詩が身近にある暮らし

ノルウェーで1年の高校留学を終えた生徒さんが、レッスンに遊びに来てくれました。
向こうでの授業について質問したのですが「詩を作りなさい、という課題があって苦労しました」と聞き、なんとなく腑に落ちる感があります。

私もノルウェーの大学に留学中、詩の創作はなかったけど「詩の分析」は結構やりました。
日本ではあまり詩に親しんでこなかったので、「ノルウェー人、意外と詩が好き?」と想像したのです。

昨年、留学時代の友達とすごく久しぶりにオスロで再会した時、彼女は子どもたちを連れてきてくれました。その時、子どもたちがサラサラと私のために詩を書いてくれたことに感嘆した体験をブログで書きました。
こちらからご覧になれます。

前述の生徒さんが、ノルウェーのチョコレートをたくさん持って来てくれました。
そして「Melkehjerter」ミルクハートチョコレートを別のクラスで配っていたら、箱に書かれた文字に注目された生徒さんがいたんですよね。
今まで何度となく見てきた箱だけど、どんなことが書いてあるのか気にしたことはなかったのです。

「何が書いてあるのですか?」と聞かれ、読んでみました。こんなテキストです。

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「チョコレートは幸せ。幸せはハートに宿っている。
ハートはチョコレートでできている。1枚はあなたに、そして1枚はわたしに。
みんなのハートは喜び、甘いかけらを友達にあげよう。
みんなで分けると、幸せはふくらむからね。」

ここにも詩を発見!
こうやって詩心を培っているのか、とまたもや腑に落ちた次第です。

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ノルウェーの秋の食べ物

日本で8月といえば「夏、まっさかり」。
ノルウェーで”august”(アウグストゥ)=8月は新学期が始まるシーズン。”høstsemester“=「秋学期」と呼ばれることからも、「ああ、夏は終わって秋になるのね~」という気分です。

秋の食べ物・・・と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、fårikål(フォリコール)です。
får(羊)+ i(~に)+ kål(キャベツ)と分かりやすい料理の名前ですが、大きな鍋、大量の羊肉、キャベツ、塩、こしょう、水だけでできるシンプルな料理。
こちらのレシピによると2時間くらい煮込むと書いてありますが、それぞれのお宅のレシピがあるだろうな、と想像します。

2010年、秋にオスロへ遊びに行ったとき、いつもお世話になっているアウドさんが、「fårikålを作る!」と張り切ってました。
で、こんな感じに煮込み終わった鍋を水で冷やし・・・

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お皿に盛って、いただきまーす!

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日本ではあまり羊を食べないのですが、このフォリコールは大好物です!
北欧やノルウェーの料理は、よく言えばシンプル、ありたいていに言えば「地味」なものが多い気がしますが・・・でも素材の良さに助けられているのでしょうね。
このシンプル尽くしのお料理は、何度もおかわりしつつ「ああ、秋になったんだなぁ~」としみじみ。

煮込みやスープ料理の付け合せで、一緒に出てくるのは・・・まずはこちらの袋に見覚えはありますか?

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袋に書かれた文字の”flatbrød“(フラトブロー)が正解です~。flat「平らな」+brød「パン」=「平らなパン」ですが中身はどんな感じでしょう?
ごそごそときちんと整理されていない写真フォルダーを探したのですが、見つかりませーん!!
なので、こちらのレシピサイトから、実物を見てくださーい。

flatbrødはノルウェー語テキストにも載っているのですが、説明が難しいんです。
全然味のないパリパリとしたクラッカー。パンよりクラッカーの表現が合っているでしょう。

Norge -portrett av en nasjon」という本によれば、flatbrødがノルウェーで作られ始めたのは13、14世紀頃。
そうなんです、結構な歴史ある食べ物なんですね。brød(パン)といえば、こちらのflatbrødを指していた時代が長く続いていたようです。

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この写真は前述の本からパチリと撮りました。
1912年の写真だそうですが、flatbrødを作っている様子がうかがえます。

まだまだ秋の気配などみじんも感じない日本ですが、ノルウェーの秋を少し感じてくださいね~♪

トロールとバブル期の思い出

実家に帰る度に、ごそごそと「ノルウェーの変なものないかな~」とあさる癖がついてしまいました・・・。
先月の帰宅時に発掘したのは、こちらです!

