顔に歴史あり~ノルウェー作家クナウスゴールの例~

まずはこちらの写真をご覧ください!!

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ノルウェーの作家Karl Ove Knausgård(カール・オーヴェ・クナウスゴール)の初邦訳『わが闘争 父の死』(岡本健志、安藤佳子訳、早川書房)の表紙です。
顔に歴史ありと申しますが、クナウスゴールさんの眉間にしわ(ボトックス注射を打ってもいいレベル)、鋭い眼光、そしてノルウェー人男性には珍しく豊富な髪、いかがでしょうか?

本作は、クナウスゴールの幼少期から父の死を迎えるまでの自伝的小説です。
ノルウェーでは全6巻まで刊行されています。社会現象になるほどの作品で、一時期、彼の写真がいろいろなメディアに掲載されていた感がありました。
私の周りでも、「彼のこと嫌い」と言っていた友達の家の本棚に全巻揃っていて「あれ??」と驚いたり、次の巻が出ると買いに走り読みふけっている知人もいました。

中身は好き嫌いが分かれるでしょうね。私は意外にも夢中で読んじゃいました。
個人的なツボはたくさんありますが、ノルウェー人ならば誰でも知っている(+ごく一部の日本人も知っている)Norway Cupに参加し、厳しい父親からの解放感を友人と楽しむシーンです。

この「顔に歴史」ありすぎ感があるクナウスゴールが、どうも来日するらしいそうです。
イベント情報はこちらからどうぞ~。
どんなお話しを聞かせてくれるのか楽しみです♪

ひとりぼっちの出版社~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 3~

ノルウェーの人口は520万人。当然ですが、出版社の数は少ないです。買収が進み、大手傘下になってしまった出版社が幾つかあります。
「大手が強い」ノルウェーの出版界で異色の「ひとりで切り盛りしている出版社」との出逢いは、2014年の「翻訳セミナー」(NORLA主催)のことでした。

セミナー会場はホテルでした

セミナー会場はホテルでした

その時の様子は「1」に書きましたので、ご参照ください。私が一目惚れした「レトロスキー本」の版元が、このMagikon(マギコン)という会社です。

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Magikonは、社長のSvein Størksen(スヴァイン・ストルクセン)さんが1人で切り盛りしている会社です。
ノルウェーの絵本は、通常、出版社の1つのカテゴリーとして出している場合がほとんどですが、Magikonは絵本を中心にビジュアルにこだわった本を発表しています。
実は、「翻訳セミナー」で出会うまでMagikonのことを知りませんでした。
9月の旅では、ぜひMagikonとスヴァインさんについてもっと知りたくて、会社訪問することにしました。

会社はオスロ中心地から電車で15分くらいのところ。山の上の住宅地にあります。
・・・というか、こちらはSveinさんの自宅兼オフィスなのです!

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イラストレーター・絵本作家のKristin Roskifte(クリスティン・ローシフテ)さんがパートナーで、まだ小さなお子さんが3人。
早速、地下のオフィスにお邪魔しまーす。

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スヴァインさんとのやり取りを抜粋しますね。

-Magikon設立のバックグラウンドについて教えてください。

「僕もクリスティンもずっとフリーランスのイラストレーターでした。15年、フリーランスのイラストレーターをやってきて、大手出版社が出す絵本に満足できなかったのです。絵本はまずテキストがあって、イラストは後まわし。イラストなどビジュアルが重視されていない気がしていました。そこで2007年にMagikonを立ち上げることにしたのです。」

-1人で出版社を運営するって大変だと思うのですが・・・。

「経理以外のことはほぼ全てを担当しています(注:本の発送手続きも社長自ら)。現在まで60冊を出版しました。海外に翻訳された本も、お蔭さまでたくさんあります。最初に出版したクリスティンの本がヒットしたのはラッキーでしたね。」

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-本を出版する上で大事にしていること、やりがいは何でしょうか?

