“smør”は大事!

さて今週は、オスロや東ノルウェーの子どもたち(小・中・高)はvinterferie(冬休み)。
(ちなみにノルウェーでは、秋休みや冬休みは、地域ごとにずらす方式です)
そのせいでしょうか、Facebookのノルウェーの友達は子どもたちとスキーに行っている写真をよくUPしています。

小さい子どもがスキーを履いて滑っている姿を見ると、あの有名なことわざを思い出します。

Nordmann ble født med ski på beina. 「ノルウェー人は足にスキーをつけて生まれてくる」

以前、新聞で小さな子どもを初めてスキーにトライさせる場合の「親の心得」が大きく特集されていました。
内容のほとんどは忘れてしまったのですが、強烈に覚えているのは、以下の警告です。

「正しいワックス選びは、親の責任である」

なにごとも、「ま、いいんじゃない?」とゆる~いノルウェー人なのに、ワックスに対するこの厳しい姿勢・・・。
下手すれば子どもの成績より、「ワックス選び」の方が大事な印象さえ受けます。

ワックスはノルウェー語で、smør(スムール)と言います。実は「バター」と同じ単語です。
開催中のソチオリンピックでも、新聞記事によくsmørの文字が目につきます。
クロスカントリーの選手が優勝すれば、「smør選びが成功した」と上機嫌なのですが、先週末くらいでしょうか、ノルウェーの優勝候補の選手が次々とメダルを逃しました。
決定的だったのは、男女クロスカントリーリレーでまさかの4位。
しかも優勝はスウェーデン・・・

もうノルウェーメディアは、ハチの巣をつついたように大騒ぎ!そして批判の矢面に立ったのが、「smør選び」だったのです。
タブロイド紙には、ついに「smørskandale」=「ワックススキャンダル」なる初めて見る単語が登場する始末・・・
スキー連盟側は、「うちは、世界最高のワックスチームだ」と反論。
スキーに全然詳しくない私ですら、「何だかこれは、一大事!」という気分になってきます。

smørとノルウェー人の関係性を示すエピソードがもう一つありました。
何年か前に、札幌でノルディック世界選手権が開催されていたことご存知でした?
日本ではそれほどメジャーな競技ではないからでしょうか、会場は残念ながら観客がまだらで、それに対してノルウェーのメディアは「信じられない!」と騒ぎ立てていました~。

ですが、ノルディック競技を心から愛するノルウェー人。
札幌開催を祝して、紙面には「一日一語、日本語を覚えよう」というコーナーができました。
「ありがとう」のような基本的な日本語を習字で書いて、日本に親しむという、まさにスポーツを通じた文化交流。
が、ある日の習字を見て、驚きました・・・!
そこには、大きく誇らしげに

ワックス

と書かれていました。会心の作、といった感です。

もう言葉はありません。
ノルウェー人、どこまでもワックス愛に生きてくださいね~。