ノルウェー交換留学~日本の大学同士とのつながりは?~

ノルウェー語レッスンの生徒さんで、「●●大学に交換留学が決まって」という動機から、レッスンに通う方がいらっしゃいます。
講義は英語でも、やはりノルウェーで生活するので、少しは知っておきたい! 学んでおきたい!というお気持ちのようですね。

ただ、大学によっては「ノルウェー枠はあまり人気がなくて・・・」という事実もあるようです。
かたや留学したくても、案外、難しいと悩む人もいるのにもったいない!
なので、「もし将来、ノルウェーに留学したいのならば、交換留学制度のある大学を選ぶのもアリ?」と考えました。
実際に、大学選びの選択として「交換留学制度のある大学を選んだ」という方にお会いしたことがあります。

今はネットで大抵の情報は拾えるので、かな~り「老婆心」的な情報になるかと思います。
2015年4月28日現在で、ノルウェーの大学と交換留学を結んでいる大学をリストアップしてみました~。
ただ、元ネタにしているのはノルウェーの大学サイトです。各大学のHPにて詳細はご確認くださいね♪ (学部・修士レベルまで記載していません)
また交換留学制度は、変わることが多々ありますので、その都度チェックを忘れないように~。

オスロ大学(UiO)
(こちらのサイトを参照→http://www.uio.no/studier/utveksling/avtaler/asia/japan/
国際教養大学、関西外国語大学、同志社大学、長崎外国語大学、関西学院大学、大分大学
城西国際大学、慶応大学、上智大学、早稲田大学、東海大学

ベルゲン大学(UiB)
(こちらのサイトを参照→http://www.uib.no/utvekslingsavtale
国際教養大学、同志社大学、白鴎大学、北海道教育大学、北海道大学、城西国際大学
慶応大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、早稲田大学、東海大学、山梨学院大学

ノルウェー経済大学(NHH)・・・ベルゲン
(こちらのサイトを参照→http://www.nhh.no/en/study-at-nhh/international-opportunities/exchange/our-exchange-partners.aspx
国際大学、神戸大学、名古屋商科大学、立教大学、国際教養大学、慶応大学

ノルウェー科学技術大学(NTNU)・・・トロンハイム
(こちらのサイトを参照→http://u111u.info/kmR6
東京工業大学、京都大学、関西学院大学、同志社大学、大阪府立大学、産業総合技術研究所、
早稲田大学、長崎大学、東京大学

NTNU

ノルウェー芸術アカデミー・・・オスロ
デザイン、芸術・手工芸(こちらのサイトを参照→http://www.khio.no/?module=Articles&action=Article.publicOpen&id=10299
多摩美術大学

芸術アカデミー内部

他にも、大学はありますよ~。トロムソ大学、スタバンゲル大学などなど。
でもワタシの探し方が下手なのか該当するページは見つけることができませんでした・・・。

中には、交換留学を使ってノルウェーに留学して戻ってきてから「あまり勉強できなかったので、やり直したい」とうちに習いに来てくださった方もいました~。嬉しいですね!
今回、改めてリストにしてみると「へぇ~、この大学とつながりが・・・」というところもあり、私自身、興味深かったです♪ 
また以前はつながりがあった大学同士がなくなっていたり・・・やはり情報のアップデートは必要ですね!

2015/4/28 | Category : 留学体験 | Author : norway-yumenet

皇太子カップルの世紀の恋愛♪

ノルウェー人は、王室が好きです。開かれた王室と言いますが、ホント、国民との距離の近さを感じますね~。

で、ノルウェー人は王室のスキャンダルも好きです。好きなゆえ、いろいろと詮索したくなるのは人の常ですね~。

ということで今日の一枚はこちらです!!

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いつも以上に汚くて、雑な写真ですみませ~ん。実家に帰って、ごそごそ探し物をしていたら、これが出てきていたのです。スカンジナビア3か国で発売されているゴシップ誌「Se og Hør」です。
これは2000年に発売されたものですね~。で表紙に映っているのはホーコン皇太子と恋人のメッテ・マリットさん。
二人の交際が発覚して、国中が「ぎゃ~~~~!!!」という大騒ぎだったのです。

ご存知の方も多いと思いますが、メッテ・マリットさんはシングルマザー。ちょっとびっくりなのは、子どものお父さんは麻薬の前科あり。
メッテ・マリットさんも「やんちゃ」しちゃった過去があって、その頃の写真がメディアで暴露合戦。
さすがに開かれた王室に慣れている国民も「メッテ・マリットってどうなの??」と懐疑的だったのですが・・・。

ホーコン皇太子はNRK(国営放送)のインタビューに応じ、「メッテ・マリットは素晴らしい女性で、彼女との交際は真剣」と宣言したのです。
なのでこの写真の見出しでも、「ホーコンの愛を賭けた激しい闘い」と煽ってますね~。

当時は、あんなにバッシングされたメッテ・マリットさんですが、今は皇太子妃として安定した人気を保っています。
ということで、強い愛で結ばれた二人の過去を懐かしむ一枚で~す。

『模倣犯』&『赤ん坊は川を流れる』~様々な北欧ミステリ小説~

ミステリ小説の醍醐味は、時間を忘れてひたすらページをめくることではないでしょうか?