「モットーにしていることは、自分がいいと思う本しか出版しないこと。イラスト、テキストともにクオリティーが高いことは不可欠です。仕事をしていて楽しいのは、イラストレーターと作家の組み合わせを考えること。自分が編集から全て行っているので、イラストレーター、作家と密接にコンタクトできるのは、いいことだと思ってます。そこは大手と違うでしょうね。自分はずっと絵を描き続けたいし、大好きな本を出版できる喜びは言葉にできないです。」

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-「翻訳セミナー」でもエージェントカフェに参加していましたが、海外進出も積極的なのですね。すでに絵本は、欧米圏だけではなく中国や韓国でも出版されてますが。

「はい。たくさんのブックフェアに行って、人との出逢いを大事にしています。欧州以外にも、アメリカ、カナダ、中国や韓国のブックフェアーに行きました。お金を稼ぐためには、お金を使うことが大事ですよ。」(注:スヴァインさんは3月にノルウェー大使館の文学セミナーで登壇予定です。詳細はこちらから。)

・・・とお話や写真撮影をしていると、お子さんたちがクリスティンさんと一緒に帰宅して、一気ににぎやかになりました。
クリスティンさんもイラストレーターですので、離れのアトリエをプチ訪問させていただきます。スヴァインさんは「夕食の支度しなくちゃ~」とキッチンへ。

スヴァインさんのオフィスは地下ですが、クリスティンさんのアトリエは庭にある小さな小屋。中に入ると、おお~と広い仕事スペースが羨ましい!
「子どもが学校や保育園にいった後、私はこの離れのアトリエで、雑念を忘れて仕事に集中できます。」

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アトリエの中には、たくさんのスケッチブック。解説を聞きながら、見せて頂きます。

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その時に取りかかっているプロジェクトのために、スケッチブックは持ち歩たり、たくさんの試作を重ねるそうです。

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他にもいろいろなオブジェが飾られていて、じっくり見ていたら飽きません。

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日本のものをいくつか発見したのですが、「もうずっと前に、日本へ行ったことがあるのよ。日本のシンプルで可愛いなイラストが大好きです。」と教えていただき、ほ~っと驚きます。

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アトリエを後にして、再び本宅へ。3人の子どもたちは、仲良く子ども番組を観ています。

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スヴァインさんは何を作ってくれるのだろう?いい香りが漂っています。ダイニングにサーモン料理が並びましたが、おお、さすがアーティスト!野菜の切り方がおしゃれです!

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子どもたちが「わ~~~!!」と騒いでダイニングに入ってきましたが、ご夫妻が「これからは大人の時間よ!」とドアをばたーんと閉めちゃいました。

絵本やイラストレーターたち、出版社や書店事情などいろいろ興味深いお話しをうかがいました。
本の買い取り制度がなかったら、出版社を作るのは無理だっただろう」とスヴァインさんの言葉が残りました。
この「本の買い取り制度」は、最初のブログで触れたグロー・ダーレさんの講演でも、強調されていたものです。
小国ノルウェーが自国の文化を守るための同制度とは?? そのお話はまたの機会に・・・!

つづく(といいなぁ)

オスロのユニークな書店~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 2~

・・・すっかり間が空いてしまいましたが、続いてます!!

オスロ行の前に、ユニークな絵本に出会える書店を訪ねようと考えました。
まず思い浮かんだのは、Tronsmo(トロンスモ)。チェーン店が多いノルウェーの書店で「独立」を貫き、他店とは違うこだわりの書棚は、お客さんはもちろん、多くの作家からも愛されている書店です。なので、以前に倒産危機に陥った時も、作家たちが中心に「Tronsmoを守る!」運動が盛り上がり、お店は存続できました~。
早速、書店にメールを書き「児童書コーナー担当の人と連絡したい」とお願いしたら、「最近、お店が引っ越したばかりでバタバタだけど、いいわよ」とあっさりOK。より中心地での広い場所に移ったそうです!期待でワクワク!

・・・ということで、ナショナルギャラリー前に引っ越したTronsmo。まだ外観は工事中でしたが、中は「おお~」と感動の広さ、そして美しさ、明るさ!!

