気ままに更新しますので宜しくお付き合いくださいね。
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気ままに更新しますので宜しくお付き合いくださいね。
Blog~青木順子が綴る日々雑多なこと~
人と違うってノルウェーでも難しい?
「ノルウェーは個性重視の国だと思ったので、意外でしたね」
ノルウェー絵本『うちってやっぱりなんかへん?』(トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)の寄せられた感想で、これが目立ちました。
主人公「わたし」は、60年代のノルウェーの小さな町で「おしゃれすぎた」両親やインテリア、服などに悩み「普通の暮らし」に憧れています。
2/19開催のイベント「北欧からの贈り物~絵本とわたし~」で作者トーリル・コーヴェさんのビデオメッセージでも「目立ちたくなかった、周囲と溶け込みたかった」と小さな頃の心境を語っていました。
「他者との違いに寛容」なイメージのノルウェー。
しかし、ノルウェーの文学作品には「人と違うこと」に悩む登場人物が存在します。
『スプーンおばさん』のアルフ・プリョイセンと同時代に活躍した「ノルウェーのおばあちゃん」ことアンネ・カット・ベストリー(Anne-Cath.Vestly)。
“Aurola i Blokk Z“「Z棟のオーロラ」(1966年)シリーズでは、「家事育児をする学生パパ、外で働くママ」を持つヒロインのオーロラが、大人たちの偏見や心ない言葉に傷つく姿が描かれています。今でこそこうした夫婦もノルウェーではアリかな、と思いますが、60年代ではまだまだ専業主婦が当たり前でした。
『うちってやっぱりなんかへん?』の主人公「わたし」のお母さんは、建築家として働いていました。
お隣のお母さんは専業主婦。わたしは「いつも家にいてくれるなんていいな」と羨ましがっています。やはり60年代ですね。
現代ノルウェーを代表する国民的作家ラーシュ・ソービエ・クリステンセン(Lars Saabye Christensen)。
昨年、日本でも公開された映画「イエスタディ」の原作者です(オリジナルタイトルは”Beatles”)。
88年に出版した”Herman”「ハルマン」という小説では、小学生の主人公ハルマンの生活が描かれています。ここでもやっぱり「違っている」ことで傷つく子どもが登場するんですよね。
赤毛っていじめられちゃうんだ~とこの作品で驚きました。赤毛の女の子は、しょっちゅう髪の毛のことでいじめられます。
髪の毛つながりでいくと・・・主人公ハルマンは、段々、髪の毛が抜けていく原因不明の症状に陥ります。その過程で「いかに他の子どもと同じように見せるか」に腐心する両親と、そうした態度に傷つくハルマンの繊細な心情が描かれています。親は「良かれ」と思ってカツラを作ってあげますが、ハルマンの心は複雑です。
もっと現代の作品では「ノルウェーにもあるスクールカースト」が描かれています。
ブロンドできれいな女の子たちがクラスのトップ、メガネで地味な女の子はしょっちゅういじめられたり、からかわれている姿を学校生活を描いた”Kampen mot superbitchene“「スーパービッチたちとの闘い」(A. Sighild Solberg著、2014年)というヤングアダルト小説があります。
ブロンドでなければ、ロングヘアーでもない、しかもメガネのヒロインは「変わり者」の烙印を押されて、意地悪なブロンド女子軍団と立ち向かうストーリーですね。
・・・・とここまで紹介しましたが、いずれの作品も「自分や周囲に不満な主人公が、悩みながらも自分を受け入れ、そして次のステップに上がっていく」点が共通しています。
今までは本のお話しですが、ブログでもご紹介したノルウェーのテレビドラマ”SKAM”のシーズン3でも同じような展開が見られます。
同性愛の高校生Isak。男子高生に恋をしますが、同性愛である自分を否定し、かつ同性愛者であることが周囲にばれてしまうことに怯えます。
ですが”SKAM”では、予定調和を崩してくれました~。
様々な悩みに押しつぶされそうなIsakは、友達に男性に恋している事実をとうとう打ち明けるシーン。
相手の反応が不安になるIsakと視聴者。でも友達はケバブを食べながら、まるで好きな女の子の話を聞いているように会話を続けます。
このシーンは白眉でした!
働くママが珍しかった60年代から、友達が同性愛者であることに動揺しない2016年。
感慨深いです。
本人たちにとっては、切実な問題なことには変わりありませんが。
そうそう。トーリル・コーヴェさんがイラストを描いている”Johannes Jensen“「ヨハンネス・イェンセン」という絵本シリーズでは、税務職員のクロコダイルが「自分は人と違っている」と悩んでいます・・・。ツッコミどころ満載の絵本シリーズですが、ひるねこBOOKSさんでのトークショーでお話ししますね~。
同店では、3/10まで『うちってやっぱりなんかへん?』のパネル展を開催しています!
あと1週間、ぜひステキなビジュアルと、巨大パネルで楽しんでくださいね~♪
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ありがたいことに『うちってやっぱりなんかへん?』は、いろいろなブログで書いていただきました!
未読の方、ぜひご覧になってくださいね~。取り上げて下さったの皆さまには感謝を申し上げます♪
「北欧からの贈り物~絵本とわたし~」レポートです!