『犯罪心理捜査官セバスチャン』の続編模倣犯』(M.ヨート&H.ローセンフェルト著、ヘレンハルメ美穂訳、東京創元社)を読書中、その醍醐味を味わうことができました。
本作のユニークさはきっとミステリファンだったら、本格的に分析できると思うのですが、所詮、私はトーシロー。感想文を書きたいと思います。

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『模倣犯』の作者ペアはスウェーデンの脚本家。ここに魅力のヒントが隠されている気がします。
キャラクターづくりが上手なんですよね~。みんな、キャラが立ってます
主人公セバスチャンのダメっぷりは前作を上回ってます。ただ「ダメっぷり」といっても、過去の栄光や災害で亡くした家族への喪失感、また実の娘に対する抑えがたい愛情などあますことなく描かれています。人間味ありすぎで、「優秀なプロファイラー」部分がかすんでしまうほど・・・。
セバスチャンと絡んでくる警察チーム側は、男性より女性陣の方が存在感があります。
セバスチャンと過去に関係があった女性刑事の愛増まじりの感情や、優秀な若き女性刑事のセバスチャンへの嫌悪感など、セリフやナレーション部分でテンポよく描かれています。
特筆すべきは刑務所所長。
主人公セバスチャンは「ダメ」でも「優秀」ですが、刑務所所長は「ダメ」で「ダメダメ」。
愚鈍、自己保身、屈折、やることなすこと全て裏目、という「どう頑張っても愛せない」キャラクター。この人物もなかなかフシギ。クセになるかもしれません。

・・・というように、キャラクター設定がしっかりいている本作。
人気の北欧ミステリですが、「キャラクターの名前が日本人にはなじみがなく、読んでいても頭に入ってこない」という弱みがあるかと思います。
ですが、「セバスチャンシリーズ」は犯人も含め、キャラクター設定がはっきりしているので、個々の登場人物、相関関係をしっかり覚えることができるという「効能」があるのではないでしょうか?

さらに脚本家ならではの魅力に、セリフとナレーションの妙があるかと思います。
『模倣犯』では、収監されている連続殺人犯が刑務所内から、いろいろな人間を操ります。
彼はどういう言葉を発すれば相手がどう反応するかを計算しているので、彼のセリフは短くても凄みがあり、緊張感があります。

面白い書き方!と感じたのは、ダメ刑務所所長のモノローグ部分です。
彼は物語の後半、愚かさゆえに致命的なミスを犯すのですが、その時に、どうやって事態を収拾するかを彼独特のシミュレーションを行います。
ちょっと引用しますと・・・

「それでイェニーは助かるのだろうか?イェニーはいない」(ジャンプ)
「危険だと知らせるとしたら、理由はなんと説明すればいい?(略)出世が頭打ちになるどころではない。罰せられるに違いない。」 (ジャンプ)

この「ジャンプ」は次の考えに移る合間に挟まれるのですが、ユニークなモノローグと感じました。
ジャンルは違いますが、筒井康隆の作品「七瀬シリーズ」(主人公、七瀬は人の心理が読めてしまう)でも、登場人物の心理描写が非常に実験的だったことを想起しました。
愚かさ、醜さ、欲望、そうした負の感情を描く際に、作家の力量があらわれるなぁ~と感じます。

陰惨な猟奇殺人を描いているのに『模倣犯』がヘビー過ぎないのはなぜ?自然なセリフ運びや自在に動くキャラクター、読後感は悪くないです。気持ちはただ一つ・・・
「次回作が読みたい!」に尽きるでしょうか??

