レトロでユーモラスな短編アニメーション映画&絵本!

ノルウェー出身でカナダ在住のTorill Kove(トリル・コーヴェ)は、アニメーション監督、絵本作家、イラストレーターです。

彼女のアニメーション作品を始めてみたのは、NHKで放送されていた時です。タイトルは、『わたしのおばあちゃんは王様のシャツにアイロンをかけた』(Min bestemor strøk kongens skjørter、2000年)。この映画はアカデミー賞最優秀短編アニメーション映画部門にノミネートされました。オリジナルあふれるストーリー、飄々としてユーモラスの語り口とスタイリッシュな画風。作風は一度見たら忘れられないです。以来、Torill Koveの作品は気になる存在となりました~。

Torill Koveがついにアカデミー賞を手にしたのは『デンマークの詩人』(Den danske dikteren、2007年)です。ノルウェーが誇るノーベル文学賞作家シグリ・ウンセットをモチーフに使った作品は、実は絵本にもなっています。絵本から読んだのですが、オリジナルティー溢れる見事な作品です(絵本を取り上げたブログはこちらから)。

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・・・前置きが長くなりましたが、Torill Koveが昨年のアカデミー賞最優秀短編アニメーション映画部門にノミネートされた作品は、『モールトンとわたし』(Moulton og meg、2014年)です。みなさんは「モールトン」と聞いてピンときますか? (ピンとこなかったワタシ・・・)
実は「モールトン自転車」というと、マニア垂涎の高級自転車なのです。モデルはユニークですよ!参考リンクを貼りますね~。

今回も絵本から入りました。主人公は3姉妹の真ん中の「わたし」。7歳の女の子です。時代は1960年代、ノルウェーの小さな町が舞台です。
「わたし」の語りで物語は進むのですが、彼女の悩みを読んでいると「子どもの時には、あんな些細なことをどうして気にしていたのだろう?」と懐かしい感じがします。

「わたし」の両親は建築家であり、独特な美意識を持つことから「わたし」の悩みはつきません。
ぜひ映画で確認していただきたいのですが、ダイニングの椅子はデンマークデザインだったり、マリメッコの洋服が登場します。
今の大人の目からすれば「いいな~、おしゃれ」と感じますが、「わたし」にとってはヘンなものでしかありません。60年代のノルウェーでは「先進的」すぎたのですね・・・。

物語は隣に住む「普通の一家」との対比で進みます。「わたし」の親友ベネディクテのお母さんは専業主婦。レースのついたワンピースを買い与え、お父さんはスポーティ。立派な犬もいます(名前もFlink=優秀という意味です。ナンセンの犬から名付けられたようですが・・・)。
それらのこと全ての「普通さ」を「わたし」は「うらやましいな~」と感じてしまいます。
マリメッコの生地でワンピースを縫う母や、町でただ一人、口髭を生やしている父とついつい比較し、ついにはお腹が痛くなってしまいます・・・。

ところで「モールトン自転車」。
3姉妹はみんなが乗っているような「普通の自転車」を欲しがっています。
そして父は自転車をイギリスから注文するのですが、この自転車こそが「モールトン自転車」でした。
前述したように「マニア垂涎の自転車」ですが、7歳の「わたし」にとっては「へんてこりんな自転車」にしか映りません。
でもラストシーンは、ほんのり明るいハッピーエンドです。

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実はとっても深いテーマを、Torill Koveはいつもの軽妙な語り口とスタイリッシュなイラストで描くことに成功した作品だと思います。
ノルウェー人の映画&絵本レビューを読むと、「レトロ」「ノスタルジック」という文字が目立ちます。
ファッションや風俗からもそれはうかがえますし、専業主婦が当たり前だった時代・・・まさに今のノルウェー人からすれば「懐かしい」な作品なのだなぁと納得しました。

こんなにあらすじを書いてしまいましたが、下のURLからぜひ映画をご堪能ください!。英語なので大丈夫ですよ~(多分・・・)。
この短編アニメーション映画はぜひ日本でも上映してほしいです!!トーキョーノーザンライツさん!短編映画祭さん!よろしくお願いしまーす!!

https://www.youtube.com/watch?v=G9zRYJb34sM

追伸:Torill Koveがイラストレーターとして手がけた絵本、Johannes Jensenも大のお気に入りです!サイトで紹介したページがあるので、ぜひご覧くださいね~。

ニットのバッグ

ノルウェーに行くのは大体、夏の季節が多いです。
自分のために何か買おう!とお気に入りのショップに行くのですが、そこは個人デザイナーが営んでいる「ニット屋」さん。
そう、夏でもニット!なんですよね~。外は暑くても、日本は暑くても季節外れのニット製品を何かしら買ってしまうのですが・・・。
何年か前に、一目見て可愛い!と買ったのがこちらで~す♪

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グレーに黄緑のステッチが可愛いな~と思って買ったんですけどね。ただニットバッグで、あまり物を詰めるとびよーんと伸びそうだし、正直、あまり使ってません・・・。

先日のレッスンで、ニット関係のお仕事をしている生徒さんにお見せしたら、一言。
「これなら自分で編めますよ!!」
え~~??ムリムリ。とどめの一言・・・。
「買うなんてもったない!」
いやいや、不器用な人間は「買う」という選択肢しかないんです・・・。
どうでしょう、みなさん、編めますか~??