「2月になればトーキョーノーザンライツフェスティバル! 」がすっかり定着しました。渋谷で北欧映画を堪能できる1週間。今年は、なんとイベントを一緒に開催することができ、今でも余韻に浸っています!浸りすぎてブログでのご報告が遅れました・・・・。
イベント名は「北欧からの贈り物~絵本とわたし」。
2/16に発売となったノルウェー絵本『うちってやっぱりなんかへん?』 (トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)の表紙がチラシに大きく印刷されて、ひぁ~、すごいことになっている!と嬉しいやら恐縮するやら。光栄です!イベント当日の2/19(日)。会場は渋谷LOFT 9。いいお天気でテンションUP!
会場入り口には、すでに物販の準備を終えている谷中ひるねこBOOKSさん。
そしてステージには、今日のイベントのために偕成社さんが用意してくれた巨大パネルが鎮座しています!感動して爆笑しちゃいました。
登壇者の稲垣美晴さん、森百合子さんがやってきます。そして初めてお会いするイェンス・イェンセンさん。ノルウェー語で話しかけると「スウェーデン語が話せるんだ!」って・・・デンマーク人の頭には「ノルウェー語」は存在しないことがよっくわかりました。
お客さんたちが続々と入ってきて、食べ物の差し入れもいくつかいただきました~(常に貧乏アピールが効いたようです)。
司会の雨宮真由美さんが挨拶をして、イベントはスタート。
まず私が『うちってやっぱりなんかへん?』作者トーリル・コーヴェ(Torill Kove)さんについて、また他の作品『王様のシャツにアイロンをかけた私のおばあちゃん』や『デンマークの詩人』を紹介します。この2作品は未訳で、何人かの方から「翻訳出してください」とありがたいお言葉をいただきました~。
それから軽く『うちってやっぱりなんかへん?』の紹介と、トーリルさんの作品の特徴をまとめて終わりです。
今日の目玉である原作短編アニメーション”Me and My moulton”(トーリル・コーヴェ監督)を上映します。
何度もくすくすと笑いが起きました。3本足の椅子から何度もひっくり返る子どもたち、人口1万5千の町で、唯一口ひげを生やしているパパ。
トーリルさんの夫が音楽を担当していますが、ユーモラスだけどメランコリックなメロディーは、ほろ苦さをあわせもった映画にぴったり。
イラストレーターのナシエさんもイベントに来て下さったのですが「ラストで泣いちゃいました」とおっしゃってました。
絵本とはまた違った映画の魅力があるのは、よーーーーく知っていたので、たとえ1回でも上映できることができ感激です!
そして、トーリル・コーヴェさんからのビデオメッセージを流します。
”Me and Moluton”と絡めて、ご自分の家族について語ってくださいました。60年代のノルウェーの小さな町で、独特な美意識を持った建築家のご両親との暮らしは「幸せだったけど、目立ちたくなかった、周囲に溶け込みたかった」という葛藤がまさに、本作の「わたし」と重なっていますね。
作品でも何度も出てくる「パパの口ひげ」についても言及されていて苦笑・・・。「些細なこと」に子どもは敏感なんだよね、と小さかったころの自分を思い出します。
それからノルウェーの愛されキャラクター「キュッパ」の短編アニメーションが上映されました。キュッパ+ガチャピンムックコラボ編と合わせて4本も上映!キュッパのお茶目なダンスシーンではやはり笑いが起きてました~。
さてさてお待ちかねの「北欧絵本トーク」に突入!
各登壇者が「わたしのお気に入りの北欧絵本」を紹介していきました。表紙をスクリーンに映し、お話しするスタイルです。
私はクラシックから新作まで6作品を紹介。『3匹のやぎのがらがらどん』はノルウェー絵本とイラストを比較してお見せしました。トロールの描き方が違うんですよね。
虫歯トロールが悪さをする”Karius og Baktus“「カリウスとバクトゥス」を紹介したら、イェンスさんが「デンマークの話だと思ってた!」とびっくり発言。デンマーク人は「ノルウェー」という単語を知らないのでしょうか(涙)。
ノルウェー留学中にどれだけ励まされたか分からない『フィンランド語は猫の言葉』著者である稲垣美晴さん。
稲垣さんはご自身が翻訳された本22冊をご紹介されました。落ち着いた声で、順番に作品を紹介されていきますが、どんな作品だろう?と興味がそそられます。
『オーロラの雪』は読んでいましたが、同じ作者の『木の音をきく』も読んでみたい!と感じます。
森百合子さんは、彼女にしか紹介できない本を紹介して下さいました!
以前も見せていただいた『ぺち』。デンマークの人気者ラスムスくんを水木しげる先生が翻訳されていたとは、知らなかった人がほとんどでは?こちらをご参照ください。
イェンス・イェンセンさんは、子どものころに好きだったデンマーク絵本を2冊持って来てくれました。
デンマークを代表する絵本作家Ib Spang Olsen(イプ・スパング・オルセン)のOnkel Karfunkelシリーズです。こちらをご参照ください。
本イベントの立役者・雨宮さんが「参加型イベントにしましょう!」ということで、事前に「あなたの好きな北欧絵本は?」をハッシュタグをつけてTweetを呼びかけました。ムーミンが圧勝かな?と思いきや、たくさんのタイトルが集まって嬉しい悲鳴です。
こちらもスライドでお見せしましたが、「こんなにあったのね~」と感心しきり。
てんこ盛りすぎるプログラムですが「北欧絵本クイズ」を各登壇者から出しました。
最後まで勝ち残った人は2人しかいなかったのですが、2冊ずつ北欧絵本をプレゼント。おめでとうございまーす♪
また、北欧絵本を持参された方へ「いさわきちひろ美術館」の入場券をプレゼントする贈呈いたしました~。皆さんには前に出て頂き、絵本のプレゼンもお願いします。「稲垣美晴さんのファンでフィンランドへ留学した」「これから留学します」という方がいて、改めて本の持つ力を実感。感動的なシーンでした。
やんややんやでイベントは終了~。
特別コラボメニューカフェ(協力:アクアビットジャパン)や物販は続き、談笑する姿があちこちに。
『うちってやっぱりなんかへん?』を買ってくださった方が、「ノルウェー夢ネット特製スタンプを押してください!」と来て下さり、わ~~~!!と感涙ものです。
ただすごく押すのが下手なので「押してもらう」方式と「下手でもいいから押してください」方式を採用・・・。「わたしってやっぱりなんはへん?」と薄々わかってきました。
巨大パネルは人気者でしたよ~。撮影する人がたくさんいました!
