歩く、歩く、歩く!

ノルウェー語レッスンのテキストは、ノルウェーで出版されたものを使用しています。
読者は「ノルウェーに何らかの事情で住むことになった人」を想定して作られているので、「ノルウェー人のライフスタイル」が内容に反映されています。それを読みながら、読者に「マネしてね」という意図があるのかな~と想像しています。

テキストをめくってみましょう。
読んでいて気づくのは、「余暇時間の過ごし方」についての会話の多さ!
実際、ノルウェー人の労働時間は短く余暇時間は長いので、おのずと「週末は何をする?」「帰宅後は何をする?」といった会話が多いことに基づいているのでしょう。

初心者用に読んでいるテキストでは、さまざまな国の登場人物がとあるノルウェーの街に住んでいる設定ですが、セリフがいちいち「ノルウェー人っぽい!」とウケてます。
例えば、
「私たちは散歩をするのが好きです。家に座っているばかりは好きではありません。」

この「家に座ってばかり」という行為は、大半のノルウェー人が「良心の呵責を覚える」(!!)ほどネガティブな響きがあります。
なので、仕事帰りや週末になると、散歩やトレッキングをするノルウェー人はたくさん!雨でも散歩しちゃうのが、ノルウェー人です。
テキスト内には、「ノルウェー人と余暇時間の過ごし方」という統計が紹介されています、1位は納得の「散歩」です!(2007/2008年)

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そして、テキストには「外に出ること」を奨励することわざも紹介されています。

Ut på tur, aldri sur. (ウートゥ ポー トゥール アルドリ スール)

日本語にしにくいのですが、「散歩に出れば、不機嫌にはならないよ」といった意味ですね。

小さい時から歩く!

小さい時から歩く!

たしかに首都オスロでも、中心地を15分くらい移動すれば、森や湖、海、ちょっとした丘など散歩など盛りだくさん!
東京にいる時はそんなに歩かない私でも、ノルウェーではついつい歩いてしまいます・・・純粋に楽しいですね~。
ということで、ノルウェーに住んでいる・旅行で行く人には、「歩くこと」をオススメします♪

散歩ではなく、例えばどこかに行きたいとしましょう。
ノルウェー人に「どうやって行けばいい?」と尋ねると、「あ、こんなの30分くらい歩ければ行けるよ」とさらっと答えが返ってくるのですが・・・。
30分で到着できた記憶がな~い!!
足の長さのハンディがあるとはいえ、「このくらいだったら歩く距離感」が日本人とノルウェー人はかなり違う気がします。

オペラ座も歩けます

オペラ座も歩けます

ノルウェー人ではなくても、向こうに住んでいる日本人の友達も、距離感がノルウェー人化していて笑いました。
「あそこまですぐだから歩こう」と言われて、一緒に歩くと結構な距離だったことは数知れず・・・。
まるで「ノルウェー人あるある」ですね~。
「一緒に散歩しよう」と言われて、普通の靴でついて行った時も「ワイルドな山道の散歩」で靴がダメになったこともあります。
うん、これも「ノルウェー人あるある」です!

残念ながら東京に帰ってくると、歩くことが少なくなってしまいます。
ただ「1日ずっと家にいる」と、なんか落ち着かないですね~。
なので、たとえ近所でも、たとえちょっとした距離でも毎日、外には出るようにしています。

にしても、ノルウェーにいると歩ける距離が長くなるのがフシギ・・・。
言葉が日本語からノルウェー語にスイッチするように、行動様式も「ぷちノルウェー人」になっているのかも?
次の渡ノルが楽しみです♪

騙されるノルウェー人男女~ネットデート詐欺~

たまに生徒さんから「ノルウェーにも振り込め詐欺ってあるのですか?」と聞かれることがあります。
過去に1度くらい、その手の犯罪の記事を読んだような・・・ただ日本のように大きな社会問題にはなっていません。
それよりもより深刻なのは「ネットデート詐欺」なのかもしれない・・・とNRK(ノルウェー国営放送)のドキュメンタリー番組を観て感じました。
ドキュメンタリーシリーズ「Doku.sommer」でOAされた「LoveHurts.com」という番組です。

