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青木順子のブログです。
気ままに更新しますので宜しくお付き合いくださいね。

Blog~青木順子が綴る日々雑多なこと~

オスロとトラ

まだ猫ロス真っ最中です・・・。て事情を知らない人は分からないですよね。要するに猫がいなくなって引きずっていま~す。
そんな私を慰めてくれているのは、トラと少年の彫刻。「オスロ」というタイトルです。

どうしてトラがオスロなの?と不思議がっている人~~~。まだまだノルウェークイズ王にはなれませんね。
オスロ中央駅の階段下に、大きなトラの彫刻があるのはご存知ですか?たくさんの観光客が写真を撮っていますが「なぜここにトラが?」と理由を知っている人は少ないかも。
実は、オスロは「トラの町」=Tigerstadenと呼ばれているから、あの彫刻が置かれているのです。

オスロといえばトラ!

でもでも。なぜオスロがトラの町なのか?結びつかないですよね~。
あるノルウェー人留学生に「どうしてオスロはトラの町なのか知ってる?」と聞いたら「知らない」との返事でした。案外、知らない人が多いのかもしれませんね。

国語審議会(Språkrådet)のサイトに答えが書いてあります。
イプセンと並びノルウェーを代表する19世紀の作家・文化人のB.Bjørnsonビョルンソンが「クリスチャニア(当時のオスロの呼称)は見知らぬ者に対して、憎悪と冷淡さに満ちた町」と表現したそうです。
当時、職を求めて地方からたくさんの人々が首都に移住しました。ですが待っていたのは、劣悪な労働条件の工場や女中の仕事。冷酷な町で、搾取され血の涙を流した地方出身の労働者たちの歴史を鑑みると、なるほどね~と思っちゃいます(←その場にいたのか!とツッコミ入れたくなります・・・)。

オスロ中央駅前です

しかーし、そんな恐ろしい意味を持つ表現を、わざわざ彫刻にして外国人もたくさんやってくるオスロ中央駅に鎮座させているか??
今では「国際的でダイナミックな町」と肯定的な意味を持つようになったと解説しているサイトが散見されます。
まさに物は言いようですね。

・・・解説が長くなりました。この「オスロ」は、ノルウェー語レッスンを受講している川浦麻友美(かわうら・あゆみ)さんの作品です!「トロールの絵付け教室」の講師も務めて下さいました。
4月に前橋で川浦さんの2人展を見にいきまして、素朴さと静謐さ、あとちょっぴりユーモアも感じられる作品の数々を鑑賞しました。
ノルウェー好きには特にたまらないラインアップでしたね。

マリウス柄!

漁師!

ノルウェー民話のモチーフ

もうすぐノルウェーへファームステイに旅立つ川浦さん。
猫ロスを癒し、そして部屋にオスロを感じる彫刻をありがとうございます♪ Lykke til!

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ノルウェー語7月期募集がスタートしました! 
初心者はもちろん学習経験のある方も、既存クラスへの合流はご相談・お申込みください♪
詳細・お申し込みは以下のリンクをご参照くださいね。

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm

各回参加のセレクトレッスンのスケジュールは以下の通りです。
7/9(日)「超!ノルウェー語入門」簡単な挨拶・よく使うフレーズを学びます。
7/27(木)「ビジュアルで学ぶ初めてのノルウェー旅」ノルウェーの写真をタブレットPCでお見せしながら、使えるフレーズを学びます。
8/6(日)「ネイティブによる発音講座」アルファベットの発音から、日本人が特に苦手な単語や音をアーレン先生が丁寧に教えます。
こちらのリンクをご参照くださいね。

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursschedule.htm

皆さまのご応募をお待ちしていまーす!!!

2017/5/21

ドイツ人をうらやむ日本人 in ノルウェー

連休後半からイタリアとフランスへ旅行しました~。

ベニス!

イタリア語もフランス語もできないので、必然的に英語でのやり取りになったのですが、イタリア人とフランス人の英語が思いっきり「イタリア語・フランス語なまり」で面白かったです。って私も「日本語なまりの英語」なのでお互い様なのですが・・・。

ヴィトンが街を支配しつつあるパリ・・・

改めて「母国語と外国語の相関関係」について思いを巡らせました~。

ノルウェーの大学に長期短期4回留学しています。
いつも「クラスで一人だけのアジア人」という立場でした。
特に2回目以降の留学では、自分以外はみんな「欧米圏」からの留学生という環境。
どんなに鈍感でも感じます。「日本人、ノルウェー語マスターに不利じゃない?」と。

特にドイツ人留学生たちは「ノルウェー語の文法は簡単だし、似ている単語も多いよね」と余裕の表情でした。
オスロ大学のサマースクールで、ドイツ人留学生が「このテキストは簡単すぎるから変えて欲しい」と先生に訴えていたことを今でも覚えています。
え~~、こっちは必死で講義についていっているのに~~~。

ドイツ語もノルウェー語も大きな「ゲルマン語族」という言語グループに属しています。
さらに、ノルウェーでは大きな町であるベルゲンは、ドイツの「ハンザ商人」が長い間、独占的な立場にいました。
支配的なドイツ人との交流により、言葉にも変化が生まれます。ノルウェー語以外のスカンジナビアの言葉も、ドイツ語の影響をどんどん受けていきました。

ベルゲンのブリッゲン地区

例えば、kjælighet「愛」のように-hetで終わるノルウェー語の単語は多いのですが、これはドイツ語の接尾辞です。
(余談:ノルウェーのもう一つの公用語nynorskはドイツ語の影響を排除した言葉なので、-hetではなくkjærligleikを使います。スウェーデン語に見えますね~)
これ以外にもドイツ語の影響は多々ありますので、「ドイツ人、ノルウェー語が上手になるのが早っ!ずるい!」と、クラスの片隅でじーっと日本人(←ワタシ)はうらやむ結果となりました。

