「言葉の壁」って?

「言葉の壁」という表現は、よく聞きますが、後に続く文章はネガティブなものになります。
例えば、
難民の就職 道険し 認定まで働けず 言葉も壁に」(朝日新聞2016年6月6日)

という見出しを見て、改めて考えちゃいました。「言葉の壁ってなんだろう?」と。

今はさすがにノルウェー人との会話は、自分が知らない専門分野を除けば、大体はできます。
でも最初に留学した当初は「言葉の壁」にぶち当たり続けましたね~。流血していました!

最初の留学時の学生寮です

最初の留学時の学生寮です

みんなの会話の輪。
理解しようとしても、分からない。でもノルウェー人は、こういう時は気を使って「。。。で、Junkoはどう思う?」などと意見を求めてくるんですよ~~!!
それに答えられないのは、本当にツラかったし、自分でも情けなかったです。「ああ、言葉ができたらどんなにいいだろう」って。
体や心は大人なのに、言語能力は幼児並み。赤ちゃんのように泣きなかったです!
その時の原体験が、半ば執念のようになって「ノルウェー人が言っていることを理解してみせる!」という勉強の動機になったと思います。

クイズ大会が盛り上がる謎のバー

クイズ大会が盛り上がる謎のバー

以前も書いたかもしれませんが、「3か月もすれば分かるようになる」とはいきませんでした。
少しは進歩しつつも、単純な会話に終始し、すでにノルウェー語ができるクラスメートが羨ましかったのを覚えています。
ノルウェー語の先生から、「たとえあなたがいろいろな知識を持っていても、それを伝える言葉ができないとそれは伝わらない」と言われた時は、沁みましたね。
そっか、言葉って思っていた以上に大きな力を持っているのだ、と。

8か月くらい経ってから、ようやくノルウェー語を使ってコミュニケーションできる楽しみを感じ始めました。遅ーい!
そうなると、使いたくて使いたくて・・・今でも生徒さんに「ノルウェーで英語を話すなんてもったいない!」とケチくらいことを言ってしまいます。

ただ「言葉がわかればすべてが解決」とは思えないですね。
教科書に出てくるような単語や文章だけで、人は暮らしていないし、その国の国民性や文化・歴史・風俗などを学ばないと、相変わらず「壁」は存在し続けるでしょう。
・・・なんて書くと大げさですが、例えば「ノルウェー人は電報のように短いメールでOK。むしろ長いと嫌がられる」というルールを知っているだけで、メールの書き方は変わってきます。

オスロ大日本語学科の学生たち

オスロ大日本語学科の学生たち

さらに私はノルウェーと関わってもうあまりに長いので、「当たり前」と思っていたことがノルウェー語クラスの生徒さんたちには「そうなんですか~」と驚かれることがありますね。
「ノルウェーはカード社会なので、むしろ現金が使えない場合があるんですよ」「え~、そうなんですか?」
「子持ちの学生や犬を連れてきている学生がいましたね。」「え~、そうなんですか??」
「ノルウェーでナンパはまずないです。」「え~~、そうなんですか???」

・・・と皆さんが驚くことに驚く、といった次第です。こういう「些末なこと」が案外、生徒さんたちは(ノルウェー語の文法より)覚えているのかもしれませんね~。

今では、未知の専門分野の話題を除けば、大体はノルウェー人とコミュニケーションできます。
でも油断大敵。ノルウェー人との会話で「え?何それ?」とフリースすることもありますし・・・
未だにノルウェー人の思考回路や行動に「え??そうなるの~」と呆然とすることもしばしば・・・

ここで食べる?

ここで食べる?

「壁」を乗り越えるのは容易じゃないです。
自分でもまだまだ「壁」を乗り越えている途中、と感じています。
ただ知識は「ゼロ」ではないので、乗り越え過程は楽しいですね。また生徒さんたちが「壁をよじ登る」お手伝いをできるのは、もっと楽しいです!

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単語トラップ!~ノルウェー語編~

ノルウェー語講師をやって来年で20年・・・・ひー!と本人が悲鳴を上げたくなります。
レッスンは自分にとっても、勉強になるな~と感謝しています。

いろいろな教訓があります。
例えば、ある単語の意味を1つだけ覚えてしまうのは「とても危険」だと感じること。

ノルウェー語には、slå(シュロー)「殴る」という単語があります。
しかし、後ろに他の単語をくっつけるといろいろなイディオムに変化しちゃうんです。

slå på TV 「テレビをつける」
slå av TV 「テレビを消す」
slå opp en bok 「本を開く」
slå seg ned 「住み着く、~に落ち着く」
slå opp med~「~と別れる」(恋愛関係)

テレビをつける

テレビをつける

正直、語学テキストなどを読んでいるとslåを辞書で引くと一番最初に出てくる「殴る」の意味は、ほぼ出てきたことないかもしれません・・・。
この「殴る」という意味を日本で考えると、いくら他の単語とくっつけてもこんなには変化するでしょうか?
ただ「受験英語」とは異なり、日本に「受験ノルウェー語」はないので「へ~、こんな意味もあるんだ!」とノーテンキさで乗り切ることをお勧めします!

