サイズの違い

あっという間に8月31日。よい子のみんな、宿題は終わったかな~?
・・・と柄にあわないオープニングはやめて、とっとと「ビジュアル強化ブログ」の1枚をお見せしま~す。

絵本

こちらはノルウェーの有名な絵本「Den danske dikteren」(デンマークの詩人)ですが、注目してほしいのはサイズです。
これ、何サイズっていうんでしょうね??
この絵本だけに限らず、ノルウェーの絵本は「変形」が多くて、私が出版に携わったものでも、サイズを「日本用」に修正したものがあるのです。
何でもあまり変わったサイズだと、書店で扱いに困るとか・・・。

ノルウェーの書店は、点数も少ないせいでしょうか、あまり変形とか気にしないのでしょうかね~。
でもこのサイズだからこそ、女性の髪の毛が見事に表現されてます。

人間のサイズもいろいろですが、絵本も「型にはまってない」サイズが面白いですね。

一番大切なことは?

たまにですが、ノルウェー人に「日本人の名前は、意味があるんでしょ? あなたの名前の意味は?」と聞かれることがあります。
最初の頃こそ、「順子」の意味?え~、なんて答えればいいんだ?う~んと悩んでいました。
順=従順のように「従う」という意味だけど、「従う子」なんて意味とは言いたくないし、ノルウェー人に「ウソでしょ?」と反応されそう。
いろいろ考えました。
ほお、「素直」という意味もある! こっちの方がイメージいいし、そもそも全然、「従順」な性格じゃないし・・・と考えたのですが。「素直」という単語からさらに飛躍して(というか曲解して)、今では「ærlig barn」という意味、と答えています。
ærlig=率直な barn=子ども
という意味です。
「ærlig barn」だよ、と答えるとノルウェー人は「へぇー、いい意味だね」という反応がほとんど。

おばあさん

というのも、「ærlig」=率直さ、はノルウェー人がとても大切にしている価値観だからです。
それを最初に教えてもらったのは、1996年のこと。
田舎町Voldaカレッジで、台所を一緒に使っていたノルウェー人学生。彼は、私のクラスメート兼ルームメートのチェコ人留学生の彼氏でした。なんと二人はそのまま結婚しちゃったんですけどね~。
ただ私と彼は互いにちょっと苦手意識があったのですが、もうすぐ学期が終わり、学生寮の親しい人たちとお酒を飲みながら話していた時、彼は多少、酔っぱらっていたけど真顔でこう言ったのです。

「ノルウェー人が大切にしてることってなんだかわかる?率直さなんだ。」

ふ~ん、率直さね。言われてみれば、お世辞なんてほぼ言われたことないし、Ja/Neiははっきりしているし、何よりも裏表がない。
たまにそれで、軽く傷ついたり、ええ~、なんでこう「取り繕う」とかできないのかな?とイラつくことはありました。
だから私もノルウェー人と接する時は、思いっきり「本音上等!」モードでいっちゃいます。

ただ、これをあまり日本で実践しちゃうと、ヒンシュクなんですけどね~。

よっこらしょ

余談:くだんの彼は、昔はブロンドヘアーでなかなかのイケメンでしたが、Facebookの写真で、「薄毛+出っ腹」になっていて、時の流れを感じました~。

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2014/8/27 | Category : 留学体験 | Author : norway-yumenet

ノルウェー流新生活スタート

ノルウェーへの長期留学は2回していますが、両方とも学生寮に住みました。
遠く日本からたくさんの段ボールを船便や飛行機便で運んで、引っ越しをしてきた際に、無性にノルウェー人学生たちが羨ましかった記憶があります。
大体、家族が車で必要なものを運び、引っ越しの手伝いをしてくれていて、「ああ、ここでは私は1人からスタートするんだな」と心細さを感じました。

でも、不安を抱いているのはノルウェー人の学生も同じだということが、「新大学生たちの引っ越し」を特集した記事で分かりました。早速、記事をご紹介しましょう。(NRK、2014年8月17日)

北ノルウェーのロフォーテン。わずか300人の住民の村に住むMalinさんは、8月から看護師になる勉強をするため、はるかオスロへ引っ越します。「看護師になるために、オスロまで行かなくちゃいけないの?」とよく聞かれますが、オスロには素晴らしい学校があると分かっているので納得の上での引っ越しです。
お父さんはちょっと寂しそうですが、「Malinはタフだし、何もおそれない強い子だ」と娘を信頼するコメントを寄せています。