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ノルウェーの地方の男性に深刻な「結婚難」があるという事実は知っていました。その解決策として外国の女性とネットで知り合い、結婚に至る例はたくさんあります。
ただNRKの番組で取り上げられていたのは、「外国人に騙されるノルウェー人男女」の姿でした。

西ノルウェーの田舎に住む独身の50代男性。彼は熱心に「ウクライナ女性を紹介するサイト」を見ています。ネットに紹介されているウクライナ女性は正直「ケバい」です。派手なメイクにかなりセクシーな姿態をこれ見よがしにアピール。日本だったら「アダルトサイト?」と勘違いするレベルです。
ですがこの男性は「一緒にノルウェーで暮らしてくれるパートナー」を見つけるために、この手のサイトを活用しています。そして気に入った女性とメールのやり取りをするのですが、相手からのメールを開く度に1000円近く課金されるのです!でも当然、彼女からのメールを読みたいので、どんどんお金を費やしていく羽目に。

そして、ようやく彼がウクライナに旅立って彼女と会える手筈となりました。
彼女に会うために、男性は美容院で髪を整え、空港のメンズショップで「これからデートがあるからいい洋服を選んでほしい・・・」と方言丸出しで店員に頼み、そして彼女からリクエストされた「Chanelの香水」をTax Freeで購入。その時「シャネル」ではなく「チャネル」と発音するところに悲哀を感じました・・・。

さてウクライナに到着します。
待っているのは彼女ではなく、彼女の元へ案内するというドライバー。彼らもお金を要求します。そして彼女との会話をするための通訳も付くということで、その料金もあらかじめカードから引き落とされていました。通訳と電話でやり取りをしますが、テレビ局の取材が一緒だと知ると、たとえ彼女の姿は映さなくても「会いたくない」と断られました。結局、彼は通訳としか話ができずにそのままノルウェーへ帰ります。カードの引き落とし金額はどれくらいになるのだろう?と想像しました。

NRKの報道によると、ウクライナには分かっているだけでも30くらいの「ネットデートサイト」が存在しています。
さらにプロフィール写真の女性たちの8割は、既婚者やサクラなどの偽物とのこと。
ネットで男性からメールが来ると英語でやり取りをしますが、その代筆は英文学科の学生たちがバイトで行っていました。
1人で何人もの代筆をこなし、特に女性がきわどいセクシーショットを投稿するとどっとメールが増えるので、「本当に西欧の男性って単純よね」と呆れたようにコメントしている姿が印象的でした。

これはもう一大ビジネスなんだな~と感心していると、もっとニッチな業者が存在しました。
「ウクライナ女性に高額なプレゼントをあげて騙されたと知った被害者のために、そのプレゼントを取り返す業者」です。
番組ではD&Gの高価なダイヤの指輪をあげた男性が、その業者を通じて、取り返した様子が映っていました。う~ん、なんかもうこの業者もグルで、ビジネスモデルが完結しているのでは?と疑っちゃいます。

さて騙される男性だけではなく、女性もいることも、番組では紹介しています。
国際的な出会い系サイトで、あるノルウェー人女性は、自称「スコットランド人男性」に「君のためにノルウェーへ移住する」と熱烈なメールをたくさんもらいます。
会うこともないまま男性に恋するノルウェー人女性。しかしその男性は「こん睡状態になって莫大な医療費が必要になった」とか他にもいろいろな理由をつけて、送金を何度も要求。とうとう女性は預金ゼロとなり、借金するまで追い詰められてしまいます・・・。