日本語と比較して、「え?こうなるの?」と不思議な単語に出くわすこともあります。
例えば、stå(ストー)は「立つ」という意味だけ覚えてしまうと、「意味がわからない~」というシチュエーションがしばしば。
”Det står i avisen”という文章。avisen=「新聞」ですが「新聞に立っている」??正解は「新聞に書いてある」です。
ståは「~に書いてある」という意味があるんですよね。日本語で「立つ」と「書いてある」が同じ単語って信じられない気がしますが・・・。

~と書いてあります

~と書いてあります

・・・みたいな話をレッスン中に触れるのですが、時間がある時に「じーっくり」辞書を眺めると改めて、「こんな意味が!」と発見があるので、意味を1つだけと決めつけるのは、罠にはまりますよ~。

他に「難しい~」と思っているのは、シチュエーションによっての単語の使い分けでしょうか。
先日のレッスン中に「Godt と fintって何が違うのですか?」と聞かれて、「確かに難しいかも!」と思いました。
godt=good、fint=fineで意味は似ていて、紛らわしいです。
「あなたのネクタイすてき」は、”Slipset ditt er fint”と言うけど、godtを使うとおかしい・・・・。
「このお魚おいしい」は、”Fisken var godt”を使う方が自然です。他にもたくさん例はありますが、分かりやすいものをチョイスしてみました~。

godt eller fint?

godt eller fint?

日⇒ノル辞書、英⇒ノル辞書を引くと、いろいろ単語が載っています。ですが、どの単語がその文章にマッチするのかを見分けるのは、簡単ではないですね~。
この辺りは独学の限界かな?と思います。

いずれにしても、こうした「単語の罠」を「苦痛」ではなく「へ~、そうなんだ」と思ってもらえることが、ノルウェー語講師の使命(!!!)かと思ってまーす。

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ノルウェー語で探す”ネコ”のあれやこれ

予定通りならば、明日からネコを飼うことになります。
今まで飼った経験がないので、翻弄されるのは間違いないのですが・・・。

ノルウェーでは、犬の方がよく見かけます。ネコを周りで飼っている人はいないのですが。でも、ノルウェージャンフォレストキャットは日本でも有名ですよね~。あ、私が飼う予定のネコは違います。
ということで、私の「ネコ記念日」を前に、ノルウェー語でネコにまつわることわざや表現を探してみましょう~(強引な展開)。

20140914-2

とりあえずネコはKatt(カットゥ)と言います。呼びかける時は”Pus, pus“(プスプス)と言いながら近寄りますね。

辞書を引くと、こんな表現があります。

kattvask“→直訳「ネコ洗い」=「早風呂」!・・・日本語の「カラスの行水」に相当?
leve som en katt og hund“→直訳「ネコ犬の仲=仲が悪いこと」→意訳「犬猿の仲」??
slippe katten ut av sekken“→直訳「ネコを袋から放す」=「暴露」になるそうです。今だったら「文春砲」?
i mørket er alle kattter grå“→直訳「暗闇ではすべての猫は灰色」=「みんな同じに見える」の意味です。

20140903

今まで知らなかった表現ばかりで、勉強になります~。へー、ほー、と感心しきり。
偏愛絵本の1冊に”Kattens skrekk“「ネコの恐怖」(Fam Ekman作)があるのですが、ひたすら犬におびえるネコが描かれているんですよね。
上に書いた「ネコ犬の仲」のことわざがから、この物語ができたのかな?と想像するのも楽しいです。

「ネコの恐怖」から

「猫の叫び」から

さてネットでちょっと検索したら、こんな表現がありました。

kattemenneske“=「ネコ人間」・・・猫が人間になったのではなくいわゆる「ネコ派」くらいの意味でしょう。
じゃあ「イヌ派」に当たるのは・・・”hundemennske“=「イヌ人間」がありました!

さて明日から、どんなネコ生活が待っているのでしょうか?
人気の猫ブロガーになりたいな~、という妄想を抱きつつ・・・。

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えーっと

ノルウェー語レッスン中に、生徒さんが発する言葉のトップが「えーっと」ですね。
「~ですか?」と質問した時など、即答の場合もありますが、「えーっと」がまず出てしまうのが可笑しいです。
かくいう私も、ノルウェー人と会話する時に、よく「えーっと」が出ちゃうんですよ。
いつもオスロで居候させてもらっているアウドさんは「えーっと」という言葉を覚えてしまったほど・・・。恥ずかしいです。

ですから、日本語ができる外国人でこの「えーっと」までマスターした人は、「再現率高い!」と感動しちゃいますね。

えーっと

えーっと

ではノルウェー語で「えーっと」に相当する単語は何があるでしょうか?
英語のwellに相当するvel(ヴェル)がまず浮かびます。
”Vel, hvordan kan jeg svare på….”「え~と、どうやって・・・に答えればいいのか」みたいな感じで使えますね~。