さて。日本語を勉強しているノルウェー人は、こう言います。「中国人や韓国人は日本語が上達するのが早い。自分は落ちこぼれだ」と。
そういう時には「わが同志、Min kamerat!」と互いに握手したい気持ちになりますよね~。
そして「あなたのノルウェー語は上手!」「あなたの日本語こそ上手!」と褒め合います。ああ~、日ノル友好♪

私も年を重ね、ドイツ人を羨ましいという気持ちはほぼなくなりました。それ以上に「母国語が学習言語に及ぼす影響」に興味がありますね~。
rの音がキツイよアメリカ人。
イントネーションが平坦になっているチェコ人。
フランス語っぽいよねフランス人。
sの音がドイツ語なまりになってるドイツ人。そして、
unnskyld「すみません」を多用する日本人・・・。

・・・とたまにはノルウェーや北欧以外の旅をすることによって、「ことば」について考えるのは楽しいです。

2017/5/14

報道ライブINsideOUTに出演しました

*本ブログはOAを見直さずに書いていることをご了承ください。

4/27にBS11の「報道ライブINsideOUT」に出演しました。
「幸せって何?」というタイトルで、幸福度ランキング世界1位に選ばれたノルウェーにスポットが当たりました!

テレビの生放送に出演など今後ないでしょうから、「思い出」を綴ってみましょう。

不安なまま当日を迎え、一緒に出演するノルウェー人のスティーグさんとテレビ局に入る前に、レストランで打ち合わせをしました。
スティーグさんはビールをオーダー。「ええ~~~!!」と思いましたが、ま、ノルウェー人にとってビールは水みたいなものなんだな、と納得します。
放送は20:59からですが、19時半頃に御茶ノ水にあるBS11へ。
「こちらへどうぞ」
まさか個人の楽屋があるなんて・・・呆然としました。事の重大さに。「こんな楽屋じゃいや!」なんていう芸能人や文化人がこの世に存在するなんて、アンビリーバブルです。

人生初の楽屋!

さらにメイク室へ案内されました。
「どの程度、メイクしますか?」との問いに、迷った挙句「テカらないようにお願いします」と答えました。ああ~~~、アホ丸出し。

本番の15分前に、プロデューサー、「幸福学」が専門の慶応大学の前野先生、スティーグさんと台本を見ながら、確認作業。
私が「ノルウェーは高福祉だけど高負担。でも高負担に不満に思っている人は少ない」と言ったら、前野先生が「高負担の国ほど幸福度が高い」と教えて下さり、ほーっと早くも勉強に。

一人には勿体ない楽屋

かなり本番ギリギリでスタジオへ移動します。毎朝、ラジオを聞いている別所哲也さんが近くにいるのは、不思議な感覚でしたね。

本番前!

私とスティーグさんは、最初のCM後からの登場だったので、外のモニターを観ながら待機します。

勉強と言えば・・・幸福度ランキングの順位付けの方法を誤解していたことを知りました。
「生活満足度を0-10で評価してください」と質問した回答の平均値をランク付けした「主観調査」だったとは!それに国連がGDPや健康などの「客観データ」をダブらせてグラフ化していたんですね~。いやいや、驚きでしたね。

さて、CMになってスタジオの中へ。「よろしくお願いしまーす!!」という声がたくさん響きます。
MCの中島さんから「ノルウェー語講師として20年のキャリアを持ち、ノルウェーに関する多数の著作を持つノルウェー夢ネット代表の青木順子さん」と紹介されました。加えて、横のテロップに「ノルウェーの素晴らしさを伝える活動をしている」と書いていただいたようで。
私自身もツッコミを入れたくなる失笑レベルの「底上げ紹介」。しかーし、そうした自虐は封印し「よろしくお願いします」と殊勝に頭を下げました。

笑え

スティーグさんは、日本語がちゃんと話せるか心配されていましたが、さすが在住38年。「人生満足尺度チェック」でも30点とハイスコア。
「ノルウェーに帰ると、自分がノルウェー人で良かったと感じる」というコメントにも説得力があります。

人生に満足なスティーグさん

おおむね台本通り進むのかと思いきや、突然、別所さんや中島さんから予想していない質問が飛ぶことがあり、ああ~~~ドキドキ。

油断タイム

ノルウェー人が前向きである証として「明日死にそうでも”元気”というのがノルウェー人」と言ってしまった記憶があります・・・。
スタッフの「CM入ります」というスケッチを見ては、机につっぷしてましたが、どうも一瞬、映ってしまったようですね~。
OA中のTwitterで「目が泳いでいる」「どこ見ているの」とコメントがありましたが、モニターと左横に出された「あと何分」スケッチを見ていました・・・。

緊張はしながらも、時間はどんどん過ぎていきます。
後半、前野先生の「しあわせはコントロールできる」の解説は横で聞きながら、興味深かったですね。

幸せの四つの因子

番組中のコメント通り、ホントに「ノルウェー人に当てはまる!」と思いました。
「ありがとう因子」は、まさにUnnskyld「すみません」よりTakk「ありがとう」を連発するノルウェー人。
「なんとかなる因子」は、締切ギリギリまでこちらをハラハラさせ、でもちゃんと本番には仕上げて、終わると「良かったね~」と笑っているノルウェー人。
スティーグさんは「日本人は働き方を変えないとダメ」と強調されてましたが、その通りです!