ヘレンへルメ美穂さん、お願いしますね~。美穂さんとスカイプ対談した時の様子はこちらから。
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デンマークのミステリは未読です。なので赤ん坊は川を流れる』(エルスベツ・イーホルム著、木村由利子訳、東京創元社)は、記念すべきデンマークミステリデビュー作!
帯に「ライトミステリ」と書いてあったのですが、え?ライトミステリって何?と分からなかったので、先に訳者あとがきから読んでしまいました・・・。

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この訳者あとがきでは、デンマーク以外の北欧ミステリー史の解説が丁寧につづられ、とても興味深かったです。
本作は、「フェムクリム」(femikrim)と呼ばれるジャンルだそうです。基本的に女性作家が書く、女性が主人公のミステリ。
フェムクリムの歴史的発展、「アクションや謎解きより、主人公の日常と心理の描写のほうに頁が多く割かれている」とのことです。

『赤ん坊は川を流れる』ですが、主人公は40歳のシングルマザー。2人の親友も当然、女性たち。3人の女友達は、デンマーク人・スウェーデン人・アジアからの養子のデンマーク人という組み合わせ。この設定は、「デンマークだったら普通にあるだろうな~」と感じます。
彼女たちは、トラウマ的な過去を持っていたり、結婚生活に悩んだり、仕事で男性上司ともめたり、そして恋をしたり、とそうした描写が、事件解決と並行して描かれています。

事件は冒頭に起こります。
3人が集っているカフェの近くの川に、プラスチック桶に載った赤ちゃんの死体が流れてきます。
主人公は新聞記者で、彼女自身がその場に居合わせたことから、否応なく事件に巻き込まれていくのですが・・・。

北欧ミステリによくある残虐性、社会のダーク面を強調する作品ではありません。
ただ、舞台はデンマーク。どうしても事件を通じて、「社会性」は透けて見えてきます。
赤ちゃんの死体にくるまれたタオルには、コーランが縫い付けられています。そこですぐにムスリムが犯人?と人々は結びつけるのですが、主人公の娘のセリフから引用してみましょう。

トルコ人の女の子がやったんじゃないかって、みんな言ってる。コーランのことがあるから。それと、デンマーク人の女の子だったら、あんなことはしない。」

この一見、「無邪気」なセリフ。別にデンマークでもなく、他の多くのヨーロッパで同じようなセリフや考え方が、いくらでもあり得るのです。

事件に巻き込まれた女友達3人組。
中年女性たちの友情、思いやり、そして恋模様も描かれていて、通常のミステリ小説では味わえない何かが本作にはあるでしょう。

・・・と全くテイストが違う『模倣犯』と『赤ん坊は川を流れる』。
ぜひ北欧各国のミステリを読んで、「北欧ミステリコンプリート」を完成させるのはいかがでしょう?

マグカップ♪

ノルウェー語のレッスンでは、なるべくノルウェーのもの、ノルウェーにちなんだマグカップにお茶を入れて、生徒さんたちに出しています。
なので、ノルウェーに行くと、ついマグカップを買ってしまい、数は増えつつあります。
意外に好評なのが、こちらのマグカップで~す♪

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ノルウェーのお土産ものやデザインでは、elg(ヘラジカ)をあしらったものが多いのですが、これは「リアリズム」画風ではない作品ですね~。
だからいいのでしょうか??

マグカップ探しは、なかなかやみつきになりますよ~。

講演をしました@横浜の高校にて

昨年12月のサロンで、参加者の方とお話しが弾んだのですが、「うちの学校でお話ししませんか?」と思いもかけぬ依頼をいただきました。
詳しくうかがうと、その方は高校の先生。そして高校の現役保護者やOG保護者の方々が読書会を催しているそうです。「はい」とその時は気軽に答えましたが・・・。

そして4月8日。記録的な寒さ(オスロよりも寒い!)の中、京急に揺られて、横浜まで向かいます。
横浜市立南高校は、高台にありました。
とても広い校舎とグラウンド。中学と併合され今では中高一貫校になっているそうです。名物の桜が見られて感激♪

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「南高校母親の読書会」というグループの皆さんは、学校の中とは思えない落ち着いた和室に集まっています。
その日のテーマは「北欧ノルウェーの絵本と児童文学、福祉制度について~高齢者介護を中心に~」でした。

最初、「ノルウェーの福祉」とご提案をいただき、「具体的にどんなテーマがいいですか?」とお尋ねしたところ、「介護問題が切実です」ということでこのテーマを選んだ次第です。

居心地のいい和室で、30代~80代の方までの女性たちが集まっていました。こじんまりとした会で、話しやすい!と思いました。
プロジェクターは使えないので、タブレットで関連する写真を見せながら話しをするスタイルで進めていきます。