とっても楽しいイベントになって嬉しかったです~。
昨秋からスタートしたイベント準備。
大変な企画を運営して下さったトーキョーノーザンライツフェスティバルの皆さま、Tusen takk!
他の関係者の皆さまに深く感謝です~。
せっかく字幕をつけてもらったので”Me and My Moulton“をもっと上映する機会があればいいなぁ~と願いつつ、お土産のデンマークヨーグルトを飲みながら会場を後にしました。
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『うちってやっぱりなんかへん?』刊行記念パネル展が、2/24~3/10まで谷中ひるねこBOOKSさんで開催されます!
美しいビジュアルをご堪能くださ~い。なお絵本をお買い上げの方には限定ポストカードをプレゼントします♪
私は時間があるときにスタンプ持参でお邪魔しますね~。谷中でノルウェー、北欧を感じませんか?
https://www.facebook.com/events/114818502358278/
ノルウェー絵本『うちってやっぱりなんかへん?』2/16発売です!
イベント情報が早くUPされたので、勘違いされている方がいますが・・・
『うちってやっぱりなんかへん?』(トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)は明日、発売です~。
トーリル・コーヴェ(Torill Kove)さんの映画・絵本ともに好きです。
カナダ在住ですが、ノルウェーへの深い愛情が垣間見られる作品群。一度見たら忘れられない作品ばかりですね。
『うちってやっぱりなんかへん?』のノルウェー語版を読んだ時「小さな時は”みんなと同じ”がどれだけ大事だったか」を思い出しました。
洋服、持ち物、髪型、家の中はもちろん、お母さんやお父さん。他の子の両親と比較しちゃってましたね。
絵本の本文中には言及がありませんが、舞台は1960年代のノルウェー。主人公は3人姉妹の真ん中の「わたし」(7歳)。
モダンな建築家の両親は「自分たちのセンスにあったもの」で部屋を飾り、娘たちの洋服を選びますが・・・どうも子どもが欲しいモノとは、ずれてしまっているような・・・?
お隣の「普通の一家」、特に友達のベネディクテとの対比で、物語は進みます。
60年代はこうだったんだな~と思いを馳せちゃいましたね。働いているお母さんの方が珍しかったんだ、と。
「わたし」が嫌がっていたパパのひげ。当時は珍しかったのでしょう。今は、皇太子だってひげを生やしてます。隔世の感ですね。
本書の原題は”Moulton og meg”「モールトンとわたし」です。モールトンって何のことかわかりますか?
日本語版の奥付に、ちょっとした説明がありますので、ぜひご参照くださいね。へ~、こういうものがあるんだと勉強になりました。
ノルウェー好きの皆さんには、ノルウェーが誇る国民的英雄ナンセンが「え?こんな登場の仕方で?」と驚くような姿で描かれていますのでお楽しみに。
ナンセンの犬の名前は、ノルウェー語がわかる方ならば「ああ!」と納得するハズです。
発売前に、献本を何人かの方にしたのですが「とても素敵な絵本なので、孫に買ってあげます」というご連絡を下さった方がいました。
「プレゼントしたくなる絵本」になってくれればいいな、と思っていたのでとても嬉しかったです!
ノルウェーの絵本作家グロー・ダーレさんが「私の絵本は、大人の女性同士がプレゼントに使っていることが多いみたい」と教えてくれたんですよね。
それを聞いて、「あ、すてき」と思ったんです。
絵本は子どもだけのものだけではなく、『うちってやっぱりなんかへん?』は大人の読者にも楽しんでいただけるのでは?と期待しています。
本書は、ノルウェーの長く暗い冬を経て、どんどん日が長くなる春から始まります。
そう、みんなの心がうきうきする季節!
ラストシーンは、葉が色づいてきた秋。3姉妹のうしろ姿から、様々な余韻が残ります。
トーリルさんの作品は、深いメッセージが奥ゆかしくちりばめられています。そう、どんな読み方も許されるのです。
ぜひ、お手に取っていただき、皆さんなりの読み方で楽しんで下さい♪
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『うちってやっぱりなんかへん?』の刊行を記念し、イベントがあります! イベントで絵本をお買い上げの方には限定特製カードをプレゼント!(数に限りがあります)
2/19(日)「北欧からの贈り物~絵本とわたし~」
トーキョーノーザンライツフェスティバル主催!
原作アニメーションやトーリル・コーヴェのビデオ・メッセージ、キュッパのアニメーション上映、北欧絵本トーク(稲垣美晴さん、森百合子さん、イェンス・イェンセンさん、青木順子)など盛りだくさんの内容です! 開催日が迫っていますのでお早めに前売り券をお求めください。
参照URL: http://tnlf.jp/event.html
2/24(金)~3/10(金)『うちってやっぱりなんかへん?』発売記念パネル展@谷中ひるねこBOOKS
ポップなビジュアルをぜひパネル展で堪能できる機会です。谷中ひるねこBOOKSは絵本・北欧・猫に関する本を特色とした居心地のいい本屋さんです!