・・・あっという間に出演時間は終わり、スティーグさん、前野先生、私は「ありがとうございました~」とスタジオを後にします。そして無事に(?)番組は終わりました。
楽屋前で、別所さん、前野先生と混じって立ち話をちょこっと。
別所さん「僕も朝のラジオとこの番組があって、働きすぎなんですよね。」
前野先生「好きなことだとついつい働きすぎても、辛くない側面はあります。」
私はそこまでハードに働いていませんが、フリーランスゆえ「あ、今週は休みがなかった」ということもあります。

スティーグさんのように私も毎年、ノルウェーへ訪れます。感じることは「なんて健康的な暮らし!」これに尽きますかね。
16時には仕事を切り上げ、”Ut på tur, aldri sur“「散歩をすれば、気分も上々」と雨が降っても散歩をしているノルウェー人。

お散歩大好き

日本のように娯楽はないけれども、経済的余裕によってもたらされる「ゆとり」をあちこちで感じます。

自分には勿体なすぎる帰宅用タクシーに乗りながら「これでまた冥土の土産ができたな~」としみじみ。
放送日から2週間限定で、以下のURLから見逃し配信がご覧になれます(←小心者なので観てません・・・)。

https://www.youtube.com/watch?v=urlJNp2n9SQ&t=8s

そうそう。番組終了後、前野先生が「ノルウェーへ行ってみたいですね」とおっしゃって下さり嬉しかったですね。
まだまだ普通の日本人にとっては、遠い国ノルウェー。
番組をきっかけに、興味を持って下さる方が増えて欲しいなぁ~と思います。

2017/4/30

数字から見るノルウェー

ほとんどの人が意識にも上らない国、ノルウェー。
そんなノルウェーを説明する際に「統計の数字」は比較しやすいので役に立ちます。
ある仕事で、この手の基本的な数字をまとめることになりました。
「あ、ブログにも書けば、情報がシェアできるし一石二鳥!手抜きばんざーい」と思い、今から羅列します。
レイアウトも工夫してませんし、写真もなし。備忘録なので恐縮です~。
あとソースがノルウェー語サイトがメイン、他に日本語、英語もあります。そのあたりもご容赦を~。なるべく新しい統計の数字を拾いました(1NOK=14円で計算しています)。

面積…38.6万㎢ (日本とほぼ同じ)
人口…約520万人
平均寿命…女性84歳、男性80歳
女性の生涯出生率…1.71人
https://www.ssb.no/befolkning/nokkeltall/befolkning (2017年3月)

オスロの平均最低気温と最高気温
1月:-7°/-2°
7月:13/22°
http://reiseplaneten.no/reiseguider/oslo/klima.html

大学など高等教育修了者の割合…約32パーセント(男性:28.8%、女性35.6%、2015年)
https://www.ssb.no/utdanning/statistikker/utniv
学生ローン制度について:過去ブログ参照
http://norwayyumenet.noor.jp/2016/03/08/10007/

失業率…4.2% ((2017年3月、スウェーデンは7.4%)
https://www.ssb.no/akumnd 
国民一人あたりの総所得(GNI)…世界1位(2017年)103603USドル 日本は世界21位
http://www.worldatlas.com/articles/the-highest-incomes-in-the-world.html
政府年金基金…7兆5100億クローネ=約95兆円(2016年12月)、政府系投資ファンドとしての規模は世界最大。国民一人あたり約1800万円に相当。
石油や天然ガスの天然資源は「いつかはなくなるもの」。枯渇した時に備えるため基金が設立された。
https://www.nrk.no/norge/oljefondet-gikk-447-milliarder-i-pluss-1.13401634

男女平均月収…43300クローネ(2016年)約60万円
https://www.ssb.no/arbeid-og-lonn/statistikker/lonnansatt
日本語ソースによる平均年収は世界2位、約970万円
http://america-kabu.com/2015/11/24/wage-by-countries/

消費税…25%、食品・飲料は15%
https://www.altinn.no/no/Starte-og-drive-bedrift/Drive/Skatt-og-avgift/Innberetning-av-mva/Hvordan-beregnes-mva/
ビッグマック指数…世界2位(2017年)
http://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html

休暇…有給で年5週間を取る権利。60歳以上は1週間がプラスされる。
https://www.finansforbundet.no/rettigheter-og-arbeidsvilkar/ferie-og-feriepenger/
「高い給料より休みが欲しい」と答えたノルウェー人44パーセント。高賃金を選ぶ人は35パーセント。(2016年)
http://www.dn.no/nyheter/politikkSamfunn/2016/04/01/1801/foretrekker-mer-fritid-foran-hyere-lnn
ヒュッタ(セカンドハウス)…国民の55%がヒュッタを所有 (2008年)。デンマーク、スウェーデンに比べて所有率が高い。
https://www.regjeringen.no/globalassets/upload/krd/vedlegg/rega/fritidsboligfenomenet-i-norge—rapport.pdf

労働時間…37,5時間/週が法定労働時間。労使協定に基づく残業時間の上限は20時間/週、300時間/年
http://www.arbeidslivet.no/Arbeid1/Arbeidstid/Fakta-Regler-for-arbeidstid-i-Norge/
子どもの病欠休暇…片親ずつ年に10日。シングルマザー、ファザーの場合は20日。
有給の育児休暇…100%賃金で46週、80%賃金で56週、父親育児休暇は10週
https://www.nav.no/no/Person/Familie/Venter+du+barn/foreldrepenger–347653#chapter-3
10週またはそれ以上の父親育児休暇取得者の割合・・・70%(2015年)
https://www.ssb.no/befolkning/nokkeltall/likestilling

世界幸福度ランキング(国連)…世界1位(2017年)
http://www.csr-communicate.com/global/20170410/csr-31321
世界一暮らしやすい国(OECD)…世界1位(2017年)
https://www.businessinsider.jp/post-70
お母さんに優しい国ランキング(セーブ・ザ・チルドレン)…世界1位(2015年)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/press.php?d=1956
報道の自由度ランキング(NGO国境なき記者団)・・・世界3位(2016年)
http://ecodb.net/ranking/pfi.html

2017/4/19

あなたのノルウェー語が通じない理由は?

いつになく「ビジネス書」チックなタイトルに酔いしれています・・・。「超ニッチな分野でしぶとく生息する!」みたいなビジネス書の依頼、来ませんかね??