他には、”skal vi se“(スカル・ヴィー・セー)という表現がありますが、velとはちょい用法が異なります。
skal vi seは、こちらが何か質問して、”skal vi se…. jeg skal sjekke det”「えっと、ちょっと調べてみる」のように「ちょっと待って」とニュアンスが近いですね。

「えーっと」以外にアウドさんが覚えたノルウェー語は「いただきます」です。
言葉の意味を説明したら、「素晴らしい!」と感動されたんですよね。以来、私と食事する際は「いただきます」と言って食べるんです。
あ、重要なこと書き忘れました。「いただきます」に相当するノルウェー語はないんです。
だから、みんながいきなり食べ始めるのに違和感が未だにありますね~。

いただきます!

いただきます!

でも「ごちそうさま」はありますよ。
Takk for maten!”(タック・フォー・マートゥン)直訳「食べ物にありがとう」→「ごちそうさま」です。

海外で「Sushi」を筆頭に、日本食レストランが増えていますが・・・。ネーミングに苦労しているのでしょうか? 苦笑することもしばしばです。
(ストックホルムの「ブルーライトYOKOHAMA」とか)
「えーっと」という店名の日本食レストランができたら、「お、やるな!」と思っちゃいます!

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日本語にあってノルウェー語にない表現

私のように会社勤めではない人間でも、日々、メールのやりとりはあります。
「お世話になっています」
「お疲れさまです」
「よろしくお願いします」
これらは頻出フレーズですが、結論から言えば、ぴったりと合うノルウェー語にはありません!
ま、日本語にはあってノルウェー語にない表現は他にもありますが、ちょっと絞って書いてみますね。

上の3つのフレーズは、自動的に書いてしまう、しかも何をどう「よろしくお願いします」か分からない場合でも使える便利なものです。
言葉は、そこに必要があって生まれるものだと思うのですが、ノルウェー語にはないということは「ノルウェー人は思いもつかない表現」ということなのでしょうか?

ノルウェー人と会った時、メールをする時の挨拶はビジネス関係であっても・・・
Hei!「やあ」
Hvordan går det? 「元気?」
Takk for sist!「この間はありがとう!」(最後に会ったのが5年くらい前でも使える便利な表現です)

みたいな感じですかね。
ノルウェー人は”gå rett på sak”「本題にすぐ入る」のが好きな人たち。ミーティングもメールも短いのが一般的です。
なので時候の挨拶はそこそこに、とっととテーマに移る傾向がありますね。

英語だとどうなるのかな?とGoogle先生に聞いてみたら、このような「お世話になっています」パターン例が載っていました。
ここをクリックしてみてください

お世話になってます

お世話になってます

なるほどね、と納得しつつ、まぁ強いて近い表現かな・・・と選んだのがこちらです!

Takk for din innsats!”「あなたの貢献に感謝します」

ただこのフレーズは、毎回使うようなものではないです。「スペシャル感」がある表現なので、やはり「お世話になっています」とは完全にイコールにはならないですね。

では「お疲れさまです」について考えてみると・・・う~ん、やっぱり思いつかないです。
英語例を参照してみると、こんな感じでした。こちらから参照くださいね

お疲れさまです

お疲れさまです

じーっとやっぱり日本語の「お疲れさま」と合致はしないです。ニュアンスが異なってますね。
英語の”Good job”に相当するのは、”God jobb” “Bra jobb”などなど。。。こうしたフレーズもやはり「空気のように使うフレーズ」ではないです。
いわんや「お疲れさまッス」なんて再現は無理なんでしょうか??(日本語の先生は大変だ~)

で、最後の「よろしくお願いします」はもはやテンプレ。
今後、この人と付き合いないだろうな~という場合でもメールや電話、打ち合わせの後などに使ってしまう「魔法のフレーズ」。
もうノルウェー語で考えるのが面倒なので、英語の例を見てみましょう!
日本語のうすーい「よろしくお願いします」は”Kind regards”が近いのでしょうか?

よろしくお願いします

よろしくお願いします

じーっと見ていると「友達に言うカジュアルな表現」として”Don’t kill me”という表現がありました。
これをノルウェー語に直すと”Ikke drep meg”になりますが、聞いたことも見たこともないですね~。

もうちょっと普通に使えそうな表現に”Thank you in advance for your help”がありました。
これに似ているのは、”Takk på forhånd“です。på forhåndは「前もって」という意味なので「あらかじめありがとう」といった意味でしょうか。
かろうじて「よろしくお願いします」と、かぶるかもしれません・・・。

結論としては、英語やノルウェー語に直そうとするとより「具体性」が必要だということでしょうか?
日本語の方が「礼儀正しいよう」に見えて「ぼんやり」「抽象的」なのかもしれません。私の頭にはむしろ合っている?

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