参照URL:http://hirunekodou.seesaa.net/article/445853863.html?1485487456
3/9(木)『うちってやっぱりなんかへん?』刊行記念トークイベント
「ノルウェー絵本の魅力- オスカー監督トーリル・コーヴェの世界」@谷中ひるねこBOOKS
訳者青木順子によるトークイベントです。新刊のお話はもちろん、作者であり、世界的な短編アニメーション監督のトーリル・コーヴェのこと、そのほかノルウェーの絵本事情などを存分に語ります!サイン会あり。お土産付き。
参照URL:http://hirunekodou.seesaa.net/article/446356992.html
グレーテルのかまど「スプーンおばさんの”ワッフル”」余話
昨夜のNHK Eテレ「グレーテルのかまど」はご覧になられましたか?
OA中はドキドキでしたが、ちょっと振り返ってみます。
制作スタッフの皆さんが、拙宅に来られた時。
機材とスタッフの多さで、まずびっくりしました~。
皆さん、どんどん収録準備を進めていくので、私は正直「邪魔」。台所で、ワッフルのたねを作っています。
インタビューシーンの収録では、キーワードを紙に書きテーブルに置いていました。つい視線が下にいってしまいます。それがダメなんですよね~。
スタッフの皆さんは優しく「大丈夫ですよ」とおっしゃいますが「ああ~~~、私のせいで撮り直しが続く・・・」と焦りはつのります。これだから素人は・・・!
なので「テレビ映りは?顔テカッてない?」といったことは「二の次、三の次」。考えている余裕、なかったです!
そこから、編集されたインタビュー映像がOAで流れたとおりです・・・。は~~~~。
それから、アネッテさん、イーダさん、ラーシュさんのノルウェー人チームが合流。
聞けばラーシュさんは「ノルウェー帰国前日」とのこと。思いがけず「送別ワッフルパーティ」になりました。
ディレクターからの質問で、みんなのワッフルの思い出を聞いていると「へ~、そうなんだ」と横で聞きながら楽しかったです♪
ワッフルのレシピは無限。みんなとワッフルの思い出もさまざま。
ラーシュさんが「クジラを使ったワッフルレシピを見たことがある」と発言し、え??と驚きました。残念ながらカットされちゃいましたね。
あと嬉しかったのは、ディレクターが「せっかくだからノルウェー語でお話ししてもらいたいです」とおっしゃって下さったこと。
旅番組などでも、ノルウェー人が英語を話す場合が多いですよね。もったいない!あのワッフルパーティの部分は、映像翻訳もお手伝いしました。
OAを観て「カルダモンは北欧のお菓子に欠かせない」といった趣旨のシーンがありました。
アルフ・プリョイセンとともに、ノルウェーのラジオで人気者となったトールビョルン・アイナル(Thorbjørn Egner)。
彼の代表作に”Folk og røvere i Kardemomme by“「カルダモン町の人々と泥棒」というお話があるくらい身近な存在なんですよね。
番組で「カルダモンはパウダーではなくミルで挽いた方が香りがいい」とありましたが、私もパウダーは使いません。
ワッフルの材料を混ぜながら、カルダモンの粒を挽いていると、何ともいえないいい香りがただよってきます。ぜひ、お試しあれ!
おまけ。
瀬戸康史さんやキムラ緑子さんが集まるスタジオ収録には、参加しませんでした。
しかーし。図々しく、”Teskjekjerringa”「スプーンおばさん」のノルウェー語版に、瀬戸さんのサインをお願いしちゃいました~。
さすが第一線で活躍されている方の「人徳」を感じるサイン。「ヘンゼル」と書いてあるのがお茶目です~。
ノルウェー夢ネットでは、ノルウェー語レッスンで、ノルウェーワッフルをbrunost=ブラウンチーズと一緒にお出ししたり、また「ノルウェーについて学ぶサロン」で「ワッフルパーティ」を開催しています(サロンは次回未定です)。
また昨年は、谷中ひるねこBOOKSにて「ノルウェーワッフルを食べながらノルウェー絵本トークショー」もやってみました~。
ノルウェーワッフルも、ブラウンチーズも初めて!という方が多いので、楽しかったですね。
サロンの方は「ワッフルの回には絶対に来る常連さん」が存在します。
しみじみと「ノルウェーワッフルの引きの力」を感じますね。
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2/16発売のノルウェー絵本『うちってやっぱりなんかへん?』(トーリル・コーヴェ著、青木順子訳、偕成社)の紹介をサイトにUPしました!
関連イベントも掲載しましたので、ぜひお申し込みをお待ちしています♪
グレーテルのかまど「スプーンおばさんの”ワッフル”」放送!
「え?スプーンおばさんってノルウェーの作品なんですか?」
何度、聞かれたかわかりません・・・。日本ではNHKが放送したアニメーションでおなじみですよね。
”Teskjekerringa“『スプーンおばさん』は、ノルウェーの児童作家・シンガーAlf Prøysen(アルフ・プリョイセン)を国際的にメジャーにした作品と言われています。
NHK Eテレの「グレーテルのかまど」制作スタッフから「スプーンおばさんとノルウェーワッフルを取り上げるので、取材に協力してほしい」と連絡があったのは昨年でした。
おお!大好きなノルウェーワッフルとスプーンおばさんがセットでやってきた~と嬉しかったですね。しかも「グレーテルのかまど」。テンションUP!