もとい、本題にいきましょう~。
ノルウェー語が通じない理由の原因に「声が小さいこと」と以前のブログに書きましたが、他に考えると、これがありました。

母音の長さが間違ってる!

うう~~ん、非学習者には全く響かない指摘。
幾つか例を挙げてみましょう。以下のノルウェー人の名前はどう発音しますか?

Ola
Kari
Nora

Gro

映画の字幕や、英語などの他言語から重訳されたテキストだとしばしば

Ola=オラ
Kari=カリ
Nora=ノラ
Gro=グロ

と表記されますが、「伸ばせ―!!!!」と叫びたくなる学習者。
オーラ、カーリ、ノーラ、グローの方が原音に近い発音です。Ola、Kari、Nora、Groといった母音を伸ばして発音しますね。

ノルウェー語の母音ですが切れててすみません

すごーく昔、日本語学習中のノルウェー人留学生に「”しゅじん”と”しゅじん”では意味が全く変わります」と言われ、絶妙な例に笑ってしまいました。
そうなんです、やっぱり伸ばすか伸ばさないかで意味が全く変わってしまうのは、日本語も一緒。
しかし、日本語は「あー」と表記したり、または「しゅじん」と””などを入れて「ここは伸ばします」と分かりやすいですね。

翻ってノルウェー語。
Kaféなどのéは、ごく一部の外来語にしか使いません。ちなみに「カフェー」と伸ばしますね。
他には「この音は伸ばしますよ」と明らかにわかる記号はありません。ではどうやって、Kaariと発音するのを見分けるのか。その答えは、拙著『ニューエクスプレスノルウェー語』に書いておりますので、お買い求めくださいね~。

・・・で終わっちゃいけないんですよね、きっと。
答えは「アクセントのある母音のあとの子音の数」です!(響かなーい!!)

いつも同じ例で恐縮ですが・・・aが母音です。

Ta  ター    母音で終わっている→長母音
Tak  ターク      母音+子音1つ→長母音
Takk タック        母音+子音2つ→短母音

似ている3つの単語ですが、このようなルールに基づいて、母音を伸ばしたり短く発音します(例外はあります!)。

短く発音する母音も要注意です。
「親切な」を意味するsnillという単語。留学初期の頃、通じないことが多くてどうしてかな~と思ってました。
きっと「スニール」とiの母音を伸ばしていたのかな~と推測。snillでは、iのあとに子音のlが2つ続くので、短く発音しないとダメです。

ということで、「伸ばすか、伸ばさないか」を正確にすると、通じる確率はUPします!お試しあれ~♪

2017/4/10

ノルウェー人の授業参観

日本とノルウェー。関わっている人が少ないので、その分、楽しい経験があります。

日本に留学していた頃に、ノルウェーについて学ぶサロンでゲスト講師を務めてくれたSynnøve Nyheim(シノーベ・ニーハイム)さん。「3月末から4月上旬に来日するので、ノルウェー夢ネットのレッスン風景を取材したい」と連絡があり、「おお~」とびっくりしました。サロンのレポートはこちらからどうぞ!
シノーベさんはノルウェー帰国後、私も勉強したノルウェーのHøgskulen i Volda=ヴォルダカレッジでジャーナリズムを専攻。その時に知り合ったパートナーのSondre(ソンドレ)さんと共に来日したのです。

シノーベ&ソンドレ

互いに日程調整をして、初めて開講する”Språkkafe”「ノルウェー語カフェ」のレッスン見学となりました。
ノルウェー語レッスン受講者の方々を対象にした各回参加スタイルのレッスンです。
会話、コミュニケーションに特化」が特徴で、初回のテーマは「旅で使えるノルウェー語」に決定~。
さてどんな内容にしよう・・・と猫に邪魔されながらの毎日、うーむと考えてました。

3/30の夜。約束通り、シノーベとソンドレさんが来てくれて、まずは”Takk for sist!“「この前はありがとね~」と挨拶。
レッスン前に、私が45分くらいのインタビューを受けました。
最初にノルウェーに行ったのいつ頃?どうしてノルウェーに興味をもったのか?
などなど質問された後は、ノルウェー語で「我、如何にしてノルウェー伝道師となったか」を語りました。
自分が話しすぎたせいか、あまりシノーベから質問はなかったのですが、「学生寮に住んでたの?」と聞かれましたね。
待ってました、とばかりに学生寮で体験したstudentfest(学生パーティ)がいかにクレージーだったかを力説しました。
帰国後、ノルウェー語の仕事と会社生活を兼業していた時期がありました。とうとう体調を崩して会社を辞めたエピソードには「でしょうね~」と納得するノルウェーチーム。

そろそろレッスンが始まる19時ちかくとなり、レッスンに申し込んでくださった3名がやって来ます。
「もしかしたらノルウェー人が来るかも」程度にしかお伝えしていなかったので、実際にノルウェー人2名を前にして生徒さんたちはやや緊張しながらも、大事なワードである・・・

Hyggelig!

「お会いできて嬉しいです」が言えたので、拍手~~。

Hyggelig!