Malinのように、若いうちから家を離れるのはノルウェーでは決して珍しいことではありません。
中央統計局の統計によると、ノルウェーは親元を離れる年齢が、国際的にも欧州内でも早い方とか。
失業が主な原因で、親元で暮らす年齢が少しずつ高くなる傾向が、ハンガリー、スロヴェニア、また北欧のデンマークやスウェーデン、フィンランドにもみられるそうです。

以下に、男女別、「親元離れる年齢」が載っていますが、なるほどノルウェーは早いですね。

グラフ

中央統計局の研究者は、「なぜノルウェーの若者は早くに親元を離れるか?」について、大きな要因が2つあると説明します。
1つ目は、「教育を受けるため」。ノルウェーにはとんでもない田舎があるので、すでに高校から親元を離れるケースがありますし、その上の大学やカレッジ進学を期に・・・というケースも多いです。
2つ目は、「ノルウェーの支援制度の充実」。大学の学費は無料、生活費は国の学生ローンで借りれますし、また返済不要な奨学金もいろいろあります。
「他の国では、子どもの経済的支援は親の責任であり、またその親自身の経済状況も不透明なのです。」

NOVA(ノルウェー福祉・社会センター)の研究者は国際会議で「ノルウェーの若者たちの自立」を話し、ほとんどの若いノルウェー人はうまくやっているという話をしたところ、イタリアの参加者から、「でも一人暮らしなんて寂しくない?」と問われたそうです。これはやはり文化観・家族観の違いでしょうね。

ではノルウェーの価値観について、NOVAの研究者に語ってもらいましょう。
「ノルウェー社会は、若者が早いうちに親元を離れること、自立することが大人になる大事な部分と考える傾向があります。例えば30歳の男性がまだ親元で暮らしていれば、あまりいい兆候とは思いません。」

とはいえ、「自立」は大変です。
中央統計局の2012年の統計によると、6割の生徒が学業の傍らにアルバイトをしていて、1/3の学生が1週間に10時間以上働いているそうです。
(田舎だとバイトもないだろうな・・・・)
こうしたアルバイトは、オスロや他の都市圏での住居費高騰と関係あるでしょう。しかし、ここ数年の高騰傾向にも関わらず、若者たちの「引っ越し」は同じ水準を保っています。

同じヨーロッパでも、北や東、また南では、「親元からの自立」というテーマをとっても、様々ですね。みなさんはどんな国のタイプが理想ですか?

テレカ

早いもので8月も終わりに近づいてきましたね。
・・・ということで、ビジュアル強化ブログ、今日の1枚はこちらです!

テレカ

は~い。ということで、これはノルウェーのテレフォンカード、テレカですね。ノルウェー語ではTelefonkortと言います。

時代は変わりました。
最初に留学した田舎の学生寮には、自室に電話はおろか電話はなく、日本へ国際電話をかけるのはわざわざ外の電話ボックスにまで行く必要がありました。このカードで、通話何分くらいできたかなぁ~、10分くらい?

ノルウェーのテレカは、日本のものより厚みがあります。

今、初心者クラスで使っているテキストには、ポーランドの留学生が母国とのやりとりでSkypeを使っているシーンがあります。
ホント、Skypeの誕生で、海外とのやり取りは劇的に変わりましたよね。でも、私は自分が留学していた時は、Skypeがなくて良かったと思います。
しょっちゅう、Skype使っちゃいそうだし、1年で帰れるのだから・・・というのは建前で、
おのれのすっぴん&メガネ姿はあまりさらしたくないというのが本音です。みなさんはちゃんと、メイクしてるのかしら??