「ノルウェーに関する情報は少ないです」と苦労されているスタッフの方々に「ノルウェー伝道師としてサポートせねば!」と使命感を(勝手に)感じて、改めて『スプーンおばさん』を読み直してみました。
強く感じたのは「ノルウェー民話とのつながり」です。
19世紀。ドイツのグリム兄弟のように、ノルウェーではAsbjørn og Moe(アースビョルンとモー)がノルウェーの各地を旅して、土地の人々が話す「お話」を聞き取り「ノルウェー民話」として本にしました。『3びきのやぎのがらがらどん』もその一つです。
民話には、たくさんのkjerringa=おばさんが登場します。kjerringaは、おばさん、既婚女性、妻といった意味があります。
日本語でも「おばさん」の使い方は要注意ですが、kjerringaも言い方次第では「このババア!」みたいなニュアンスになりますよ~。
ノルウェー民話で描かれるkjerringaは・・・・強い!たくましい!まさにノルウェー女性です。
ダンナと壮絶な喧嘩をするkjerringa。こんなイメージです。
スプーンおばさんは、そこまでバイオレンスなおばさんではありません。
でも、よーく読むと「強い」ですよね。スプーンくらいの大きさになっても、動物や子どもを助けるおばさん。人のいい旦那さんを、上手く言いくるめちゃうおばさん。硬軟あわせもった強さを感じます。
他に民話とのつながりを感じたのは「耳になじむお話」であることでしょうか。
そもそも民話は本で読むものではなく、おじいちゃん・おばあちゃん、お父さん・お母さんが子どもたちに聞かせた「耳で伝わったお話」です。「口承文学」ですね。
戦後、アルフ・プリョイセンはラジオで人気者になりました。
まだテレビがなかった時代、ラジオから流れてくる彼の面白いお話と楽しい音楽は、熱狂的に愛されました。
『スプーンおばさん』は、耳に心地よい「歌うような物語」だと感じます。実際、たくさんの歌が挿入されていますね~。
リサーチ中に気づいたのですが、ノルウェーのサイトで”Teskjekjerringa”の紹介には「ノルウェーではなく、まずスウェーデンで出版された」というフレーズが必ず入っているので笑っちゃいました。
スウェーデンでも人気!と強調したいのでしょうね。あと日本のアニメーション化も言及されてますよ。
あ~~~、ノルウェーワッフルへの愛を語るスペースがなくなってしまいました~。
「ノルウェーワッフルの魅力」というブログを以前、書きましたので、ぜひご一読ください!(今は骨折中でワッフルが焼けないのが悲しいです・・・)
ハート型のワッフルは、ノルウェーにどっぷりつかっている身としては、当たり前なんです。でも、初めての人は「可愛いですね~」と反応してくれるのが嬉しいですね。
http://norwayyumenet.noor.jp/2016/12/09/11844/
さらに、北欧ビンテージショップFukuyaの三田さんが、番組へ食器やワッフルアイロンを貸出された顛末をブログに書かれてます。
以前、三田さんのワッフルアイロンを見て「これ、絵になるしおいしく焼ける!」と思っていたんです。
普通の電気式マシーンにはない味わい。なので番組スタッフへ推薦しちゃいました~。
http://www.fuku-ya.jp/blog/2017/01/27/9479/
肝心の「グレーテルのかまど」放送情報はこちらから~。2/6(月)です!
http://www4.nhk.or.jp/kamado/x/2017-02-06/31/7814/1440401/
予告編を見ただけで具合が悪くなるほど小心者です。
参考映像の収録は拙宅だったのですが、不慣れかつ「収録ってこんなに大変なんだ!」と思うほど長い時間がかかりました。
運が良ければ、ちょっとだけインタビュー映像が流れるかと・・・。あとノルウェー人のアネッテさん、イーダさん、ラーシュさんも収録に参加してくれました、Takk!
放送をきっかけに、ノルウェーワッフルとスプーンおばさんへの興味が高まりますように♪
ノルウェー語会話レッスン~聞き上手と質問上手とは?~
「もっとノルウェー語のコミュニケーションに力を入れたクラスが欲しい」というリクエストが、生徒さんから寄せられました。
テキストを読んで新しい単語やイディオムを覚え、文法をマスターすることも大事ですが、ほとんどの方は「話せるようになりたい」と思っています。
“Språkkafé“をやってみようかな?と漠然と考えました。
Språk=言葉、kafé=カフェという意味です。英会話カフェが日本ではメジャーですよね。
それのノルウェー語版です。
現在、受講している生徒さんたちを対象にやってみよう! というわけで、レッスン中にいろいろとリクエストを聞き、構想を練ります。
少人数がいい、テーマを各回決めて欲しい(旅の会話、ノルウェー人との挨拶、自己紹介など)、テーマ別に募集をかけて欲しい、月1、2回ペースで平日夜と週末の日も設けるetc.
まだ計画中の段階です。
普段のレッスンでは、”Hvordan har du hatt i de siste?”「最近、どうですか?」と質問し、生徒さんたちは答えます。
その内容について、私がいろいろと質問をして会話の練習をしていました。
でも「他の生徒さんにも質問してもらおう!」と気づき、実践しています(←遅いですよね~)。
さてやってみると・・・「質問するって難しい!」と皆さん、おっしゃります。
確かに。まず相手の話した内容が理解する必要があります。
もちろん分からなければ、“Hva sa du?”(なんて言ったの?)と尋ねるのも練習になりますね。
ようやく相手の言ったことがわかり、質問を考える・・・大変です!