こうした犯罪の被害者は、警察に届ける人が少ないそうです。またノルウェーではこの種の犯罪を担当する捜査官は1人しかいません。
昨年、173人の被害者から電話相談があったそうですが、これはほんの氷山の一角で、推定7万人のノルウェー人男女が被害にあっているのでは?とのことでした。海外へ送金されたお金も、莫大であろうと推定されています。行きつく先は・・・知るのがコワイですね。

前述のウクライナのネットデート業者によると、騙される側の国籍の多くはアメリカ、イギリス、ノルウェーだそうです。
大国と並んでランクインってちっとも嬉しくないですよね~。

この番組ではウクライナを紹介していましたが、ウクライナだけではなく東欧諸国には同じような業者があるそうです。
そういえば、ノルウェー連続大量テロ実行犯ブレイヴィークは、ベラルーシの女性と同じように出会い系サイトで知り合い、ベラルーシにまで行ったエピソードを思い出しました。幸いに(!)彼女はサクラではなく、ブレイヴィークの傲慢な態度などに嫌気がさして交際を断ったようですが・・・・。

フツーが難しい

フツーが難しい

需要のあるところに供給あり。この種の詐欺商法は、完全にはなくならないでしょうね。
「孤独」や「欲望」という心の隙間をついてくるビジネスですから・・・。

ノルウェーの食文化を知って「食の祭典」に参加しよう♪

ノルウェーの伝統食とは、ローカル食である」という定義が、このブログで参考にした「Norge」という百科事典に載っていました。
14世紀からデンマークに支配されたノルウェー。ごく一部の上流階級はコペンハーゲンやパリと同じような食事を口にし、その他大勢の「普通のノルウェー人」は、それぞれの地方で捕れたものを
活用してきました。

耕地が少なく、長い冬のノルウェーでは「いかに食を保存するか」との闘いでした。
冷蔵庫のない時代、塩漬け、乾燥、燻製などといった手段が用いられ、それは現在の食にも影響を及ぼしています。
かつて新鮮な魚は夏、肉は屠殺時期にしか食べられない「ぜいたく品」でした。
そう思うと、鮮魚や鮮肉に対して、見る目が変わりますね・・・。

幸いなことにノルウェーは水産物に恵まれてきました。
ニシンは「ノルウェーの銀」(det norske sølv)とも称されるほど西ノルウェーでは、価値があったそうです。
まさに「金のなる木」ノルウェー版ですね!
北ノルウェーではタラが同じような地位を占め、乾燥ダラは貴重な食材かつ南欧などへ輸出されました。
今やノルウェーおよび北欧のソウルフードのじゃがいもは、19世紀に南米からやってきます。
「ニシンとじゃがいも」の組み合わせが日常食となりました。

Photo:Innovation Norway

photo:Innovation Norway

ところで、ノルウェー=サーモンというイメージが強いですよね~。
今のノルウェーサーモンはほぼ養殖ですが、昔は海や川で捕れる魚でした(もちろん今でも捕れますが・・・)。
このサーモンをいかに保存するか?
19世紀には「スモークサーモン」という形で実を結びます。

スモークサーモンの中でも特に高級なイメージなのが「グラーブラクス」と呼ばれるものです。食べたことはありますか?
通常のスモークサーモンより塩分控えめで、粗塩、砂糖、コニャックを加え、2~3日冷蔵します。
戦後、マッタ王妃は、グラーブラクスを晩餐会のメニューに加え、特製のはちみつソースを作らせたそうです。
う~ん、食べてみたい!!

photo by Innavation Norway

photo:Innovation Norway

自然からの恵みでは、ベリーもまた大切なものでした。
保存もきき、栄養価も高いと重宝され、とりわけリンゴンベリークラウドベリーが昔から今でも愛されています。
お肉とリンゴンベリージャムの組み合わせは、誰が考えたのでしょう?? 知ってしまうとやみつきになりますよね♪

