国境を越えて~ノルウェー人が尊敬する葛西選手~

葛西選手の銀メダル受賞は、日本ではもちろん大きなニュースとなりました。41歳という年齢でトップアスリートである葛西選手に、日本人は敬意を新たにしたと思います。
さて冬のオリンピックでは、ノルウェーも大きな存在感を示しています。まさに「ウィンタースポーツ王国」の感がありますね。
ノルウェー人はもちろんノルウェー選手を応援していますが、素晴らしいアスリートへは敬意を惜しみません。
私が最初に留学したのは、リレハンメル五輪の翌年、1995年でしたが、何人ものノルウェー人に「日本人選手は良きライバルだよ」と言われました。

そして2014年。ソチオリンピック。
ノルウェーは、得意のクロスカントリースキーを中心にメダルを多く獲得したり、または期待外れの結果について連日、五輪についてたくさんの報道がされています。
葛西選手の銀メダルは、金メダルを取った選手よりも大きな扱いで報道されました。
ノルウェーを代表するAftenposten紙に葛西選手の活躍が記事になったので、一部、ご紹介しましょう。

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「私は、オーレ・アイナル・ビョルンダーレンが誰かということをよく知っているし、彼のキャリアを追っている。私は彼に感動しているんだ。彼や自分を通じて、若さよりももっと大事なことがあると結果が示してくれる。決してあきらめずに、モチベーションを保ち続けることが重要なんだ」と葛西選手は語る。

ビョルンダーレンは40歳。いくつもの辛いシーズン後、スプリントで金メダルを獲得した。土曜の夜遅く、41歳の葛西選手は銀メダルに輝く。彼もまた辛いシーズンを乗り越えての結果だ。

「まず何よりも、新しい目標を作ることが、カムバックできることにつながる。そしてその目標に向かって、一生懸命、努力するんだ。」と葛西選手は言葉を続けた。

ベテランの葛西選手は、すでに1992年のアルベールヴィルオリンピックに出場し、それ以来、ずっと五輪に出場を続けている。
ソチでは、ファイナルで133.5メートルを飛び、金メダルを獲得することも可能だった。

しかし、ストッホが1.3ポイント上回った。

「あともう1つオリンピックに出場するんだ」と世界中にたくさんの友人がいる葛西は言う。
彼は長い間、高い人気を誇り、そしてまた愛される選手であり続けた。3月のオスロ・ホルメンコーレンのジャンプ大会で、彼は大きな注目を集めるだろう。

ノルウェースキー連盟コーチのJermund Lunderは葛西選手についてコメントを寄せた。
「葛西がやり遂げたことは、ほとんど不可能なことだった。これは歴史的と言いたい。年齢が限界を超えた。葛西はこの競技で最も私を感動させた選手だ。おそらく彼は、スキージャンプには年齢制限など存在しないことを示してくれたのではないだろうか?」

金メダルに輝いたストッホは、「あなたは葛西より15歳も若いが、15年後には何をしている?」という質問に、「はは、きっとビーチに寝転んで、引退生活を楽しんでいるかな。葛西には、ただ脱帽だよ!」と答えた。

ノルウェーのBardal選手も、葛西選手に感動した。彼の輝かしい結果と長期にわたってモチベーションを保ち続ける姿勢に対して。

「もし僕が葛西のように長い競技生活を送ろうとしたら、きっと間に休息する年が必要だろうね。でもオスロでオリンピックが開催されるだろうから、そうしたら・・・」と冗談ぽく語った。
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ノルウェー人の葛西選手への深い尊敬と愛情が垣間見られる記事でした。
ウィンタースポーツに親しみ、愛するノルウェー人ゆえに、他国の選手でも敬意を忘れない。
そうしたノルウェー人が素晴らしい!と改めて思いました。

2014/2/16 | Category : スポーツ | Author : norway-yumenet