慣れないインタビューだけでもいっぱいいっぱいだったのですが、さらに初めての”Språkkafe”「ノルウェー語カフェ」が続き、猫たちは隙あらば玄関ドアの外に出ようとしているので、平常心を保つのが大変でした・・・。

ちょこんと座っている猫ちゃん

テキストを使わないレッスンを目指したので、思いついたのが「タブレットPCの活用」です。
毎年、ノルウェーに行っては、たーくさんの写真を撮ってます。
旅行で想定されるシーン(ホテルのレセプション、コンビニ、スーパー、ショップ、公共交通機関)などの写真を見せながら、

「レセプションではまずなんと挨拶?どう切り出すか?」
「コンビニで店員に頼まないと買えない物は、どう伝えるか?」
「洋服の試着はどう切り出す?」
「このトラムが自分の目的地に行くかどうかは、どう確認する?」

などなど質問をして、皆さんがノルウェー語のセンテンスを考えていきます。
足りない部分や大事な単語、表現はホワイトボードに書き、覚えるように練習しました。さらに現地情報もちょこちょこ織り交ぜます。

そうそう!せっかく部屋にはノルウェー人がいるから、二人にも質問しました。例えば、SNUSと書かれた文字の写真の場面で、「SNUSってなに?」と聞き、ノルウェー語で答えてくれました。生徒さんたちはヒアリングに挑戦します!SNUSは、日本ではまず見かけないので、説明が難しい・・・。

途中、猫たちは部屋の中をぐるぐる歩いたり、走ったり、そしてノルウェーチームは写真を撮ったり・・・でもレッスンに集中!
そして「困った時のノルウェーワッフル」♪

ノルウェーワッフルを焼き始めたら、シノーベがとっても大きなbrunost(ブラウンチーズ)をお土産よ、とくれました~~~!!!
生徒さんたちにも、ノルウェーを代表するチョコレートKvikk Lunsjをくれて、みんなで声をそろえて

Tusen takk!

お互いに記念撮影などしながら、カオスなままインタビューとレッスンは終わりました~。

受講者の皆さんは「楽しかった」とおっしゃって下さり、安堵~。
最後の試練は・・・玄関ドアに出たがる猫をいかに室内に留めるか・・・ネコ先輩生徒さんが上手くあしらってくれてホッとします。

みんなが家を出た後、ボーゼンとしてしまいました。多分、目は虚ろだったと思います。
これからも、Språkkafeを少しずつでも続けていきたいですね~。
またノルウェーからの取材もVelkomenn!です。

2017/4/4

ノルウェー人とのコミュニケーション心得

3月になってから、赴任やワーホリでとうとうノルウェーへ渡航される生徒さんたちが増えて、模擬会話(私や他の生徒さんたちが偽ノルウェー人役)の練習が増えています。
それ以前から、ずーーーーーっと気になっている問題がありまして。
ノルウェー語がそこそこ話せる人でも、通じない理由の筆頭はこれじゃないかと。

声が小さい!

そうなんです、これなんです。惜しいですよ~。
日本人の声自体が元々、大きくないのか、さらにノルウェー語で弱気になっているせいもあり、声が小さめになってしまう。
すると、ノルウェー人が”Hæ?”と聞き返してくる。
それに怖気づいて、もっと声が小さくなって、ノルウェー語を使うのが嫌になってしまう。ノルウェー語を使わないと、上達は望めない・・・悪循環ですよね。

マイクを使うのも一案です

強調したいのは「ノルウェー語に自信がなければ、逆に大きな声で話した方がいい」ということ。

タクシー運転手は外国人。ノルウェー、特にオスロでは見慣れた風景です。
「この人の発音、ひ、ひどい・・」と感じるドライバーが中にはいますが、ノルウェー人とちゃんとコミュニケーションできている!横で驚くワタシ。
発音が悪くても臆することなく、大きな声でしゃべっているのが秘訣かな~と推測します。

ノルウェー語の自信を高めるためには「テンプレ会話」を想定することも手段の一つです。
初対面のノルウェー人との会話で、聞かれる質問はほぼ決まっています。そう、笑ってしまうくらいほぼ同じ質問・・・!
なので、自己紹介+想定問答集を完成させ、ノルウェーへ出発して欲しいですね~。

自己紹介のコツは大きな問題なので、また別の機会に書きたいと思いますが、取りあえず覚悟して欲しいのは・・・

Hvorfor? どうして?

で始まる質問=尋問の嵐に耐える心です!

ノルウェーはたくさんの国籍の移民や難民が暮らしているので、外国人は珍しくありません。
でも日本人はまだまだ珍種。しかも「ノルウェーに興味があって」などと言おうものならば、”Hvorfor?”を連発されますね~。
「こんなちっぽけなノルウェーなんて国に、どうして興味があるのか?」

きっかけはオーロラツアー!

私は正直、うんざりした時期がありました。延々と続く「どうしてノルウェーに留学してるの?勉強したいの?」尋問に。
やさぐれた頃には「同じ質問を1000回くらいされて、もう答えるのはうんざり」みたいに返しちゃったことがあるんですよね、ずいぶん前ですが。
やさぐれ感が伝わってしまい、マナーにうるさくないノルウェー人でも、不快に感じたようで、会話が止まりました。今なら言える、反省しています!
答える自分は同じでも、聞いてくる人は別の人です。なので、常にフレッシュな気持ちで、今では答えるようになりました。
そもそも聞いてもらえるだけ、幸せですよ。
興味がなければ、質問さえしてもらえないですからね。

Demokrati=民主主義をこよなく愛するノルウェー人。
そのせいでしょうか、何人かでの会話中に「で、君はどう思う?」と質問を振ってくれるのは・・・!
1対1の会話と違い、ノルウェー人の喧々諤々の会話に入っていくのは、しんどい時があります。
集中力が切れてボーっとしている時に、質問が飛んでくることが何度かありました。
自分が黙ってばかりだと周囲が気を遣って、質問が振られるということもあります。

自分の意見を持つ、発言する

ことが求められる社会かな、と感じますね。
それが慣れていない人は、ちょっと苦労するかもしれません。

うるさいバーでの会話は修行になります

2017/3/28

トロールの絵付け教室!