Photo: Innovation Norway

photo:Innovation Norway

食文化を読んでいると、ビールについての記述に割いているページが長くて、ちょっと意外な感がします。
アメリカの文化人類学者曰く「パンの発見よりビールの醸造の方が早かった」そうですが、ぶどうが栽培できないノルウェー・北欧ではワインではなくビールこそが日常的な飲み物でした。
北欧神話の神々が信仰されていた時代から、ビールは単なる飲み物の粋を超え、「儀式的なもの」の象徴になります。
結婚式では、ビールをたらふく飲む習慣。
英語のbridal(花嫁、新婚)という単語の語源は、brudeølです。
brud=花嫁、øl=ビール=「花嫁/結婚式のビール」ですね!

Photo by Innovation Norway

photo:Innovation Norway

・・・・といった豆知識があると、ノルウェー旅行中、現地の食事に興味は増しますよね~。

オスロのベイエリア、アーケルブリッゲや市庁舎前で、Matstreif「食の祭典」が開催されています。
ノルウェー最大の食イベントということで、200以上のテントが全国各地から集結!
私が留学していた頃から、この場所で食べ物や飲み物のテントが並んでいました。ともかくテンションUPしたことを覚えています。

今では9月初旬の「人気イベント」となり、テントではローカル食、エコロジー食、ベリー、そしてクラフトビールやジュースなどのテントが並びます。
5月にオスロへ訪れた森百合子さん夫妻に聞いたら、「ノルウェーのクラフトビールがすごい!」と教えてくれました。現地でしか味わえない逸品に出会えるかも?と期待大です!
他にも、コンテストや作家が登壇したり、人気レストランとコラボして特別メニューを作ったり・・・。オスロにいながら、ノルウェー各地の食と飲み物を体感できます!

Photo: Innovation Norway

photo:Innovation Norway

この「食の祭典」を体験できるのが、「ノルウェー案内人 青木順子さんと行く食の祭典と雑貨&カフェめぐり・オスロ6日間」です!(主催:フィンツアー
ツアーを9/9出発にしたのは、「食の祭典」に参加するために合わせました。
もちろん、テントをただ周るだけでも楽しいと思いますが、ちょっとノルウェー人に質問したい!これは何?と聞いてみたいですよね。
そんな時は私を活用して下さい!ノルウェー語で質問したり、また私も「ここ食べましょう!」「これ飲んでみましょう!」と(老婆心まるだしで)アドバイスしちゃいます。

外食は高くつくノルウェー。この「食の祭典」を上手に利用して、リーズナブルにバラエティーに富んだ食や飲み物を満喫しちゃいましょう♪

ツアー詳細は・・・
ツアーチラシ⇒http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norwaytour/norwaytour2015.pdf
お申し込みはフィンツアーHPより⇒http://www.nordic.co.jp/tour/fp0300/

お申し込みをお待ちしていま~す!!

北欧のアニキ=スウェーデン人がノルウェー人を変える?

「ノルウェーバカ一代」を自称していますが、スウェーデンやデンマークなど「スカンジナビア」についてはノルウェー人やノルウェーのメディアを通じて、フツーの人よりは知識・雑学があるかと思います。
日本では「北欧」とひとくくりにされますが、実際に北欧各国の人柄は、な~んとなく違うな・・・と感じてました。もちろん、とても似ている点の方が多いのですが。

さて、ここ数年、ノルウェー、特にオスロへ仕事を求めて移住してくるスウェーデン人が増えています。
なんで、「北欧のアニキ」がノルウェーへ?と疑問に感じられる方も多いでしょう。
あまり日本では知られていませんが、スウェーデンは意外と失業率が高いのです(スウェ=8.9%、ノルウェー=3.7%)。特に若い人たちの失業率はもっと高いそうな。ですので、言葉がほぼ通じるノルウェーへちょっと「出稼ぎ」感覚なんですよね~。

