世田谷の美人さん、『北欧 食べる、つくる、かわいいと暮らす』♪

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「北欧」にまつわる本はたくさん出版されていますが、『北欧 食べる、つくる、かわいいと暮らす』(三田陽子著、辰巳出版)は、三田さんの思い入れがたっぷり詰まった一冊です!(きっと)

なぜ、現行品ではなくビンテージなのか?三田さんのこだわりと愛情が全編を通じて伝わってきます。

興味あるページに付箋を貼っていたら、付箋だらけになってしましました・・・。
まずは、この文章から。
「作り手であるデザイナーたちも、使い手と同じく、全員が戦争を経験しているという事実も忘れてはいけません。彼ら、彼女らの作り出した美しい製品が、戦争に傷つき疲れた人々にどれだけ喜びや慰めを与え、前を向かせたのだろうと思うと、私はこれらの明るさ、陽気さ、優しさを愛さずにはいられません。」

軽やかな文章ですが、三田さんの「宣言」のようにも受け取れてました。
では次の文章に行きます。
「初めて北欧のビンテージに出会ったとき、単純なのに強い印象の、それまで見ていたアンティークと違う雰囲気に魅了されました。北欧のビンテージは、いくぶん野暮ったく、大胆で自由闊達。」

ふふ。まるで北欧人そのものが、その作品に反映されているのですね。この文の続きも、読み応えあり!みなさん、買ってから確認してみてくださ~い。

他にも、今まで「当たり前」だと思っていたことが、三田さんの解説で「そうだったのか!」と分かったところがあります。
なぜ北欧は、大きなキャセロールをどんとテーブルに置いて、皆がそこから取って食べていくスタイルが多いのか・・・。やはりここにも歴史的な背景と食の因果関係が解き明かされてます。くどいですが、みなさん、買ってから確認してみてくださ~い。

20150401

デザイナーの紹介が合間、合間にはさまれているのですが、興味を惹かれたのはこのデザイナーです。
フィンランドの「リーヒマキガラス」デザイナーの「タマラ・アラディン」。
ロシア系で客室乗務員からデザイナーへ転身、という道を進んだそうですが、彼女に関する資料は少ないとのこと。三田さんは、フィンランド国立ガラス美術館の主席学芸員に取材をします。スターデザイナーたちの陰に隠れていたアラディン。作品数は多いのに知られていないキャリアやデザイン姿勢、そして「へ?」と驚く現在の彼女の姿。まさに、三田さんにしか書けないストーリだなぁ~と。
作品を買うだけ・鑑賞するではなく、こうした背景が分かるのはワクワクしちゃいますね。

本書では、三田さんがセレクトした素敵な写真がたくさん掲載されていて、読者を楽しませてくれます。
さらに北欧各国名物料理のレシピが付いていて、美味しいお料理とそれに合ったビンテージ食器の世界は・・・うっとりしちゃいましょう♪ (北欧風アンチョビの作り方まで教えてくれるなんて~)

ただ現状の「北欧デザイン」に関して、悲しい現実も触れられています。
ブランドによっては、「手彩色の製品は現在では作られていません。焼成時間もかつての4分の1ほどに短縮された製品もあります。何よりも製品のほとんどが北欧ではなく低コストで生産できる東欧やアジアといった外国で作られています。」とのこと。

前述の「タマラ・アラディン」の章でも、こんな主席学芸員の証言があります。
「北欧ガラス産業は衰退にあります。」そして具体的なブランド名を挙げて、その衰退の事実を明らかにしてくれます。

三田さんの文章にあるように、「北欧で作られたものた北欧のもの」はビンテージでしか得られない。。。。これが現実なんですね。

他力本願の私は、三田さん夫妻がハードな買い付けで、素敵なビンテージをたくさん日本に運んでくれ、そしてFukuyaの毎週木曜日の新着アップを楽しみにしたいと思いま~す。
すでにFukuyaでビンテージをお持ちの方も、これからビンテージにちょっと触れてみたいな、という方にもマストな本であることは間違いありません。

最後に・・・
三田陽子さ~ん、処女作おめでとうございま~す!!
ダンナさ~ん、妻を支える夫はけなげで~す。私への毒舌は快感になってきました~。ふふ。