ノルウェー夢ネットの「セレクトレッスン」は、テーマ別に各回参加のスタイルのクラスです。
「超!ノルウェー語入門」と「ネイティブによる発音講座」は定番ですが、残りの1回はどうしようかな・・・と迷っていたのが昨年。
生徒さんたちに「どんなテーマがいいでしょうかね?」と相談したら、「ニットカフェ教室」が誕生しました。
そして、彫刻と酪農を専門にされ、毎週、群馬から通って下さっている川浦麻友美さんと雑談している時に、なぜか「トロールの絵付け教室」まで話がふくらんだんですよ~。
「可愛くないだの、お土産にもらっても困るとdisられるトロールを、あなた好みのものにしませんか?」
「ダーラナホースの絵付けに対抗しよう!!!」みたいに、きっと勝手に妄想話が発展したんです。

「トロールの絵付け教室をやりたいです」とサイト管理人に伝えたら「人が来ますか?」と懐疑的な反応。
やっぱり妄想話レベルかしら?と思いつつ、募集をかけてみたら・・・最終的に応募が予想以上にありました!

そして、3/18に「トロールの絵付け教室」が開講されました!

川浦さんがテラコッタでトロールの土台を用意し、4人の参加者がそれぞれに色を塗っていきます。
最初にノルウェーの絵本から、トロールがどんな風に描かれているかお見せしました。

3匹のやぎのがらがらどん』のオリジナルのノルウェー民話”De tre bukkene bruse“で描かれたトロールは、裸にパンツとサスペンダー。ワイルド系。

北欧絵本イベントでも紹介した虫歯トロール兄弟”Karius og Baktus”は、かなり人間に近く描かれています。

川浦さんは「人に教えるのは初めて」とのことでしたが「では下地を塗って行きましょう」と落ち着いた口調で、見本を示しながら塗って行きます。
「普段、絵を描くことはやってません」という方が多かったので、筆や色の選び方も、川浦さんが朴訥とアドバイスします。
きちんと下書きをする人もいれば、「先生、ここが描けないのでお願いします」と川浦さんに託す人もいて、作業の進め方がまちまちで面白かったですね。
雰囲気づくりに、ノルウェーのネットラジオをかけてみます。

「和風に描きたい」という声には「いいと思います」と川浦さん。
「マリウス柄のセーターに挑戦したい」という声にも「いいと思います」と川浦さん。
「緑に赤の組み合わせってダメでしょうか?」という声にも「いいと思います」と川浦さん。

普段のレッスンからわかってましたが、川浦さん、度量が広すぎます!
そもそもトロールは超自然的な生き物であり、想像力をどんどん広げられるオブジェなのだな~と悟りました。

マリウス柄は爪楊枝を使って描きます

ノルウェー国旗♪

と同時に、予定の90分ではとても足りない・・・ということも分かってきました。
最後に完成したトロールを並べて、ノルウェーワッフルをお出ししようと思っていましたが、帰宅を急がれている方がいるので、途中から焼き始めます。

部屋は、新聞紙と画材、トロール、受講者のみなさん、川浦さん、ネコたちとノルウェーワッフルとブラウンチーズ・・・どんどんカオス状態に!

15時半終了予定ですが、最終的には16時40分くらいまで、絵付けに時間がかかった方がいました。
作品を見ながら、川浦さんが「いいと思います」「ステキですね」とコメント。多弁ではない分、一言一言に重みが感じられます。
最後に皆さんに感想を伺ったところ、
「こんなに集中できると思っていなかった」「精神的・肉体的にも集中しすぎて手が震えてきました」など、トロールの絵付けにすごい集中されたことがわかりました。

左:川浦さん作品
右:和風トロール

川浦さんからは「皆さんがとても集中して作業してくれて良かったです。途中、集中が切れたらどうしようかと思ってました」とのこと。

さらにさらに。川浦さんが勤務されている東毛酪農のカマンベールチーズを、受講者みなさんにプレゼント!

私自身、このプレゼントは想定外だったので、お心遣いに感謝です~。
参加者のうち現在の生徒さんが3人、1人は5年前くらいに通ってくれていた方だったのですが、セレクトレッスンは時に「再会の場」でもあるので、嬉しいですね。

5月からノルウェーへファームステイに行かれる川浦さん。以前「農場をやりながら、彫刻をしたい」という夢を聞かせていただきました。
ノルウェーには、リンゴ農家兼国民的詩人のOlav H. Haugeがいましたから(以前のブログで書きました)、「ステキな夢!」と思います。
渡航費用を捻出するため、彫刻の展示会を開催されるそうです。

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Turning Point (川浦麻友美+佐野美里)
4/1-4/16
F-Ritz Art Center
群馬県前橋市敷島町240-28
URL:http://theplace1985.com/
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マリウス柄セーターの少年、他にも漁師や白くまなどノルウェーをモチーフにした彫刻が楽しめるそうです。どうぞ、川浦ワールドをご堪能ください♪

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来期のセレクトレッスンの予定です!
4/8(土)「超!ノルウェー語入門」残3
5/28(日)「メール・手紙の書き方」
6/10(土)「ネイティブによる発音講座」

内容詳細はこちらから! 各回参加なので、お気軽にお申込みください~♪
http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursschedule.htm

まだ日程は決まっていませんが、オスロ大学に正規留学中の方が、一時帰国を利用し、留学までのプロセス・体験談を語ってくれるセレクトレッスンを設ける予定です(6月)。決定次第、SNSなどでお知らせしますね。

2017/3/20

ノルウェー絵本トークショー@谷中ひるねこBOOKS

3/9(木)の夜。『うちってやっぱりなんかへん?』(トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)刊行記念トークショーを、谷中ひるねこBOOKSで行いました。

うちへんパネル!