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児童書コーナーは入口右にあり、担当者のMette(メッテ)さんが明るく迎えてくれました~。

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そのコーナーは、大人でもテンションUPになる空間で、子どもだったらどんなに楽しいだろう、と思い写真を何枚も撮りました。やり取りを抜粋しますね。

ーどんな書棚を心がけている?
「ノルウェーの作家をできるだけ多く紹介するようにしています。もちろんアストリッド・リンドグレーンやトーヴェ・ヤンソンなどはノルウェーでも人気ですが、ノルウェーにはとても素晴らしい絵本作家やイラストレーターがいるんですよ。」(具体名を挙げながら説明してくれました)

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ーこのよく分からないオブジェは??
「これ面白いでしょ? 店を新装するにあたって、いろいろな作家やアーティストが協力してくれたんです。このオブジェは子どもたちに大人気だし、あと絵本作家のAnna Fiske(アンナ・フィスケ)もお店のために絵を描いてくれたのよ。」

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Anna Fiskeのイラスト

Anna Fiskeのイラスト

ーネット書店や大型店は脅威ではないですか?
「それほどライバル視はしてないです。というのも、お客さんたちは”Tronsmo”でしか見つけられない本を期待して足を運んでくれるから。」

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他にも、ノルウェー絵本の特徴(育児放棄や離婚した子どものつらさといった先進的なテーマに挑戦しているなど)や店で開催するイベントの話を伺いました。
さらに、この可愛らしい児童書コーナーには、保育園の子どもたちが先生に連れられて遊びに来ることも珍しくないそうです。
その時には、子どもたちが床に座って、Metteさんが絵本の読み聞かせをするそうです!
またTronsmoは、前述した通り、作家からも人気の書店。出版社側からイベント要請が多く、イベントも頻繁に開催されているとのこと。
お店とお客さん・作家やアーティストの距離の近さを実感しました!

とても元気なMetteさん!

とても元気なMetteさん!

2軒目は、Svovel(スヴォーヴェル)というお店です。NORLA(ノルウェー海外文学普及協会)から「ここは面白いみたいよ!」と教えてもらい、アポを取りました。
住宅地の中にあるお店、しかもお店をやっている人たちの本業はグラフィックデザイナー、カメラマンの3人組です。
グラフィックデザイナーのEllen(エレン)さんにお話しを伺いました。Ellenさん自身、大手紙などのグラフィックデザインの仕事を今でも継続中。

笑顔がキュートなEllenさん

笑顔がキュートなEllenさん

Svovelは、とても小さな事務所兼ショップですが、「おお!!」とまたまたテンションUPな空間です。
絵本はもちろん、可愛いおもちゃやオブジェがディスプレイされていて、半日くらい過ごせそう・・・。Ellenさんは、とっても歓待してくれました!

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以下、やりとりを抜粋します。

ーずばりSvovelのモットーは?
「他の大型書店では扱わない小さな出版社の良質な本を置くこと。新人作家に注目することも大事ですね。あとは、お店の棚や雰囲気、おもちゃなどディスプレイで近所の人がふらっと立ち寄ってくれるお店を目指しています。」

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ーお店のスタッフ3人とも他に仕事がありますが・・・
「お店と事務所の両方で働くのはとても楽しいです。ずっとグラフィックデザインの仕事をするのではなく、可愛いものに囲まれたお店でお客さんとお話しをしたり、近所の人と立ち話するのは刺激を受けますよ。」

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他にもいろいろ興味深いお話しを伺いましたが、長くなりすぎるので割愛しますね・・・。
こんなに小さなお店でも、やはり近所の保育園の子どもたちが先生に連れられて、遊びに来るそうです!そしてEllenさんが読み聞かせにもトライするとか。

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なおSvovelは、森百合子さんの『3日でまわる北欧inオスロ』に「地元っ子に聞いた本音のおすすめ」ページで、私が紹介しているお店です。
ただ、今年からお店が移転して、さらに大きくなったと聞いてます。次回、訪ねるのが楽しみなお店です~。
Facebookの方が最新情報が見れますよ!https://www.facebook.com/svovel.fabrikkbutikk

TronsmoとSvovel、規模と歴史は違いますが、大型書店とは違うユニークな書棚を目指している点、根強い固定客がいることは一緒ですね。
また、「ノルウェーには素晴らしい絵本作家やイラストレーターがいる」と強調していたのが印象的でした。
あと気になったのは、子どもと本屋さんの距離の近さです。
両店とも、保育園の子どもたちが訪ねてきています。

週末は、読書と遊びを忘れないで と書かれてます

週末は、読書と遊びを忘れないで と書かれてます

ノルウェーの保育園児たちは森や野原など町の中でもよく見かけますが、書店訪問もしているんですね。
小さな頃から、絵本の愉しみが身につく環境が羨ましいです!

この2つの書店で体験したことは、もっともっと紹介したいですが、ここまでにしまーす。

つづく(であろう)

『3日でまわる北欧inオスロ』ブックレビューです!