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いつもながら保存状態がひどく写真の撮り方もお粗末なのでスミマセン・・・。
このビニール袋を見て「あ、これは!」と思いついた人はなかなか。
ベルゲンのブリッゲン地区にあるセーターショップの袋ですね~。

ヤケクソ気味(?)にでかく描いたトロール。
背景には世界遺産のブリッゲン。
観光客を表しているののでしょうか、いくつかの国旗・・・。
右下の方に日の丸が描かれているのがわかります?

このセーターショップでノルウェーセーターを買ったのは1994年くらいでしょうかね。
まだバブル期の余韻で景気が今よりも良かった時代です。
日本人観光客対策に、日本語ができる定員をおいているお土産さんがありましたね~(遠い目)。
1着3万円くらいのセーターを、10枚くらい買っちゃう「太い日本人客」がいると聞いたことがあります。

今だったら中国国旗に代わっているでしょうか?

オスロ中央図書館~オスロ絵本を訪ねる旅 6~

この「絵本を訪ねる旅」では「図書館」にぜひ行きたいと思いました。
ノルウェーの図書館は、どのように子どもに接しているかに興味がったからです。

オスロの図書館はDeichmanske Bibliotek(ダイクマンスケ・ビブリオテーク)と言います。みんなは「Deichman」=「ダイクマン」と省略した形で呼びますね、若干の親しみをこめて。

Deichman 中央図書館

Deichmanske Bibliotek 中央図書館

以前から「どうしてダイクマンというのかな?」と思っていたのですが、Carl Deichman(カール・ダイクマン)という人の7000冊の蔵書がもとにできたからなんですね。
すでに1785年に創設。1905年の独立より125年前に図書館はできていたことになります。

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オスロにはHoved(中央)を含め、19か所の図書館があります。
私は行政府近くの中央図書館Hovedbiblioteketの児童書部門責任者のAnnike(アニッケ)さんにお会いすることになりましたが・・・。アニッケさんはアポ取りの段階で、一番そっけなかった人だったので緊張していたのですが、とても気持ちよく迎えてくれました~!

Annikeさん

Annikeさん

やり取りを抜粋しますね。

-子どもの本離れを感じますか?
「いいえ。図書館の貸出点数はここ数年増えていて、子どもの本離れは感じませんね。」(この発言だけで驚きでした!)

-何か働きかけはしていますか?
「いろいろしています。まずは、学校との連携です。オスロの学校は読書にとても力を入れていて、全ての学校は地区の公立図書館を訪問します。そこで図書館内を案内してもらい、読み聞かせを体験するなど”図書館を身近な存在”と感じてもらうよう努力しています。もちろん学校にも図書館はありますが、それとは別に地区の図書館に足を運んでもらうことは大事ですね。」

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-オスロの図書館ならではの特色はありますか?
「オスロは移民や難民の子どもたちがたくさん住んでいます。なので、子どもたちのリクエストに対応できるよういろいろな言語の本を集めています。この分野ではNORLA(ノルウェー文学普及協会)と連携しています。NORLAが翻訳助成を行った外国語の本を図書館に寄贈してくれるのです。」

台湾版ピッピ!

台湾版ピッピ!

・・・棚を見ていると確かに多様な言語で書かれた本が並んでいますが・・・まさか!ここでこの本と出会えるとは!!

じゃーん!

じゃーん!

日本語版の『パパと怒り鬼~話してごらん、だれかに~』が書棚にあってじーんっとしちゃいました~。

-図書館ではイベントも催していますか?
「毎週土曜日の午後、映画上映会を開いています。通常の映画館では観られない、でもクオリティーの高い映画を選んでいます。あとは年に4回、”子ども劇場”を開催したり、またいろいろな職業の人を呼ぶイベントも人気がありますね。以前、消防士さんをお招きしたのですが子どもたちはとても喜んでいました。」

-「本の買い取り制度」は図書館にとってどんな意味がありますか?
「図書館や学校にとっても、とても大切な制度です。図書館には人気のある本を並べることと同時に、(買い取り制度によって送られたきた)商業的ではない質の高い本を並べることも大事ですね。図書館はとても助かってます!」

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アニッケさんはかなりたくさんお話しをしてくれたり、お気に入りの絵本を並べて下さったりサービス精神旺盛でした。
さらにさらに、いろいろと案内してくれます。
児童書部門の気になるスペースはここです! 日当たりのいいスペースに、本をおしゃれにディスプレイしたくつろぎの空間でしょうか?