話せるようになる=会話ができるようになる・・・本当に難しいです。
自分がただうなずいているだけだと、話す力はつきません。
こちらからも質問やコメントなどをしないと「この人、本当に私の話していることわかっている?」と疑われてしまうことに・・・。
・・・って脅かすようなことを書いちゃいましたが、聞くポイントと質問するコツはあります。私も質問に加わり、会話のバリエーションを増やすようにしています。
ノルウェー人と会話すると「なんでノルウェー語を話すの?」のような”Hvorfor?”「どうして?」を使った質問が続きます。
あまりに聞かれると「尋問されている」気分になるほどです・・・。気づけば自分の話ばかりさせられている。ノルウェー人にも質問したい!
そういう時には、”Hva med deg?”「あなたはどうなの?」と返すのも手ですね。
まだ構想=妄想中の”Språkkafé“は、どうなるか?うまく成立させたいです~。
質問や答えを絞り出すように考えて、奮闘している生徒さんたちを見ると、こちらも文字通り踏ん張っちゃいます・・・。
ちょっとのコツを効果的に伝授できますように~。
ちょっとのひと手間ノルウェー語
ノルウェー語レッスンでは、毎回、いろいろなことに気が付きます。
例えば「ちょっとしたノルウェー語を加えると、ぐっと自然に聞こえる」ということ。
“Vil du ha kaffe?” 「コーヒー飲みたい?」
“Ja”.「はい。」
ちょっとこの一言を加えてみましょうかね~。
“Ja, takk!”「はい、ありがとう」
ノルウェー語を勉強したことがない人でも何となく知っているTakk(ありがとう)。
ノルウェー人偏愛ワードです。Ja,takk. Nei,takk「いいえ、結構です」まで、使いこなせるといいですね!
次の例にいきます。
”Jeg vil ha kaffe.”「私はコーヒーが欲しいです」
はい、これで意味は通じますよ。でも、この一言を添えてみましょうか。
“Jeg vil gjerne ha kaffe.” 「私はぜひコーヒーが欲しいです」
gjerneは便宜的に「ぜひ」と書きましたが、この単語は「丁寧さ」を表現してくれます。
なのでお願いする時、自分の希望を言いたい時に、プラスしたい単語ですね~。
次、行きます!
“Har du tid?” 「時間ある?」
”Nei.”「いいえ」
これで会話は成立しますが、ちょっと単語を足してみましょう。
“Nei, dessverre“. 「いいえ、残念ですが」
「残念ですが」=dessverreは、よく使いますね。この一言を付け加えると、ぶっきらぼうな感じが消えます。
会話はもちろん、メールで使う回数が多いかもしれません。
今までの例をみて「こんなの簡単じゃない?」と思われるかもしれません。
でも実際の会話、メールなどで使うとなると結構、抜けちゃうんです。
ノルウェー語レッスンで、生徒さんたちは頑張ってノルウェー語を話そうとしますが、意志・動作を伝えることに必死で「ちょっとのひと手間」は忘れがち・・・。
これは、もう訓練ですね。
何度も繰り返せば「反射神経」となり、自然と使えるようになります。
ここまででお腹いっぱい、という方も最後の例にお付き合いください。
“Vil du ha kaffe?” 「コーヒー欲しい?」
冒頭と同じ例文です。一語を足してみましょう。
”Vil du ha kaffe, kanskje?”「コーヒーが多分、欲しい?」
Kanskjeは「多分」という意味ですが、断定的な表現を和らげたい時に使える単語です。
このkanskjeを、ノルウェー語の歌うようなイントネーションでしり上がりに発音すると、自然なノルウェー語になりますね~。
いかがでしょう?
ほんの一言添えるだけで、よりニュアンスのある文章に変わっていきます。
上はごく一例です。
場面に応じて、単語をちょっと添えてみる。ノルウェー語レッスンでは、なるべく自然な会話に近づくお手伝いをしています♪
「超!ノルウェー語入門」はどんな感じ?
1/15に、今年初のセレクトレッスン「超!ノルウェー語入門」が無事に終了しました~。
というころで、昨日のレッスンの様子を振り返りたいと思いま~す。
セレクトレッスンの定員は原則5名です。
5名でも多いと感じるくらい、ノルウェー夢ネットのノルウェー語レッスンは「少人数」にこだわってます。受講者アンケートを見ても「少人数で良かった」と評価して下さる方が、多いですね(こちらのリンク先の下に「受講者の声」が載っています)。
昨日のレッスンは定員の5名の方が参加して下さいました。
まず軽く私の自己紹介をしました。「ノルウェー語を教え始めて今年で20年です」と言ったら反応がありました~(どんな?)。
そうなんです。1997年くらいからレッスンを始めたので・・・我ながら驚きです!