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言葉も風習も似ているスウェーデン人。
ノルウェーで簡単に仕事ができていいなぁ~、と思っていたら、実は「カルチャーショック」を感じるスウェーデン人がいる!という記事を発見しました(Aftenposten紙、3月7日)。むむ~??
オスロビジネスカレッジの准教授、ギリアンさんがノルウェー人とスウェーデン人の「違い」を指摘していますので、引用します。

スウェーデン人は、ちょっとしたおしゃべりや礼儀を持ってまずは「良好な人間関係」を築こうとするのに対し、ノルウェー人はそれらを省略して問題の核心を話したがる。

ノルウェー人にとって「良いサービス」=「迅速なサービス」。何でも早くやっちゃおう!のノリ。一方、スウェーデン人は共有する価値観を築くためにプロセス重視。話し方や振る舞いに注意を払う。

スウェーデン人は「みんなが賛成する文化」。全員の意見が拝聴され、結論を出すまで時間がかかる。ノルウェー人は結論は迅速に下され、決定するのは上司でもOK。

どうですか??
ノルウェー人との付き合いが長いので、私もすぐに単刀直入に話そうとする傾向があります(特にノルウェー人相手の場合)。「で、結論は?」と言いたくなる。ま、まずい!!
メールは時候の挨拶など一切抜きで、本題を書かないと読んでもらえないという強迫観念があります。きゃ、感染しちゃってます・・・。

・・・そしてギリアン准教授は違いを指摘した上で、こんな前向きな予測をします。

「スウェーデンは未だ経済が芳しくないので、ノルウェーへ移住するケースが増えるでしょう。たくさんのスウェーデン人がノルウェーの労働市場に入ってくることにより、ノルウェー人はもっと野心やモチベーションを持つようになるでしょう。」

なるほど~。優秀な競争相手ができれば変わる!ということですね。

同じビジネスカレッジの教授トルガルさんも同意しています。

スウェーデン人はサービス能力も高く、よく働きます。彼らの影響を受けてノルウェーの若者たちの仕事に対するモラルも向上するでしょう。」

なるほど~。スウェーデン人をお手本にして、ノルウェー人の労働意欲やモラルをUPさせる計画ですね。優秀な労働力を確保しつつ、ノルウェー人のお手本にもなってもらおう、と。一石二鳥です。

日本でも「ダイバーシティ」=「多様性」を取り入れようと考えている企業が増えているようですが、国籍や性別を問わずいろいろな人が働くことは、いい結果をもたらすようですね。少なくともノルウェーの場合は。

あとは、スウェーデンの景気が回復して、あっさりノルウェーを見捨てないよう遠く離れた国から祈るばかりです~。

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・・・・ということで、改めてノルウェーとノルウェー人について知りたい方に朗報です!
3/28(土)開講の「ノルウェーについて学ぶサロン」では、「2時間で体感!ノルウェーとノルウェー人~青木順子とオーラのトークセッション」をやっちゃいます。
ノルウェービギナーからディープな方まで楽しめる盛りだくさんの内容は・・・2時間でおさまらないかも・・・と焦るほど。
基本データ、平均的な1日、年間行事、オーラのオススメ観光スポット、ノルウェー語にトライ、ノルウェー人あるある・・・などたくさんの写真&ノルウェーの高校生たちが
撮ってくれたユニークなビデオを流す予定です♪
新会場で心機一転のサロンに参加して、ノルウェージャンマイルを貯めませんか?ご応募お待ちしていま~す♪

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/kouzaannai2015/kouzaannai2015.htm

さらに4月開講の「ノルウェー語レッスン初心者コース」ですが、平日昼間&16時の枠で待機中の方がいます!平日の方がご都合がいい方、ぜひご応募をお待ちしています♪

http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm

素敵な 年の重ね方~アウドさんの場合~

「ノルウェー人は仲良くなるのに時間はかかるけれども、友達になるととても親切だよ」。
その言葉通りなのが、もう20年近くのおつき合いになるアウドさんです。
アウド・ランボーさんの著書『男女平等の本』で翻訳と来日講演の通訳に関わったことがきっかけで知り合ったのですが、まさかこんなに長いお付き合いになるとは思ってませんでした。

アウドさんの家は、rekkehus(レッケフース)と呼ばれるテラスハウス。いつもノルウェーに行くときは、居候させてもらっています。

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オスロの中心地からバスで20分くらいですが、前には大きな公園と湖があり、とても静か。鳥のさえずりで目が覚めるなんて・・・至福です!