森百合子さんは、以前から「ノルウェーに優しい」と感じてました。
北欧の中でも地味~で目立たないノルウェーに対してどうしてなのかな~?と思っていましたが、その疑問は3日でまわる北欧 in オスロ(森百合子著、SPACE SHOWER BOOK)の「はじめに」と「あとがき」を読んで何となくわかった気がしました。

もうノルウェー好きは表紙で「こんなに可愛い場所があったのか?」と驚き、「はじめに」の時点で号泣です~!引用しますね。
北欧のいい人代表、ノルウェー人

・・・涙をぬぐってページを進めていきましょう!
やはり森さんといえば「コーヒー」。どんなカフェをどんな切り口で紹介するのは、ワクワクです。これはぜひ、本を買って確認しましょう♪
面白いのは、バリスタへのインタビューに「休日は何をしているの?」の答えが「うーん、コーヒーショップに行くかな」という件。
ノルウェー人とコーヒーの関係性がうかがえますね。

さらにコーヒーと言えばパン。『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』(森百合子著)で皆さん、刷り込まれましたね!
「オスロのパンの楽しみ方」というページから、引用します。
「これまで北欧でパンを食べ歩いてきて、日本人の口に一番合うだろうと思うのがノルウェーのパンである。」
ええ、ホントですか? 以下、その理由がつづられているのですが、おお!と納得して膝打ちまくりです。痛いぞ、膝が。パンの写真を見ながら、た、食べたい!

他にも森さんの得意分野である「デザイン」。はい、ノルウェーのデザインはちょいちょい「北欧デザイン特集」でハブられてます!
ノルウェーデザインをよく知るFuglenのオーナー、ペッペさんにインタビューしているのですが、ここは必読です!
日本でも有名なキャサリンホルムのロータス柄の意外な秘話も「へ~」と驚きました。

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グルーネルロッカのガイドも充実の一言です!
日本のガイドブックを見て実際に行ったけど「大したことないじゃない」という声を聞いたことがありました。実は私もそう思っていたんですが、2013年あたりから考えを改めましたね~。昨年9月は、泊めてもらった友達の家がまさにグルーネルロッカの中心だったので、「お、これは!」というユニークなお店で楽しみました。
でも森さんの本には、まだまだ知らないお店(ヴィンテージファッションのお店など)が載っていたので、次回のオスロ行が楽しみです♪

知らないと言えば、Kampen(カンペン)エリアが紹介されていたのも、驚きました~。
実は昨年3月の「ノルウェーについて学ぶサロン」で、ゲスト講師のOLA君が出身地であるKampenについて熱くプレゼンしてくれていたのです。古い家や建物が残っている独特な街並みですが、まだ行ったことありません。地元の人も、日本のこんなにステキなガイドブックに紹介されて「おお~」とびっくりすると思います。

旅の楽しみは「食べ物」がありますが、ことノルウェーは物価が高いこともあり、「滞在中はスーパーで買ったものだけで済ませました」という方も珍しくありません。うう・・・それでは悲しいですよね。でも森さんはちゃんと、リーズナブルでおいしいレストランも紹介してくれてます!クローネは安くなっているので、ぜひおいしいお店でノルウェーの料理を堪能するチャンスですよ~。映画監督ベント・ハーメル監督が昔のノルウェー外食事情に触れたページに笑っちゃいました。

他にユニークなページは「地元っ子に聞いた本音のおすすめ」です。
ベント・ハーメル監督のおすすめレストランは「ホルテンさんのはじめての冒険」で出てきたようなお店なのかな~と想像。行きたい!おじさんがいっぱい!
不肖・青木も図々しく載ってます!(Jackも載ってますよ~)ぜひご覧あれ~。
あと「ちょこっとノルウェー語」も監修してます♪

最後の「ノルウェー人になる方法」で爆笑し、
「あとがき」で森さんとオスロの最初の出会いに涙してくださーい。

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1/31開催の「北欧ぷちとりっぷ vol.6~ノルウェーってこんなに可愛かったんだ!の巻」では、森さんの取材話を聞けます!さらにFukuyaの三田店(番)長が「永久保存版」の北欧ビンテージのプレゼンも!!青木は、ゆる~く「ノルウェー語」からノルウェー人に迫ります!人気の「北欧男子トーク」はついに幻のツチノコならぬアイスランド男子も出場します!北欧検定は現在、鋭意作成中・・・!
・・・会場ではたくさんの北欧ショップも出店しますし、もちろん『3日でまわる北欧 in オスロ』の販売とサイン会もありますよ~。チケットご購入の方はぜひこちらのリンクをご参照ください♪
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_151210205085_1.htm

