsj=冷たいランチに耐えていたのが、大使にとっては無念だったのでしょう。くくく・・・・

ノルウェー人は常にスウェーデンに憧れています。90年代~2000年代にかけて、「ノルウェーにもvarm lunsjを!」運動が盛り上がったんですよね。
私は留学中、やはりmatpakkeを持参していましたが、「これじゃお腹いっぱいにならなーい」といつも思ってました。
ましてや、ノルウェーの中学生や高校生たち。彼らはmatpakkeだけでは足らん!と、休み時間に近くでポテトチップスやピザなど「ジャンクフード」を買い食いしていたのです。
「子どもたちがジャンクフードばかり食べているのはマズイ!」と大人は焦り、今では学校のkantine=食堂で、温かいランチが提供されるところが増えています。

社会人はどうでしょう?特に大きな企業やそこそこの規模の会社では、やはり自前のkantineが備わっている場合が増えていますね。

昨年9月にオスロ大学のkantine=食堂に行った際、「昔とえらい違い~」と感心したのは「電子レンジの存在」です。
日本はオーブンよりも電子レンジの国、ノルウェーは電子レンジよりもオーブンの国ですが、どんどんかの国における電子レンジ所有率は高まっていますね。
電子レンジがあるということは「ノルウェー人は食べ物を温めることを知った」証です!

・・・・という状況で、みなが温かいランチへ流れるかと思いきや、matpakkeにはこんな効用もあったんです。再び本から引用してみましょう。
「matpakkeのおかげで、ノルウェーは他のヨーロッパ諸国に比べて、短いランチ休憩で間に合った。約20分もあれば十分。その結果、より早く帰宅することができ、余暇を得ることができたのである。」

確かに!! ランチに時間をかけるよりも、とっとと済ませて、とっとと帰る。その方がノルウェー人のメンタリティーに合っている気がします。
昨年、オスロを訪れた際、NORLA(ノルウェー文学普及協会)のオフィスを訪ねました。ちょうどお昼時になったのですが、みなさん、matpakkeを片手に集まってきます。

私もその時、matpakkeを持参していたので、一緒にランチを楽しみました。おいしいフルーツが置かれていて、出張に行っていたスタッフがお土産を配ったりと短いながらも楽しいランチでしたね。この時は私がいたので、少し長めのランチ休憩だったかと。30分でしょうか?

3年ほど前に、温かいランチを効率的に消化しているノルウェー人を見かけました。

トラムにて

アジア系の食べ物をトラムで食べていたこの人。周りは全然、無関心で「車内マナーのありかた」など些末なことにはとらわれないノルウェー人魂を見た、と感慨深かったです。

varm lunsjかkald lunsjか。スウェーデンに憧れながら、ライフスタイルが変化する好例でしょう。

ノルウェー語レッスン忘年会!

「頼りない人間は、ちゃんと周りが助けてくれるようにできている」を実感したのは、年末に開催した「ノルウェー語レッスン忘年会」でのことです。
ここでいう頼りない人間=ワタシであり、周りの人=生徒さんたちです!

実はノルウェー語レッスンの忘年会を催したのは初めてでした。
ある料理上手な生徒さんが、「ノルウェー料理を作るので忘年会をやってみましょう!」と申し出て下さったのです。
・・・ということで、私がしたことと言えば会場のセッティング、ビンゴの準備、シュリンプの解凍くらいだったのです。
当日、お料理生徒さんはたくさんの食材やお料理を持って到着。さらに「はい、これも」ときれいなお花を買ってきて下さいました。
早速、Fukuyaで買ったFiggjoのビンテージ花瓶にお花を入れると、「きれい!」と声が上がります。

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そこからお料理生徒さんはてきぱきと持参した料理を温めたり、容器に移していきます。そしてテーブルに並べている最中に、どんどん生徒さんたちが到着してきます。テーブルを見ると「わ~、すごいお料理ですね!!」と感動の声。はい、私も感動しました!!

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お料理生徒さんはノルウェーのレシピサイトを参考に作ってみたとのこと。
赤ビーツや紫キャベツも、もちろん自作。やはり自作のレバーパテがリンゴンベリージャムと一緒に魅惑的に鎮座しています。クッキーも手作り!

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会場の関係で参加人数は全部で9名でした。発音練習でお世話になっているJack先生も登場~。ビールを持参しています!

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スパークリングワインで「Skål!」と乾杯しました!皆さん、お料理を次々と取っていきます。
私は「主催者」という立場を忘れ、遠慮せずにお料理をお皿に並べます♪
お料理は「うう~」と感涙モノで、皆さんも「おいしい」とおっしゃって下さって「やっぱりお料理生徒さんすごい!」と安堵しました~。
Jackも「懐かしい味~」ととても喜んでいました!

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違うクラスの生徒さんたちは「初対面」の方が多いので、自己紹介をしていただきました。こちらの方は生徒さんのお友達で、ぷちとりにも参加して下さったいた方ですが、「ノルウェー愛」は無言でも伝わってきましたね~。「着ていく機会があって良かったです」とご本人の弁。思わず「どちらで買ったんですか?」と聞いちゃいました。

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ノルウェー語版の『アナと雪の女王』やノルウェー人がこよなく愛する『ピンチクリフグランプリ』(原題:Flåklypa)のDVDを流しました~。ノルウェーよりも「ノルウェー度が高いスポット」だったのでは??と思っちゃいましたね。

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途中、ビンゴゲームをやりました。ビンゴ役の司会は初めてです。数字は「まずノルウェー語、それから日本語」式で読みあげました。景品は袋に入れて、床に置き、ビンゴになった生徒さんから中身は見ないで持っていく方法です。最初にビンゴ!となったのはお料理生徒さん。ノルウェーミニ国旗や鉛筆をゲットされ喜んでいました!

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その後はなかなかビンゴが出なかったのですが・・・あ、そういえば「リーチ!」というルールはノルウェーではないそうです。Jackが「日本に来て初めて知った」と言ってました。さて公式ルールはいかに??

ノルウェーの絵本やCD、スープの素やキュッパグッズなどが景品だったのですが、とりあえず喜んでいただき良かったです!!

絵本をきっかけに部屋の本棚を皆さんにお見せし、特にイラストレーターの生徒さんは熱心に眺めています。Jackも「この本はとてもクラシックで・・・」とみんなに説明してくれました。なんて勉強熱心な忘年会なんでしょう~。

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Jackは最初にコーヒーを飲んでいたのですが、持参したビールも同時に飲むという不思議な飲み方を披露・・・そして段々、「一人北欧男子トーク」の様相になっていきました~。彼はスウェーデン人の友達が多いので「ノルウェー語では○○という単語があるけど、それをスウェーデン人に言ったらバカにされた」ってエピソードが出てくる出てくる・・・。生徒さんたちに自虐トークを展開していきます。困ったな~(でも爆笑してました!)

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時間はホントあっという間で、最後にセルフタイマーで集合写真を撮りました!
私がうろうろしたり、へまをやらかしていたのですが、生徒さんたちがフォローして下さり、テーブルの食器類もきれいにまとめて片付けやすくしてくれました・・・(涙)。
こんなに頼りのないセンセイですが、参加して下さったみなさま、お料理生徒さん、そしてJack、ありがとうございました!!
おいしいお料理を作れる生徒さんがいると、私でもできる「ホームパーティ式忘年会」。
他にも、FukuyaやStickaで買ったビンテージ食器をいくつか使用したのですが、これも皆さんの目を楽しませてくれるスグレモノ。
年末に勉強になりました~♪