さらに、「これだけ長く関わっていると、ネットワークが財産です」と言いました。
留学やノルウェーに移住された元生徒さんたちやノルウェー人とつながっていると、これからノルウェーへ留学や移住される方を紹介したり、または私から問いあわせて、質問したり・・・とできる範囲でお手伝いできるかな、と。
これだけネットが当たり前になっても、ノルウェーの情報は少ないです。なので、些細なことでも「リアルな」話はそれなりに価値があるかな?と日々、実感していますね。
そして、皆さんの受講動機を聞いているうちに、早くも情報共有がされていくのを感じます。
受講者の中に、おととい、ノルウェーから帰国したばかりの方がいました。
しかもかなりレアな場所に行かれたようで、受講者だけでなく私も「え?そうなんですか~」と笑って驚いて数々のエピソードを拝聴しちゃいましたね。
セレクトレッスンのテキストは、私が作っています。
90分で、ノルウェー語でまずは知ってほしい単語やフレーズを集中的に学びます。
アルファベットの発音を最初にやってしまうと、それでイヤになっちゃう場合が多々あるので、初対面の「あいさつ」から読んでいきます。
ノルウェーのことをほぼ知らない、行ったことがない受講者の方々と接すると、私の方が「あ、そういうものなのね」と気づくことがあります。
ノルウェー歴はムダに長いので「当たり前のことが新鮮」に受け止めて下さるので、勉強になりますね~。
ノルウェー人は会話中にうなずきません。こんな些細なことでもお伝えすると、「そうなんですか?」と驚かれるので「ノルウェー伝道師」冥利に尽きます!
また、「この言葉を使えば好感度UP」な単語/フレーズは、必ず強調します。
ちょっとしたことを知っているか・知らないかで印象は変わりますから、大事ですよ~。
他にも、旅行や滞在にはマストな数字も少し読みました。
昨日のレッスンは、無事、アルファベットの発音で仮死状態になる方がいなくてほっとしま~す。
レッスン終了後はクリスマスにノルウェーへ行かれた方から、差し入れでいただいたKVIKK LUNSJのチョコレートをつまみながら、おしゃべりを楽しみました。
ノルウェーのチョコレートを食べるのは初めてという方が多かったので、これも「体験」ですよね。
帰国したばかりの方は「すごく寒かった!!看板が全く読めなくて、ノルウェー語の文字を見るだけで吐き気がするほどイヤだった!!」と自己紹介でおっしゃられていたので、内心「マズイ・・・」と焦ったのですが・・・ただ、受講後には「しくみがわかってきて、良かったです」とおっしゃって下さったので、安心しました!
(ハングルのような文字ならば最初から読もうと思わないけど、アルファベットなのに読めないのが余計にストレスだったとお聞きし、一つ学びました~。)
ノルウェー語を学びたいという方は、まだまだ少ないです。なので、お申込みして集まった方たちはそれだけで「同士」という感がありますね。
90分のレッスンを通じて「ノルウェー語ってどんな感じ?ノルウェーはどんな国?」を知っていただくことが目的です。
このレッスンの時も「旅行でオススメの時期は?」などいろいろと質問が出たので、わかる限りでお答えしました~。
各回参加と気軽に参加できるセレクトレッスン。
2007年の開講時にはなかったのですが、やってみて良かった~と毎回、思います。
ご参加下さった皆さま、ありがとうございました!
3/2「ネイティブによる発音練習」と3/18「トロールの絵付け教室」は、それぞれ残2です。
ぜひお申し込みをお待ちしていま~す♪ こちらをご参照くださいね。
温かいランチ~それはスウェーデンへの憧れから始まった?~
2017年のブログ始めが遅れました。
Twitterでうざったいくらいアピールしているのですが、左手首を骨折してしまい、かなーり、生活に支障をきたしています~。
気を取り直して、積読状態だった本を少しずつ読み始めていますが・・・(合間に「骨折」キーワードでネットサーフィン)。
昨年、ノルウェーの書店から買った”Den Norske Folkesjela“(「ノルウェー国民の魂」)は、その1冊です。著者のPer Egil Heggeは、Aftenposten紙で「ノルウェー語コーナー」をずっと担当しているノルウェー語エキスパート。記事などで見つけたノルウェー語のミスなどをユーモラスに指摘する「ノルウェー語ご意見番」的存在です。
17.mai, brunost, lutefisk, grilldress, vinmonopolet….などなど、ノルウェーやノルウェー人を理解する上で大切なキーワードが、2-3ページのコラムで、Perさんならではの解説がされています。
Brødskiveの項目を読んでいた時、新たな発見があったので、取り上げますね。
このBrødskiveって単語は、ノルウェー語レッスンのテキストに出てくる際に、ちょっと説明に時間がかかります。Brød=パン、skive=スライスという意味ですが、「スライスパン」よりも、smørbrød=オープンサンドの方をイメージして下さい。パンの上にpålegg=トッピングを載せるものですね。
Brødskiveと並んで、説明に苦労するのがmatpakkeという単語。mat=食べ物、pakke=包み、からなる合成語です。
smørbrødを紙にくるんだり、ランチボックスに入れるのがmatpakkeです。写真をご参照ください。昨年9月、オスロの小学校を訪問した際に、子どもが持っていたmatpakkeを撮らせてもらいました。このmatpakkeは、ノルウェー人のランチ定番なのですが。
と、ここまでの前知識を入れてから、Brødskiveの項目で「お?」となった箇所を書きますね。
1990年代、ノルウェーのスウェーデン大使を務めたKjellさんは退任する際「解決できなかった残念な問題はありますか?」というインタビューに対し、このように答えたそうです。
「私は、ノルウェーに住むスウェーデン人たちに、温かいランチが食べられるよう助けられなかった。」
varm lunsj=温かいランチ。
何かと似ている北欧諸国ですが、スウェーデンにあってノルウェーにないもの。それが「温かいランチ」だったんですね。
前述のスウェーデン大使在任中は、スウェーデンからノルウェーへ労働移民が増えていた時期。スウェーデン同志たちが、ノルウェーへやっていてmatpakkeに代表されるkald lunsj=冷たいランチに耐えていたのが、大使にとっては無念だったのでしょう。くくく・・・・
ノルウェー人は常にスウェーデンに憧れています。90年代~2000年代にかけて、「ノルウェーにもvarm lunsjを!」運動が盛り上がったんですよね。
私は留学中、やはりmatpakkeを持参していましたが、「これじゃお腹いっぱいにならなーい」といつも思ってました。
ましてや、ノルウェーの中学生や高校生たち。彼らはmatpakkeだけでは足らん!と、休み時間に近くでポテトチップスやピザなど「ジャンクフード」を買い食いしていたのです。
「子どもたちがジャンクフードばかり食べているのはマズイ!」と大人は焦り、今では学校のkantine=食堂で、温かいランチが提供されるところが増えています。
社会人はどうでしょう?特に大きな企業やそこそこの規模の会社では、やはり自前のkantineが備わっている場合が増えていますね。
昨年9月にオスロ大学のkantine=食堂に行った際、「昔とえらい違い~」と感心したのは「電子レンジの存在」です。
日本はオーブンよりも電子レンジの国、ノルウェーは電子レンジよりもオーブンの国ですが、どんどんかの国における電子レンジ所有率は高まっていますね。
電子レンジがあるということは「ノルウェー人は食べ物を温めることを知った」証です!