2/16の発売から、2/19開催のイベント「北欧からの贈り物~絵本とわたし」、2/24からひるねこBOOKSでのパネル展がスタート!
パネル展の最終日前日のトークショーでは、『うちってやっぱりなんかへん?』の作者トーリル・コーヴェさんの絵本を4冊紹介しました。

ひるねこさんのこじんまりとした空間に、10人のお客さんが集まって下さいました~。
思えばパワポを使わないプレゼンは久しぶりでしたね。

簡単にトーリルさんのプロフィールを紹介してから、勝手に名づけた「トーリルさん3部作」の1冊目”Min bestemor strøk kongens skjorter「王様のシャツにアイロンをかけた私のおばあちゃん」(2000年)から紹介します。同作の短編アニメーションは1999年にアカデミー短編アニメーション部門にノミネートされています。

1905年ノルウェーは独立しました。国民投票で「王室を持つこと」を選択しますが、誰を王様に迎えるか?
デンマークのカール王子とマウド王妃が、ノルウェーのホーコン7世として迎えられるエピソードが虚実まじりながら描かれます。
「召使など存在しない」当時のノルウェー。王室一家の悩みは「自分たちでアイロンをかけられないこと」。そのせいで国民の前でとんでもない恥をかく羽目に。。。。

そこへ「アイロンをかける名手」のおばあちゃんが、王様のシャツにアイロンをかけることになりました。
シャツのアイロンがけでつながったおばあちゃんと王様。
しかし、第二次世界大戦でドイツがノルウェーを占領します。イギリスへ逃亡した国王一家はラジオでノルウェー国民に「ドイツへの抵抗」を呼びかけ、王様を愛するおばあちゃんは、まさに「アイロン」でドイツに抵抗します。おばあちゃんの意地悪な顔がたまらないですね~。
他にもごく普通の人々が占領に抵抗し、ドイツ兵は撤退。王様一家はノルウェーへ戻ってきます。

持参したスケッチブックに、実際のホーコン7世一家の写真をプリントアウトしたものを貼りました。イラストと実物のギャップは?? はい、ありましたね。
実際にご興味がある方はこちらから

「戦争もの」「占領もの」にカテゴリーされる本作は、史実とフィクションのさじ加減が巧みです。
トーリルさんが注ぐ初々しい王様とノルウェーへ深い愛情を感じつつ、普通の人々が行った抵抗運動がユーモラスに描かれている面白い絵本です!

2作目は”Den danske dikteren「デンマークの詩人」(2007年)は、アカデミー短編アニメーション賞を見事、受賞しました。
この作品は、あまりにも壮大な物語で、紹介するのは難しいと思いましたね。

ノルウェーの評論でも同じことが指摘されてますが「映像をここまで絵本化できるのか!」という驚きの作品です。
トークショーでは、ページごとに紹介しました。

20世紀初頭のコペンハーゲン。スランプに悩む若いデンマークの詩人、カスパー。
彼は敬愛するノルウェー人作家シグリ・ウンセット(Sigrid Undset)が、実はデンマーク人と知り、一気に親近感が増します。
ウンセットが住むノルウェーのリレハンメルへ訪れようとしますが、途中で長雨にあい、農家に泊めてもらいますが、長雨が続き、農家の娘インゲボルグに恋をします。
しかしインゲボルグには隣の農家の婚約者がいました。
インゲボルグは、ウンセットのノーベル文学賞受賞作”Kristin Lavrandsdatter”「クリスティン・ラヴランの娘」と重ね、婚約者を裏切り、恋の赴くままに進めば、悲惨な晩年が待っていると判断し、カスパーの求婚を断り、婚約者と結婚します。

「再会するまで、髪を切りません」とカスパーに告げるインゲボルグ。
傷心でウンセットを訪ねることもすっかり忘れたカスパーは、コペンハーゲンへ戻ります。インゲボルグは早くも結婚生活に後悔していましたが、夫は「運よく」死んでくれます(素晴らしいご都合主義!)。

さてカスパーとインゲボルグは、再会を果たせるのでしょうか??
偶然がもたらす奇跡・・・・自分がこの世にいることも、偶然の結果であることを思い知り、人生の深淵さに迫る作品です。

3部作のラストは『うちってやっぱりなんかへん?』”Moulton og meg”です。本作もアカデミー賞短編アニメーションにノミネートされました。


お客さんにもお話ししたのですが、関わり過ぎてしまい「客観的に読めない」事態になっていました・・・。
最初は訳文作りに苦労して、ひるねこさんに読んでもらったこと、トーリルさんから「物語の背景」を送ってもらい「そうだったのか!」と分かってから、訳文が自由に書けるようになった経緯をお話しました。

当日、ひるねこさんで本を買って下さった方が多かったのですが、ページごとに好きなイラストやテキスト、ノルウェー的な見どころを紹介しました。
主人公一家のおばあちゃんが「王様のシャツ・・・」のおばあちゃんに似ているので「よもや同一人物?」なのか「トーリルさんの描くおばあちゃんはパターン化されている」のかわかりません・・・。
すでに寄せられた感想も紹介しつつ、みなさんが自由に楽しんでくださいね~、とお願いしました。

建築家あるある?

私見では、トーリルさんの特徴は「アニメーションから絵本化」「ノルウェーへのこだわり」「ユーモアとビジュアルの美しさ」「深いテーマを軽妙に描く」かと思います。

最後にトーリルさんがイラストのみ担当している”Johannnes Jensen”「ヨハンネス・イェンセン」シリーズの1作目を紹介しました。

主人公はクロコダイルのヨハンネス・イェンセン。人と同じような家に住み、歯磨き後にフロスをしたり、税務署で働いているごく普通の暮らしを営んでいます。
でも彼は「ボクはみんなと違っている」という思いにさいなまれ、蝶ネクタイからネクタイに変えたり、しっぽが見えないように背中にグルグル巻きにして、外へ出ますが・・・。

「クロコダイルだから変わっていて当然」なのですが、本人の悩みは切実。
テーマでいえば『うちってやっぱりなんかへん?』の「わたし」と似ていますね。
ヨハンネス・イェンセンは、怪我で運ばれた緊急病院で、象のドクターと出会います。
ドクターは「自分の大きな耳はこんな風に役立っているよ」と諭し、ヨハンネス・イェンセンも「自分のしっぽも、役に立っているかも」と恥ずかしかったしっぽを前向きにとらえるようになります。