1部の「児童文学や絵本」の紹介では、切っても切り離せない民話との関係、そしてトロール!『3びきのやぎのがらがらどん』の原作は実は、ノルウェーの民話なんですよ~と実際の本を見せながら説明します。
さらに、私が出版に関わったパパと怒り鬼(Sinna Mann)の出会いと出版に至るまでの困難な経緯をお話ししました。
現物をお見せすると、DVというテーマを絵本で描かれたことに驚かれた様子。イラストも迫力があります。
グロー・ダーレさんの素晴らしさを伝えたくて、他にも未訳の『いい子』(Snill)をご紹介しました。お行儀が良く、身ぎれいにして、いつもいい子のルッシ。グロー・ダーレさんいわく、「どんなクラスにも一人か二人いる”いい子」は、その手のかからなさから、両親からも先生からも忘れがちです。物語は意外な展開を見せますが・・・。
みなさん、「いい子」の存在については「思い当たる」といった感じの反応だったので、日本でも同じテーマはあるのだな~と感じました。(グロー・ダーレさんについてはこちらからも読めます。ちょっとスクロールしてくださいね)

質問タイムを挟んだのですが、「もう30年くらい前にノルウェーに行ったことがある」と80歳の女性が、面白いエピソードを教えて下さいました。
ナショナルギャラリーが修繕中で、なんとムンクの『叫び』が床に置かれていて、びっくりしたそうです!
笑いが上がりましたが、「それ、すごくありがちです!!」と反応する私・・・。こうしたお話しって、貴重ですよね~。

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第2部の「高齢者介護」のお話しですが、まずは「ノルウェーの福祉理念」からご説明します。
「福祉国家」とか「福祉」という言葉はご存知でも、具体的な施策はまだまだ知られていない・・・といつも感じます。
高齢者ケアの管轄は自治体であること、ノルウェーでは親子同居は非常に稀なこと、でも仕事帰りや週末、長い休暇などで親子や孫と祖父母の付き合いは、日本よりちゃんとあるかも、と話を進めます。
ノルウェーは欧州10カ国の調査で「祖父母と孫の付き合いが最も密接な国」に選ばれているんです!ご存知でしたか?

ただ、息子や娘が親に会いに行こうという気になるのは、前提として「仕事から家に早く帰れるから」という事実を忘れてはいけません。
16時に仕事が終わる人、21時ころまで働いている人。気持ちのゆとりが圧倒的に違いますよね~。

さらに実際にノルウェーで見学した「老人ホーム」や「高齢者センター」の写真をお見せします。たっぷりとした庭のある老人ホームの写真は、「きれい!」と声が上がりました。
また一人暮らしの高齢者のお宅も、北欧の多くの家がそうであるように「居心地の良さ」が感じられます。

「お金」の話も大事です。
ノルウェーでは、年金受給者年齢が下がっていて、日本とは逆であること、今では62歳で年金をもらいながら働くことも可能になったと説明します。
ノルウェーは「人間開発指数」でトップになりますが、「生活の満足度」調査では、シニア層が満足指数が高いという事実はあまり知られていません。
これは、年金制度も大きく関わっているでしょうね。石油が枯渇した場合に備え、いわゆる「石油基金」で、石油で儲けたお金を乱費せず、地道に貯めている事実をお話しすると、みなさん、「堅実ですね」「日本とは違う」と感想が口々に。

・・・・とノルウェーのいい面ばかりではなく、「マスコミの絶え間ない監視」についても触れました。
ノルウェーの新聞では、よく「こんな可哀想なお年寄りが老人ホームに入れない!」「こんなに進行が進んだがん患者が手術を受けれない!」といった「負」の側面を大きく報道します。それだけ読んでいると、「ノルウェーの福祉って大丈夫?」と心配になるほど。
どんな制度も完璧ではなく、常に「福祉が後退していないか?」と番犬がいることで、「個人の問題」ではなく「選挙の争点」に発展するのです。

こじんまりとした会だったので、みなさんの反応が分かりやすく、質問やコメントもその場で出たりして、こちらもやりがいを感じました。無駄にノルウェーの知識があるんで・・・

「ノルウェーと日本があまりに違うので、ノルウェーみたいになるのは無理じゃないかと思いました」とコメントを頂いたのですが、「こういう国があって、こういう制度でこういう風に人々は暮らしているんですよと事例を知っていただくだけでも、大きな意味があるのでは?」とお答えしました。
ノルウェーだって1日で福祉国家ができたわけではありません。メディアの監視も含め、みんなで格闘して、試行錯誤して、今のような国ができたのです。まだノルウェーだって発展途上ですよね。

最後は、「集合写真を撮りましょう~」となって楽しく集合写真を撮りました!
こうした読書会を継続するのは大変だと思いますが、皆さんの意識の高さ、そして学ぶ心に触れ「好奇心って大事!」と改めて感じます。

お誘いくださった八木先生、そして南高校の母親の読書会のみなさま、ありがとうございました!!

2015/4/14 | Category : イベント | Author : norway-yumenet