生卵、食べますか?

ノルウェーの新聞を読んだとき、「あれ?」と思った箇所がありました。
ノルウェー人記者が泊まった日本旅館の朝食に「生卵」が出て、「日本はサルモネラ菌を心配することなく生卵が食べられる世界でも稀な国である」と書いてあったのです。

また先日、「人形町 今半」ですき焼きを食べている時、「生卵が苦手な外国のお客さんが多いですから」とお店の人が言っていて、「そうですよね」と相槌を打ちながら、再び「あれ?」と引っかかるところがあったのです。

生卵を食べる日本人は、世界的にも珍しい??

古くはシルベスター・スタローンの出世作「ロッキー」で「生卵」をいくつも入れて一気飲みするシーンがありましたが、あれは「精力剤」といった趣でしたね。

私の「あれ?」と引っかかるのは、なんでだろう?記憶の糸をたぐり寄せると、ノルウェーで何度か「生卵」を食べていたことを思い出しました。

もう何年も前、オスロの高級カフェのTheatercaféen(テアテル・カフェーエン)へ友達に連れて行ってもらった時のこと。「ここのオープンサンドはおいしいのよ」と教えてもらい、さて、どれにしようかな~と悩んでいたら、「タルタールはどう?」と勧められました。

「タルタールとは??」タルタール

分からない時は、勧めに従うまでです。わくわくしながら、料理が運ばれるのを待っていたら・・・
「おお??」と、そのノルウェーらしからぬ料理に目を奪われました。
生の牛ひき肉の上に「生卵の黄身」が鎮座し、ケッパー、玉ねぎ、赤ビーツやピクルスが添えられています。まず、ノルウェー人でも「生の牛肉」を食べるんだ~と驚きましたね。
友達から、「これを混ぜながら食べるのよ」と指導を受け、とりあえず、生卵とトッピングを混ぜながら、食べてみると・・・

「おいしい!」

すっかりタルタール=tartarが好物になり、ノルウェーではその後も何度か食べました。
この時は「生卵」が含まれることに違和感がなかったのですが、件の新聞記事や、外国人は「生卵苦手伝説」を耳にするにつれ、このtartarはどうなの?例外なの?と不思議に思った次第です。

改めて「タルタール」について調べたところ、「タルタールの神話」なる小さな記事を見つけました。
それによると、もともとタルタールは、アジアの遊牧民たちが生の馬肉を食べたのが起源とか。
しかし、これには諸説あるようで、本当はフランス料理の一品でヨーロッパ料理(事実、タルタールはヨーロッパのいろいろな国で食べられているそう)とか。

私は食の専門家ではないので、真実はわかりませんが、ただ少なくともノルウェーのオーブンサンドの中では、かなり異色な一品である、と断言できます。
ぜひお試しあれ!