ちなみにシリーズのテキストは、ヘンリク・ホーヴラン(Henrik Hovland)というノルウェー人が書いています。
彼は木こりの教育を受けて、現在も広大な森を所有しているそうです。グアテマラの国連人権監視団や南米諸国の選挙管理人、イラクからの戦場レポーターを務めるなど異色の経歴を持っていて「こういうバッググランドの人が、こんな作品を作るんだ~」と、感慨深かったです。

トークショーの下調べでノルウェーの児童文学研究者が「ノルウェーや北欧の絵本はイギリスに比べて、テーマが先進的で読者年齢層にこだわらない」という指摘しているのを見つけて、大いに納得しました。
『うちってやっぱりなんかへん?』を始め、トーリルさんの絵本は子どもから大人まで楽しめるのでは?と想像します。

90分のトークショーは瞬く間に終わり、絵本の「スタンプ会」をやりました~♪
参加者の皆さまはもちろん、ひるねこBOOKSさんには感謝感謝です~~~。

2017/3/14

ノルウェー語4月期クラス募集中です!

私の後ろで、猫ちゃんがかまって姿勢で凝視しています。

いつキーボードに乗っかられるか緊張しながらもお伝えしたいことは・・・

ノルウェー語4月期クラス、絶賛、募集中でーす!!!

「初心者クラス」は土曜午前の枠で、待機者がいらっしゃいます。
他の曜日でも、お申し込みはもちろん大歓迎です!
嬉しいことに、学習を中断されて復帰したい方からも、複数、お申し込みがありました~。
様々な事情でノルウェー語を続けられない。ありますよね~。
でも、学び直しは可能です。私自身、ノルウェー語をきちんとやっていなかったブランク時期がありました。
たくさん読んで、話して、書いてをやり直し、そしてレッスンをして経験を積んで、以前よりもノルウェー人とのコミュニケーション力はUPしたような気がします。

経験・・・これは本当に大事だなと実感しています。
ノルウェー人との会話やメールなどでのやり取りを通じて「こういう風に伝えればいい、ダメ」と、テキストには載っていないルールを学んできました。
レッスンはノルウェーで出版されたテキストを使用しますが、
「実際は、こちらの単語を使うことが多いです」
「最近は、こういう表現の方がよく使われますね」
などと補足を加えるようにしています。

ノルウェー語テキスト例

「もっと話せるようになりたい」・・・受講者の方々に共通した願いです。
昨年から会話力に重点さらに置き、少人数クラスならではの利点を生かし、一人一人がノルウェー語で話したり、他の人に質問するように時間を設けています。
そうした会話タイムの時に皆さんから、よく出るセリフが・・・

「単語、忘れちゃいました。」

テキストで出てきた単語を、使えるレベルにまで持っていくのにはコツが必要です。これをお手伝いするのは、楽しいですよ!
最初の段階では、私がノルウェー人の設定で、お互いに自己紹介をする練習をします。
初対面のノルウェー人が質問する内容は「ほぼ一緒」なので、シミュレーション会話(時に妄想会話まで・・・)をやります。
段階が進むと、もっと幅広いテーマで、会話力を磨く練習をしています。

あとは、講師と受講者の距離が近いのも特徴ですね~。
例えば、受講者の方から「会話に特化したクラスが欲しい」とリクエストがありました。
そこで皆さんからリクエストを募り、”Språkkafé“(言葉のカフェ)をスタートすることにしました!
少人数、レベルは不問、毎回テーマを決めて各回募集をかける形式です。受講者に限定、気軽に参加してほしいので、料金はリーズナブルに設定しています。
1回目は「旅で使えるノルウェー語」にしました。
この日は、在ノルウェーの知人でもあるジャーナリストが取材に来てくれるようなので、さてどうなるのか・・・楽しみです!

気軽に参加ということでは、セレクトレッスンもお得です♪
各回参加で、テーマ別に選べます。
4/8(土)「超!ノルウェー語入門」(ブログ参照ください
5/28(日)「メール・手紙の書き方」
6/10(土)「ネイティブによる発音講座」
Facebook参照ください

アーレン先生の発音講座!

というスケジュールです。満席になることが多いので、お早めにお申し込みをお待ちしています!内容詳細・お申し込みは・・・
http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursschedule.htm

他にも、私とスケジュールを相談して決めて開講するプライベートレッスン、遠隔地の方や小さいお子さんがいらっしゃる方などにお勧めなスカイプレッスンがあります。
総合的なレッスンの詳細・お申込み・お問合せページはこちらをご参照ください~。

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm

さらにさらにアピールしたい点としては・・・
「ネットワーク作り」のお手伝いです。
ワーホリ、留学、赴任、移住の方は特にノルウェーとのコネクションを持つことが、とても大切です。
昨日、オスロへワーキングホリデーで出発された受講者の方がいました。
出発間際のレッスンでは、不動産の物件探しと内覧申込みのメール作成お手伝い、模擬就職面接の練習などなど。
他にも、在ノルウェーの知人とその方をつなぐお手伝いをしました。

元生徒さんと会ったオスロ大学の食堂

そうした元生徒さんたちと、ノルウェーへ旅行した時に会うことができることも楽しみです~。
ネットがこれだけ普及し、情報収集がたやすくなったとはいえ、まだまだノルウェーの情報は少ないですよね・・・。
私が持っているネットワークを活かして、どんどん皆さんがノルウェーで活躍していただければこんなに嬉しいことはありません~。

そうそう、受講動機がノルウェーに好きなアーティストがいる方がいます。
クリスマスカードや、メールでのやり取りの文章も一緒に考えたり・・・こうした作業も、少人数レッスンならでは実現できるのかな~と思います。

・・・ということで結論は・・・お申し込みをお待ちしています!

2017/3/8

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