ところ変われば

ノルウェーが誇る3大有名人、言えますか??
a-ha、トロール、サーモン(←人じゃない)・・・・違いま~す。

イプセン、ムンク、グリーグが3大巨匠になるかと思います。
もちろん、3大巨匠について、ノルウェー国内では深く学びます。
例えば、イプセンの作品は、学校時代に必ず読んで、試験に出ます。漱石みたいなものんですね。
そして「イプセンはシェークスピアに次いで世界で一番、上演回数が多い劇作家」と叩き込まれます。
なので、日本に来て「イプセン、誰それ?」と反応されるとかなり傷つくので、皆さん、事前にGoogle検索でもしておいて下さいね。

さてイプセンは「人形の家」(Et dukkehjem)が特に有名です。
主人公ノーラは、弁護士ヘルメルの妻、そして子どもの優しい母親です。何不自由がない生活を送っていた彼女ですが、とあることがきっかけで夫ヘルメルは
自分よりも世間体を気にする「ちっちぇー奴」と気づいてしまいます。
そこで最後にノーラは、夫と子どもを捨てこの「人形の家」を去るのですが・・・その前にヘルメルとのやり取りが最大の山場です。

ノーラ「あたしには、同じように神聖な義務がほかにあるわ」
ヘルメル「そんなものはない。どんな義務だ?」
ノーラ「あたし自身に対する義務よ」
ヘルメル「お前はまず妻で、母親だ」
ノーラ「そんなことはもう信じないわ。あたしは、何よりもまず人間よ。あなたと同じくらいにね。」
(「人形の家」原千代海訳、岩波文庫より)

ノーラが、夫の庇護を離れ、毅然と家出をするラストシーンは、当時、すざましい反応を起こしました。
ドイツではラストシーンで「やはりノーラは子どもが心配で家出をとどまる」と変えて上演したほどです。今でも、このままでは上演できない国があると聞いています。

さてオスロ大学留学中、国立劇場へ「人形の家」をノルウェー人の友達と一緒に観に行きました。

国立劇場

「本場で”人形の家”を観る!」という興奮がありました。そして、ノルウェー人俳優たちが演技を進める中、クライマックスが訪れます。
ところが驚いたことに、前述のセリフの場面など、観客はみな大爆笑!「え?どうして?こんなにシリアスな場面なのに~」極東から来た娘っ子はびっくりしました。
確かにノルウェー人は映画観てもすぐ笑うし、反応はいいけど・・・でもここって笑うところ??
イプセン先生はあの世で怒っていないかしら?

イプセン

帰国後、どうしてもあの反応がフシギだった私は、日本でイプセン研究や翻訳で知られる毛利三彌先生にお尋ねしたのです(昔の「ノルウェー文化サロンにて)。
毛利先生の答えは100%覚えていないのですが、「おそらく言葉遣いやセリフの古臭いところが、現代のノルウェー人にはお笑いに聞こえるのでは?」といったようなお答えを頂いたような曖昧な記憶があります。
(うすらぼんやりして申し訳ありません!!もう10年以上の前のことです)

想像(妄想)をめぐらすに、あの当時の夫婦関係や男女関係は、今のノルウェー人からすれば「噴飯」もの。
例えば、今やちゃぶ台を返すオヤジがほぼ絶滅したような日本で、同じようなことをすれば「コント」に映るようなものなのかもしれません。

話が飛びますが、今年5月に参加した「翻訳者セミナー」で「エージェントカフェ」という時間が設けられました。
ノルウェー大手出版社のエージェントが並び、そこで「お勧めの本」や「自分のリクエスト」を聞いてもらえるという実利的な機会でした。

エージェントカフェ

エージェントカフェ

日本では翻訳文学が苦戦しているので、「ノンフィクション本」を探していた私は、フィンランドの「イクメン大使」のように、ノルウェーで「いかに男性が仕事と家庭を両立しているか」といった類の本がないか聞いてみましたが、「う~ん、そういう本はない」との答え・・・。
帰国後、セミナーのヒアリングでノルウェー大使館の担当参事官にその話をしたら、「ノルウェーでは男性が家事や育児はするのは当然だから、本にする価値がない、誰も読まない」とスパっと言われ、「あ、そうだ~」と膝を打ちました。
日本で「イクメン」が話題になったり本になるのは、まだごく少数派だからですよね。

そういえば、何年か前、週末も夜中まで仕事するノルウェー人「働きマン」(当然、家事はしない)は、「地球外生物」のように現地の新聞で特集組まれてました。
日本では珍しくないですよね。

ということで、「ところ変われば」価値感や考えた方も変わるということで、ご清聴ありがとうございました~。

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http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursannai.htm

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http://norwayyumenet.noor.jp/hp/info/norskkurs/norskkursschedule.htm