アウドさんの一日は、規則正しいです。
朝。いい香りのコーヒーを飲みながら、たくさんの新聞をリビングで読んでいます。
私が起きてくると、「この記事は面白いから読んでみて」と勧めてきます。本音で意見を言ってくれるので、多くのことを学ぶことができたなぁっと。

いつも見習いたいな~と思っている点はたくさんあるのですが・・・例えば。
台所の棚には、ぴしっとアイロンがかかったランチョンマットや、たくさんのきれいなふきんが常備されています。
向こうの家では珍しく食洗機がないのですが、洗い物もマメ。夜寝る前に使ったグラスやカップは、ちゃんと洗ってから気が済まないようですね。
新聞や本、クッション、全てのものは「あるべき場所」におさめられています。

料理上手なアウドさんのお蔭で、ノルウェーのさまざまな家庭料理をご馳走になりました。
初夏に居候した時、旬のサバ(makrell)をさばいて、軽く小麦粉をまぶして焼いただけの一品は・・・おいしかった!

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器用にサバをおろしながら、「魚をさばく」のはrenseという単語なのね、と会話しながら教わりました。

アウドさんは「好奇心旺盛」です。
とりわけジェンダーの問題に関心を持たれていますが、ノルウェーだけではなく海外事例もたくさんの読書で知識を重ねている姿は・・・尊敬の一言です。
さらに、「読書会」に参加され、同じ本を読み意見を活発に交わしているさまを以前、拝見しました。みんな元気です!

読書会

他にも「コーラスグループ」に参加し、男性女性、いろいろな年齢層で様々な仕事の人たちと交流しています。

コーラスグループ

「もうずっと新しい服は買ってない」と出かける前に口癖のように言っていますが・・・。
白いブラウスや紺のドレスワンピースなどベーシックな服を、きれいに着こなされています。
私がいいな~と思っているのは、出かける前に、昔風なやり方で髪の毛にカールを付ける習慣でしょうか?
80歳を過ぎても、きれいなヘアスタイルやペティキュアなどを忘れない姿にも・・・尊敬の一言です!

150平方メートルもの家を一人で維持し、身の回りのことをこなされているのは大変だろうな、と想像します。掃除、洗濯、アイロン掛け、庭仕事などなどキリがないですよね・・・。
そこはノルウェー人。底知れぬ基礎体力と精神力!を感じます。
アウドさんの暮らしぶりはつつましく、贅沢ではないですが、でも豊かな暮らしだな、と憧れています。
「働かなくてもお金がもらえるなんて幸せ!」と年金生活を満喫。老後に年金がもらるの?と心配な日本人からすれば、夢のようですね~。
もちろん、アウドさんは何十年も教師として働いた「ご褒美」として年金をもらっているのですが・・・。

でもこんなに長くお付き合いが続いているのは、お互い「ユーモアのセンス」が似ているのも多いかな?のも一因かもしれません。アウドさんは社会意識が高くて真面目な人ですが、「ユーモアが大事」が口癖です。

たくさんの心に残る言葉がありますが、特にお気に入りは・・・
「女性が生きやすい社会は、男性にとっても生きやすい社会です。」
本当にそう思います。

偶然からできたご縁ですが、いつまでも大切にしたいですね~。
(写真嫌いなので、アウドさんの写真は載せませんでした。見つかったら怒られそうなので・・)