「食の祭典」Matstreif体験!(前篇)~オスロ旅行記3~

9月のノルウェーはイベントがたくさん!!と嬉しい悲鳴です。
9/11-13は、オスロの市庁舎前やアーケルブリッゲ地区(「ベイエリア」と表現するのは素敵すぎる?)で、「食の祭典」=Matstrif(マートゥストライフ)が開催されました。
主催は、ノルウェーの商品や技術を紹介するInnovation Norway
全国の農業・酪農・漁業・ビール醸造関係者などがテントで出店し、ご自慢のローカル食や飲み物を展示・販売する嬉しすぎるイベントなんです。何かと外食が高くつくノルウェーで、「この食の祭典で、たくさんの食や飲み物を試食や試飲したい!!」と期待感Maxで臨みました~。

私は9/12(土)のお昼ごろに、ノルウェー人の友達と出かけました。
「おお!これはすごい人出だ~!!」と口もあんぐり。ただ人出のせいでしょうか、無数のテントのせいでしょうか。まるでバーゲン会場に到着したように「早く見ないと!」と焦ります。

広い会場はエリアごとに分かれているようです。
まずは市庁舎広場前の「すてき農家パネル」に惹かれて、各地からやってきた農家テント巡りをスタートしました!

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さすが「食の祭典」に出店しているだけはあります。スーパーで売っている野菜とは違う・・・ノルウェーの食に精通していない私でも感じます。
色とりどりのにんじんは、どんな味でしょう?想像するだけで楽しい♪

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ノルウェーらしいな、北欧らしいな、と感じる紫キャベツ。とっても硬そうで「凶器」にもなり得そうです・・・。

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「砲丸投げ」にも使えそうかも・・・くだらないことばかり考えてしまいます。
同行している友達は何度も「ここに並んでいる野菜は、特別なものばかり!」を繰り返しています。中でも感心していたのはこちらの・・・・

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ディルです!!
おお~。ノルウェーでディルは珍しいものではないですが、このディルはホントに見事!ウチで育てているディルと比べるのは・・・むなしいのでやめました~。

さて色鮮やかで立派な野菜に見とれながら、こうした「大きな市場」で楽しいのは売り子さんの顔が近くに見えることです。
テントには「●●農家」などと書かれていますが、いかにも「家族・親戚でやってきました~」的な光景が繰り広げれています。この店番の男の子はやる気があるのかな~?

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たくさんのテントはまだまだ続きます・・・!
そして旅日記はいつ終わるのでしょう?(つづく)

ミニサバトマト缶とオメガ3!

ノルウェー人がよく食べるもの・・・圧倒的に「オープンサンド」です。
茶色めのパンにチーズ、ハム、パプリカなど載せますが、今日の写真はそうしたオープンサンドの上に載せる定番でーす。

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サバをトマトソースの中にあえたノルウェー名物なのですが、この写真はミニサイズのもの。
注目して頂きたいのは、箱でーす!
「Omega 3」=オメガ3と書いてあるのがわかりますか??

Omega3って、ちょいちょいノルウェーの食品パッケージや広告などで登場します。
「ま、体にいいんだよね~」と実態を知らず、ノルウェー人の「Omega3信仰」をちょい冷笑していたのですが・・・
今、日本語で「オメガ3」でGoogle検索したら・・・ひゃ~、たくさんヒットしました!関連健康食品やサプリが出ているみたいです。
もしかして日本でも気にしている人はomega3を摂取している??

・・・急にomega3の文字がまぶしく見えてきました~。

アンネ・ホルト『ホテル1222』翻訳出版!