そもそものきっかけ ~ノルウェーの絵本を訪ねる旅 1~

一番最初に、ノルウェー語の本を買ったのは絵本=bildebokです。学習を始めて半年くらいで「ノルウェー語の本を読んでみたい!」と購入しました。
絵本のテキストは予想以上に難しかったけれども、ノルウェーらしさ満載のイラストを眺めて楽しみました!(実はスウェーデン原作の絵本だったのですが・・・。顛末はこちら

それ以降もポチポチと絵本を買ったりもらったりしていました。「ノルウェーについて学ぶサロン」で「ノルウェーの絵本」について2回、お話ししていますね~。最初のレポート2回目のレポートがご覧になれます。

そんな感じでノルウェーの絵本とは、「つかず離れず」状態だったのですが、運命的!と思える出逢いがありました~。
NORLA(Norwegian Litterature Abroad)「ノルウェー海外文学普及協会」が主催した「翻訳者セミナー」が2009年に開催された時、ラッキーなことに参加できました。その時のレポートはこちらに記していますが、グロー・ダーレさんとスヴァイン・ニーフースさんの『Sinna Mann』に衝撃を受け、その後、紆余曲折を経てパパと怒り鬼』となり邦訳出版に至ることができました。

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2014年にもNORLA主催の「翻訳者セミナー」が開催されたのですが、「これいい!」と一目惚れした絵本がありました!
タイトルは『Slapsefjell』。60年代頃のノルウェーのスキー場での1日がノスタルチックかつシュールに描かれています。イラストはレトロ調で「これぞノルウェー!!」てんこ盛り絵本です。

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出版社の人に聞いたら「ノルウェー語のサンプルはこの1冊しかない」とのことでしたが、半ば強奪した次第です。こちらから中身をちょっと覗くことができますよ~。
他にも、絵本作家やイラストレーターたちのプレゼンテーションや聞くことができ、大いに刺激を受けることができました(キュッパシリーズの作者、オーシルさんもお話しされていたのですが、”Big in Japan”と紹介されていて本人も照れてましたね・・・)。
まだ邦訳はされていませんが、ノルウェーやヨーロッパで評価が高いStian Hole(スティーアン・ホーレ)さんのワークショップでは、作品の芸術性の高さに感銘しました!

Annas Himmel(アンナの空)より

Annas Himmel(アンナの空)より

帰国後、持ち帰ったり送ってもらった絵本を見ながら、2013年に来日講演してくれたグロー・ダーレさんの言葉を思い出しました。
「ノルウェーには、とても素晴らしい絵本作家やイラストレーターがいるんです。」
グロー・ダーレさんはご自身のお気に入りの絵本を持って来てくれて、その中で気になった1冊がØyvind Torseter(オイヴィン・トールシェーテル)さんの『Hullet』でした。本の真ん中に開いた穴をめぐる絵本なのですが、セリフはごくわずか。まるで上質なコメディー映画を観ているような感覚になれます。

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ノルウェー語レッスンの部屋に置いていたら、デザイナーの生徒さんが「これ、貸してください」とおっしゃったので、やはりデザイン系の人には刺さる絵本なのだな~と実感。
こちらは『穴』というタイトルで邦訳されています(ワールドライブラリー社、ひだにれいこ訳)。

個々の絵本に触れながら、「もっと絵本と取り巻く環境を知りたい!」とテンションUP!
9月のオスロ訪問に合わせて、自分が行ってみたい!と思う「絵本をめぐる場所や人」を訪ねることにしました。さらに幸運なことに・・・オスロで初めて「Barnebokfestival」(子どもの本フェスティバル)が滞在中に開催されることが分かり、テンションMAX!! 

・・・いつも前置きが長くなるのは悪い癖ですが、これから不定期にユルユルと「ノルウェーの絵本を訪ねる旅」と書いていきたいと思います~(オスロ旅行記も終わってません・・・)。

つづく(ハズ)