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本を読むだけが図書館ではありません。ゲームコーナーや・・・

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工作ができる3Dプリンターのコーナーも。こんなに揃っていて恵まれてますね!
本は読まない子どもでも、図書館への親しみは沸くのでは?と想像します。

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アニッケさんはガイドしながら「図書館は公立であるべき、また利用は無料であるべき」とも強調。何でも図書館の利用が有料の国もあるそうです。知りませんでした!

図書館と学校の連携、さらにNORLAとも連携がうまく作用しているようで、「風通しの良さ」を実感しましたね。
オペラ座があるエリアに移設計画があるようですが、いつまでも「距離の近い」図書館であって欲しいです。アニッケさん、ありがとうございました!!

出版を支えるノルウェーの制度~オスロ絵本を訪ねる旅 5~

2月末からストップしていた「オスロ絵本を訪ねる旅」の連載再開です~。もう来月にはノルウェーには行くという現実を目の当たりにし、慌てています!
ほとんどの方は、連載自体を覚えていないと思うので、過去ブログは以下をご参照ください♪

1.そもそものきっかけ
2.ユニークな書店
3.出版社訪問
4.絵本作家アトリエ訪問

以前のブログで何度か触れている「本の買い取り制度」(innkjøpsordning for litteratur)の説明がまだでした。
管轄している文化評議会(Kulturrådet)のサイトと、『文化を育むノルウェーの図書館』(吉田右子、和気尚美、マグヌスセン矢部直美著、新評論)を参考に、紹介します。

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ノルウェーのような小国で出版事業と文化を守るために「国が本を一定数買い取る」制度です。1965年から開始したので、41年もの歴史がありますね。
出版社は、買い取って欲しい本を文化評議会に申請します。「商業的すぎない」「クオリティーが高い」が審査基準のようですが、審査に合格すれば以下のジャンル別に買い取ってもらうことができます。

大人向け一般文学:773部(内訳:紙書籍703、電子書籍70)タイトル数は年によって異なる。2012年は200タイトルが買い取り
子ども・YA一般文学:1550部(内訳:紙書籍1480、電子書籍70)2012年は100タイトルが買い取り
翻訳文学:タイトル数130、542部 (内訳:紙書籍502、電子書籍40)
フィクション:773部(内訳:紙書籍703、電子書籍70)2012年は60タイトルが買い取り
子ども向けフィクション:タイトル数25、1480部
漫画:タイトル数15まで、1480部または703部

こうして買い取られた本は、公共・学校図書館に配布されていきます。

ノルウェーの人口520万人。
例えば、絵本で「買い取り制度」にパスしたら、1550部が保証されます。人口が30倍の日本の出版界でも、初版部数はどんどん落ち込み、2000部、3000部なども珍しくありません。そう考えれば、いかに「大きい数字」か想像できますか?

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改めて、「買い取り制度」の恩恵について考えてみましょう。当事者の言葉から引用します。

「私の描く絵本のテーマは難しいので、買い取り制度のおかげで本が出版できています。」(絵本作家グロー・ダーレさん)
「買い取り制度がなければ、出版社を始めようとは思わなかった。」(Magikon社長のスヴァインさん
「買い取り制度のおかげで、フリーランスでも安心して仕事ができる。」(絵本作家マーリ・カンスタ・ヨンセンさん

確かにグロー・ダーレさんの絵本は、DV、離婚で傷つく子ども、ネグレクトなど「社会的」な問題を取り上げたものが多く、決して「クリスマスのプレゼント向き」ではありません。しかしその「クオリティーの高さ」から、買い取り制度での部数が約束されているので、出版社も本を出すことに前向きです。

グロー・ダーレさんの講演から

グロー・ダーレさんの講演から

Magikon社のスヴァインさんも、「ひとり出版社」であれだけ活躍できるのは「クオリティー」で妥協しないせいでしょう。

仕事中のSveinさん

仕事中のスヴァインさん

マーリさんの言葉も同じフリーランス業として「フリーランスにとってはありがたい制度ですね!」と羨ましい限りです~。

仕事をするフリをしてくれているマーリさん

仕事をするフリをしてくれているマーリさん

もちろん「クオリティーの高さ」が大前提ですが、「売れる本」だけではない多様な本の出版を後押ししてくれる制度と言えるのかな~と考えました。

実は昨年のオスロでは「買い取り制度」の恩恵を強調された人が他にもいました。
いつになるか分かりませんが、次回はそちらに触れるつもりでーす!

つづく(粘着!)