ミステリーのブックレビューを書くのは苦手です。
ミステリーファンの人からすれば、とんでもなく稚拙でしかもネタバレしそうな感想文しか書けません・・・。
ですが、ノルウェーを代表するミステリー作家アンネ・ホルトの邦訳『ホテル1222』(枇谷玲子訳、東京創元社)を読書中、瞬く間に付箋だらけになってしまいました。本作を紹介しましょう~。

アンネ・ホルトは邦訳が多い作家です。
「ハンネ・ヴィルヘルムセンシリーズ」は、90年代に出版された初期の作品群と昨年、翻訳出版された『凍える街』の間に、実は未訳の作品が幾つかあります。その未訳作品で描かれているハズの「何か」によって、初期のハンネと『凍える街』と『ホテル1222』のハンネの「変貌」ぶりは、「どうしちゃったの??」と驚くばかり・・・(以前のブログでも触れています)。
『ホテル1222』では、銃撃事故によって車椅子生活を余儀なくされた「元警察官」としてハンネは登場します。

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巻末の若林踏さんの解説で触れていますが、本作はアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』と『そして誰もいなくなった』に対するアンネ・ホルトのオマージュとのこと。
ベルゲン線が雪嵐のため転覆事故に遭い、大勢の乗客たちはホテルの「フィンセ1222」に避難し救助を待ちますが、「密室状態」となった空間で連続殺人が起きていきます・・・となると、ポアロ役は? はい、元警察官のハンネです。
『オリエント急行の殺人』のポアロと同じようにハンネは、事件の調査とは関係なく、たまたま乗り合わせた電車の事故がきっかけで、殺人事件に巻き込まれていきます。アガサ・クリスティー作品との類似もさることながら、主人公が否応なく事件に関わってしまう「巻き込まれ型」というジャンルという点からいえば、ヒッチコックの作品を想起させます(例:『北北西に進路を取れ』)。

・・・さて、冒頭でも触れましたが、私にミステリーの分析は無理なので、本書で「ノルウェーらしさ」「北欧らしさ」を感じるポイントを挙げてみたいと思います。

1)知らない人とは話さない?
転覆事故に遭う前に、とある噂が車内で広がり、知らない乗客同士が会話を交わすシーンがありますが「車内の様相はノルウェーらしさを失っていった」と描写されていて苦笑・・・。確かに、ノルウェーでは見知らぬ乗客同士が会話をするのは「まれ」なことです!

2)みんな知り合い?
『オリエンタル急行の殺人』と同じく、本作では、登場人物同士が実はつながりがある・・・という設定です。『オリエンタル急行の殺人』の乗客同士のつながりは「偶然」ではありませんが、『ホテル1222』の場合は?・・・とてもノルウェーらしさが満載です!(ネタバレになるので書きませんよ!)

3)忍耐力&楽観性
大雪の中、救助は来ずに連続殺人が起こるホテルの中。当然ですが、登場人物が感情や行動を爆発させるシーンはあります。
にも関わらず、感じるのは乗客たちの「忍耐力」。待機状態3日後の描写から引用してみましょう。「大半の人は退屈した様子だった。しかし退屈しながらも、寛容さを身につけていた。現状をあきらめて受け入れ、あと一日山上で耐え忍べば、全てがよい方に進むという静かな確信に満ちているように見えた。」

ノルウェー人特有の忍耐力と精神力、そして「良くなるだろう」という楽観性が垣間見られる描写です。小さな時から、山や氷山で鍛えている結果がこうした人間性につながるのだな~と納得です。

4)こもった匂いはイヤ?
本作で目につくのは「匂い」に関する記述です。密室状態のホテル&頻繁にシャワーを浴びられない状況において、ハンネは繰り返し「~の臭いは耐えられない」と感じます。自らの体臭に対する描写も容赦ありません。常に「新鮮な空気」を求めるノルウェー人にとって、こもった匂いや強い体臭は「大敵」なのかな~と想像します(単にアンネ・ホルトが匂いに敏感なだけかもしれませんが・・・)。

小ネタで言えば、登場人物をノルウェーで人気のマンガ「Nemi」や国民的作家ビョルンソンの古典名作の登場人物=農村の理想的少女Synnøve Solbakkenと比較するシーンは、ノルウェー好きには「感涙もの」でしょうね~(ちょっと大げさ?)。

アンネ・ホルトは、他の北欧ミステリーの多くと同じように、「社会批判」を作品に盛り込んでいます。
主人公ハンネを通じて、キリスト教会批判やアドリアンという少年を通じての「児童保護施策の限界」、またイスラム教徒に対する反感をむき出しにするベーリットという女性を通じて「他宗教に偏見ある人々」などが批判されています。
ただ、初期の作品群と『凍える街』&『ホテル1222』における作者の社会批判は、前者がメッセージを通じて「社会を変えてやる!」という勢いを感じたのですが、後者はむしろ諦念や皮肉といった印象を受けました。主人公ハンネの変貌とともに興味深い点です。

・・・といろいろ書き連ねましたが、読書の秋、ミステリーの秋。
思うように動けず、ネットすらも一時遮断された不利な状況の中で、誰が犯人なのか?をユニークなチームワークとハンネの卓越した観察眼と推理力を満喫できる1冊です!

翻訳者の枇谷玲子さんが、物語の舞台になったフィンセやベルゲン線、ホテルの様子などをWebで紹介されています!こちらも読むと、より作品が身近に感じられますよ~。
http://www.webmysteries.jp/afterword/hidani1510.html