・・・・という状況で、みなが温かいランチへ流れるかと思いきや、matpakkeにはこんな効用もあったんです。再び本から引用してみましょう。
「matpakkeのおかげで、ノルウェーは他のヨーロッパ諸国に比べて、短いランチ休憩で間に合った。約20分もあれば十分。その結果、より早く帰宅することができ、余暇を得ることができたのである。」
確かに!! ランチに時間をかけるよりも、とっとと済ませて、とっとと帰る。その方がノルウェー人のメンタリティーに合っている気がします。
昨年、オスロを訪れた際、NORLA(ノルウェー文学普及協会)のオフィスを訪ねました。ちょうどお昼時になったのですが、みなさん、matpakkeを片手に集まってきます。
私もその時、matpakkeを持参していたので、一緒にランチを楽しみました。おいしいフルーツが置かれていて、出張に行っていたスタッフがお土産を配ったりと短いながらも楽しいランチでしたね。この時は私がいたので、少し長めのランチ休憩だったかと。30分でしょうか?
3年ほど前に、温かいランチを効率的に消化しているノルウェー人を見かけました。
アジア系の食べ物をトラムで食べていたこの人。周りは全然、無関心で「車内マナーのありかた」など些末なことにはとらわれないノルウェー人魂を見た、と感慨深かったです。
varm lunsjかkald lunsjか。スウェーデンに憧れながら、ライフスタイルが変化する好例でしょう。
2月イベント情報~北欧からの贈り物 絵本とわたし~(Updateしました!)
とりあえず、2017年2月19日(日) は空けておいてください!
(翌週の26日も空けて下さると嬉しいです~。北欧ぷちとりっぷ開催!)
何も言わず、チケットを買ってくださいね~。テロップはこちらです!
・・・なんて「殿様商法」は通じないので、来年の2月19日になぜ「万難を排し、渋谷に行かなくてはいけないのか」説明をいたしましょう。
ノルウェーをはじめ北欧を愛する皆さまは、「トーキョーノーザンライツフェスティバル」(TNLF)の名前を聞いただけで「あ~、また渋谷が北欧になる季節!」と感慨深いでしょう。来年はどんな北欧映画に出遭えるのか楽しみですよね。
映画祭とともに、TNLF主催のイベントがあるのですが、来年は不肖・青木がイベントの1つに関わることになりました~!!
で、それが2/19なんです。
イベント情報は、TNLFのFacebookできれいにまとめて下さっていmるので、大部分を借用いたしま~す(おい!)。
イベント名:北欧からの贈り物~絵本とわたし~
日時:2017年2月19日(日) OPEN12:00 / START 13:00 (CLOSE16:30)
場所:LOFT9 Shibuya (ユーロスペース1階です)
チケット:前売券1,500円(ドリンク代別途) 当日券2,000円(ドリンク代別途)
*2017年1月7日10:00より イープラスにて前売券販売開始!
*本イベントは大人向けの内容となります。中学生以上は有料となりますこと、ご了承ください。
ノルウェー出身のアニメーション作家トーリル・コーヴェ(Torill Kove)。
米アカデミー賞の短編アニメーション部門に全作品がノミネートされ、TNLF2011で上映した『デンマークの詩人』は見事オスカーに輝きました。そのコーヴェ監督の最新作『わたしとモールトン自転車』が絵本になり、日本でも 『うちって やっぱり なんかへん?』 (偕成社、青木順子訳)のタイトルで出版が決定!
TNLF2017ではアニメーション上映と共に、北欧の絵本の魅力を堪能するイベントを開催します!ノルウェーの愛されキャラクター・キュッパも登場しますよ~。
★短編アニメーション『わたしとモールトン自転車』上映
★トーリル・コーヴェ監督ビデオメッセージ上映
★ノルウェーの人気者!キュッパのアニメーション上映
★「うちって やっぱり なんかへん?」翻訳の青木順子のトークショー⇒作品解説やトーリルさんの他作品を紹介します!
★ゲストによる絵本愛あふれるトークセッション
☆スペシャルゲスト☆
稲垣美晴さん(猫の言葉社代表)
森百合子さん(北欧Book主宰) (さらに…)
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